DX推進とは?メリットや推進するステップ、直面する課題と成功させるポイントを解説

コラム

DX推進とは、デジタルツールを活用してビジネスモデルや業務プロセス、組織文化の変革を行う取り組みを進めることです。2025年の崖問題や競争環境の激化、テクノロジーの進歩など、さまざまな要因で注目を集めています。実施すれば、業務効率化や人手不足問題の解決、新たなビジネスの創造など多くのメリットを得られるでしょう。

本記事では、DX推進の概要やメリットとステップ、直面する課題と成功のポイントについて詳しく解説します。DX推進について知りたい方、課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

DX推進とは

DX推進とは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)を実現するために、積極的な取り組みを行うことです。そもそも、DXとはデジタル技術を用いてビジネスモデルを変革し、業務プロセスや企業文化・風土を革新して競争優位性を確立することを指します。

ここからは以下の事項について解説します。

  • DXの推進が求められている理由
  • DXとIT化の違い
  • 3つのDX領域

DXの推進が求められている理由

DXの推進が求められている主な理由は以下の3つです。

  • 2025年の崖問題
  • 競争環境の激化
  • テクノロジーの進歩

順に解説します。

2025年の崖問題

2018年に経済産業省が発表したDXレポートの中で「2025年の崖」という言葉が発表され、注目を集めました。2025年の崖とは、人材不足や基幹システムの老朽化などが原因で、2025年以降年間最大12兆円の経済損失が生じる問題のことです。
基幹システムの複雑化・ブラックボックス化が進めば、維持や更新にコストがかかり、新たなビジネスモデルの創造・市場変化への対応が遅れる原因になります。DXを推進することで、2025年の崖問題の解決が求められています。

競争環境の激化

競争環境の激化も、DX推進が求められている理由の一つです。現代社会は、良いものを生産すれば売れる時代ではありません。消費者ニーズの多様化、変化の加速化が進んでおり、迅速かつ正確に顧客のニーズを汲み取り対応する必要があります。
また、グローバル化で競合他社も増加しています。DXの推進により、企業の競争力を向上させなければ事業の継続は困難です。

テクノロジーの進歩

DX推進が求められる背景には、テクノロジーの進歩も関係しています。AIやIoTなどの最新テクノロジーが登場し、日々進歩しています。性能が向上しただけでなく、導入もしやすくなりました。以前は、資金に余裕のある大企業しか最新テクノロジーを導入できませんでしたが、近年は中小企業の中にもAIなどを導入・利用する会社が増加しています。企業の大小や業種に関わらず、最新テクノロジーを活用したDX推進が必要です。

DXとIT化の違い

DXとIT化は混同されがちですが、両者は範囲やアプローチが異なります。IT化とは、デジタル技術を活用して既存の業務プロセスを最適化し、効率化やコスト削減を実現する手法のことです。一方、DXは単にITツールを導入して業務改善を図るだけでなく、ビジネスモデルの抜本的な改革を図ります。DXでは業務の効率化にとどまらず、付加価値や新たなビジネスの創造を目指します。

3つのDX領域

DXの対象領域は以下3つに分かれます。

  • プロセスDX
  • ワークスタイルDX
  • ビジネスDX

順に解説します。

プロセスDX

従来の業務プロセスを変革する領域です。具体的には、業務の可視化や自動化・高度化、ナレッジ共有などが該当します。DXの第一歩として、多くの企業が取り組んでいます。

ワークスタイルDX

労働環境を変革する領域です。例えば、デジタル技術を用いてテレワークの推進やタレントシェアリング、従業員体験の向上を実現します。時間や場所を問わず働ける環境を整え、多様な働き方を目指します。

ビジネスDX

既存ビジネスに付加価値を加えたり、新たなビジネスを創造したりする領域です。DXの最終段階で、ビジネスモデルの変革を目指します。

DXを推進する5つのメリット

続いて、DXを推進する以下5つのメリットについて解説します。

  • 業務効率や生産性の向上
  • 人手不足問題の解決
  • さまざまな働き方の実現
  • 競争力の向上
  • 新たなビジネスの創出

業務効率や生産性の向上

DX推進により業務効率や生産性の向上が可能です。手作業で行っていた業務をデジタル技術を用いて自動化すれば、収益向上に向けたコア業務に集中できる体制を整えられます。また、ヒューマンエラーも防げるでしょう。

