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CAMとは、工作機械で素材加工を行う際に必要なプログラムを作成するツールのことです。CADで作成した設計図などを基に、自動で機器を動かすデータを作成してくれるため、生産性の向上やコスト削減に役立ちます。また、多品種少量生産などの柔軟な対応ができるようになるでしょう。
本記事では、CAMの概要や主な機能と活用メリット、おすすめのCAMソフト6選について詳しく解説します。CAMについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
CAM(Computer Aided Manufacturing)とは、CADで作成した図面を基に素材を加工するプログラム作成を行うソフトウェアのことです。コンピューター上で作成された3次元物体を薄く「スライス」することから「スライサ」と呼ばれるケースもあります。
ここからは、CAMに関する以下の項目について解説します。
CAMとCADは役割が異なります。
CAD(Computer Aided Design)とは、コンピューターで設計図や図面を作成するツールのことです。CADで作成した設計図をCAMに出力して、素材などの加工を行うプログラムを作ります。
CADとCAEも役割が異なります。
CAE(Computer Aided Engineering)とは、CADで作成した設計図や図面に問題がないかを確認するツールのことです。実際に製品を作成しなくても、CAE上で製品や品質に問題がないかを検証できます。
CAM・CAD・CAEを活用して製品を作成する流れは以下の通りです。
CAMには複数の種類が存在します。ここからは、CAMの種類を以下に分けて解説します。
CAMは取り扱うデータに基づき、以下に分類されます。
順に解説します。
輪郭加工や穴あけ加工などを目的とした2軸同時移動データを出力する際に使います。例えば、以下の機械を動かす際に用いられます。
平面輪郭に断面を足した加工や、側面から見た輪郭形状の加工で活用します。立体と平面の中間を表現できる技法で、映像やグラフィックデザインでも用いられています。
3軸以上の同時移動データを出力する際に使います。例えば、複合旋盤で素材を加工する際に用いられています。
続いて、内部のデータ形式に基づく以下の分類を紹介します。
立方体や球など事前に用意されている部品の積み重ねで作成するタイプです。主に2D加工で、複雑な工程が必要な部品を製造する際に用いられています。
曲げ伸ばしや貼り合わせにより、一から立体を作るタイプです。主に3D加工で用いられており、複雑な形状であっても高精度な加工が可能です。ただ、計算速度が遅くなるデメリットがあります。
多角形の貼り合わせにより立体を作るタイプです。微細平面の集まりとして近似する方法が用いられているため、計算速度が速い特徴がある一方で、精度はあまり高くありません。
最後に、加工機の工具軸数に基づく以下の分類について解説します。
もっとも利用されている一般的なタイプです。2DCAMと3DCAMで用いられています。
位置決め時は5軸同時動作、切削時は2軸同時もしくは3軸同時のデータ出力が可能なタイプです。例えば、斜め方向に穴を開ける際に用いられています。
工具軸を傾斜させる目的で、回転軸のデータ出力もできるタイプです。例えば、プロペラやタービンの製造で用いられています。
複合旋盤の制御データ出力ができるタイプです。複合旋盤とは、NC旋盤とMCが持つ機能を併せ持った工作機械のことです。複数の工具を多彩な加工軸で活用できます。
CAMの主な機能は以下の通りです。
順に解説します。
工具が材料を削る際の切断経路情報を作成する機能です。工程ごとに以下を自由に選択できます。
無駄な動きを減らすことができ、加工時間の短縮に役立ちます。
工具の動きや素材の削り方をシミュレーションする機能です。視覚的にチェックできるため、トラブルや製品不良の低減に役立ちます。
CADで作成したデータの連携や管理を行う機能です。図面をシームレスに設計データへ変換できます。
CAMを活用する主なメリットは以下の通りです。
上記それぞれのメリットについて解説します。
CAMの活用により生産性の向上が可能です。CAMを用いない場合、手作業で加工データを作成しなければなりません。一方、CAMを活用すれば設計図などを基に自動でデータを作成してくれます。手間を減らし、工期短縮も期待できます。
品質の向上にもCAMは役立ちます。CAMを活用すれば、CADで作成したデータに基づく最適な工具経路の自動作成が可能です。人がプログラムなどで作成したデータと比較して、正確かつ効率的な加工が可能なデータが完成します。
