データマイニングとは?行うメリットと課題や実施フロー、成功のポイントを解説

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データマイニングとは、大量のデータを分析して傾向やパターンなどを発見する手法のことです。データマイニングを行うことにより、品質・顧客満足度の向上や環境・ニーズ変化への迅速な対応実現などのメリットを得られます。

本記事では、データマイニングの概要や行うメリット・デメリット、実施フローと成功させるポイントについて詳しく解説します。データマイニングに知りたい方、データを活用した経営を実践したい方は、ぜひ参考にしてください。

データマイニングとは

データマイニング(data mining)とは、コンピューターを用いて膨大なデータを分析し有効な情報を得ることです。具体的には、売上予測や市場動向に関する情報を得られます。「マイニング」は日本語で「採掘」を意味しており、大量のデータを「鉱山」に見立てて知識を発掘することから、この名称が付けられました。

ここからは以下の事項について解説します。

  • データマイニングが重要な理由
  • データマイニングにより得られる情報
  • データマイニングとデータ分析の違い
  • データマイニングの代表的な種類

データマイニングが重要な理由

データマイニングが重要な理由は、顧客の満足度向上や新たな収益源の創出などに役立つためです。例えば、以下の通りすでに多くの業界で取り入れられています。

  • 製造業界:生産設備におけるメンテナンス計画の作成やサプライチェーンの効率化
  • 小売業界:販売予測による在庫の最適化やマーケティングキャンペーンの効果向上
  • メディア・テクノロジー業界:顧客行動のパターン分析によるサービス改善
  • 金融・保険業界:詐欺の発見やコンプライアンス上の問題・リスク管理
  • 教育業界:学習の進捗分析による最適なサポートの提供

データマイニングにより得られる情報

データマイニングにより得られる情報は、大きく以下の4つに分かれます。

  • データ(Data):整理されていない数値や画像・音声などの素材
  • 情報(Information):データの整理やカテゴライズを行ったもの
  • 知識(Knowledge):情報分析により得られたルール・傾向や知見
  • 知恵(Wisdom):知識を用いて判断する力

上記は頭文字を取り「DIKWモデル」と呼ばれています。データから知恵にかけて下にいくほど有効性が高い傾向があります。ただ、データに基づく適切な判断をできる人材がいなければ有効活用できません。

データマイニングとデータ分析の違い

データマイニングはデータ分析における手法の一つですが、データマイニングと従来のデータ分析は、分析可能なデータ量や分析結果の質が異なります。これまでは、コンピューターの性能に限界があり、大量のデータ処理や高度な分析ができませんでした。ただ、テクノロジーの進歩により、対象となるデータ量が飛躍的に増加して高度な結論を導くことも可能になっています。

データマイニングの代表的な種類

代表的なデータマイニングの種類は以下の3つです。

  • プロセスマイニング
  • テキストマイニング
  • 予測マイニング

順に解説します。

プロセスマイニング

ビジネスプロセスの発見や監視、改善を目的としたタイプです。システムのログデータなどを解析して、ボトルネックの発見などを行います。

テキストマイニング

テキストデータを読み取り理解するタイプです。例えば、Webコンテンツや論文、書籍など大量の文章を読み取り、新たな知識を発見します。

予測マイニング

データの可視化・分析により傾向を予測するタイプです。経営層や管理職の意思決定に役立ち、迅速かつ最適な判断が可能になります。

データマイニングを行う2つのメリット

続いて、データマイニングを行う以下2つのメリットについて解説します。

  • 品質や顧客満足度の向上する
  • 環境やニーズ変化へ迅速に対応できる

品質や顧客満足度の向上する

データマイニングを行うことで、業務・製品の品質や顧客満足度の向上が期待できます。例えば、顧客の行動を分析することで適切な商材や提案タイミングを把握できます。また、販売予測を行えば在庫切れによる機会損失の防止につながるでしょう。

環境やニーズ変化へ迅速に対応できる

環境やニーズ変化への迅速な対応も、データマイニングを行うメリットです。例えば、SNSの投稿や市場動向データを分析すれば、顧客・市場ニーズの変化を素早く把握でき、製品・サービスの改善や新たなビジネスの創出に役立ちます。近年は、消費者のニーズ変化が早く迅速に把握して対応しなければ、ビジネスの衰退につながる恐れもあるでしょう。

データマイニングの課題とデメリット

メリットがある一方で、データマイニングには以下の課題・デメリットが存在します。

  • 適切なデータの収集に手間がかかる
  • 専門人材が必要

順に解説します。

適切なデータの収集に手間がかかる

データマイニングを行うのに必要なデータの収集には手間がかかります。多くのデータを収集しなければ、正確な結果を導くことはできません。また、集めたデータに欠損値やノイズがあった場合、正しい分析結果を導くことは難しいでしょう。適切かつ大量のデータを集めるのは容易ではありません。

専門人材が必要

専門的な知識やスキルを有する人材が必要なことも、データマイニングを行うデメリットです。データマイニングの実施には、統計学や機械学習などの知識が必要です。また、分析結果からどのような判断を行うかは活用する人により異なります。専門人材がいなければ適切な活用ができません。

データマイニングの主な手法

続いて、データマイニングにおける主な以下の手法を紹介します。

  • ロジスティック回帰分析
  • ABC分析
  • マーケット・バスケット分析
  • クラスター分析(クラスタリング)
  • アソシエーション分析
  • 決定木分析
  • 主成分分析(PCA)
  • 因子分析
  • 統計的仮説検定

