エム・アイ・エス テクノロジー株式会社様
エム・アイ・エス テクノロジー株式会社様(以下MIST社)は、水晶デバイスや半導体デバイス、センサーなどの出荷前テストを行う際に使うソケットを専門に開発・製造・販売するメーカーです。MIST社は創業から20年分の帳票が“紙”で保管され、改善を図るにはWebデータベース化が必須となっておりました。この課題を当社SMSデータテック(以下、SDT)が、ローコード開発プラットフォーム「Pleasanter(プリザンター)」をカスタマイズ導入し、帳票やデータの一元管理が実現。営業のステイタス確認も可能になり、取引先対応の円滑化を進めることができました。
目次
導入の背景・課題
顧客データ管理の属人化、紙ベースの帳票管理で過去データ確認は非効率的に
MIST社は、国内外で営業活動をされています。そうした中で課題だったのは、顧客情報や注文書、請求書、納品書など帳票類のデータが担当者ごと複数のパソコンで別々に作成・管理されていたことと、それら帳票類が最終的に印刷され、紙として保管されていたことでした。営業事務を担う岡部奈保美氏はこう話します。
「複数のパソコンに書類が点在しているため、転記のために同じデータを何度も入力することがあり、二度手間やミスが発生しておりました。私が休むと必要な情報を探し出すことができず、業務が止まることもありました。最も困っていたことは、紙で保管されている大量の帳票から過去のものを探しだすことです。数年前の注文単価や条件を確認するのに、かなりの時間を費やしていました。」
同社の注文処理は月平均で約50件。創業以来20年分が紙の帳票として保管され、その中から過去の資料を探すのは大きな負荷であり、非効率です。月末になると注文が増え、出荷を優先するため、入力作業は後回しになっているという課題もありました。「後回しになった入力作業を、一気に対応するとミスが発生し、それを修正するという悪循環になっていました」(岡部氏)
検討から導入まで
イレギュラーな処理をシステムで対応できるのかが課題
「弊社(MIST社)は取引先の要望に応じて様々な個別処理を行っています。海外との取引も多く、 為替やコミッション率の調整、インボイス(貨物明細書)の発行なども対応しているため、イレギュラーな処理も含めて本当にシステム化できるのかというのは、正直心配でした」(岡部氏)
例えば、一度注文量が決まった後に数量が変更になることや、数量が多い場合、分納で納期を決めること、あるいは、一つの注文に対して仕入れ先が何社にもまたがる場合、元の注文に紐づけて処理するなど、独自のやり方が存在していました。中小・中堅企業では、こうした独自の商習慣や取引先のやり方に合わせて業務が複雑になるケースも多く、それをシステム側で吸収するには多くの開発コストを要するため、プロジェクト自体が頓挫するケースも多くあります。
そうした中、SDTが選んだのは、ローコード開発プラットフォーム「Pleasanter(プリザンター)」です。SDTプロジェクトメンバーは、選定理由をこう話します。
「プリザンターはパソコン操作が苦手な方でも使いやすく、汎用性の高さから、標準で様々な業務へ対応できることが強み。さらに、コストを抑えながらお客様の業務に合わせて、カスタマイズしやすい柔軟性を持っていることがポイントでした。プリザンターであれば、MIST社様の複雑な業務も、スクリプトによる機能拡張で実装できると考え、自信をもってご提案させていただきました。」
導入の成果
スクリプトを駆使することによって複雑な業務のシステム化に成功
プリザンターの採用が決まり、いよいよデータベースを構築するプロジェクトがスタート。SDTでは、複雑な処理に対応するため、業務内容を丁寧にヒアリングし、ひとつひとつをシステムに落とし込んでいきました。今までアナログで行っていた複雑な業務を、プリザンターの標準機能とスクリプトを駆使することによって、次々とプリザンターへ置き換えられていきました。「毎週ミーティングを重ね、出来上がった途中段階のシステムを見ながら、修正や追加の要望を伝えました。それら全て実装できたのは、プリザンターのポテンシャルとSDTの技術力があったからこそと考えています」(岡部氏)
プロジェクトがカットオーバーしプリザンターが稼働を始めると、データや帳票が一括管理出来るようになり、MIST社の業務は大幅に改善されました。まず効果を実感したのは、システム上で帳票が一元管理され、必要な情報が即時に見つけ出せるようになった点です。「従来、見積書は複数の営業社員がそれぞれ紙で持っていたため、営業事務を行う私のところに注文が入った場合、どの見積書の注文なのかをすぐに判別する手段がありませんでした。見積書を探すのは最も大変でしたが、今ではプリザンターにデータが蓄積されているため、瞬時に確認できるようになりました」(岡部氏)
「注文書や請求書もプリザンター上に保管することができるようになり、更なるカスタマイズによって、ボタン一つで印刷可能、製品出荷時に同梱することもできるようになりました。また、個々の営業社員がプリザンターを活用することで、自身の注文案件が、どのステイタスなのか、外出先からいつでも確認できるようになったことも大きなメリットです。
以前は、取引先から問い合わせを受けた営業社員が、私に連絡し、私が生産管理部に聞いて返答するという時間も手間も掛かる状況でした。それが今では、注文が『生産中』なのか、『納期がいつ』なのか、プリザンターをチェックすれば一目瞭然。取引先への対応スピードも速くなり、非常に業務効率が上がっていることを実感しています」(岡部氏)
今後の展望
生産管理や製品開発へも導入し、社内全体のシステムに広げたい
「今後、プリザンターを運用していくことで、データが続々と蓄積されていきます。次に検討しているのは、蓄積されたデータを市場分析や営業分析等に利用することでのマーケティング活用です。今、どのような製品が売れ筋なのか、どんな機能が求められているのかなど、注文推移を分析することで把握出来るようになります。そのトレンドに合わせて、営業戦略を立て、生産量の調整や新規開発へのフィードバックも視野に入れています。」(岡部氏)
「プリザンターを使った、日々の業務効率化も想定しています。毎週の営業会議に向けて、報告資料を作るのに膨大な時間を費やしておりましたが、今後はプリザンターからCSV形式で出力したものを資料として活用することで、大幅な作業時間の削減を見込んでいます。」(小杉氏)
「中長期の計画としては、営業部門にとどまらず、生産部門や設計部門にもプリザンターを導入し、社内全体のシステムとして活用していくことも検討しています。他部門への横展開で、さらなる業務改善効果が期待できそうです。」(岡部氏)
インタビューにご協力いただいたお客様
- 営業担当 マネージャー 小杉 宜央 様
- 営業担当 岡部 奈保美 様
- 技術担当 尾川 智美 様
会社概要
会社名 | エム・アイ・エス テクノロジー株式会社 |
住所 | 神奈川県相模原市緑区西橋本5-4-30さがみはら産業創造センター306号 |
設立 | 2000年(平成12年)4月13日 |
資本金 | 7,500万円 |
事業内容 | 自動車やスマートフォンに使われる電子部品、水晶デバイス、MEMSのセンサー類用のテストソケット専門メーカー。ソケットはバーンインと呼ば れる出荷前の稼働試験で使われる。特に、水晶デバイス用ソケットでは、1,100種類以上と世界一の規模を誇り、ほぼすべての水晶パッケージ用の ソケットを提供している。 |