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SaaSビジネスにおけるオンボーディングとは、継続的な利用を目的にツールを購入した顧客に対して行う取り組みやそのプロセスのことです。具体的には、KPIの作成支援と推進サポートや操作説明などが該当します。
本記事では、オンボーディングの概要や重要な理由・メリット、実施ステップと成功させるポイントについて詳しく解説します。オンボーディングについて知りたい方、顧客への実施を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
オンボーディングは、飛行機や船などに乗ることを示す「on-board」から派生した言葉です。人事とSaaSビジネスにおいて実施されており、内容が異なります。
ここからは、以下の事項について解説します。
人事分野のオンボーディングとは、企業や組織へ入社した人に対して教育・サポートを行い、定着を促す活動やプロセスのことです。新入社員や中途社員研修は基本的な知識の習得を目的とした一時的なサポートなのに対して、オンボーディングは部署配属後も含めた継続的な人材育成を指します。
近年は、人の流動性や離職率が高まっており、採用・教育にコストをかけても無駄になってしまう可能性が少なくありません。オンボーディングにより、組織に馴染むサポートなどもしておくことで、離職の抑制や成長スピードの加速が見込めます。
SaaSビジネスのオンボーディングとは、製品やサービスを導入した顧客に対して継続的な利用を促進するサポートやその実施プロセスのことです。操作説明や課題・不安の解消を行うことにより、早期解約の防止と顧客満足度の向上を図ります。
なお、SaaS(サース)の詳細は以下をご覧ください。
⇒SaaSとは?PaaSやIaaSとの違いやサービス例まで紹介
続いて、SaaSビジネスのオンボーディングが重要な以下4つの理由・メリットについて解説します。
オンボーディングを実施すれば、早期解約の防止が見込めます。多くのSaaSビジネスは、ユーザー数や利用期間に応じて料金が発生するサブスクリプション型の料金体系が採用されています。早期解約されてしまえば、得られる利益が少なくなってしまうでしょう。オンボーディングの実施は、顧客が得られる利益の最大化とスピード向上に役立ち、早期解約を防げます。
顧客満足度の向上もオンボーディングによる効果です。顧客が不満を抱けばクレームや解約の原因になります。特に、製品・サービスの導入当初はトラブルが起きやすく、顧客が以下のストレスを感じるケースが多いでしょう。
オンボーディングを実施することで、顧客のストレス発生を防止でき顧客満足度も向上します。
オンボーディングの実施は、クロスセル・アップセルの創出にも有効です。クロスセルとは、ある製品・サービスの購入を検討している顧客に対して、関連する製品・サービスを併せて購入してもらう手法のことです。アップセルとは、利用している製品・サービスよりも高単価のプランを契約してもらう手法のことを指します。オンボーディングで定期的なコミュニケーションを取れば、顧客のニーズを掴むことができ効果的な提案が可能です。
オンボーディングを実施することでLTVの最大化が可能です。LTV(顧客生涯価値)とは、顧客と取引を始めてから終えるまでに得られる利益や価値を表す指標のことです。
オンボーディングの実施は解約を防ぎ安定的な利益の獲得につながります。また、クロスセル・アップセルにより、顧客単価も高まります。
続いて、SaaSビジネスにおけるオンボーディングの以下実施ステップを紹介します。
まずは、オンボーディングを実施するゴールを明確にしましょう。ゴールが決まらなければ、どのような手法でどんな情報をいつまで提供すれば良いか決まりません。また、ゴールを達成するためのプロセスを測る指標であるKPI(重要業績評価指標)も検討・決定します。例えば以下のKPIが挙げられます。
KPIは、ゴール達成に向けた定量的な指標の設定が重要です。
続いて、オンボーディングで提供する情報を検討します。顧客の課題やつまずくと想定される問題を洗い出しましょう。また、各顧客からヒアリングを行い特有の問題も整理します。顧客の問題や不満などの情報も蓄積して、定期的に内容を見直すことも重要です。
次に、アプローチ方法も検討します。リソースは有限であるため、全ての顧客に対して同じ方法でアプローチを行うと業務過多になる恐れがあります。リソースと効果的な情報提供方法のバランスを考えましょう。主な方法には以下の3種類が存在します。
順に解説します。
一対一で個別にサポートする方法です。時間やコストがかかるため、大口顧客に対して以下を実施するケースが一般的です。
各企業に合わせた目標の設定と進捗確認・サポートなどを行い、コンサルティングに近い支援を行います。
一対多数でサポートを行う方法です。中間層に対して実施されることが多く、必要に応じて個別のサポートも行います。具体的な取り組みは以下の通りです。
詳細な個別ニーズへの対応が難しい反面、重要な層でもあるため効率良く情報提供と個別サポートを組み合わせることが重要です。
システムを用いてサポートを行う方法です。学習ガイドやチュートリアルの提供などにより、顧客の自己学習を促します。顧客数は多い反面LTVが低いため、コストや手間を抑え効率的にサポートすることが重要です。
ゴールや提供情報、アプローチ方法が決まったら、オンボーディングを実施します。また、顧客が抱える問題や実施時の反応、質問内容などを集約して改善しましょう。PDCAを回すことで、より効果的なオンボーディングが可能になります。
SaaSビジネスのオンボーディングを成功させる5つのポイントは以下の通りです。
順に解説します。