人手不足問題の解決

人手不足問題の解決にもDX推進は有効です。デジタル技術で代替すれば人が行う業務を減らせます。人件費の削減も期待できるでしょう。

さまざまな働き方の実現

DX推進は、さまざまな働き方の実現にもつながります。DX推進による業務効率化で、従業員の負担を軽減して労働時間の短縮が可能です。また、時間や場所を問わず働ける環境を整えれば、リモートワーク・フレックスタイムなどの働き方も導入できます。

競争力の向上

DXの推進は企業競争力の向上にも効果的です。デジタルツールを活用してデータを蓄積・分析すれば、勘や経験に頼らない判断が可能になります。また、AIを用いた需要予測も実施できます。

新たなビジネスの創出

新たなビジネスの創出にもDXは役立ちます。既存ビジネスに費やしていた業務をDXで効率化すれば、新たなビジネスの検討・推進に割く時間を捻出できるでしょう。また、AIやビッグデータの解析により顧客ニーズを迅速につかむことで、新たなビジネスモデルを考案できます。

DXを推進する5つのステップ

DXを推進するステップは以下の通りです。

  1. 目的の明確化と共有
  2. 現状の分析
  3. 推進体制の整備
  4. DX推進計画の策定と実行
  5. 効果の検証と改善

順に解説します。

1.目的の明確化と共有

まずは、目的の明確化が重要です。目的を定めなければ、デジタルツールの導入が目的となり本質的なDXの推進はできません。また、従業員の理解を得られないでしょう。DX推進でどのような価値を生み出すのか明確にして、社内で共有することが重要です。

2.現状の分析

続いて現状の課題を分析・整理します。具体的には、現状の業務プロセスや利用しているシステムの棚卸とボトルネックの明確化を行います。現場の従業員にもヒアリングを行うと良いでしょう。

3.推進体制の整備

目的や課題を明確にした後にDXを推進する体制を整備します。さまざまな部門のメンバーを参加させたプロジェクトを発足すると良いでしょう。また予算の確保も欠かせません。

4.DX推進計画の策定と実行

体制が構築できたら、どのようにDXを推進するか検討して計画を策定します。取り組みたい分野が多数ある場合には、優先順位を付け長期的に取り組むと良いでしょう。一度に全ての施策を実施するのは難易度が高く、現場の混乱を招く恐れもあります。計画ができたら、その計画に基づき実施します。

5.効果の検証と改善

定期的な効果の検証と改善も重要です。デジタル技術を用いて業務プロセスの改善に取り組んだら、期待する成果が上がっているかや問題がないかを確認しましょう。
最初から成果が出るとは限りません。問題がある場合には解消して、また検証と改善を繰り返すことで高い成果を得られます。

日本企業がDX推進で直面する主な課題

続いて、日本企業がDX推進で直面する以下の主な課題を紹介します。

  • 危機感の欠如
  • コストの発生
  • IT人材の不足
  • 複雑な業務
  • ツール活用の難しさ

危機感の欠如

日本企業がDXを推進する上で、危機感の欠如が取り組みを妨げるケースがあります。DXの推進は全社での取り組みが欠かせません。また、投資が必要となるため経営層の理解も必須です。ただ、中には危機感を抱いておらず変化を嫌う経営者や従業員が存在します。

コストの発生

コストの発生も、DXを推進する課題の一つです。低価格のデジタルツールも開発・提供されていますが、導入・利用には少なからずコストがかかります。自社用のAIや大型システムを開発する場合には、数千万円を超える費用が必要です。また、導入・開発後もランニングコストが発生して、企業の負担となるケースがあるでしょう。

IT人材の不足

IT人材の不足によりDXを推進できない企業も存在します。IT人材の需要が増している一方で、供給が追いついていないため確保が容易ではありません。また従業員の育成にも時間がかかります。

IT人材の不足状況に関する詳細は以下をご覧ください。
⇒日本のIT人材不足の実態とは?原因や対処法、エンジニアに求められるスキルを解説

複雑な業務

複雑な業務の存在もDX推進を妨げる要素です。付加価値の向上などを目的に、業務の変革を繰り返した結果、業務が煩雑化している企業が多く存在します。また、一部の担当者のみが業務を行いブラックボックス化している業務もあるでしょう。
業務が複雑化したり、ブラックボックス化したりしている場合、課題の分析が困難となり本質的な問題の抽出が難しくなります。DXを推進しようとしても、表面的な課題の解決のみに留まってしまうリスクがあるでしょう。

