システム運用の属人化、その正体は…

コラム
#システム運用

「属人化」とは、特定の技術者のスキルや知見に業務が依存してしまうことを指し、「運用の属人化」とは、特定の技術者のスキルや知見、経験などに運用が依存してしまうことを指します。
運用の属人化が進んでしまうと、下記のように効率化とは逆の方向に向かいます。

  • 特定の技術者にしか対応できない緊急トラブルに対応できない
  • 重大なトラブルやミスに気付きにくい
  • 業務の改善活動につながらない
  • ドキュメントが整備されない

トラブルの無い状況であれば、よくわかっている技術者は重宝な存在かもしれません。
しかしトラブルが発生した際には、その対応は特定の技術者にふりかかり、システム運用メンバー全体で対応にあたる事が出来ない状況を作り出します。
トラブルは、企業のサービスに大きな影響を与え業務を停滞させることになり、経営に大きな打撃を与える可能性を秘めています。
運用の属人化が起こる理由は、1つではありません。
幾つかの理由が重なり、生み出されると考えています。
技術者に関連した理由としては「高度技術のスキル習得の難しさ」「工数の制限」「技術者の不足」など、システムに関連とした理由としては、「システムの増加・複雑化」「開発工程における問題」などがあります。

技術者が関連する属人化

「高度技術のスキル習得の難しさ」

「システム運用」とは、サーバーやネットワークがトラブルで停止しないように常に監視し、安定したサービスを提供するために管理・運用をする仕事です。
システム運用と混同しやすい職種に「システム保守」があります。
システム運用が「トラブルを未然に防ぐ仕事」なら、システム保守は「システムに起こったトラブルに迅速に対処する仕事」です。
最近では両方にまたがる仕事も多くなってきています。
システム運用とシステム保守の主な業務内容は、下記に記載した通り多岐にわたります。そのため技術スキルの習得が難しく、わかる人が対応せざるを得ない属人化を作り出しています。

<システム運用の仕事>
・システムの監視
・異常発生時の記録
・トラブルの原因究明
・トラブルの対策を考える
・運用方法の改善を考え、マニュアルを更新するなど

<システム保守の仕事>
・トラブルの対応、システムの復旧
・バグを改修する
・データのバックアップをとる、バックアップの計画を立てる
・新しいシステムの導入
・システムのアップデートなど

「工数の制限」

システムを維持していくために行うシステム運用業務費用は、企業にとっては固定費です。そのためシステムを継続できるギリギリの費用で運用しているケースが多いのが現状です。工数が制限されるため作業量が増えても技術者の増員は難しく、要員育成も厳しい状態なのです。
限られた工数で業務が実施できるようツールを使用し業務効率を上げています。しかしこのツールも多用すればツールの知識習得や管理を、制限された工数内で実施する必要が出てくるのです。
このように、工数の制限によっても属人化が進む要因となります。

「技術者の不足」

昨今の技術者不足は、システム運用でも問題となっています。システムの増加や複雑化による技術者の対応範囲の拡大や必要スキルの高度化も技術者不足の大きな要因となってきています。技術者が不足する事により、限られた技術者で業務を実施するため、属人化しやすい状況が生まれるのです。

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システムが関連する属人化

「システムの増加・複雑化」

システムは日々進化を続け、新たな技術がシステムに組み込まれています。
業務や管理対象が増える中でシステムが増加し、システムの形態も集中システムから分散型のシステムへ、そして仮想化、クラウドへと常に変化しています。
システムの形態に関わらず、すべてのシステムに対してシステム運用を行うため、高度な知識や技術力が必要となります。
また、新たな技術、製品、サービスが開発されており、それらを組み合わせてシステムは構築されます。システム形態、技術、製品、サービスが変化する中で、システム運用保守をしていくのは難しい状況なのです。
このように、システムの増加・技術の進化・製品の増加・複雑化によっても、属人化が進む要因になります。
SMSデータテックでは、高度なIT技術を持った担当者が運用改善コンサル担当として、多角的にお客様の課題を整理し、属人化の解消の手段、属人的な作業の自動化など最適なご提案をさせて頂くことができます。

「開発工程における潜在化した問題」

システム開発工程において、発生している問題をシステム開発に組み込めない場合に、「運用でカバー」する事があります。本来システムで実施するサービスを運用で実施するのです。システム運用でどのように対応するかが不明確で手順書が整備されないまま、システム運用でのサービスを開始するというケースもあります。
また、システム運用における手順書は、システム開発で作成した操作マニュアルを基に作成します。操作マニュアルの執筆要領などが無かったり曖昧な場合、操作マニュアル自体の記載レベルが統一されていない状態となります。このため作成したシステム運用側の手順書も記載レベルが統一されていないものが出来上がります。
このように、手順書が無かったり内容が曖昧な場合、この手順書でシステム運用業務を実施できるのは有識者となり、属人化が始まるきっかけとなるのです。
このように、システム運用の属人化は様々な要因で始まり、解決が難しい状況を作ります。
次回は、属人化における弊害とその解決について書きたいと思います。
システム運用における問題は、属人化だけではありません。
システム運用にお悩みをお持ちでしたら、ケーススタディーをお役立てください。
弊社は創立以来、システム運用を実施しており経験豊富な技術者による、システム運用の改善コンサルの実施や、運用における問題解決ツールをご提案させて頂いております。
システム運用業務において、お困りの状況がありましたらお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

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