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TLSとは?SSLとの違いやメリット・導入方法などを解説
TLSという言葉を知らなくても、「SSL通信」なら聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか?
TLSとは、インターネット上のデータ通信の暗号化技術のことを指します。前身のSSLの名が広く浸透しているため、実際はTLSが利用されていてもSSLと呼ばれることが多いです。
今回は、TLSについてわかりやすく解説します。また、SSLとの違いや特徴、メリット、利用される場面や導入方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
TLSとは?
TLSとは「Transport Layer Security」の略で、インターネット上での通信の暗号化技術(プロトコル)のことです。インターネット技術の進歩はすさまじく、便利になる一方で、データの盗聴(盗み見られる)対策などのセキュリティが重要視されています。
TLSはデータの送信者(クライアント)と受信者(サーバー)のやり取りを暗号化することで、インターネット利用の安全性を高めます。現在はWebサイト制作などにおいてスタンダードになりつつある技術です。インターネット上でやり取りするデータが暗号化されれば、機密性の高いメールや通販でのクレジットカード利用なども安心して行えるため、TLSを導入するWebサイトが一般的になってきています。
TLSはSSLの進化バージョン
従来、インターネット通信の暗号化技術としてはSSL(Secure Sockets Layer)が開発され、長く利用されていました。しかし現在ではSSL自体に脆弱性が発見され廃止になっており、TLSの利用が推奨されています。
ただ、SSLという名称が浸透していたため、現在でも中身はTLSでもSSLと呼ぶことがあります。表記は「TLS/SSL」や「SSL/TLS」と、並列して記載することが多いのも特徴的です。
SSLとは
SSLは、1994年にNetscape Communicationsによって開発された、インターネット通信の暗号化技術です。最初に開発されたSSL1.0は、公開前に致命的な設計上のミスがありリリースされませんでした。その後、1995年にSSL2.0が、1996年にはSSL3.0がリリースされ、暗号化技術を利用したデータ通信が一気に普及します。
しかし、SSLに深刻な脆弱性が発見されたため、1999年に進化バージョンのTLSが登場し、SSLは廃止となりました。
➡SSLとは?仕組みや役割、メリット・デメリットを簡単に解説
TLSの特徴
TLSはインターネット上の通信の暗号化とともに、以下の特徴があります。
- 通信の暗号化
- 本人認証
- 完全性の確保
詳しく解説します。
通信の暗号化
TLSはインターネット上のデータを暗号化して通信するため、秘匿性を高く保ってやり取りすることを可能にしました。例えば通販サイトの場合、クレジットカードなどの決算情報は秘匿性を高く保つ必要があります。そのため、TLSの暗号化技術を利用したWebサイトが、現在では一般的です。
TSLは解読困難な公開鍵暗号方式を採用して暗号化するため、もし盗聴(盗み見られる)されても解読することができません。そのため、データの悪用などの被害から守ることができます。
公開鍵暗号方式について以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
➡公開鍵暗号方式とは?仕組みやメリットなどをわかりやすく解説
本人認証
TLSは本人であることを認証する機能も持っています。本人認証は、クライアント(デバイスなどの送信側)とサーバー(受信側)両方で、デジタル証明書を用いて正当な相手だと確認します。デジタル証明書とは、信頼できる第三者の認定局が、実在する本人であることを証明して発行するものです。
もし、Webサイトに不正ログインを試みた場合、本人であることが認証できないため、なりすましてログインすることができません。認証機能があることで本人だと確実に確認ができ、不正ログインを防ぐ効果があります。
完全性の確保
TLSは送信されたデータが第三者に改ざんされたり、偽造されたりしていないことを検証でき、完全性を確保できます。もし、TLSが採用されていない通販サイトで注文データを送信する場合、第三者がデータを途中で改ざんして、実際の注文とは異なる商品が届くなどの被害に遭う可能性があります。
TLSの暗号化技術は解読困難なため、データの完全性を確保でき、Webサイトの運営側もユーザー側も安心してやり取りが可能です。
TLSの仕組み
TLSはデータを暗号化する前に、通信相手が本人であるかを認証して確認するところから始まります。認証することで、クライアントとサーバ間で安全な通信を確保し、暗号化したデータのやり取りが開始されます。TLSの仕組みは「TLSハンドシェイク」と呼ばれています。
ここからは、TLSハンドシェイクについてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
TLSハンドシェイクを利用
TLSハンドシェイクは、以下の手順で進めます。
- Helloメッセージを送り合い認証
クライアントとサーバー双方が、Helloメッセージを送り合い、TLS証明書を確認してお互いを認証します。TLS証明書は第三者機関の認定局が発行しているもので、確実に本人だと確認が可能です。 - 暗号鍵の交換
お互いの認証が完了すると、それぞれの暗号鍵(公開鍵)を交換します。受け取った公開鍵で暗号化のためのセッション鍵を生成します。 - 暗号化と復号
生成したセッション鍵でデータを暗号化し、サーバー(受信側)へ送信します。サーバーは公開鍵と対になる秘密鍵で暗号化されたデータを復号(元に戻すこと)し、元のデータを確認します。
