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csirtとは?主な役割や導入のポイントと流れ、注意点を解説
CSIRT(シーサート)とは、不正アクセスや情報漏洩など情報セキュリティ上のインシデントに対処するチームのことです。デジタル化に比例しサイバー攻撃が増加している近年では、セキュリティ対策が欠かせません。万が一、インシデントが発生した際、迅速に対処できなければ大きな被害を受けます。
この記事では、CSIRTの概要や導入時のポイント、導入の流れについて詳しく解説します。CSIRTについて知りたい方、サイバー攻撃の被害を抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
CSIRT(シーサート)とは
CSIRT(Computer Security Incident Response Team)とは、情報セキュリティに関連する事故や、事故が発生する可能性がある状態に対処する専門チームのことです。マルウェアの感染や情報漏洩などのインシデントが発生した際の原因の追求や、復旧に向けた業務を担当します。また、セキュリティ対策を実施して、サイバー攻撃を未然に防ぐのもCSIRTの役割です。
ここからは、CSIRTに関する以下の項目について詳しく解説します。
- 誕生した背景
- SOCとの違い
- PSIRTとの違い
CSIRTが誕生した背景
CSIRT誕生の背景には、サイバー攻撃の増加によりセキュリティにおける脅威の拡大が関係しています。企業のデジタル化が進むとともにインシデントの発生件数が増加すると、2001年ごろに予測が立てられました。
サイバー攻撃の手法は日々生み出され、高度化・巧妙化し続けています。万が一、個人情報や機密情報が流出すれば、企業の信頼性が低下するなど受ける被害は小さくありません。被害を最小限に抑えるために、インシデントへの迅速な対処や未然に防止策を講じるCSIRTが必要とされています。
CSIRTとSOCの違い
CSIRTとSOCの違いは役割です。SOC(ソック)とはSecurity Operation Centerの略で、システムやネットワークを監視し、インシデントを早期発見する役割を担うチームのことを指します。
CSIRTの主な役割がインシデント発生時の対処であるのに対し、SOCの主な役割はインシデントの早期発見です。また、インシデントの発生を未然に防ぐのもSOCの重要な役割です。
CSIRTとPSIRTの違い
CSIRTとPSIRTの違いは、インシデント対応を行う対象です。PSIRT(Product Security Incident Response Team)もCSIRTと同様、脆弱性やインシデントに対応し、問題解決をする専門チームです。ただ、CSIRTは所属する企業や組織のインシデント対応を行う一方、PSIRTは自社が開発・提供する製品やサービスに対するインシデント対応を担います。
CSIRTの種類
CSIRTは、業務内容などにより以下の種類に分類されます。
種類 | 概要 |
---|---|
Internal CSIRT | 所属する組織や顧客に対して起こったインシデントに対応します。 |
National CSIRT | 国内外の窓口として、各国との情報交換や国際連携を行い、担当する国・地域における国レベルのインシデントに対応します。 |
Vendor Team | セキュリティに関するサービスを提供するベンダー内に設置されたものです。自社製品のインシデントに対処するとともに、脆弱性の報告と修正を実施します。 |
Coordination Center | 他のCSIRTから情報を集め、その情報をもとに適切な措置が実施できるよう調整します。 |
Incident Response Provider | 外部組織のインシデントに対処します。 |
Analysis Center | インシデントの脅威・脆弱性に関する最新情報の調査や、インシデントの詳細分析を行います。 |
CSIRTの主な役割
CSIRTには、主に以下の役割があります。
- 事前対応(インシデントレディネス)
- 事後対応(インシデントレスポンス)
- 脆弱性の管理
- 製品のセキュリティ強化や従業員の教育
ここからは、上記の各役割について詳しく解説します。
事前対応(インシデントレディネス)
CSIRTでは、インシデントレディネスと呼ばれる事前対応を実施します。具体的には、企業や組織内のセキュリティリスクを分析して、潜在的な脅威を洗い出し対策を検討します。また、不正アクセスや異常な通信、情報漏洩などがないかの監視・検知も役割です。
情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」を利用すれば、以下の機能により情報の漏洩状況を一元管理できます。
- ダークウェブからの情報探索
- 会社メール・ID・PW漏洩の即時アラート
- 対策状況の管理
- 各社員や各サイト・アプリにおける情報漏洩の閲覧
- 漏洩情報キーワードの探索
情報漏洩の早期発見による迅速な対応で、リスクを最小化することが可能です。
事後対応(インシデントレスポンス)
インシデントが発生した際に、窓口と調査・分析、対応の役割を担います。攻撃された対象と影響範囲の迅速な調査を行い、被害を最小限に抑えシステムの普及を実施します。また、インシデントが発生した原因の究明とともに、再発防止策の検討・実施もCSIRTの重要な役割です。
脆弱性の管理
システムにおける脆弱性の発見や調査、分析などを行い管理するのもCSIRTの役割です。セキュリティ上の欠陥である脆弱性がシステムに存在すれば、そこからサイバー攻撃を受け、情報漏洩や不正アクセスの原因になります。脆弱性が発見された場合は、関係者へ連絡しパッチ適用(システム上の弱点をなくすこと)などの対策を実施します。
製品のセキュリティ強化や従業員の教育
CSIRTでは、インシデント発生を未然に防ぐ目的で、自社製品のセキュリティ強化を実施するケースもあります。製品の設計段階からCSIRTが関わり、セキュリティの強化を図ります。自社製品の脆弱性がサイバー攻撃の原因になれば、企業の信頼性やブランドイメージが低下するでしょう。
