デジタルツインとは?メリット・デメリットや活用分野と事例を解説

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デジタルツイン

デジタルツインとは、IoTなどを活用して現実世界の情報を集め、それをサイバー空間上で再現する技術のことです。AIやXR、5Gなどの最先端テクノロジーが活用されており、業務効率化・コスト削減・リスクの抑制に役立ちます。

本記事では、デジタルツインの概要や活用するメリット・デメリットと課題、活用分野・事例について詳しく解説します。デジタルツインについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

デジタルツインとは

デジタルツインとは

デジタルツイン(Digital Twin)とは、サイバー(仮想)空間上でリアルな環境を再現する技術のことです。
IoTなどを活用して現実世界の情報を集め、そのデータを基にサイバー空間上で現実世界と同様の環境を再現する仕組みが取られています。

ここからは、デジタルツインに関する以下の項目について解説します。

  • デジタルツインが注目されている背景
  • シミュレーションとの違い
  • メタバースとの違い

デジタルツインが注目されている背景

デジタルツインが注目されている背景には、テクノロジーの進歩があります。AIやIoT、VRなどの技術が進歩したことで、よりリアルな環境をサイバー空間上に再現できるようになりました。また、現実世界の変化をリアルタイムでサイバー空間に反映させられます。デジタルツインを活用すれば、現実とほぼ変わらない環境で、さまざまなシミュレーションが可能です。

シミュレーションとの違い

デジタルツインとシミュレーションの主な違いは、リアルタイム性です。デジタルツインもシミュレーション技術の一つです。ただ、従来のシミュレーションでは現実世界の変化をサイバー空間に反映させられません。デジタルツインであれば、リアルタイムで現実世界の環境をサイバー空間に反映させられます。

メタバースとの違い

デジタルツインとメタバースは、目的や役割が異なります。メタバースとは、インターネット上に作られた人々がコミュニケーションなどを行える三次元仮想空間のことです。ユーザーは自分の分身であるアバターを活用して、ショッピングやイベントなどを楽しむことが可能です。

デジタルツインは現実世界で行うことが困難なシミュレーションの実施を目的としているのに対して、メタバースはコミュニケーションや経済活動を目的としています。また、デジタルツインではアバターを活用しません。

なお、メタバースの詳細を知りたい方は以下をご覧ください。
⇒メタバースとは?特徴や活用事例、メリット・デメリットを解説

デジタルツインで活用されているテクノロジー

デジタルツインで活用されているテクノロジー

デジタルツインには、以下の最先端テクノロジーが活用されています。

  • IoT
  • AI
  • AR・VR
  • XR
  • 5G
  • CAE

順に解説します。

IoT

IoT(Internet of Things)とは、モノとインターネットがつながり、相互に情報のやり取りを行う仕組みのことです。家電やロボットなどの機器がインターネットに接続されて、データの送受信を行うことで情報の収集や遠隔操作、効率化を実現します。デジタルツインでは、現実世界をサイバー空間に反映させるためのデータをIoTで収集しています。

AI

AI(Artificial Intelligence)とは、人工的に作られた知能のことです。事前に学習したデータからパターンやルールを発見して、その情報を基に問題解決や意思決定を実現しています。デジタルツインでは、AIを活用して高度な分析や予測を行っています。

AR・VR

AR(Augmented Reality)とは、現実世界にデジタル情報を重ね視覚的に現実を拡張する技術のことです。VR(Virtual Reality)とは、専用のゴーグルを活用して仮想空間を現実世界のように見せる技術のことを指します。ARやVRは、現実世界をサイバー空間で再現する際に欠かせません。

XR

XR(Cross Reality)とは、現実空間と仮想空間を融合させるリアリティ技術のことです。デジタルツインで構築された環境をよりリアルなものにする目的で、XRが利用されています。

5G

5G(5th Generation)とは、高速大容量かつ低遅延で、同時多数接続が可能な通信規格のことです。5Gを活用して、IoTなどで収集した大量のデータをリアルタイムでサイバー空間に反映させています。

CAE

CAE(Computer Aided Engineering)とは、コンピューターを利用した設計支援、もしくはそれを実行するシステムのことです。デジタルツインで再現した環境を、CAEを用いてシミュレーションします。

デジタルツインの活用分野・事例

デジタルツインの活用分野・事例

続いて、デジタルツインの以下活用分野と事例を紹介します。

  • 発電・エネルギー分野(SANY Heavy Energy)
  • 製造分野(ダイキン工業)
  • 医療・ヘルスケア分野(コニカミノルタ)
  • 都市計画分野(国土交通省)

発電・エネルギー分野(SANY Heavy Energy)

デジタルツインは、発電・エネルギー分野で活用されています。例えば、発電所や送配電網のデジタルツイン化が推進されており、電力系統の管理にも役立っています。
業界大手の風力タービンメーカーのSANY Heavy Energyは、デジタルツインの活用で効率化に成功しました。構造が複雑な風力タービンは、高精度の設計が求められます。デジタルツインでシミュレーションを行うことで、効率的に精度の高い設計を行えるようになりました。

製造分野(ダイキン工業)

製造分野は、デジタルツインが活用されている代表例です。工場のデジタル化により、生産効率や品質の向上が可能となっています。
実際に、エアコンなどを製造しているダイキン工業では、2020年にデジタルツインを導入しました。収集したデータをデジタルツインに反映させ、異常検知を行うことでトラブルを未然に防いでいます。

医療・ヘルスケア分野(コニカミノルタ)

