ホワイトハッカーになるには?仕事内容や求められる知識・スキル、資格を解説

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ホワイト ハッカー に なるには

ホワイトハッカーになるには、大学・専門学校もしくは独学で学んだり、エンジニアとしてステップアップしたりする方法があります。コンピューターへの不正アクセス・侵入を行う脅威から、国や組織を守るホワイトハッカーの重要性は年々増加しています。ホワイトハッカーになれば、高い年収も得られるでしょう。

本記事では、ホワイトハッカーの概要やなる方法、求められる知識とスキルに関して解説します。ホワイトハッカーについて知りたい方、ホワイトハッカーになりたい方は、ぜひ参考にしてください。

ホワイトハッカーとは

ホワイトハッカーとは、コンピューターやネットワークに関する高い専門性を倫理的な目的で活用するエンジニアのことです。不正アクセスや情報の窃盗などを行う攻撃者、通称クラッカーから組織・企業・国を守る目的で、システムの脆弱性調査や強化策の提案を行います。
ここからは、ホワイトハッカーに関する以下について解説します。

  • 勤務先と年収
  • 需要
  • ブラックハッカーとの相違点
  • セキュリティエンジニアとの相違点

勤務先と年収

ホワイトハッカーはさまざまな場所で活躍しています。最も多いのはIT企業ですが、近年はサイバー攻撃対策の重要性が高まっており、IT以外の民間企業に勤務するホワイトハッカーも少なくありません。また、官公庁などの公的機関でも、ホワイトハッカーを採用する動きが広まっています。

ホワイトハッカーの平均年収は、800万円から1,000万円程度と言われています。国税庁が発表した「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、日本国内における給与所得者の平均年収は460万円です。ホワイトハッカーになれば、平均よりも多くの年収が期待できるでしょう。ただし、年収は経験年数やスキル、勤務先により大きく異なるため、注意が必要です。
参考:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

需要

サイバー攻撃の増加・複雑化や情報漏洩リスクの高まりにより、ホワイトハッカーの需要は高まっています。DX推進などを目的にシステムなどを活用する企業が増加するとともに、サイバー攻撃も増えています。万が一、情報が漏洩すれば企業の信用やブランドイメージに傷が付くでしょう。

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ブラックハッカーとの相違点

ホワイトハッカーとブラックハッカー(クラッカー)は、専門的な知識やスキルを使う目的が異なります。ホワイトハッカーは、高度なスキルを企業の防衛など善良な目的で使うのに対し、ブラックハッカーは不正な行為のために活用します。攻撃者がブラックハッカー、防衛者がホワイトハッカーです。

セキュリティエンジニアとの相違点

ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの違いは、中心となる業務です。ホワイトハッカーの場合はサイバー攻撃への対処が業務の中心であるのに対し、セキュリティエンジニアはシステム構築などにおけるセキュリティ対策を担います。ただし、ホワイトハッカーがセキュリティエンジニアの業務を行うケースも多くあります。

ホワイトハッカーの業務内容

ホワイトハッカーの業務内容は多岐に渡ります。ここからは、ホワイトハッカーの具体的な業務について解説します。

脆弱性の診断

ホワイトハッカーは、組織や企業にてサイバー攻撃を未然に防ぐために脆弱性の診断を行います。脆弱性とは、コンピューターなどにおいて設計上のミスやプログラムの不具合が原因で発生する、セキュリティにおける欠陥のことです。
⇒脆弱性とは?発生原因から被害事例、対処法までわかりやすく解説
脆弱性はサイバー攻撃や情報漏洩の原因となるため、人手やツールで診断して発見された場合は対策を行います。

ペネトレーションテスト(擬似ハッキングテスト)の実施

ペネトレーションテストとは、攻撃者と同じ手法でシステムへの侵入を試みることで、システムの攻撃耐性を検証するテストです。疑似ハッキングテストとも呼ばれます。ペネトレーションテストで、一般的な手法から最新のハッキング攻撃手法までさまざまな方法でテストを行い、サイバー攻撃の原因となる部分がないかを確認します。

デジタルフォレンジックや不正侵入の調査

サイバー攻撃を受けた場合は、原因の究明を目的にデジタルフォレンジックや不正侵入の調査も実施します。デジタルフォレンジックとは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを調査・解析して、証拠の収集や原因究明を行う技術のことです。不正侵入の調査には、訴訟を行うための証拠集めや情報漏洩を未然に防ぐ効果もあります。調査がしっかり行われる企業への攻撃は、不正がバレるリスクが高まるため、不正行為を思いとどまる可能性が高まるからです。

セキュリティの設計と実装

セキュリティ上の欠陥が発見された際には、システムの設計と実装を行います。ホワイトハッカーのセキュリティ検証・対策方法は多岐に渡り、ネットワークやデータベース、プログラムなど多様なスキルが求められます。

保守やアップデート

構築したセキュリティシステムを問題なく稼働し続けるための保守も、ホワイトハッカーの重要な役割です。ITシステムは不具合を起こすケースもあるため、常に監視して問題が生じた際には対処を行います。

また、サイバー攻撃を行う者はセキュリティシステムを研究して、新たな攻撃手法を日々生み出しています。新たな攻撃手法が生み出された場合には、対策に向けセキュリティのアップデートを行う必要があります。

サイバー攻撃への対応

コンピューターに不正なトラフィックが検出された際には、速やかに調査を行い対処することが求められます。いかに、正確で迅速な対応ができるかがホワイトハッカーの腕の見せ所です。セキュリティ対策を講じる際には、インシデントが発生した際の環境を想定して整備することも重要です。

