
2026年3月11日(水)に製造業向けのDX推進に関する共催セミナーを開催いたします! という課題を抱える方も多いのではないでしょうか...
製造業でDXを推進している事例を知りたい方は多いでしょう。企業競争力の強化などを目的に、 DXに取り組みたいと考える製造業も増えていますが、なにから始めれば良いかわからない方も多いでしょう。
本記事では、製造業DXの概要とIT化の違いや、実際にDXを推進しており業種や取り組み内容が異なる事例15選、失敗する落とし穴と成功のための進め方について詳しく解説します。他社のDX事例を参考にしたい方、成功する進め方を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
製造業におけるDXとは、デジタル技術の活用により製造プロセスやビジネスモデル、組織風土・文化を変革する取り組みのことです。例えば、AIやロボット、IoTの活用で自動生産を行う取り組みがDXに該当します。
ここからは、製造業DXに関する以下の事項について解説します。
製造業DXが重要な理由は、労働人口が減少しているためです。多くの業界で人手不足が叫ばれており、製造業も例外ではありません。特に、高度な技術を保有する人材が不足しているため、これまでと同様の方法で製造を行っていては、現在の生産量・品質を維持できないでしょう。
また、グローバル化などにともなう競争の激化も、製造業でDXが重要な理由の一つです。コストや品質が多数の企業と比較されるため、低コスト化・高品質化に取り組めない場合、将来的に競争力が低下する可能性があります。
DXの推進により、生産性や品質を向上させることが重要です。
製造業DXと工場のIT化は影響範囲が異なります。IT化とは、既存の業務プロセスなどをデジタル技術の活用により効率化することです。一方、DXでは効率化にとどまらず、製造プロセスやビジネスモデルの変革を実施します。
影響範囲は異なりますが、IT化はDXの第一歩です
続いて、製造業DXを推進する以下4つのメリットについて解説します。
製造業DXの推進は、生産性の向上につながります。例えば、ロボットや自動化システムの活用により、無人稼働の時間を増やすなど、生産体制の高度化が期待できます。また、デジタル技術の活用により生産プロセス全体を正確に見える化することで、ボトルネックの発見や解消を実現できます。
作業時間の短縮や自動化により、生産量を増加させ生産性を向上できるでしょう。
コスト削減も、製造業DXにより得られるメリットの一つです。自動化や効率化は、人件費の削減を可能にします。人手不足にも対応できるでしょう。
また、需要予測AIなどを活用すれば精度の高い原料仕入れや生産の無駄をなくすことも可能です。さらに、IoTによる情報収集やAIによる予測メンテナンスで機械の適切な修繕が可能となり、機械の寿命を延ばすこともできます。
品質の標準化や向上にも製造業DXは役立ちます。多くの製造業では、技術の承継が大きな問題になっています。熟練した従業員の作業を、センサーやカメラを用いて収集して、AIなどで解析し技術承継に役立てている製造業は少なくありません。
また、不良品がないかのチェックに画像認識AIを活用している企業も多数存在します。人の目では見落としやすい不良の検知に役立つ場合があり、不良流出の抑制が期待できます。
製造業DXは、柔軟性の高い生産体制の構築にも有効です。昨今は、顧客ニーズの多様化や変化スピードのアップにより、多品種少量生産が求められています。デジタル技術を活用すれば、リアルタイムでの生産状況把握や短期間での生産ライン変更が可能です。
また、ニーズをいち早く掴み生産に向けた準備をすることもできるでしょう。
製造業でDXを推進している企業は多数存在します。続いて、以下製造業のDX事例15選を紹介します。
※以下の事例は各社の公表情報を基に紹介しています。成果や効果は企業の規模・業種・製造内容・体制等により異なり、同様の結果を保証するものではありません。
日東電機製作所は、配電盤の設計・開発から生産までを担っている企業です。DXという言葉が誕生する以前の1990年代から、独自で経営管理システムを開発して原価や生産工程、在庫の見える化を図っています。また、データと加工機を連携させることにより、板金加工の半自動化を実現しました。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
秋田酒類製造は、秋田流の酒造り技法を守る清酒の醸造メーカーです。酒造りは担い手不足で、休日出勤や深夜・早朝業務も発生して、杜氏・蔵人に多くの負担がかかります。秋田酒類製造では課題解決に向けたDX推進の一環で、生産ラインを遠隔監視可能なシステムを構築しています。2018年に研究用タンク1基で運用をスタートして、2019年にセンサーを追加し、2020年にネットワークの整備で情報共有できる体制を構築しました。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
