
この度、情報システム部門(情シス)を支援するために開催される「情シス応援パビリオン」に出展することが決定いたしました! 情報システム担...
ITILとは、ITサービスのベストプラクティスをまとめた文書です。ベストプラクティスであると同時に、現在はITサービスのフレームワークと、標準化された業務についてのガイダンスを提供しています。この文書の目的は、コスト管理や、ITサービスの品質の標準化などがあります。現在でもこうした課題に向き合うアプローチとして当初のITIL文書の考え方は継承され、アップデートされた文書はISOの国際規格の一部となりました(ISO/ITEC 20000)。この記事ではITILの内容全体をコンパクトにまとめ、どなたでも早く全体像が理解できるようになっています。仕事で聞くことがあるけどITILについてイマイチよく分かっていない方は、ぜひご覧ください。
目次
ITILは、イギリスが発祥で、1980年代に政府がまとめた文書としてスタートしています。ITILの現在の最新バージョンは、ITIL V4であり、今実務上よく使われているのは、V3です。発祥の当時、英国政府はこんな悩みを抱えていました。
・膨大なIT投資に比べ、思った効果が得られない
・日々の運用効率化がなかなか進まない
そこで英国政府は、こうした悩みを改善するには、何らかの業務の標準を策定しガイドライン化することが必要であると考えたのです。また、このガイドラインに準じたサービスを政府の納入業者にもとめ、普及を図ることにしました。ITILのスタート当初は、70冊もの多くの書籍から構成されていました。バージョン2である、ITILv2において業務標準の考え方が完成し、さらにv3になると、サービスライフサイクルを中心コンセプトに据えることにより、各プロセスの効率化と標準化が実現されるようになりました。
ITILは、ITサービスのベストプラクティスをまとめた文書ですが、現在実務上最もよく利用されるのが、ITIL3です。ITIL3は2007年の文書ですが、コストとビジネスのスピードについていくことを重視した内容です。現在のITサービスの標準形を、サービスライフサイクルのフレームワークに従って整理、ガイダンスを示しています。
TIL3は導入と、メイン書籍5冊からなり、概略は次のような内容です。
これらの書籍、特にIntroductionを除いた5冊の本は、サービスのライフサイクル順に整理されており、6でサービスのライフサイクルをいったん終えると、新しいサービスについてまた2からプロセスが始まるというフレームワークであることが特徴です。言い換えると、2~6のそれぞれの段階を順次実行し進めることにより、新しいITサービスの導入と運用の1サイクルが完了することとなります。共通フレームワークを基に、それぞれ企業・組織でのITオペレーションに関するプロセスをITILに即して標準化すると、変化するビジネスに即応でき、最も効率が良いものと考えられます。
ITILには、構成要素があり、人・プロセス・製品ないし技術・パートナーの4つの要素です。
ITILV2までは要素に含まれていなかったアウトソーシングに関するプロセスもITILv3では包含されるようになりました。外注は、人手不足や、ビジネス上の必要性から、日常的にIT分野で見られる事象であり、このプロセスを包含したことにより、一層ビジネスニーズを反映した内容となりました。
ITILv3で重視されているのは人の役割分担とスキルです。プロセスを実現するのに必要な役割を定義、人物像をガイダンスで示すと同時にスキルセットも定義しています。各組織においては人に必要なスキル向上のためのトレーニング計画を策定、実践することが求められます。
ITプロセスが何を目的に改善されるべきなのかを明確化し、改善プロジェクト体制を構築することが組織に求められます。目的達成度は数値として管理され、 ITILのグッドプラクティスの数値とのギャップアナリシスとベンチマーキングにより改善課題を明確化します。そのうえで、改善された作業フロー、手順書、KPIなどを組織で整備することが求められます。
製品・技術の中で重視されるのが、効率性・負荷軽減と自動化によるミス軽減です。組織ではツールを適切に利用し、これらの目標を達成することが求められます。
定型的作業は、ITILではアウトソーシングすることが標準プロセス化されています。このことにより、IT部門の作業負荷は軽減、プロセス改善により専念できるようにします。
ITILv3は、ITサービスのベストプラクティスとしては非常に完成度が高いです。フレームワーク思考によりサービス提供者であるIT部門がこの文書に従ってサービスを提供すると、プロセスとして継続的な改善を図ることができます。しかし、ITILv3では、次のような点が要素として包含されていません。
ITプロセスの利害関係者はサービス提供者だけではありません。また、ビジネスの実現の道具としてのITプロセスから、価値を創造することができるITプロセスはもう少し前から意識されていただけに、ITILv3の考え方は現在では少し古い考え方といっても過言ではないでしょう。
そこで、最新のITILである、ITIL4(2019年2月)では、以下の要素を包含すると同時に、もう少しプロセスについてはシンプルに整理されています。
DX時代のITサービスは、ITがコアになって、事業の価値そのものを創造することが期待されており、ITILv3での「ビジネスに役に立つプロセス」から一歩進んだ対応が求められています。ITILv3のプロセスを土台に、事業の手段という色彩が強かったITIL3から、会社の事業の価値の一部であることがより強く意識されたITプロセスがITIL4であると考えられます。
ITIL4は、会社の事業の価値の一部としてのITプロセスが意識されていますが、土台となるITIL v3に準拠するオペレーションの上に価値創造がある、と考えると適切です。言い換えると、v3のレベルのプロセス改善ができないとなかなかITIL4レベルに到達できないのです。この意味からもITILv3が現在でもITプロセス管理の実務上のお手本として意識されていますので、本記事では中心として取り上げました。一方で、DXによる価値創造をより意識するのであれば、リーンやアジャイルといった、コアとなる要素について、今後各組織でより実現しやすい取り組みを強化することが必要になるでしょう。