また、インシデント発生の防止には従業員の教育も欠かせません。セキュリティ対策ツールの導入などを行ったとしても、利用者の知識不足や誤操作があれば、サイバー攻撃を受けるリスクはなくなりません。従業員にセキュリティリテラシー教育を実施し、意識を高めることも大切です。
CSIRTを導入する際の重要ポイント
CSIRTを導入する際の重要ポイントは以下の通りです。
- 経営層の理解を得る
- 方向性や目的を明確にする
- 事前に活動範囲を絞る
- 社風に合わせて構築する
- 外部組織との連携を視野に入れる
各ポイントについて詳しく解説します。
経営層の理解を得る
CSIRTの導入には、人やお金などのリソースが必要とされるため、全社としての取り組みが求められます。経営層など、意思決定者の理解が得られなければ導入は困難です。経営層に重要性をアピールするとともに、CSIRTをセキュリティ戦略の一つとして位置づけ、取り組むことが重要です。
方向性や目的を明確にする
CSIRTでは、脆弱性の管理や従業員のリテラシー向上も重要な役割です。ただ、人員などのリソースは限られているため、何に重点を置いて取り組むか定める必要があります。優先順位をつける際には、CSIRT導入の目的や方向性をもとに検討することが重要です。
事前に活動範囲を絞る
活動範囲や業務内容を事前に定めておけば、CSIRTの役割が明確になります。活動範囲が広すぎる場合、業務が多すぎて全てが中途半端になってしまう可能性があります。CSIRTが担当する業務と、他部署や外部と連携して取り組む業務を整理しましょう。活動範囲を決める際は、どの程度の人員や費用をかけられるかも踏まえて考える必要があります。
社風に合わせて構築する
CSIRTを導入しても、組織に定着しなければ期待する成果は得られません。企業の社風や組織の価値観に合わせた、運用スタイルの確立もポイントです。
外部組織との連携を視野に入れる
他のCSIRTや関連組織、セキュリティベンダーなど外部組織と連携すれば、インシデントに対するスピーディーな対応ができるため、セキュリティ強化に有効です。また、情報共有する機会も創出でき、新たなサイバー攻撃の手口や対策に関する情報も得られます。外部組織との連携は、セキュリティ対策やCSIRT活動の成功確率を向上させるでしょう。
CSIRT導入の流れ3ステップ
CSIRT導入は以下の3ステップで行います。
- 自社の現状を把握して、方向性を定める
- CSIRT導入のスケジュール案を作成して、実際に導入する
- 運用状況を検証し改善する
順に解説していきます。
1.自社の現状を把握して、方向性を定める
CSIRTを導入する際には、まず導入目的や方向性を定めることが重要です。目的・方向性の検討をするにあたり、自社の現状を分析しましょう。現在どのようなセキュリティ対策を行っているかや、過去起きたインシデントとその際に実施した対処・対策などを調査します。現状を把握した後に、課題を整理し方向性を検討します。
2.CSIRT導入のスケジュール案を作成して、実際に導入する
続いて、CSIRT構築の具体的なスケジュール案や業務内容、必要なリソースなどをまとめます。綿密な計画は、経営層や組織の理解を得るために重要です。計画ができたら、そのスケジュールにもとづきCSIRTを導入します。導入する際には、社内への周知にも力を入れ、インシデントが起きた際に誰に連絡をすれば良いか、従業員に理解してもらいましょう。
3.運用状況を検証し改善する
CSIRTの運用を開始したら、定期的に状況を検証し改善しましょう。具体的には、インシデントの対応プロセスや利用しているセキュリティ対策ツールの性能などを確認します。定期的な分析と改善を行うことにより、組織のセキュリティレベルが高まります。
CSIRT導入時の課題や注意点
CSIRT導入時の課題や注意点は以下の通りです。
- リソースと予算
- 対応プロセスの策定
- 関係者への認知
- 円滑なコミュニケーション
- 法令遵守、規格遵守
ここからは、上記それぞれについて詳しく解説します。
リソースと予算
CSIRTの導入には、人員の配置やセキュリティ対策ツールの導入などを実施する必要があります。コストが必要になるため、どこまでを対象範囲にするかや実施事項の優先順位づけが必要です。自社で全てを賄うことが難しい場合は、セキュリティーベンダーなど外部パートナーを上手く活用しましょう。
対応プロセスの策定
インシデントが発生した際の対応を事前に定めておくことで、スムーズな行動ができ被害を最小限に抑えられます。誰がいつ、なにをするのか具体的な対応プロセスを作成すると良いでしょう。
関係者への認知
CSIRTの活動には、関係者の認知も欠かせません。従業員に認知されていない場合、インシデントが発生してもCSIRTが情報を得られず、対処が遅れ被害が拡大します。CSIRTの役割や業務範囲、いつ、誰に、なにを連絡すれば良いか、社内へ周知させることが大切です。
円滑なコミュニケーション
インシデントが発生した際に関わる部門は、CSIRTだけではありません。SOCやコンプライアンス部門、広報部門など複数の部門が協力しインシデントへ対応することが求められます。スムーズな連携には、円滑なコミュニケーションを取れる体制の構築が必要です。
法令遵守、規格遵守
CSIRTは法令や規格を遵守することが求められます。具体的には、以下の遵守が必要です。
- 個人情報保護法
- JIS Q 15001(Pマーク)
- JIS Q 27001(ISMS)
まとめ
CSIRTとは、情報セキュリティに関連する事故や、事故が発生する可能性がある状態に対処する専門チームのことです。不正アクセスや情報漏洩など、インシデントが発生した際の原因追求・復旧に向けた業務を担当します。
デジタル化が進むとともにサイバー攻撃が増加しており、セキュリティ対策は欠かせません。万が一、インシデントが発生した際、迅速に対処できなければ大きな被害を受けます。CSIRTを機能させ、被害を抑えるためには情報漏洩などをすぐに検知する体制の構築が重要です。
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