丸秀は、トラックの車体部品や乗用車のミッション部品など輸送用板金部品を生産する企業です。IoT技術を用いることでQCDを向上させ新規受注の獲得や異業種への参入を可能にする目的で、2018年に「丸秀IoT5ヵ年計画」を策定して、以下の取り組みを行っています。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
永井製作所は、金型を作成しているプレス金型メーカーです。地域DXコミュニティメンバーと連携して、属人化を是正するためにDXを推進しました。具体的には、3D CAD・CAMの導入により従来の2D設計から3D設計に変更しました。その結果、未経験者が戦力になるまでの期間を80%短縮して、金型製作の請負能力が1.5倍に向上しています。
参照:補助金で現場改革、その先のDXに挑んだ永井製作所の成長の軌跡|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
樋口製作所は、金属深絞りプレス加工のグローバルトップメーカーです。2019年からDXに取り組んでおり、全部門のデータ共有を可能とするために社内プラットフォームを開発して、各種管理データ・ノウハウ連携で品質と生産性の向上を実現しました。また、過去の品質情報の分析によりトラブルの事象と原因、対策を学習するAI技術伝承システムの開発・活用で、技術の承継を強化しています。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
西機電装は、造船所や製鉄所のクレーンで使われるユニット型制御盤などを製作している企業です。適切な情報共有ができず、製造工程のやり直しや品質の低下などの課題があったため、ノーコードツールである「kintone」の導入・活用を行いました。その結果、情報共有がスムーズになり工程管理の効率化に成功しています。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
セイブは、電線とその支持物との間を絶縁する器具「碍子」を製造・販売している企業です。経営者が社内のDX推進者と連携して、変量生産に対応するためのAIロボットを用いた検品工程の自動化や、勘・経験などに依存する品質管理脱却に向けIoTとクラウドを活用したデータによる品質管理の実現などに取り組んでいます。
参照:「DXセレクション2022」選定企業レポート|経済産業省
フジワラテクノアートは、醸造食品を製造する機械・プラントなどを造るメーカーです。部門横断の委員会を組成して、自社主導で基幹システムの刷新などDXに取り組みました。その結果、業務プロセス・進捗の可視化による効率的な製造やミスの削減、メンテナンス用部品の納期短縮など多くの成果を実現しています。
参照:「DXセレクション2023」選定企業レポート|経済産業省
池田食品は、豆菓子やナッツ、かりんとうなどを製造・販売する菓子メーカーです。OJTなどにより、デジタル人材の社内育成に取り組んでいます。また、外部ベンダーと協力して受発注や生産、在庫などを一気通貫で管理可能なシステムを構築しました。その結果、従来手作業で行っていた在庫確認が、端数確認で完了する体制の構築に成功して大幅な効率化を実現しています。また、正確な原料在庫の把握も可能となり、少量多品種生産が容易になりました。
参照:「DXセレクション2023」選定企業レポート|経済産業省
田代製作所は、室内用木製ドアやドア枠、クローゼットドアの製造を行う企業です。納期の短縮や品質向上による競争優位性の確保を目的に、独自の生産管理システム構築に取り組みました。その結果、リアルタイムな進捗管理が可能になり、受注から出荷までの納期短縮に成功しています。
参照:「DXセレクション2023」選定企業レポート|経済産業省
宮川工業は、ターボ向けアクチュエーターや金属プレス部品、金型を製造している企業です。全社員の自発的なデータ駆動型業務へのシフトに向け、以下を実施しました。
その結果、稟議・決済が3日から15分に短縮して日々の事務作業が簡略化されました。
参照:「DXセレクション2023」選定企業レポート|経済産業省
山口産業は、膜構造建築物や合成繊維などの製造・販売を行う企業です。自社開発で完成品原価分析システムなどを構築して、生産工程の効率化を図っています。また、DX人材の育成に向け資格取得支援制度や、DX関連資格習得に応じた人事評価制度も整備しました。
参照:「DXセレクション2024」選定企業レポート|経済産業省
鶴見製紙は、トイレットペーパーの製造・販売を行う企業です。DXに関する課題の管理や推進を目的に、各部門で1名以上のDX委員会を任命して部門横断型の取り組みを行うとともに、売上の1%を目途に予算を配分し、さまざまな施策を実施しています。具体的には、点検データを電子化したことで迅速に確認できる体制を整備して、品質向上を実現しました。
参照:「DXセレクション2024」選定企業レポート|経済産業省
