プライベートクラウドとは?メリットやデメリットをAWSベースで解説

コラム
#IT基礎知識

近年、AWSなどの多くのサービスがクラウドを利用して運用されていますが、実はクラウドサービスには「プライベートクラウド」と「パブリッククラウド」の2種類が存在するのです。
今回はプライベートクラウドに焦点を当て、どういった仕組みなのかメリットやデメリットを馴染みのあるAWSベースで紹介します。

プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは、企業が自社内に自社専用のクラウド環境を構築し、その環境を社内や外部のグループ会社に提供するクラウドの形態を指します。
一般的にプライベートクラウドでは、社内に自分達でITインフラを構築しその中でアプリケーションを稼働させます。
プライベートクラウドにはさまざまな形態がありますが、AWS内では「Amazon Virtual Private Cloud(Amazon VPC)」という仕組みが該当します。これは、AWSのパブリッククラウドの中に分離されたセクションを用意し利用するものです。
また、プライベートクラウドには環境構築の方法によって「オンプレミス型」と「ホステッド型」の2種類に分類されます。
これに対して、一般ユーザー向けに開かれたクラウド環境を提供する形態は「パブリッククラウド」と呼ばれます。利用ユーザーは、自身でサーバーや通信回線を用意せずに利用することができます。また、大規模なデータセンターを構えている事業者が提供している場合が多いです。
パブリッククラウドには、既に構築されている環境を借りることになるためコストが抑えられるという特徴があります。

オンプレミス型のプライベートクラウド

プライベートクラウドの中でも、自社内においてインフラを構築し運用する形態をオンプレミス型といいます。
また、AWS内の「AWS Outposts」のようにプライベートクラウドの中でも、オンプレミス環境内にパブリッククラウドの環境を置き利用するサービスもあります。
このように、プライベートクラウドとパブリッククラウドが組み合わさって利用することをハイブリッドクラウドと呼びます。

ホステッド型のプライベートクラウド

一方で、自社内にインフラを構築するのではなくクラウド事業者が提供しているサービスを利用する形態をホステッド型といいます。
オンプレミス型と比べると環境構築の自由度は低いですが、その分コストを抑えることができるという利点があります。

プライベートクラウドのメリット

プライベートクラウドには以下の3つのメリットが存在します。

  • セキュリティが厳重
  • 柔軟なサービス設計が可能
  • イレギュラー発生時に迅速な対応が可能

セキュリティが厳重

自社内に専用のクラウド環境を構築することになるため、自社独自のセキュリティポリシーを適用することができます。顧客の個人情報を預かってサービスを運用する必要がある場合などには、厳重なセキュリティ体制が必要になるため、プライベートクラウドを利用することが多いです。

柔軟なサービス設計が可能

また、自社で独自に環境を構築することになるため、自社の仕組みに即した形でユーザーが自由にクラウド環境をカスタマイズできます。開発したいサービスやシステムが複雑だったり柔軟に変化させる必要がある場合などは、プライベートクラウドを選びましょう。

イレギュラー発生時に迅速な対応が可能

システムやサーバーに障害があった際にパブリッククラウドを利用している場合は、事業者による復旧を待たないと自社では対応ができません。しかし、プライベートクラウドであれば自社で復旧が可能なため、イレギュラー発生時に迅速に対応することが可能です。

プライベートクラウドのデメリット

一方でプライベートクラウドには以下の3つのデメリットもあります。

  • 導入コストが高い
  • 高い専門性が求められる
  • 運用面で負担が発生する

それぞれ解説します。

導入コストが高い

プライベートクラウドの場合、自社でクラウド環境を構築する必要があるため専用の設備を構築するためのコストが高くなる傾向にあります。
費用をなるべく抑えて運用したい場合は、パブリッククラウドを選んだ方が安く抑えることができます。

運用面で負担が発生する

パブリッククラウドであれば、インフラを自社で管理する必要がないため運用面での負担は少ないですが、プライベートクラウドの場合は運用面の負担が大きいというデメリットがあります。
また、運用管理するためのリソースが必要になるため管理費用も嵩んでしまいます。
一方で、プライベートクラウドの中でもホステッド型のプライベートクラウドを利用すれば、運用面での負担を減らすことができます。

高い専門性が求められる

プライベートクラウドは環境の構築から運用、管理まで全て自社内で行う必要があります。
そのため、クラウドやインフラ環境構築に対する高い専門性が求められます。
自社内にITスキルの高い人材がいない場合は、パブリッククラウドを利用した方がいいでしょう。

まとめ

一概にクラウドサービスと言っても、プライベートクラウドとパブリッククラウドの2種類が存在し、プライベートクラウドもさらに「オンプレミス型」と「ホステッド型」に分類されます。
それぞれ、メリットとデメリットが存在するため自社でサービスを運用していく上でどの形態が最も適しているかをしっかりと見極め、クラウドサービスを利用しましょう。

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