ロジスティック回帰分析

複数の要因(説明変数)を基に、2択の結果(目的変数)が起こり得る確率を予測する手法です。例えば、顧客が特定の商品を購入する確率を予測できます。

ABC分析

過去のデータを用いて、重要度の高い順にA・B・Cのグループに分類する手法です。例えば、売れ筋商品や重要顧客の発見に役立ちます。

マーケット・バスケット分析

ユーザーの購買データを分析して、同時に購入されやすい商品を分析する手法です。商品配置の変更やレコメンドに活用すれば、顧客単価の向上が期待できます。

クラスター分析(クラスタリング)

データの類似性に基づきグループ(クラスター)分けを行う手法です。例えば、顧客データを分析しその結果を用いることで、最適なマーケティングの実施が可能になります。

アソシエーション分析

膨大なデータから、特定のパターンや関連性を発見する手法です。POSレジデータやECサイトの購買データ分析でよく用いられています。

決定木分析

樹形図(ツリー構造)を構築して、データの分析や予測を行う手法です。例えば、金融業界において申込者の情報を基に、信用度やデフォルトリスクを評価する際に活用されています。

主成分分析(PCA)

多くの変数を有するデータを集約して主成分を作成する手法のことです。データの重要な要因の特定に役立ちます。

因子分析

データが持つ複数の要素(各変数)に共通する因子を分析する手法です。例えば、アンケート結果から消費者行動の背景を特定する際に活用されます。

統計的仮説検定

ある仮説が正しいかどうかを、データに基づき統計的に検証する手法です。例えば、開発した新薬が効果的かを調査する際に活用されます。

データマイニングを行うフロー

データマイニングを行うフローは以下の通りです。

  1. ビジネスを理解する
  2. データを理解する
  3. データを準備する
  4. モデルを構築する
  5. モデルを評価する
  6. 結果を活用する

各ステップについて解説します。

1.ビジネスを理解する

まずは、自社のビジネスをベースにデータマイニングに求める役割や成果を検討します。ビジネス視点で考えなければ、企業成長や競争力の強化につながる結果を得られません。自社のビジネスに関する理解を深めることが重要です。

2.データを理解する

次に、分析する初期データを収集・整理します。データ整理とは、データの意味を理解したり品質の問題点を明確にしたりすることです。データ整理を行うことで、どのような知見を得られるかの仮説を立てられます。データは複数の種類があり、最適なものをマイニングしなければ期待する成果を得られません。まずは、初期データの整理で目的を達成できそうかの検証を行いましょう。

3.データを準備する

データ整理を基に、マイニングを行う対象データを準備しましょう。データの準備は、マイニングにおいて60%から80%の時間を費やすといわれる重要なプロセスです。適切なデータを選択した上で収集しデータクレンジングも行います。データクレンジングとは、分析前にデータの重複や欠損値、誤った情報の修正・削除を行い、正確な情報に整える作業のことです。

4.モデルを構築する

続いて、データを用いて分析結果を求めるための計算方法であるモデルを構築します。「データマイニングの主な手法」の章で解説した通り、データマイニングの実施方法は複数存在します。適切な手法を用いなければ目的は達成できません。データマイニングツールの中には、AIがデータセットを基にモデルを選択するものも存在しますが、正しいとは限らないため人によるチェックが必須です。

5.モデルを評価する

実際に構築したモデルを用いて、成果が得られるかを検証します。問題があれば再度これまでのプロセスを見直すことで、高品質な分析結果を得られるようになります。

6.結果を活用する

最後に、データマイニングで導き出された結果を活用しましょう。また、モデルは定期的な改善が求められます。目的が変われば、必要なデータの種類や適切なモデルが変化します。定期的にモデルの見直しを行い、質の高い分析結果を得られる体制を維持しましょう。

データマイニングを成功させる3つのポイント

最後に、データマイニングを成功させる以下3つのポイントについて解説します。

  • データウェアハウス(DWH)を導入する
  • データクレンジングを行う体制を整える
  • データマイニングツールを活用する

データウェアハウス(DWH)を導入する

データマイニングには、データウェアハウス(DWH)の導入が重要です。DWHとは、企業内に存在する多彩なシステムから収集したデータを一元管理して、分析に適した形式で整理・統合するデータベースのことです。セキュリティ機能が充実したツールも多く、大量の情報を安全に保管できます。

データクレンジングを行う体制を整える

データクレンジングを行う体制の整備も欠かせません。欠陥やノイズのあるデータが混じれば、分析結果の精度が低下します。また、データ形式をそろえなければ分析できません。

データマイニングツールを活用する

データマイニングツールの活用も重要です。ツールを活用すれば、データマイニングを実施する手間を抑えられます。また、中には専門的な知識やスキルがなくても利用可能なツールが存在します。ツール選択時には、無料トライアルを有効活用して問題なく使えるかの確認を行うと良いでしょう。

まとめ

データマイニングとは、コンピューターを用いて膨大なデータを分析し有効な情報を得ることです。具体的には、売上予測や市場動向に関する情報を得られます。専門人材が必要などの課題もある一方で、データマイニングを行うことにより品質・顧客満足度の向上や、環境・ニーズ変化への迅速な対応実現などのメリットを得られるでしょう。データマイニングを成功させるには、DWHの導入やツールの活用、データクレンジングを行う体制の整備が重要です。
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