セキュリティクリアランスとは?日本とアメリカの現状についても解説

ITセキュリティ
#セキュリティ
セキュリティクリアランスとは?日本とアメリカの現状についても解説

「セキュリティクリアランス」とは、セキュリティに関する信頼性を確保するために、政府機関や企業が従業員に対して行う審査のことです。
本記事では、セキュリティクリアランスの意義やメリット、日本とアメリカにおける導入状況、そして企業が今すぐ取り組めるセキュリティ対策例について解説しています。社内のセキュリティ対策について悩んでいる情シス担当者や、セキュリティに関心のある方はぜひご一読ください。

セキュリティクリアランスとは

セキュリティクリアランスとは、企業や組織内の従業員に与えられる、機密情報や重要な情報にアクセスできる権限を持つかどうかを審査する制度です。セキュリティクリアランスに認定された人は、機密情報を取り扱うことができます。
この制度は、企業のセキュリティ対策の一環として導入されることが多くあります。

特定秘密保護法との違い

セキュリティクリアランスと特定秘密保護法は、どちらも機密情報の取り扱いに関する制度ですが、それぞれ対象や目的が異なります。
セキュリティクリアランスは、企業などの民間組織でも活用され、主にその組織が扱う機密情報の管理・保護を目的とします。
一方、特定秘密保護法は、政府機関等で保持される国家の秘密に関する情報です。具体的には、国家安全保障、外交、防衛、テロ対策などの分野に関する情報が含まれます。政府機関や関連企業の従業員など、国家の秘密に関する業務を担う者に対して、特定秘密の漏洩防止や不正取得を防ぐために適用される法律です。
つまり、セキュリティクリアランスと特定秘密保護法は、いずれも秘密情報に関する取り扱いについての制度ではありますが、その目的や対象となる情報に大きな違いがあります。

セキュリティ対策の必要性

企業において、機密情報や個人情報が漏洩するリスクは常に存在しています。セキュリティクリアランスは、企業がそのリスクを最小限に抑えるための重要な手段の1つです。従業員に対して権限を与える前に、その人物が信頼できるかどうかを審査することで、内部犯罪や外部からの攻撃による情報漏洩を防ぐことができます。

セキュリティクリアランスのメリット

セキュリティクリアランスの導入には、以下のようなメリットがあります。

企業情報の機密性を確保できる

セキュリティクリアランスにより、企業内の情報の秘密性が確保されます。
セキュリティクリアランスを受けた者にのみ、機密情報にアクセスする権限が与えられるため、情報漏洩のリスクが低くなります。

企業の信頼性を向上できる

セキュリティクリアランスは、企業の信頼性向上につながります。
セキュリティクリアランスを導入している企業は、従業員に対して情報の取り扱いに対する責任感を持たせ、企業の信頼性を高めることができます。

企業のリスクマネジメントにつながる

セキュリティクリアランスは、企業のリスクマネジメントにもつながります。
セキュリティクリアランスにより、情報漏洩による損失を最小限に抑えられ、企業のリスクマネジメントに対する貢献度が高まります。

新規CTA

日本におけるセキュリティクリアランスの現状

経済安全保障の観点での日本におけるセキュリティクリアランスの現状は、近年ますます重要視されるようになっています。
一方で、現在の日本ではセキュリティクリアランス制度が法律的に義務付けられているわけではなく、企業が自主的に導入する形が一般的です。しかし、最近では国内外でセキュリティに対する脅威が増加し、国の重要インフラや個人情報などが標的にされる可能性が高まっています。

このような状況下においては、セキュリティクリアランスを導入することによって、企業のリスクマネジメントを強化し、情報漏洩などの被害を未然に防ぐことが期待されます。そのため、国内企業においてもセキュリティクリアランス制度の導入が進んでおり、特に重要インフラや国防関連企業を中心に、自主的に制度を導入しているところが増えています。また、政府もセキュリティクリアランス制度の整備に取り組んでおり、今後は公的な枠組みとして整備されることが期待されます。

アメリカにおけるセキュリティクリアランスの現状

アメリカにおけるセキュリティクリアランスは、政府、軍事、そして民間企業において広く行われています。政府や軍事においては、セキュリティクリアランスを取得していない者が極秘情報にアクセスすることはできません。また、民間企業においても、セキュリティクリアランスを持つ従業員が政府や軍事のプロジェクトに関わることがあります。
アメリカでは、セキュリティクリアランスの種類として、Confidential、Secret、Top Secretの3つがあります。政府や軍事においては、最高レベルのTop Secreを持つ者のみがアクセス可能です。また、民間企業においても、政府からの極秘プロジェクトの受託にあたり、セキュリティクリアランスのレベルが求められることがあります。

ただし、アメリカではセキュリティクリアランスを取得できない場合があります。たとえば、過去に犯罪歴があったり、薬物やアルコール依存症がある場合、そして財政的な問題を抱えている場合などが該当します。また、過去に海外での居住経験がある場合には、取得に時間がかかることがあります。

