テレワークの次は「Anywhere Operations」?IT運用への適用は?

コラム
#システム運用
Anywhere Operations

働き方の多様化として以前より提唱されていたテレワーク(リモートワーク)。2016年より働き方改革の一つの形として提唱されてきましたが、設備面の投資が必要なことなどから、多くの企業や人が足踏みをしている状況でした。
しかし、2019年に新型コロナウイルスの流行により大きな変化が訪れます。新型コロナウイルスのもたらした状況は、皮肉にもテレワークの爆発的な普及を推し進めました。ニューノーマルと呼ばれる状況が続いていますが、案外多くの方がテレワークでも業務に支障がないと感じた人のではないでしょうか。
テレワークの次のステップとして流行すると予測されているのが「Anywhere Operations」です。果たしてITシステム運用担当者もその恩恵にあずかることはできるのでしょうか。

参考:首相官邸「働き方改革の実現」

  • テレワークの普及と「Anywhere Operations」
  • 「Anywhere Operations」はシステム運用現場を救ってくれる?
  • システム運用における運用自動化と「Anywhere Operations」

テレワークの普及と「Anywhere Operations」

テレワーク普及の背景

働き方の多様化の一つの選択肢として提唱されていたテレワーク。労働者にとっては、オフィスへの出勤が不要となり、通勤時間の短縮ができる事は大きな利点です。また、場所を選ばずに仕事ができることで、自分の望むライフスタイルを確立することにも役立ちます。ひいては現代人にとって望ましい姿であるワークライフバランスの実現にも繋がる働き方です。
一方で、企業側の視点に立つと、メリットが多くは見えず、導入には足踏みをしているようにも見られました。
しかし、誰もが意図しない外的な要因によりテレワークの普及は急速に進みました。2019年より恒常化しつつある新型コロナウイルスのもたらした状況は、密集を避けられるテレワークの導入を強力に後押ししました。それまでメリットと考えられていなかった、「人が集まることを防ぐことができる」点が大きなメリットに変わったためです。
それに加えて、実際にテレワークを導入したことにより、企業側にもメリットが見えてきたところもあるようです。
一つは従業員の満足度の向上です。先にあげた働き方の変容を認めるものとなり、従業員は自分の望むライフスタイルの実現がしやすくなったことで、仕事や企業に対しての満足感を得ることができました。企業側が不安視していた成果面でも、優秀な人材はテレワーク下でも成果が挙げられることが実証されたことで、テレワークが認められやすくなったという一面もあるでしょう。
もう一つは仕事をするための物理的なスペースの削減ができること。テレワークに移行することで、事業所を縮小したり場合によっては事業所の廃止(または仮想化)を行い、賃料を減らす事により直接的な金銭的メリットの獲得につなげた企業も存在しています。

テレワークの先に現れた「Anywhere Operations」

テレワークの急速な普及に伴い、その延長線上に現れてきたのが「Anywhere Operations」というキーワードです。例えばガートナーの2021年の戦略的技術トレンドの一つとしてもAnywhere Opreationsが取り上げられました。

「Anywhere Operatirons」は文字通り、どこでも仕事ができるという意味合いですこの単純な意味に加え「デジタルファースト、リモートファースト」というデジタルの環境をデフォルトとするという意味合いも持ちます。
従来型のオフィスに集合して仕事をするという形態に取って代わるのであれば、それと同等かそれ以上の生産性をもたらす環境である必要があります。テレワークなどの仮想的なビジネス環境を、オフィスという物理的なビジネス環境を拡張する機能を持つレベルまで引き上げることがAnywhere Operationsの一つの重要な構成要素です。
さらには、顧客に対してデジタル技術を通して今までにない体験の提供を行うことも、Anywhere Operationsの中には含まれています。いわば、テレワーク環境の最適化ともいえるものです。
技術面から見るとテレワークで導入したデジタル技術の仕組みを利用してシームレスに繋ぐことが現実的なAnywhere Operationsの実現方法と考えられています。各種のクラウド環境の活用、テレワークで構築したネットワーク上でのビジネスプラットフォーム、人員の配置が必要だった作業現場へのRPAの導入による自動化、クライアントとの仮想環境での商談、営業活動などがテレワークで導入されたデジタル技術の具体例です。
ガートナーは2023年末までに40%の企業が「Anywhere Opereations」の運用環境を導入し、ビジネスを拡大させると推測しています。ただし、そこには課題が存在しており、デジタル技術を利用したビジネス環境でのセキュリティとガバナンスを実現することが必要としています。

「Anywhere Operations」はシステム運用現場を救ってくれる?

