IT業界の人材不足を打破する効果的な方法とは?

コラム
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IT業界の人材不足を打破する効果的な方法とは?

日本のIT業界は2020年時点で約37万人、2030年では79万人の人材が不足すると経済産業省が予測しています。
しかし、この状況はあくまで人材の需給バランスの問題で、1企業の側が対処するのは難しいとも言われています。
そこで今回は「IT業界の人材不足の原因」を多角的に分析し、効果的な対処法をご紹介したいと思います。

IT人材の不足はなぜ起こるのか?

労働環境が過酷

デスマーチに代表されるようにSE(システムエンジニア)の労働環境は過酷を極めているという「先入観」が一般の人々にはあるようです。実際に、現在でも過酷な労働環境はなかなか改善されず、日本のIT業界全体の課題となっていますが、フレックスタイムやコロナ禍によるテレワークの大規模導入などで、少しずつ改善される傾向にはあるようです。

成果に見合わない低賃金労働

SEは専門性の高い技術と知識が求められる反面、その成果に報いる報酬が企業側から「支払われていない」のが現状です。

例えば、アメリカのSEと日本のSEの収入を比較すると、アメリカが平均1000万円~1200万円なのに対し、日本は平均500万円~600万円と「半分の収入」しか得られていません。これはIT人材の不足に拍車をかける大きなファクターだと思いますが、その根本原因は意外な所にありました。

 

中抜きでIT人材を育てない多重下請けとは?

問題が多いウォーターフォール方式

ウォーターフォールとは1つのプロジェクトを工程別に区分けし、下請け会社も含め、多数の会社が請負制で関りながら開発する方式のことです。しかし、この方式だと下請け会社はプロジェクトの全体像が見え辛く、元請けのイメージ通りに開発が進まないなど、弊害も多いです。

中抜きで苦しむ下請け会社

また、上から下に業務を投げていく過程で「中抜き」と呼ばれる手法がはびこり、3次下請けや4次下請けの受け取る報酬が、不当に低くなる可能性があります。しかし、海外のIT業界ではこのような現象は起こっていません。何故でしょうか?

海外で主流のアジャイル方式

アジャイルとは日本語で素早い、機敏という意味ですが、その名の通り日本で主流のウォーターフォール方式より開発期間がずっと短く、実務を素早くスムーズにおこなえます。具体的には1つのプロジェクトを工程別に分割せず、全体像を見ながら機能を次々に追加していくやり方で、携わる人材も親密なフレームワークの下で、一致団結しながら仕事をするため、新人を素早く教育できる利点があります。
またウォーターフォール方式では、クライアントの仕様変更が開発前に限定されているのに比べ、アジャイル方式では、開発中に何度でも仕様変更を求めることができるため、柔軟な業務運用が可能なのです。

▷なぜ日本ではアジャイル方式を導入しないのか?

海外ではプロジェクトごとに必要な人材(個人)が集まり、プロジェクトが終了すれば即座に解雇され、
また別の開発プロジェクトに前職よりも概ねいい待遇で雇われますが、日本ではそういう雇用方法は法律で規制されているため出来ません。
つまりほぼ会社単位の請負い制なので、ウォーターフォール方式で開発を進めざろ得ず、下請け化と中抜きによる低賃金化が顕著になっているのです。

IT人材の不足は業界のミスマッチにある?

2030年に従来型IT人材は10万人が不要に

日本では受託先のシステム開発や保守管理など、先細りで発展性のない仕事に携わる従来型のIT人材が圧倒的に多く、逆にAIやDX、ビッグデーターなど、発展性の高い先進技術に携わる先端IT人材が、圧倒的に不足しています。
あくまで経済産業省の試算ですが、従来型のIT人材は2030年で10万人が余剰人員になると言われ、IT業界全体で人材の配置転換が早急に求められているのです。

需要が高い先端IT人材とは?

インフラエンジニア

ITのインフラ、つまり基幹部分を開発するエンジニアで、経験を積むと各種サーバーやネットワーク、データーベースなどさまざまな分野を横断的に開発することもある重要なポストです。特にクラウドサービスに関わるインフラ整備は非常に需要が高く、あらゆる物理サーバーのクラウド化が、今後も加速していくでしょう。

AIエンジニア

これは人工知能にさまざまなデーターを機械学習させ、製品化を目指すエンジニアを指します。高度なAIの解析や機械学習にはビッグデーターの活用が不可欠であり、DXでも重要な役割を果たします。

しかし、AIエンジニアは機械学習などで専門性の高い技術が求められ「2019年版IT人材白書」(情報処理推進機構)では、国内における半数以上のIT企業が「AIを担当する人材が居ない」と答えているそうです。

セキュリティエンジニア

各種ネットワークやアプリケーションを外部のサイバー攻撃から防御するシステムを構築するエンジニアです。サイバー攻撃は年々巧妙になり、常に新しい技術の習得が必要で、受け持つ責任も大きく、人材が慢性的に不足している分野です。

つまりIT業界の人材不足解消には、この様なミスマッチや下請けの多重化を、どのように無くしていくのかが大きな課題であり、これを改善するためには外部から優秀な人材を求め、同時に社内人材を「効率的にスキルアップ」し、自社独自の高い技術を獲得していく事こそが、人材不足解消の近道になるのです。

社員を効率的にスキルアップさせる方策とは?

社内にAIやDXなどの先進IT技術に精通する人材が居ない場合は、外部に人材を求めるのが一般的です。しかし、いざ社員教育を始めようとしても、日々の煩雑な業務に追われ、教育を受けているヒマがない。などという事になれば、まったくの本末転倒です。

面倒な単純作業を肩代わりするRPA

そんな時に役立つのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。簡単にいえば、人の代わりに簡単なルーチーンワークをこなす自動化ツールをRPAと言います。しかもRPAは、既存システム内にプログラミングして使うツールではなく、導入も比較的簡単なのです。その使い勝手のよさからデジタルレイバー、仮想知的労働者ともいわれてます。
弊社ではクライアントに合わせ、さまざまにカスタマイズしたRPAをご提案し、社員の業務を助け、質を高めつつ、1人1人の仕事量を効率的に減らすことが可能です。

ヒューマンエラーを無くし仕事の質を上げる

社員ならば今日は疲れたから明日に回そうとしている作業も、RPAで自動化しておけば24時間365日いつでも作業できます。これは疲労によるヒューマンエラーを無くし、作業効率を上げ、業務のクオリティー自体も大幅にアップできます。

細かくカスタマイズして使い勝手を上げる

RPAはその時々の業務状況により、設定を細かく変えて使うことが可能で、ケースbyケースに合わせた柔軟な運用で、社員の仕事を効率化し、より重要なポストに引き上げる手助けができるのです。

効果的な教育法で即戦力を育てる

弊社では、企画・開発・保守・改善まで広範囲に渡る業務を網羅した「ITILファンデーション教育サービス」という新しいやり方で、経験が未熟な社員を短期間で即戦力に変える教育法をご提案しています。
具体的には実務に元付く豊富なノウハウや、現場のプロジェクトですぐに活かせる実践的な理論を、有能な講師陣がクライアントの都合に合わせ、分かりやすく講義します。

 

まとめ-常識に囚われないこと

以上となりますが、ここでご紹介した方法が全てではありません。
「何かが足りない」と思ったら即座に外部から補完し、最後には自社独自の技術を確立し、日本国内のみならず、世界市場を見据えたグローバルな視点で業務転換を図ることこそが、生き残りの道だと思われます。

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