NISSYOは、産業用トランスやリアクトル、制御盤の設計・製造を行う企業です。データドリブン経営の実践に向けたポータルサイトへのデータ集約や、iPadの全従業員配布・積極的利用の促進など、さまざまな取り組みを行っています。その結果、サプライチェーン全体でのEDI利用率が87%になり、設計図面の電子化で年間60万枚のペーパーレス化を達成しました。
参照:「DXセレクション2024」選定企業レポート|経済産業省
Jマテ.カッパープロダクツは、非鉄金属製品の製造を行う企業です。生産性向上と自動化を目的に、RPAの推進を行った結果、年間累計3,000時間の業務削減を達成しました。また、ダッシュボード導入で生産性が37%向上して、1時間当たりの出来高が6.4個から8.8個に増加しています。
参照:「DXセレクション2024」選定企業レポート|経済産業省
多くのメリットを得られるDXですが、成功している企業ばかりではありません。ここからは、製造業DXが失敗する以下3つの落とし穴について解説します。
目的が明確でない場合、DXに失敗しやすくなります。ゴールが定まっていなければ、なにをどの程度行えば良いかが明確になりません。順調に進んでいるか、改善が必要かの判断もできないでしょう。
また、デジタルツールの導入で満足してしまい、効果的な活用をせずに推進を辞めてしまう恐れもあります。
DXは一朝一夕で成果を得られる取り組みではありません。短期的な視点で取り組むと、失敗するリスクが高まります。例えば、使いこなせない高機能なシステムを導入して活用されず形骸化する恐れがあるでしょう。
また、急激な変化は従業員に大きな負担をかけます。従業員が不満を抱き、反発が生まれる可能性があります。
現場従業員の理解・協力を得ないことも、DXが失敗する原因になります。DXの推進に経営層の強烈なリーダーシップは不可欠ですが、従業員の理解・協力なくして成功するものではありません。
例えば、現場従業員からヒアリングしなければ、正確な業務プロセスや課題は把握できないでしょう。また、従業員が使いこなせないツールを導入してしまう恐れもあります。
最後に、製造業DXを成功させるための以下進め方について解説します。
まずは、目的とビジョンを明確にしましょう。ゴールが明確になることで、なにが必要かを整理できます。また、実施施策の検討や優先順位付けもしやすくなるでしょう。
目的・ビジョンが設定できたら、全従業員と共有します。目的やメリットを伝えることにより、従業員の理解・協力を得やすくなります。
続いて、経営層主導による推進体制を構築します。DXの推進は、現場従業員に丸投げするのではなく経営層の強烈なリーダーシップで主導することが重要です。システム部門や経営企画部門を中心に、各部門のキーマンを選出して推進チームを組成しましょう。
推進体制が構築できたら、業務プロセスの可視化と問題点の棚卸しを行います。正確に状況や課題を把握すれば、最適な施策の検討・実施が可能です。また、実態に合わないシステムの導入なども避けられるでしょう。
続いて、DXビジョン・戦略・計画を策定します。DXを長期的な施策と捉え、優先順位を付け戦略や計画を検討することが重要です。優先順位を付ける際には、想定される効果と実施難易度の2軸で各施策を整理するのがおすすめです。
また、計画は「誰が」「いつまでに」「なにを行うか」を明確に決めましょう。
戦略や計画が決まったら、スモールスタートによる実証実験を行います。特定の業務や部署に絞り、課題がないかや期待する成果が出るかを検証します。
いきなり大規模でツール・システムを導入すれば、失敗した際の損失が増加するでしょう。スモールスタートすることにより、失敗するリスクを軽減可能です。
スモールスタートで問題がなければ、全社展開に向けた運用体制を構築しましょう。特定の業務や部署での実施とは異なり、全社展開はさまざまな範囲に負担がかかります。マニュアルの整備や説明会の実施で、従業員が受け入れやすい体制を構築しましょう。
また、フォロー体制の検討も重要です。
定期的に効果検証して、問題があれば対策を検討・実施します。成果の向上には、PDCAを回すことが欠かせません。
また、合わせてDX人材の育成にも取り組むと良いでしょう。近年は、IT人材が不足しているため採用が容易ではありません。採用だけでなく、自社にいる既存人材の育成にも取り組むことが重要です。
製造業DXに取り組んでいる企業は多くあります。成功すれば、生産性の向上やコスト削減、柔軟性の高い生産体制の構築など、多くのメリットを得られるでしょう。ただ、全ての企業がDXに成功しているわけではありません。目的が不明確な場合や短期的な視点で取り組んでいたり、現場従業員の意見を聞かなかったりすれば、失敗するリスクが高まります。
まずは、目的やビジョンを明確にした上で、既存の業務プロセス・課題の棚卸しを行い、スモールスタートで検証して全社展開を行うと良いでしょう。
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