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ペーパーレス化とは、紙を利用している業務のデジタル化や書類・パンフレットの電子化などにより、企業で使う紙媒体を削減する取り組みのことです。業務改善や多様な働き方ニーズへの対応を目的に、多くの企業がペーパーレス化を推進しています。
本記事では、ペーパーレス化の概要や推進するメリット・デメリット、推進する際のポイントについて詳しく解説します。ペーパーレス化について知りたい方、業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
ペーパーレス化とは、デジタル化により使用していた紙をなくすことです。ビジネスシーンにおいては、請求書、契約書、パンフレット、図面など、様々な資料や書類をデータで管理・使用することが主流となっています。
業務効率化などを目的に、多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいます。以下は、ペーパーロジックが調査・発表した社内のペーパーレス化推進状況に関するデータです。
出典:【リサーチ】ペーパーレス化に伴う2024年度予算に関する調査|ペーパーロジック株式会社
上記によれば、2023年に社内のペーパレス化を積極的に行った企業が11.2%、ある程度行った企業が43.9%です。
また、以下は2023年にペーパーレス化を推進した企業の、2024年度における推進意向に関するデータです。
出典:【リサーチ】ペーパーレス化に伴う2024年度予算に関する調査|ペーパーロジック株式会社
上記によれば、22.0%は2024年度もペーパーレス化システム導入の予算配分を予定しており、37.3%は検討しています。
ペーパレス化が求められる背景は以下の通りです。
順に解説します。
企業競争力の向上は、ペーパーレス化が求められる理由です。日本は総人口・労働人口が減少しており、テレワークなどの多様な働き方のニーズに対応しなければ、働き手の確保が簡単ではありません。また、紙と比較し複製や検索などの二次利用がしやすいデータの活用で、一人あたりの生産性の向上も、企業競争力の維持・向上には重要です。
法対応の観点からもペーパーレス化の推進が求められています。政府も働きやすさや生産性の向上などを目的に、ペーパーレス化を後押しし、以下の法律を施行しました。
国税関係書類などの保存要件を定めた電子帳簿保存法は、2021年に改正が行われ、データで授受した書類の電磁的記録保存が義務化されました。
近年は、地球温暖化や異常気象が起き、環境問題に対する関心が高まっています。一般的に紙は木を材料に作られているため、作成には森林の伐採が必要です。樹木が伐採されれば、二酸化炭素の吸収量が減り地球温暖化に拍車がかかります。また、紙は焼却処分するケースも多く、二酸化炭素が排出されるため、地球温暖化を助長します。環境問題への対策からも、ペーパーレス化による紙の削減が必要です。
“ ”ペーパーレス化の推進にはさまざまなメリットがあります。ここからは、ペーパーレス化を推進するメリットについて解説します。
ペーパーレス化の推進はコスト削減効果があります。紙への印刷が必要なくなれば、紙代やトナー代がかかりません。また、印刷するためのプリンター・複合機の利用をやめることで、リース代やメンテナンス費も抑えられます。データであればメールなどにより簡単に送受信できるため、郵送費もかかりません。
業務効率化や生産性向上につながる点も、ペーパーレス化を推進するメリットです。データであれば検索がしやすく、必要なときに必要な情報を簡単に見つけられます。また、複製や加工などの二次利用がしやすいのも嬉しいポイントです。紙と異なり、ミスなどがあった際も修正がしやすく、はじめから作り直す手間がかかりません。
クラウドストレージやデジタルツールは、インターネット環境とデバイスがあれば、時間や場所を問わず利用可能です。わざわざオフィスに行く必要がないため、テレワークやリモートワークなど、さまざまな働き方に対応できます。
また、クラウドストレージにデータを保存しておけば、誰でもアクセスが可能です。業務に必要な紙の書類を保有している人がおらず、業務が進められないなどの心配もありません。
紙の保管・管理には物理的な場所が必要です。ペーパーレス化で、紙がなくなればオフィスのスペースを有効利用できます。企業によっては、紙の保管などを目的にレンタル倉庫を利用している場合もあるでしょう。データによる管理にすることで、レンタルスペース代やそこへの輸送費も削減できます。
機密データが流出、窃盗されれば、企業における信頼性の低下や競合他社に対する競争力の低下につながります。データの場合、閲覧・編集や持ち出し、送信などに対し紙と比較して簡単に制限がかけられます。また、ログ記録も確認できるため、何か問題が起きた際も原因の究明がしやすいでしょう。ペーパーレス化を推進すれば、内部統制やセキュリティ強化が可能です。
ペーパレス化は、非常時の損害を最小限にとどめるとともに、事業の継続や早期復旧を可能とするための計画であるBCP対策にもつながります。
データであれば火事や地震などで、重要な書類が物理的に破損・紛失してしまうリスクを防げます。バックアップも取りやすいでしょう。また、出社が困難であっても、自宅で業務の実施・継続が可能です。
