メルマガバックナンバー

2010/10/15 『欲しいものを全部手に入れたら・・・?』 vol.19


今年3月のメルマガ(12号)で、メキシコの空港での出来事をご紹介しました。

今回もメキシコの空港にまつわる面白い話をご紹介しましょう。

航空会社の地上係員が、カゴの中で犬が死んでいるのを発見しました。係員は

心優しい人だったので、犬が死んでいるのを知ったら顧客が悲しむだろうと

考えました。係員は死んだ犬をカゴから出し、そっくりな犬を見つけてきて

カゴに入れました。犬は大きさも、色も、顔つきも、毛並みもそっくりで、

誰が見ても同じ犬に見えました。

顧客は飛行機を降り、手荷物受取り所でカゴに入った犬を受取ると、

係員を呼んで騒ぎ始めました。

「この犬は私の犬ではありません!」

「あなたの犬ではないって・・・犬の種類が違うのですか?」

「いいえ。種類は一緒です」

「見た目が違いますか?」

「いいえ、見た目も一緒です」

「鳴き声が違いますか?」

「いいえ、鳴き声も一緒です」

「あなたの乗った飛行機には、他の犬はいませんでしたよ」

「それでも、この犬は私の犬ではありません!」

顧客はどのようにして、自分の犬ではないと分かったのでしょうか?

実はこの話には、誰もが見落としてしまう事が隠されているのです。


日常会話の中にも、誰もが見落としてしまう事がよく出てきます。なぜなら、

それは語られない言葉だからです。ある言葉が意味をなすために必要な事柄で

ありながら、口に出して語られていないものを「前提」と言います。

例えば、こういうものです。

「最近、遅刻しないで出社するね。君らしくないね」

この言葉が意味をなすために必要な前提は何でしょうか。”君はいつも遅刻

する”です。


「この資料を作ってほしいんだ。今日中にできる? それとも明日の朝まで

かかる?」

ここでは、”頼まれた人が資料の作成を引き受ける”という事が前提に

なっています。

意識は口にされた言葉に向きがちなので、口にされない「前提」は無意識に

受け入れてしまいがちです。そのため、「前提」は、相手に反発されずに受け

入れられる便利な言葉です。


これに対抗するには、「何が前提にされているのだろう?」と考えることです。

前提に気づけば、「なぜ、(前提)と思ったのですか?」と問うことが

できます。

上の例であれば、

「なぜ、私がいつも遅刻すると思ったのですか?」

「なぜ、私がその資料を引き受けると思ったのですか?」

のように聞くことができます。


一般の会話の場合、話し手が意図せずに「前提」を使っている場合も多いと

思いますが、広告では意図的に使用されています。

「仕事を聞かれて、会社名で答えるような奴には、負けない」(ガテン)

ここには、”仕事は中身で勝負”という前提があります。ガテンに掲載される

仕事の多くは中小企業のものでしょうから、仕事を会社名で答えるのはイケテ

ない、中身こそが大事だというメッセージを伝えたいのでしょう。


「夏、男性がネクタイをはずせば、女性のひざ掛けがいらないオフィスに

なります」(地球温暖化対策推進本部)

”男性が暑がりで、クーラーの設定温度を下げている、そのために女性が

寒がっている”という前提があります。

目に止まった広告コピーは、どんな前提で書かれているのかと考えてみるのも

面白いでしょう。


もうひとつ、自分がどのような前提を持っているのかを知るのは、とても

役に立つことです。

優秀な成績のセールスマンと、平凡な成績のセールスマンが、お客さまを前に

して、どのような質問を自分の頭の中に持っているか、という調査があります。


平凡なセールスマンは、

「このお客さまに、この商品をどのくらい売ることができるだろうか?」

という質問を持っています。


優秀なセールスマンは、

「このお客さまに、この商品はどのくらい役立つことができるだろうか?」

という質問を持っています。


平凡なセールスマンは、「売ることが自分の仕事である」という前提を持って

いると考えられます。一方、優秀なセールスマンは、「役立つことが自分の

仕事である」という前提を持っていると考えられます。

この違いによって、お客さまへの対応、仕事への取組は大きく変わってくる

ことがお分かりになると思います。


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語られない言葉、「前提」に気づくことによって、


コミュニケーションと自分の行動を変えることができます。

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空港の手荷物引取所に出てきた犬を見て、自分の犬ではないと言い張る顧客。

何から何までそっくりな犬を見つけてきたのに、なぜ顧客は自分の犬ではない

と分かるのか、係員はとても不思議に思いました。

「お客さま、この犬はあなたの犬と、種類も見た目も鳴き声も全て一緒なん

ですよね。なぜあなたは、この犬が自分の犬ではないと言い切れるの

ですか?」


「だって、この犬は嬉しそうにシッポを振って、元気一杯じゃないですか!

私の犬は死んでいたんですよ!」


それではまた (^^)

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■鈴木達也(スズキ タツヤ)プロフィール
大学卒業後、大手外資系コンサルティング会社でエグゼクティブとして勤務。
退職後、コンサルタント/セミナー講師として独立。
米国NLP協会認定NLPトレーナー/NLPマスタープラクティショナー。
現在、SMSデータテック 教育担当
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