コラム・事例

アドラーソーラーワークス株式会社様

自動化ソリューション
#自動化
#運用自動化

導発電所ごとに異なる監視ソフトに対応し、太陽光発電所の監視業務を自動化

日本の再生エネルギーインフラを次世代に」を経営理念に掲げ、太陽光発電所のO&M(オペレーション&メンテナンス)およびTDD(テクニカルデューデリジェンス)を展開するアドラーソーラーワークス様。近年、太陽光発電所の監視ニーズが拡大するなか、同社は人による監視からの脱却を図っていましたが、発電所ごとに異なる監視ソフトが導入されていることから自動化は困難との課題を抱えていました。当社SMSデータテック(以下SDT)は、詳細なヒアリングを通じて太陽光発電所監視の業務フローを理解し、独自の監視システム構築による自動化をお手伝いさせていただきました。

導入目的・課題解決策
太陽光発電所の監視業務を自動化したい運用自動化ソリューション「SDT×Kompira」(※)と統合運用管理ツール「One Cockpit」による自動監視システムの構築
発電所ごとに異なる監視ソフトに対応したい監視業務フローを詳細に理解することで、ソフトごとに異なるコンソールからでも必要なデータを自動取得
業務の自動化が初めてのため、きめ細かなサポートが必要監視の自動化にとどまらず、その後の業務も含めたきめ細かな自動化運用設計

※「SDT×Kompira」は、株式会社フィックスポイントが開発した連携処理基盤ソフトウェア「Kompira」と、SMSデータテックの豊富なIT運用ノウハウを融合し生まれた運用自動化ソリューションです。

導入の背景・課題

太陽光発電所の監視ニーズが高まるなか、目視に頼っていた監視業務を自動化したい

アドラーソーラーワークス様は、2015年に日本とドイツの合弁会社として設立され、IEC(国際電気標準会議)スタンダードに準拠した太陽光発電所のO&M事業者として、日本で最も経験と規模を備えた企業と評されています。

同社が監視業務の自動化を検討された経緯について、技術管理部の部長を務める渡邉様に伺いました。

「近年、世界的な脱炭素化の流れを踏まえ、再生可能エネルギーである太陽光発電への期待が高まっています。国内でも、2012年のFIT制度(固定価格買取制度)導入を機に、全国各地に太陽光発電所の建設が広がり、日常的な監視や障害対応などを担うO&Mへのニーズが急激に増加しつつあります。当社は従来、監視業務を目視で実施していましたが、今後の需要拡大に対応するキャパシティを確保するため、また要員による監視精度のバラツキを改善するためにも、ICTによる監視業務自動化を検討すべきと考えたのです」

ソリューション内容

発電所ごとに異なる監視装置に対応できるよう独自の自動監視ツールを開発

「太陽光発電所の監視業務では、発電所内に設置されている監視装置から、インターネットを介して各種の情報を取得し、異常の有無を検知します。当初はRPAで情報を自動取得できないか、APIで監視ソフトとデータ連携できないか、など様々な手法を検討していましたが、社内にシステム開発のノウハウがないことから、まずは相談できる専門ベンダーを探そうと、自動監視をテーマとした展示会に出向いたのが2020年秋のことでした」と振り返るのは、渡邉様とともに今回のプロジェクトを担った技術部の深町様。

しかし、展示会場で相談した各社からは、あまり良い反応は得られなかったのだとか。「ネックになったのは、各発電所に採用されている監視装置・ソフトが統一されていないこと。監視ソフトは国内のメジャーなものだけでも複数あり、海外製や個別案件向けにカスタムされたものを含めると、かなりの種類になります。ソフトごとにコンソール画面のフォーマットやデータの表示方法などがバラバラなので、どの業者も自動化は難しいと難色を示したのです。」(深町様)

そんな時、たまたま目に止まったSDTブースを訪れたことで、自動化への道が開けます。「デモに惹かれて相談してみたところ、自動監視の手法や進め方について、専門知識のない私たちにもわかりやすい説明をしてもらえました。当社の課題にも真摯に耳を傾け、『独自の自動監視システムを構築すれば対応可能』とご提案くださり、希望が見えた瞬間でした」(深町様)