近年は、商品やサービスの質・値段だけでなく、環境問題への対応など企業が社会的責任を果たしているかも、注目されています。消費者や投資家の中には、環境問題への取り組みに着目し購入・投資先を検討する人が増加しています。
ペーパーレス化の推進は、環境問題への取り組みにつながるため、Webサイトなどでアピールすれば企業イメージが向上するでしょう。
また、ペーパーレス化の推進で多様な働き方ができる環境は、採用活動におけるアピールポイントになり、求職者から好印象を得られます。
メリットがある一方で、ペーパーレス化にはデメリットも存在します。ここからは、ペーパーレス化を推進するデメリットについて解説します。
データの場合、パソコンなどの画面上で閲覧することになります。サイズによっては、紙と比べて全体像が把握しにくく、小さな文字や図形も確認しづらくなる恐れがあるでしょう。
ペーパーレス化の推進には、デジタルツールやクラウドストレージが必要で、導入費やランニングコストがかかります。既存の紙をデータ化する場合は、スキャンに人件費や外注費も必要です。
近年は利用しやすいシステムが増えたものの、活用にはITリテラシーが求められます。リテラシーが高くなければ、ミスの発生や業務効率の低下を招くでしょう。また、操作方法を覚える必要があり、利用ツールが増えれば従業員の負担が増加します。
システム障害が発生した際に業務が停止するリスクもデメリットです。ペーパーレス化の推進は、デジタルツールの活用が前提になり、障害の発生で閲覧や操作などができなくなります。
ペーパーレス化推進のポイントは以下の通りです。
順に解説します。
ペーパーレス化の推進を阻害する最大の課題は、現場の理解を得られないことです。紙からデータへ変えれば、業務フローや運用方法の変更が必要になり、従業員に負担がかかるため反発が起こるケースも存在します。ペーパレス化の重要性や推進目的を伝え、理解を促す必要があります。
現状分析を行い、どのような書類がどの程度あるかの把握も欠かせません。現状を可視化すれば、コストや業務改善効果が高い紙からペーパーレス化を進められます。
自社に合わせたシステムやツールの利用も重要です。昨今は、多数のメーカーからさまざまなシステムが提供されています。自社に合うものを導入しなければ、期待する効果を得られません。
ペーパーレス化に役立つシステムは以下の通りです。
種類 | 概要 |
---|---|
勤怠管理システム | 従業員の出退勤など、労働状況を管理するものです。 |
ワークフローシステム | 申請や稟議などの手続きを電子化するものです。 |
電子契約サービス | インターネットなどを利用し、電子ファイルに電子署名やタイムスタンプを付与して契約を締結するものです。 |
RPA・AI‐OCR |
RPAは、コンピューター上で実施される定型業務を自動化する技術やツールです。AI‐OCRは、紙に印刷された文字をパソコンなどで利用できるデータに変換する技術に、AIを掛け合わせ精度を高めたものです。 RPA・AI-OCRは、どの業務を対象にどのツールを利用するかで成果が大きく変わります。 SMSデータテックでは、導入から保守運用までサポートする「RPA・AI-OCR導入支援」を提供しています。 |
Webデータベース |
インターネット上でデータを管理・保存するものです。 SMSデータテックでは、ノーコード・ローコード開発ツールのWebデータベースである「Pleasanterの導入支援」も行っています。 |
最初は小さな範囲で取り組み、その範囲を徐々に拡大するのも有効です。具体的には、まずワークフローシステムの導入で、社内の申請や稟議をペーパーレス化するなどです。スモールスタートすれば、リスクや従業員の混乱を減らせます。
最後に、ペーパーレス化に成功した企業の事例を3つ紹介します。
多数のスーパーマーケットを展開する株式会社ライフコーポレーションでは、会議を実施する際の膨大な資料の準備に、多くの時間がかかっていました。ペーパーレス化の推進でタブレットを配布し、会議資料をデータ共有にしました。その結果、印刷代や紙代の削減、担当者の負担軽減に成功しています。
株式会社カオナビは、電子契約サービスの導入で顧客との契約書をデジタル化しました。取り組みの目的は、テレワーク中でも契約書を締結することと、契約書の確認や修正にかかる時間の軽減です。電子契約サービスの導入で契約締結がスピーディーになり、顧客満足の向上や事務作業の負担軽減を実現しました。
株式会社大和総研は、ワークフローシステムの導入によりペーパーレス化に成功しました。もともと、400種類もの申請書を紙で運用しており、時間や人件費がかかるという課題がありました。ワークフローシステムの導入で、承認・決済スピードの向上や業務の標準化、管理・活用の作業効率アップに成功しています。
ペーパーレス化とは、紙を利用している業務のデジタル化や書類・パンフレットの電子化などにより、企業で使う紙媒体を削減する取り組みのことです。推進すれば、コスト削減や業務効率化・生産性の向上、さまざまな働き方への対応など、多くのメリットを得られます。
ペーパーレス化で紙からデータの利用を推進するとともに、自動化を進めれば業務効率化や生産性の向上効果がさらに高まるでしょう。
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