CAMの活用でコスト削減も期待できます。作業効率が上がり、人件費の削減につながるでしょう。また、最適なデータが完成するため、素材のロスも抑えられます。
多軸加工への対応も可能です。多軸加工とは、4軸以上ある機械を用いた加工のことで、より複雑な製品の製造が可能になります。製造可能な製品の幅が広がるでしょう。
柔軟な対応を実現できることも、CAMを活用するメリットです。デザインや仕様変更があっても、CAMであれば簡単に対応できます。多品種少量生産にも役立つでしょう。
CAMは基本的に以下の流れで活用します。
ここからは、上記各ステップについて解説します。
まずは、CAMソフトをインストールして、実際に加工を行う機器の設定を行います。機器ごとに設定方法は異なりますが、多くの場合プリセットが用意されているため、該当するものを指定します。
続いて、加工する素材に関する設定を行います。素材により、どの程度の熱や力を加えるかなどが異なります。
インストールと機器・素材に関する設定をしたら、CADで作成したデータをCAMに読み込ませます。読み込ませ方には、ドラッグ&ドロップやデータの指定など複数の方法があり、CAMごとに異なるため、操作手順書を確認すると良いでしょう。
続いて、素材をどこまで削るかや一層あたりの厚みをどうするかなどを決定します。シミュレーション機能が実装されている場合には、問題ないかの確認も行いましょう。
最後に、CAMのデータ保存と出力を行います。また、実際に機器を動かし素材の加工を行いましょう。
続いて、おすすめのCAMソフト以下6選を紹介します。
Fusion 360 CAMは、フライス加工や旋盤加工、切削加工などが可能なソフトウェアです。ツールパスの生成だけでなく、データ管理やドキュメント制作なども可能で、製品開発・製造業務全体を効率化できます。
FFCAMは、工作機械メーカーである牧野フライス製作所が開発・提供しているソフトウェアです。標準機能とオプション機能で構成されており、必要に応じて機能を追加できます。
Mastercamは、世界一のインストールライセンス数を誇る3D-CAD/CAMソフトウェアです。以下を組み合わせることができるため、さまざまな業種や加工シーンで活用可能です。
SOLID WORKSは、何百万もの設計者やエンジニア、企業から信頼を得ているソフトウェアです。CADソフトと統合されており、設計から製造までのプロセスを一貫したワークフローで行えます。
CAM-TOOLは、曲面形状に工具を接触させる独自の演算ロジックを採用しており、滑らかな加工動作と高精度な面品位を実現したソフトウェアです。国内主要メーカーの工具とホルダを管理する機能が実装されており、工具・ホルダ形状の図形取り込みも可能です。
hyperMILLは、2.5D・3Dや5軸切削加工、ミルターン加工などのさまざまなタスクに対応しているソフトウェアです。サポートが充実している点も特徴で、トレーニングやウェビナー、適切なアフターフォローなどを受けられます。
最後に、CAMソフト導入における以下のポイントを紹介します。
CAMソフトを導入する前には、目的や既存の課題を明確にしましょう。目的などを明確にすれば、どのようなソフトが適しているかを選定しやすくなります。また、導入後の効果検証も的確に行えるでしょう。
複数のツールを比較して、自社に適したものを選ぶことも重要です。「CAMの種類」の章で解説した通り、CAMには複数のタイプが存在してソフトごとに特徴が異なります。目的や予算に応じて、自社に合うものを選定しましょう。
CAMソフト導入後の運用体制整備も欠かせません。CAMソフトを扱える人材の雇用や育成を行いましょう。また、CAMソフトの導入により業務フローが変化する場合には、どのような業務の流れになるかを明確にして関係者に周知することも重要です。
CAMとは、CADで作成した図面を基に素材を加工するプログラム作成を行うソフトウェアのことです。ツールパス生成や加工シミュレーションなどの機能が実装されており、生産性の向上やコスト削減に役立ちます。
ただ、本記事で紹介した通りCAMには複数の種類があり、自社に合うものを利用することが重要です。まずは、導入目的や既存課題の明確化から実施すると良いでしょう。
製造などにおける課題の明確化を行う過程で、ボトルネックの発見や解消ができ業務改善につながるケースもあります。昨今の企業を取り巻く環境は複雑化しており、競争も激化しています。CAMなどのツール活用や業務の整理などにより、企業競争力の強化につながる業務改善を実現しましょう。