医療やヘルスケアも、デジタルツインが活用されている分野の一つです。例えば、製薬会社はデジタルツインを薬の効果や副作用の検証に利用しています。
ITソリューションや複合機、医療向け製品などの開発・提供を行うコニカミノルタは、内視鏡を用いた脊椎手術のシミュレーションアプリ「Plissimo XV」を提供しています。Plissimo XVでは、医療機器で撮影したデータを読み込ませることで、手術のシミュレーションが可能です。

都市計画分野(トヨタ自動車)

都市計画分野でもデジタルツインは活用されています。具体的には、新たな建物を建設した場合、交通量の増減や日照の変化などにどのような影響を与えるかのシミュレーションが可能です。
トヨタ自動車は2021年2月に着工した、テクノロジーやサービスの実証実験をする「Woven City」で、デジタルツインを活用し、迅速な技術開発や検証を実現しています。

デジタルツインの活用メリット

デジタルツインの活用メリット

続いて、デジタルツインの以下活用メリットについて解説します。

  • 業務効率化や品質の向上
  • コスト削減
  • リスクの抑制
  • 予知保全の実現と安全性の向上
  • 技能の伝承
  • アフターサービスの充実

業務効率化や品質の向上

デジタルツインを活用すれば、業務効率化や品質の向上が可能です。製品の開発・製造プロセスや作業環境をシミュレーションすることで、最適な業務処理方法を把握できます。また、人員の配置や生産スケジュールなどのシミュレーションにも役立ちます。

コスト削減

デジタルツインを活用すれば、コスト削減が可能です。サイバー空間で製品の開発や改良などを行えば、部品や材料は不要です。製品開発で必要な多額のコストを抑えられます。また、現実世界で実際に開発・設計を行う前にシミュレーションすることで、事前にコスト試算もできます。

リスクの抑制

デジタルツインの活用はリスクの抑制にもつながります。多額のコストをかけて製品の開発を行った後に欠陥が見つかれば、大損害につながるでしょう。サイバー空間上で挙動やリスクを確認することにより、未然にトラブルを防止可能です。

予知保全の実現と安全性の向上

予知保全の実現と安全性の向上にも、デジタルツインは有効です。機械が故障する予兆を検知して、迅速で適切な対応ができるようになります。また、作業現場を事前にデジタルツインでシミュレーションすれば、安全性を図れたり、快適性を向上させたりすることが可能です。

技能の伝承

デジタルツインは技術の伝承にも役立ちます。豊富なノウハウを有した技術者の作業データを収集・管理できます。データを分析すれば、スキルを体系化可能です。

アフターサービスの充実

デジタルツインの活用により、アフターサービスの充実が可能です。例えば、製品にセンサーを取り付け収集したデータを活用すれば、時間経過や使用情報を基にしたシミュレーションが可能です。適切なタイミングでのアフターフォローを提供できるでしょう。

デジタルツインを活用するデメリットと課題

デジタルツインを活用するデメリットと課題

多くのメリットがあるデジタルツインですが、導入には多額の費用がかかります。環境構築には膨大なコストがかかり、IoTデバイスなども準備しなければなりません。

また、専門的な知識やスキルを有する人材も必要です。機密情報が含まれるケースもあり、セキュリティ対策も欠かせません。近年は、DXを推進する企業が多く、IT人材の確保は難易度が高いでしょう。

デジタルツイン導入時の注意点

デジタルツイン導入時の注意点

デジタルツインの導入時には、以下に注意が必要です。

  • 導入目的の明確化
  • 人材の確保
  • 法律の確認と対応

順に解説します。

導入目的の明確化

デジタルツインを導入する前に、目的やゴールを明確にしましょう。メリットがあるデジタルツインですが、導入は簡単ではありません。場合によっては、目的を達成するにあたりデジタルツイン以外の効率的な手法が存在するケースもあります。

また、デジタルツインの実現には多くのデータが必要です。目的が明確になれば、不要なデータを収集する手間や時間を減らせます。

人材の確保

デジタルツインを導入する際には、専門人材も確保しましょう。専門人材がいなければ、デジタルツインの開発・運用が困難です。経験やノウハウが豊富な人材を獲得すれば、効果的なデジタルツインの導入が可能となります。

法律の確認と対応

データが必要なデジタルツインの導入にあたり、法律の確認と対応も欠かせません。例えば、個人情報を収集・活用・保管する際には、個人情報保護法の遵守が必須です。また、知的財産権の侵害を避けるためのライセンス管理も求められます。

デジタルツインの将来性

デジタルツインの将来性

新たに登場したテクノロジーであるデジタルツインの進歩は、今後多くの分野で重要な役割を果たすでしょう。AIとの組み合わせにより、これまでは実現できなかったシミュレーションや問題の解決に貢献すると考えられています。

企業競争力の向上に役立つだけでなく、社会的インフラでの活用も注目されています。例えば、医療分野で精度の高い診断や治療を実現して、私たちの生活を豊かにする可能性があります。

まとめ

まとめ

デジタルツインとは、サイバー空間上でリアルな環境を再現する技術のことです。IoTなどを活用し現実世界のデータを収集して、そのデータを用いてサイバー空間上に現実世界と同様の環境を再現します。発電・エネルギーや製造、都市計画分野ですでに活用されており、業務効率化・品質の向上・コスト削減などが可能です。

近年は、企業を取り巻く環境変化が早く、競争も激化しています。企業競争力の強化には、業務効率化が欠かせません。デジタルツインなどのテクノロジーを上手く活用して、業務効率化を実現しましょう。

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