「SaaSビジネスのオンボーディングの実施ステップ」の章で解説した通り、オンボーディングを実施する際には、まずゴールや実施事項を明確にしましょう。ゴールが明確にならなければ、いつまでどの程度顧客をサポートするかが決まりません。ダラダラとサポートが続いたり、不足したりする恐れがあります。
また、実施事項が定まっていなければ担当者ごとに内容や実施方法が属人化します。サポート品質にバラツキが出る原因になるでしょう。
顧客のニーズや課題を調査・分析することも欠かせません。製品・サービスの導入目的や解決したい課題は、顧客ごとに異なります。全ての顧客に対して同じサポートを実施しても、課題解決や満足度の向上が図れるわけではありません。例えば以下の項目を確認すると良いでしょう。
オンボーディングは、実施がゴールではなく適切なサポートで顧客を成功に導くことが重要です。
オンボーディングを行う従業員への教育も行うと良いでしょう。従業員の知識やスキルが高まれば、顧客に対してより効果的なサポートが可能になります。一方、従業員の教育を疎かにした場合、顧客が不満を感じたりクレームが発生したりする原因になります。
オンボーディングの成功には、継続的にフォローできる体制の構築も必要です。顧客が課題を感じるのは導入時だけではありません。トラブルが発生したり、高度な機能を活用する際に不明点が出たりするケースが考えられます。定期的に顧客とコミュニケーションを取り、課題を迅速に解決する体制の整備が求められます。
ツールなどを利用して効率化を図ることも、オンボーディングを成功させるためのポイントです。各顧客に専任の担当者を用意して常にサポートできる環境の整備が理想ですが、リソース不足に陥るリスクがあります。また、費用対効果が合わない可能性もあるでしょう。ツールの活用やマニュアルの整備で効率化を図りつつ、人が必要なシーンでは充実したサポートを提供する体制を整備しましょう。
続いて、オンボーディングの効率化に役立つ以下のおすすめツール5選を紹介します。
Servicenowは、顧客に対するスムーズなITSMの提供に役立つツールです。ITSM(ITサービスマネジメント)とは、ユーザーに対するITサービスの安定的提供と継続的改善を目的に、ITサービスを管理する仕組みやフレームワークのことです。
Servicenowを活用すれば、顧客の課題や問い合わせ内容の蓄積が可能で、対応状況も可視化できます。対応の抜け漏れを減らし、オンボーディング内容の改善や適切なサポートの実施に役立つでしょう。
弊社SMSデータテックでは、ServiceNowの導入開発・保守運用をサポートしています。ご興味がある方は、以下をご覧ください。
⇒ServiceNow導入・開発・保守運用
なお、ITSMやServiceNowの詳細は以下をご覧ください。
⇒ITSMとは?おすすめツール5選や導入メリットと成功のポイントを解説
⇒ServiceNowとは?特徴や導入効果とメリット、機能を解説
Fullstarは、ノーコードでチュートリアルやツールチップの表示が可能なツールです。アンケート機能も実装されており、顧客の声を集める際にも有効です。また、利用率が下がった場合などにアラートを発生する機能があるため、解約リスクの早期発見と解消に役立ちます。
Onboardingは、ユーザーの状況や属性、習熟度などさまざまな条件で表示するガイドを設定可能なツールです。ユーザーごとのガイド利用率やログイン頻度、機能活用状況を可視化するレポート機能も実装されています。
Product Toursは、チャットサポートの構築ツールであるINTERCOMのオプション機能です。チュートリアルやバナーメッセージ、ツールチップの設置だけでなく、ヘルプページの構築にも役立ちます。
WalkMeは、ツールの活用状況を可視化できるツールです。また、各顧客に対して最適なチュートリアルを提供できます。顧客のニーズを先回りするため、顧客がヘルプページなどで検索する手間を抑えられ、ストレスを軽減できます。
最後に、オンボーディングに成功した以下の事例を紹介します。
パーソルビジネスプロセスデザインは、BPOやコンサルティングなどを行っている企業です。RPAを導入した顧客に対して、専任の担当者を配置するハイタッチのサポートを実施しています。勉強会の実施や伴奏支援により、実施前と比較してアクティブユーザー率が11%向上しました。
クラウドサーカスは、累計導入実績59,000件を超えるマーケティング・営業支援ツールを開発・提供している企業です。ブラウザARを作成できるLESSARで、有料会員にはハイタッチ、無料会員にはテックタッチによるサポートを実施しています。テックタッチを導入する以前は、無料会員の初期設定完了率が60%程度でしたが、導入後は95%まで向上しました。
SaaSビジネスのオンボーディングとは、製品やサービスを導入した顧客に対して、継続的な利用を促進するサポートやその実施プロセスのことです。具体的には、KPIの作成支援と推進サポートや操作説明などが該当します。オンボーディングを実施すれば、早期解約の防止や顧客満足度・LTVの向上が期待できます。
オンボーディングの成功には、ゴール・実施事項の明確化や顧客ニーズの調査・分析、継続的なフォロー体制の構築が重要です。また、ツールなどを利用して効率化を図ると良いでしょう。
Servicenowを活用すれば、顧客の課題や問い合わせ内容を蓄積でき、オンボーディング内容の改善や適切なサポートの実施に役立ちます。弊社SMSデータテックでは、「ServiceNow」の導入開発・保守運用をサポートしています。ご興味がある方は、以下をご覧ください。
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