TLSを導入するメリット
TLSを導入すると、以下の3つのメリットがあります。
- セキュリティの強化
- ユーザーからの信頼
- SEOの向上
それぞれ説明します。
セキュリティの強化
TLSを導入する一番のメリットは、セキュリティ強化につながることです。TLSはインターネット通信を暗号化してやり取りすることが可能で、第三者からの盗聴やデータの改ざんの対策になります。そのため、データのやり取りを安全に行うことが可能です。
ユーザーからの信頼
TLSはセキュリティが高いという特徴から、個人情報などをインターネット上でやり取りしても漏洩するリスクが抑えられ、ユーザーが安心して利用できます。TLSを導入しているWebサイトはユーザーから信頼され、利用頻度が高くなることが期待できます。
SEOの向上
TLSは、SEO(検索エンジン最適化)の向上にも役に立ちます。Googleの検索エンジンの評価として、セキュリティや信頼性が高いことが考慮されるため、安全性の高いTLS導入サイトは、SEOに優位といえるでしょう。また、TLSが導入されているWebサイトは、インデックス登録も優先的に行われる傾向にあります。SEOの観点からも、WebサイトにTLSを導入したほうが良いでしょう。
TLSが利用される場面
TLSの導入の最大のメリットは、セキュリティの強化です。その高いセキュリティ性から以下の場面でよく利用されています。
- Webサイト
- メールの送受信
- VoIP通信(IP電話)
- VPN接続(仮想専用通信網)
詳しく説明します。
Webサイト
Webサイトのセキュリティ強化に、TLSを利用するケースが増加しています。特に通販や金融機関のサイトは個人情報のやり取りが多いため、TLSの導入がほとんどでしょう。
WebサイトにTLSが導入されているかはサイトのURLの最初の文字で確認できます。TLSが導入されているサイトのURLは、「https:」から始まっています。もし、サイトのURLが「http」のみの場合、データ通信は暗号化されずそのまま行われるため、第三者が盗聴すればすぐに情報が流出してしまいます。
HTTPSとの関係性
HTTPS(Hytertext Transfer Protocol Secure)は、HTTP通信をTLSを使って暗号化していることを表しています。HTTP通信とは、サーバーとブラウザ間の情報のやり取りをするプロトコル(規則)のことです。HTTP通信を行うことで、スムーズにサーバーとブラウザのデータのやり取りが行えます。ブラウザによっては、暗号化されていないHTTP通信のWebサイトを閲覧した場合、「安全なページではない」という警告文が表示されることがあるでしょう。
➡httpsとは?概要や安全なサイトの見分け方をわかりやすく解説
メールの送受信
電子メールの送受信にもTLSを導入することで、安全性を高く保った連絡が可能です。TLSの暗号技術を利用するため、メール内容だけでなく添付ファイルの改ざんなども防ぐことができ、メールそのものを守れます。
VoIP通信(IP電話)
電話回線ではなく、インターネットを利用したVoPI通信(IP電話)も、TLSを利用することでセキュリティを強化できます。VoIPは音声通信のため、リアルタイム性が求められます。リアルタイム性を追及すると、安全性や正確性の担保が通常の通信よりは低くなりがちです。しかし、TLSを利用することで、リアルタイム性と安全性の両方を維持した状態での通話が可能になります。
VPN接続(仮想専用通信網)
リモートワークなどで、社外から社内ネットワークに接続する際に使うVPN接続にも、TLSが利用されています。SSL-VPN通信と呼ばれることがあり、SSLとついていますが、実際はTLSが使われています。
➡VPNのセキュリティは安全?セキュリティリスクと対策
➡【最新】VPN製品おすすめ6選!徹底比較
TLSの導入方法
TLSの導入は、以下の2つの手順で行います。
- CSR(証明書署名要求)の発行
- サーバーに証明書をインストール
TLSの導入はドメイン単位で行うため、複数のWebサイトを運営する場合、サイトごとに対応する必要があります。ここでは、導入手順についてわかりやすく説明します。
手順1.CSR(証明書署名要求)の発行・提出
まずは、CSR(証明書署名要求)を発行します。CSRは以下の手順で行われます。
- 秘密鍵を生成
- 秘密鍵を使ってCRSを生成
- CSRを認証機関(Certificate Authority:CA)に提出
CSRには、秘密鍵とペアになる公開鍵やドメイン名、組織情報などが記載されています。提出されたCSRを認証機関が承認すると、TLS証明書が発行されます。
手順2.サーバーに証明書をインストール
発行されたTLS証明書をサーバーの所定の場所にインストールすれば、暗号化通信を始めることができます。多くのサーバーにはTLSの導入方法のマニュアルが用意されているため、自分が使っているサーバーも確認してみると良いでしょう。もし、不明点が解消できない場合は、サポート窓口に問い合わせてみてください。
まとめ
TLSとは、インターネット上のデータ通信を暗号化する技術のことです。TLSの前身のSSLの名が浸透しているため、現在でもSSLと呼ばれることも多くあります。TLSを利用することで、データ通信のセキュリティを強化したり、SEOを向上させたりなどの効果が見込めるでしょう。また、ユーザーも安心してWebサイトを利用できるようになります。
TLSはその安全性の高さからWebサイトだけでなく、メールやIP電話など、インターネット通信が必要な場面で多く利用されています。セキュリティ対策の向上にTLSの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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