ツール活用の難しさ

ツール活用の難しさから、DXが進まないケースもあります。近年は、便利なデジタルツールが多数開発・提供されています。ただ、ツールが複数ありどれが自社に合うかの見極め難易度が向上しているでしょう。最適なツールを用いなければ、期待する成果は得られません。
また、ツール活用にはリテラシーが必要です。従業員のリテラシーが低い場合、便利なツールであっても効果を発揮できないでしょう。

DX推進を成功させるポイント

最後に、DX推進を成功させる以下のポイントを紹介します。

  • 重要性の理解と問題意識の共有
  • 目的と手段を間違えない
  • 外部パートナーの利用
  • 従業員の教育
  • スモールスタート
  • セキュリティの強化

重要性の理解と問題意識の共有

冒頭解説した通り、DXには組織変革が含まれています。社内における一部の人員のみが推進すれば実現できる取り組みではありません。まずは、経営層が問題意識を持ちDXの重要性を理解して、それを全従業員に共有することが重要です。現場の担当者を含め、全従業員が協力して取り組む体制を整えましょう。

目的と手段を間違えない

目的と手段を間違えないことも重要です。DXを推進しようとしている企業の中には、ツール導入が目的となっているところも少なくありません。ツールはあくまで手段で、目的はビジネスモデルなどの変革です。目的と手段を間違えないようにしましょう。

外部パートナーの利用

外部パートナーの利用も、DX推進を成功させるためには欠かせません。自社で専門人材を確保しようとすれば、多くの時間とコストがかかります。外部パートナーであれば必要なときのみ利用でき、DXを迅速に推進可能です。

SMSデータテックの自動化コンサルティングが支援できること

弊社SMSデータテックの自動化コンサルティングでは、業務の「自動化」を通して省人化や生産性の向上、コスト削減の実現をサポートしています。多種多様な専門知識を兼ね備えたITスペシャリストが多数在籍しており、以下のサービスで顧客のDX推進を実現します。

  • 自動化よろず相談
  • 自動化アセスメント(ECRSA)
  • 自動化導入サポート

また、最適な自動化ソリューションの提案も可能です。

従業員の教育

従業員の育成もDX推進の成功に重要です。従業員全体のリテラシーを高めることで、デジタルツールをより有効活用可能になります。また、高度なツールを使いこなせるようになれば、新たな価値の創造もしやすくなるでしょう。

スモールスタート

スモールスタートするのも良いでしょう。いきなり大きな変革を起こすと、現場従業員の反発を招く恐れがあります。まずは、小さくはじめ成功したら拡大するサイクルを繰り返すことで、失敗のリスクを抑えられます。

セキュリティの強化

DXの推進にはセキュリティ強化も必要です。特に、個人情報を取り扱う場合、漏洩すれば企業の信用やブランドイメージが低下する原因になります。デジタルツールを活用する企業が増えるとともに、サイバー攻撃が増加・高度化しているため、対策が欠かせません。

まとめ

DX推進とは、デジタルツールを活用してビジネスモデルや業務プロセス、組織文化の変革を行う「DX」を実現するために積極的な取り組みを実施することです。経済産業省がDXレポートの中で「2025年の崖」の問題を指摘し、基幹システムの複雑化・ブラックボックス化が進めば、2025年以降年間最大12兆円の経済損失が生じるとされています。また、競争環境が激化しているためDXを推進しなければ事業の継続が困難です。

DX推進を行えば、業務効率化や人手不足問題の解決、新たなビジネスの創造など多くのメリットを得られるでしょう。ただ、DX推進を行う上で専門人材の不足や複雑な業務、ツール活用の難しさなどが課題となっている企業も存在します。

自社での推進が難しい場合には、外部パートナーを上手く利用すると良いでしょう。弊社SMSデータテックの自動化コンサルティングでは、業務の「自動化」を通して省人化や生産性の向上、コスト削減の実現をサポートしています。DX推進に課題を感じている方は、お気軽にご相談ください。

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