システム運用現場のジレンマ

システム運用現場のメンバーは利用者の利便性を高めるサービスを日々提供し続けています。業務を効率的に行うための基幹システムの運用も、テレワークのためのネットワーク環境もツール管理も、全ては利用者の利便性のためといえるでしょう。
しかし、そのシステム運用現場では、運用担当者がPCに張り付いて管理、メンテナンス、業務部門のフォローを行っています。Anywhere Operationsを実現するためのサービスを提供する側が、Anywhere Operationsからほど遠い環境にいるという矛盾が発生してはいないでしょうか。

システム運用はテレワーク、「Anywhere Operations」が適用できる?

システム運用現場のAnywhere Operationsが進まない理由は主に二つあります。コストとハードウェアによる物理的制約です。
コストに関して言えば、利用者の多いサービスではシステム環境を整えるための初期投資を行ったとしても回収がしやすいのですが、システム運用現場の利用者は一定数に限られていたことで導入ハードルが高かったといえます。現状のテレワークの推進が企業としても認められ始めているこの状況は、コスト面のハードルを超えるための追い風となるでしょう。
また、物理的なハードウェアが存在する場合に現場に人がいなければならないという点に関しては、概ねはクラウドの活用でクリアすることが可能です。全ての機器を無くすことはできないものの、クラウドサービスに環境を移すことで物理的な機器の制約からは逃れることが可能です。ただし、クラウドの利用においては全てがネットワーク上に配置されるため、セキュリティ面での高度な対応が必要となります。

システム運用における運用自動化と「Anywhere Operations」

システム運用においてフルリモートは可能か

企業規模やシステム環境にもよりますが、先に挙げた物理的ハードウェアをすべて無くすことは若干難しいところがあります。いくらクラウドを利用するといっても、全てをクラウドサービスに依存した状態はベンダーロックインが発生することを招きかねません。どうしても無くせない一部の機器の直接的な操作、例えばハードウェア部品の交換や電源スイッチの操作といった作業まではリモートにはなり得ないのです。
しかし、環境構築において冗長性を確保し、可用性を高めることで、物理的な制約への対応の緊急性は下げることが可能です。
例えばハードウェアトラブルが発生した場合は、自動的に待機系に切り替えて稼働させるバックアップ体制を構築しておきます。システム運用担当者が猶予をもって対応できる状況を作っておくことで、可能な限りリモートで仕事ができる状況を作り上げることが可能です。このシステム運用担当者が猶予を持てる状況は、担当者の業務状況の改善だけではなく、企業としても属人化を防ぎ、リスク低下に繋がる施策となります。
そしてもちろん、システム運用における業務の多くはリモートで実施することが可能です。
業務データやログの収集、システム監視などの定型的な作業は、技術的にはリモートで行うことに支障はありあません。
ただ、これらの定型的な運用業務においても、ネットワーク負荷やセキュリティ面なども考えると、できるだけサーバーにはアクセスしない業務手順を作っておくことがより良い取り組みとなります。
システム運用の定型業務は積極的に自動化するなど、フルリモートでの運用を容易に行える仕組み作りが大切です。

「Anywhere Operations」に近づくシステム運用作りなら

Anywhere Operationsをシステム運用において実現する事を検討されるのであれば、そのための基盤づくりが必要となるでしょう。そして、業務の可能な限りの自動化も視野に入れるべきです。
SDTではRPAを使った業務の自動化等、運用業務の負荷を軽減するためのサービスを提供しています。
コンサルティングから導入、運用保守支援まで対応可能です。Anywhere Operationsを取り入れたシステム運用の実現についても、まずはお気軽にご相談ください。

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