導入までの道のり

詳細な業務理解を通じて、異なるコンソールからでも必要なデータを自動で読み取る監視システムを構築

複数社によるコンペを経て、SDTへの発注を決めたのは翌2021年2月のこと。業者選定のプロセスについて、深町様は次のように振り返ります。

「展示会での会話からも感じたことですが、SMSデータテック社の魅力は説明の分かりやすさ。常に使う側の目線から説明してもらえるので、決裁者も含めて納得できる提案をいただきました。提案内容についても、当面のニーズである監視業務の自動化にとどまらず、発電診断やレポート作成の自動化など、その先を見据えたプラスアルファのご提案があり、この会社なら安心してお任せできると思いました」

自動監視システムの開発にあたっては、SDTの運用自動化ソリューション「SDT×Kompira」と統合運用管理ツール「One Cockpit」を投入。これらを駆使して開発を進めるにあたり、SDTがまず取り組んだのが徹底した業務理解でした。ソフトごとに異なるコンソールから、必要なデータを自動で読み取るには、日頃の業務でどんなデータをチェックし、どのような判断を下しているかを詳細に理解する必要があったからです。

「そこで、監視するデータ1つひとつについて、その用語や単位、データ間の関連性などを説明しました。SMSデータテック社にとっては馴染みのない専門用語にもかかわらずスピーディーにご理解いただき、さすがだなと感じました。また、当社にとっても業務の棚卸をすることができ、自動化以前の問題として業務のムダや非効率に気づくことができ、業務改善に向けたよい機会となりました」(渡邉様)

導入の成果と今後の方針

詳細な業務理自動化によって約4割の工程削減を実現、さらなる業務効率と付加価値の向上を目指して次なるステップへ

システム構築から約半年を経た現在、自動監視システムはまだテスト運用中ですが、同社は「目視による監視」から「ツールによる自動監視」への切り替えに大きな手ごたえを感じておられます。

「業務効率や監視精度の向上はもちろん、人手による作業だからこその制限がなくなったことで、早朝や夕方など勤務時間外の対応も容易となり、単なる自動化だけでなく業務フロー全体の見直しにもつながっています。先述した業務の棚卸の効果もあって、約4割の工数削減という成果が出ています」(深町様)

このように、自動監視システムの構築は大きな成果をもたらしましたが、同社はすでに次のステップを見据えています。「SMSデータテック社からのご提案を踏まえ、監視業務の自動化を手始めに、取得した各種データの分析や、お客様に提出するレポート作成なども自動化し、お客様とのコミュニケーション向上や付加価値の強化につなげていきたいと思っています。一方で、例えばユーザービリティの改善など、テスト運用を通じて得られた課題もあり、引き続きSMSデータテック社のサポートを得て、より良い環境づくりへの挑戦を続けていきます」(渡邉様)

SMSデータテックへの評価

今回のプロジェクトを通してのSDTへの評価について、深町様からは「非常に満足している」とのお言葉をいただきました。

「提案から構築、その後のサポートを通じ、一貫して感じられたのが、こちらの悩みに寄り添おうとする姿勢でした。私たちはシステム開発については素人ですので、何ができて、何ができないのか、どこから手を付ければよいのか、といった基本的なところから躓きがちですが、SMSデータテック社は、そんな私たちの悩みに耳を傾け、考え方や進め方を丁寧にご説明くださったので、安心してプロジェクトを進めることができました」

渡邉様からは「SMSデータテック社に出会えてよかったと思っています」とのご評価をいただきました。

「11月の展示会でお会いし、12月より提案を受け、6月末に発注して年末納品という駆け足のスケジュール、しかもコロナ禍のためほとんどがWeb会議という制約もあるなかで、太陽光発電所の監視という専門性の高い業務をしっかりと理解いただき、短期間で実用性の高いシステムを構築できました。引き続きのご提案にも期待しています」

お客様よりいただいたお言葉を励みとして、私たちSMSデータテックは今後もお客様の課題や要望に寄り添い、きめ細かなサポートを提供してまいります。

インタビューにご協力いただいたお客様

  • 技術企画部 部長 渡邉 敬浩
  • 技術部 課長 深町 緑

会社概要

会社名アドラーソーラーワークス株式会社
住所〒222-0033 横浜市港北区新横浜二丁目17番地2号
フォンターナ新横浜ビル9階
設立2015年5月15日
資本金3001万円
事業内容太陽光発電所のO&Mサービス
太陽光発電所のTDDおよびコンサルティングサービス
太陽光発電所の設計、設計評価、発電量調査、モジュール検査、竣工検査
太陽光発電所認証サービス
中古太陽光発電所の評価およびリパワリング(最適化)サービス
代表者代表取締役 平野 規紀
ホームページhttps://www.tm-nets.com/