新規CTA

今すぐできる企業のセキュリティ対策例

セキュリティクリアランスの導入がすぐに対応できない企業でも、企業における最低限のセキュリティ対策を実施することはとても重要です。
そこで、ここからは今すぐできる企業のセキュリティ対策例を紹介します。しかし、これらの対策だけで十分なわけではなく、企業規模や業種に応じて、より強固なセキュリティ対策を実施する必要があります。

従業員の教育・意識啓発

セキュリティに関する社内規定の策定・周知

社内規定とは、企業内でのルールや違反時の処分などを定めた文書です。
セキュリティに関する社内規定を策定することで、従業員がセキュリティについての意識を高め、不正アクセスや情報漏洩などのリスクを減らせます。また、定期的に従業員にセキュリティの教育を施すことで、従業員の意識向上も目指せるでしょう。

セキュリティに関する従業員研修の実施

セキュリティに関する研修を行うことで、従業員がセキュリティについて正しい知識を習得し、情報漏洩の防止につながります。研修内容としては、最新の攻撃手法を共有したり、事例問題に回答してもらうなどがあります。

不正アクセスやフィッシング詐欺等のリスクについての啓発活動の実施

不正アクセスやフィッシング詐欺などのリスクを、従業員に啓発することでリスクに対する正しい対応を促せます。啓発活動としては、社内での注意喚起ポスターの掲示や、従業員向けのメールマガジンなどがあります。また、従業員にリスクについて理解してもらうことで、セキュリティ意識の向上にもつながります。

パスワード管理

強力なパスワードの設定・変更の徹底

社内で利用するパスワードについて、十分な強度を持ったものを使用するように徹底しましょう。また、一定期間ごとにパスワードを変更することも重要です。

パスワードの保存場所の制限

社内において、パスワードを保存する場所を限定することで、不正アクセスによる情報漏洩を防止できるでしょう。特に、パスワードを紙媒体で保管する場合は、鍵付きのキャビネットに保管します。また、利用する場合は日時や利用者の名前を記録すると、紛失した場合でも状況を特定しやすくなります。

多要素認証の導入

パスワードだけでなく、別の認証方法を組み合わせて利用することで、セキュリティを強化します。例えば、2段階認証を導入することで、不正なアクセスを防止することができます。

アクセス制御

システムログの記録・保存の実施

不正アクセスやデータを操作した際のログは万が一の際に重要となるため、システム上の操作履歴やイベントを記録しておきましょう。

システムへのアクセス権限の適切な設定

社内の情報を取り扱うシステムはアクセス権限を必要最低限に絞りましょう。

管理者権限の適切な管理

管理者権限を持つ従業員には、必要な情報の保護が求められます。そのため、管理者権限を与える前に、セキュリティに関する意識向上を徹底しましょう。また、定期的なパスワード変更や、別の従業員による権限の確認なども実施することで、管理者権限による不正操作を防げます。

セキュリティ対策の外部委託

セキュリティ診断のアウトソース

セキュリティ診断は、ネットワークやシステムの脆弱性を発見し、改善するための分析を行う作業です。社内の担当者だけでなく、外部のセキュリティ専門家による診断も検討しましょう。アウトソースすることで、より独立した視点からの分析や、最新の脆弱性への対応などが期待できます。

ペネトレーションテスト(脆弱性検証テスト)のアウトソース

ペネトレーションテストは、実際に攻撃を行い、システムの弱点を見つける試みです。社内のセキュリティ担当者だけでは、攻撃者の新たな手法や攻撃の未知の脅威に対応することは難しいでしょう。外部の専門家によるテストを行うことで、よりリアルな攻撃に対して、より高いセキュリティを構築することにつながります。

セキュリティ専門のアウトソース企業との提携

セキュリティ対策は、ハードウェアやソフトウェアの導入だけでは不十分であり、セキュリティ専門の人材が必要です。しかし、セキュリティに関する専門的な知識を持った人材を社内に常駐させることは、コストや採用難易度の問題などから難しいことがあります。そのため、セキュリティ専門のアウトソース企業と提携することで、必要なセキュリティ専門家のスキルを取り入れることができます。また、アウトソース企業は、さまざまな企業でのセキュリティ対策の実績を持っているため、ノウハウや知見を共有できるでしょう。

まとめ

この記事では、「セキュリティクリアランス」とは何か、その意義やメリット、日本とアメリカの状況について解説しました。また、セキュリティクリアランス以外にも企業が今すぐ取り組めるセキュリティ対策例についても触れました。セキュリティクリアランスを実施することで、社内の情報漏洩や不正行為を未然に防止することに役立つでしょう。特に、機密情報を扱う場合は、セキュリティクリアランスが要不可欠です。また、セキュリティ対策としてセキュリティクリアランス以外の方法を備えておくことで、より強固な体制を構築できるでしょう。
SMSデータテックでは、エンドポイントとクラウドセキュリティ対策を同時に実現できるトータルセキュリティサービスがあります。さまざまな機能を備えているため、幅広い要望にお応えできます。セキュリティ対策にお悩みの場合は、ぜひ一度ご覧ください。

Click me

おすすめイベント・セミナー 一覧へ

JapanITWeek2024春に出展いたします!
イベント・セミナー

今年も、JapanITWeeK春の季節がやってきました!今回から新しい分野として登場した「データドリブン経営EXPO」に弊社SMSデー...

CATEGORY