企業や組織におけるセキュリティ教育の実施

企業や組織におけるセキュリティ教育の実施を請け負うケースもあります。セキュリティ対策を行ったとしても、ユーザーが不用意な操作を行えば、サイバー攻撃を受ける原因になります。ユーザーがサイバー攻撃の手法や対策を理解することは、セキュリティの向上に欠かせません。

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ホワイトハッカーになるには

ホワイトハッカーになるには、大きく4種類の方法があります。ここからは、ホワイトハッカーになる方法について解説します。

大学や専門学校で勉強する

ホワイトハッカーになるには、コンピューターやシステム、セキュリティなどの多彩な知識とスキルが求められます。まずは、大学・専門学校で学ぶと良いでしょう。大学や専門学校はお金がかかる反面、不明点などの質問もでき、効率的な学習が可能です。

エンジニアとして学び、ステップアップする

エンジニアとして学び、ホワイトハッカーへのステップアップも選択肢の一つです。ホワイトハッカーには、高度で専門的な知識やスキルが求められるため、新卒採用はほとんどありません。企業のセキュリティ対策部門で経験を重ねれば、ノウハウを身に付けられます。

独学で学習する

簡単ではありませんが、独学で学習してホワイトハッカーになる道も存在します。近年は、専門スクールや書籍が充実しており、必要な知識・スキルを独学で学べます。また、後ほど紹介する資格取得への挑戦もおすすめです。資格取得は、自分の知識やスキルを証明するツールになるだけでなく、取得の過程で体系的な学習ができます。

政府の制度を利用する

日本政府もIT人材の育成に力を入れているため、用意された制度を利用してホワイトハッカーを目指すのも良いでしょう。
例えば、総務省所管の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では、セキュリティなどに関するIT人材の確保を目的に、ナショナルサイバートレーニングセンターを設けています。ナショナルサイバートレーニングセンターでは、実践的なトレーニングでサイバー攻撃に対するセキュリティオペレーター(実践的運用者)を育成しています。また、実践的なサイバー防御演習CYDERも実施されており、体験型の訓練を受けることが可能です。

ホワイトハッカーに求められる知識やスキル

ホワイトハッカーになるにはなにが必要なのでしょうか。ここからは、ホワイトハッカーに求められる知識やスキルについて解説します。

コンピューターに関する基本的な知識

ホワイトハッカーは、コンピューターの仕組みを知り、データやプログラムの全体像を把握する必要があります。全体像を把握できていなければ、脆弱性の発見やセキュリティ対策ができません。

脆弱性の診断スキル

脆弱性の診断はホワイトハッカーの主要な業務であるため、診断スキルが求められます。以下など複数の診断方法があります。

  • ペネトレーションテスト
  • ソースコード解析
  • ファジング
  • 社会工学的手法

診断はさまざまな方法で行うため、網羅的な知識やスキルが必要です。

プログラミングスキル

ホワイトハッカーは、脆弱性診断でコードを読んだり、プログラムを書いたりするため、プログラミングスキルが必要です。また、攻撃者が作成した不審なプログラムやファイルを解析する際にも、プログラミングスキルが求められます。

セキュリティに関する知識

セキュリティに関する知識は、ホワイトハッカーに必須です。攻撃手法と防衛策やインシデント発生時の原因追及方法を学びましょう。最新情報を学び続ければ、潜在的な脅威も防ぐこともできます。

サイバー攻撃の知識

サイバー攻撃の知識があれば、対策や対処法ができるでしょう。ブラックハッカーのハッキング方法を常に収集して、防衛する方法の検討が重要です。

法規制に関する知識

セキュリティシステムの構築には、情報セキュリティの法規制に関する知識が必要です。また、法律やルールは改正されるケースがあるため、定期的な情報のアップデートが重要です。

コミュニケーションスキル

診断やシステムの構築など、パソコンで行う業務が多いように思われがちなホワイトハッカーですが、コミュニケーション能力が欠かせません。システムの企画や提案、調査などにおいて、多くの人と関わるからです。ホワイトハッカーに限らず、IT関連の仕事では高いコミュニケーション能力が求められます。

正義感や倫理観

正義感や倫理観がない人間は信用されません。ホワイトハッカーは、企業や組織の重要な情報を守る立場であるため、高い責任感とモラルが必要です。また、プレッシャーへの耐性がなければ、ホワイトハッカーとしての活動継続が難しいでしょう。

ホワイトハッカーを目指す方におすすめの資格

資格取得は、スキルや知識を客観的に証明するツールとして有効です。就職や転職活動で役立つでしょう。ホワイトハッカーを目指す方におすすめの資格は以下の通りです。

種類 概要
認定ホワイトハッカーCEH セキュリティの国際的な資格であるEC-Councilの認定資格です。
情報セキュリティマネジメント試験 サイバー攻撃などから組織を守り、情報セキュリティを確保する知識とスキルを認定する国家試験です。
情報処理安全確保支援士試験 情報システムのセキュリティ確保や情報セキュリティのマネジメント、インシデント管理・対応などに関する能力を認定する国家資格です。

まとめ

コンピューターへの不正アクセスや侵入から、国・組織を守るホワイトハッカーになるには、以下の方法があります。

  • 大学や専門学校で勉強する
  • エンジニアとして学び、ステップアップする
  • 独学で学習する
  • 政府の制度を利用する

ホワイトハッカーには、幅広く高度で専門的な知識やスキルが求められます。また、サイバー攻撃の手法やセキュリティに関する法規制は、生み出されたり改正されたりするため、継続的な情報収集が必要です。

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