業種別DXの推進事例24選!成功している企業の共通点とポイントも解説

コラム

「DX推進」が進む中、実際にどのような企業が成果を上げているか事例が気になる方は多いでしょう。DX推進で成功している企業・失敗している企業はそれぞれ共通点があります。成功企業に共通するポイントを理解すれば、自社の取り組み方がみえてくるでしょう。

本記事では、DX推進の概要や業種別DXの推進事例24選、成功している企業の共通点とポイントについて詳しく解説します。DX推進事例を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

DX推進とは

DX推進とは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)を実現するために、積極的な取り組みを行うことです。そもそも、DXとはデジタル技術を用いてビジネスモデルを変革し、業務プロセスや企業文化・風土を革新して競争優位性を確立することを指します。単なるデジタル化やIT化ではありません。DX推進は、企業の成長や発展に不可欠な要素です。

DX推進の必要性とメリット

DX推進が必要な理由や取り組む主なメリットは以下の通りです。

  • 業務効率や生産性の向上
  • 人手不足問題の解決
  • さまざまな働き方の実現
  • 新たなビジネスの創出
  • 企業競争力の向上
  • 2025年の崖問題への対応

ビジネスモデルや業務プロセスの変更により、業務効率・生産性の向上を図れます。収益性が高まれば、少ない手間でより多くの利益を得られるようになるでしょう。また、人が行っていた業務プロセスを機械やツールが代替することで、人手不足問題の解決にもつながります。さまざまな働き方に対応可能になれば、従業員の満足度向上も期待できます。

なお、DX推進の概要やメリットの詳細は以下をご覧ください。
⇒DX推進とは?メリットや推進するステップ、直面する課題と成功させるポイントを解説

業種別DXの推進事例24選

続いて、以下の業界別にDXの推進事例を紹介します。

  • 製造業
  • 食品・飲食業
  • 小売・EC
  • IT・情報・通信業
  • 金融・保険業
  • 土木・建設・不動産業
  • 化学
  • 物流・交通・運輸業
  • 医療・製薬業

製造業のDX推進事例

まず、製造業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • ブリヂストン
  • クボタ
  • 旭化成

ブリヂストン

ブリヂストンは、DX推進の一環で技能伝承システムを開発しました。技能伝承システムでは、熟練した従業員の高度な技術をカメラやセンサーで計測して、新人の教育に活用しています。また、データに基づくタイヤ摩耗予測技術の開発で、タイヤ交換業務の効率化に成功しました。

クボタ

クボタは、さまざまな経歴を持つ従業員を採用してDX推進を行っています。例えば、ARを用いて建設機械の故障を確認可能なアプリを開発し、業務効率化や質の向上を実現しました。また、ビッグデータやAIの活用も行っています。

旭化成

旭化成は、経営基盤の強化を目的にDX推進に取り組んでいます。具体的には、デジタルツインによるプラントの遠隔操作や故障対応により、作業の安全性と効率を向上させました。また、デジタル共創本部を設置して、各部門との連携体制を強化しています。

食品・飲食業のDX推進事例

次に、食品・飲食業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • キリンビール
  • キユーピー

キリンビール

キリンビールでは、商品の安定供給を目的にSCM(Supply Chain Management)部を設立しました。SCM部ではMJ(未来の需給をつくる)プロジェクトを推進しており、その一環で資材需給管理アプリや製造計画作成アプリの開発・運用を行っています。

キユーピー

キユーピーは、製造した食品の品質検査にAIを導入しました。その結果、検査精度と速度の向上に成功しています。また、AIの追加学習も行っており、今後さらに精度・速度が高まると期待されています。

小売・ECのDX推進事例

続いて、小売・ECの以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • アスクル
  • ユニクロ
  • 資生堂ジャパン

アスクル

アスクルは、デジタル技術の活用によるDXでビジネスモデルの変革に成功しました。具体的には、生成AIを活用した商品開発や需要予測を行っています。また、デジタルネイティブ人材の積極採用と育成でDX推進を加速させています。

ユニクロ

ユニクロは、顧客視点で業務改革を行う「攻めのIT」を目指している企業です。具体的には、店舗への無人レジ導入やEコマースと実店舗の融合などによりDXを推進しています。また、リアルタイムの販売状況に応じて出荷する体制の整備も行っています。

資生堂ジャパン

資生堂ジャパンは、ECサイトと融合したオウンドメディアの改良に注力しています。具体的には、閲覧機歴などのデータ分析を行いサイトに流入した各ユーザーに合う情報提供を行っています。また、データでユーザーの表情を捉えるためのマーケティング施策も実施しました。

IT・情報・通信業のDX推進事例

続いて、IT・情報・通信業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • KDDI
  • ソフトバンク
  • ニフティ

KDDI

KDDIは、DX推進本部の新設や戦略子会社の設立によりDXを推進して、新たなビジネスを創出しています。具体的には、法人向けのデバイスやデータ保護ソリューションを展開しました。また、データ管理やセキュリティに関する蓄積したノウハウを、顧客支援で役立てています。

ソフトバンク

ソフトバンクは、DXの推進により全ての人がデジタルの恩恵を受けられる社会の創造を目指している企業です。多くの従業員がDX推進に取り組んでおり、貢献した従業員やチームを表彰する制度を設け、積極的な取り組みを促しています。また、多彩な業界のリーダーや異業種との連携を強めることで、新たな事業創出も行っています。

ニフティ

ニフティは、ポータルサイトへのパーソナライゼーションツールでCTR(クリック率)やCVR(コンバージョン率)の向上に成功しました。具体的には、CTRが4倍CVRが2.3倍に増加して、コンテンツ販売の月間売上は10%向上しています。

金融・保険業のDX推進事例

次に、金融・保険業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • 鹿児島銀行
  • ソニー損害保険
  • 東海東京フィナンシャル・ホールディングス

鹿児島銀行

鹿児島銀行は、DX推進の一環で顧客向けのキャッシュレス決済アプリ「Payどん」を開発しました。また、鹿児島県とDX推進に関する連携協定を締結して、行政サービスのデジタル化支援を行っています。

ソニー損害保険

ソニー損害保険は、AIやセンシングなどの最先端テクノロジーを活用して事故リスクを計測する「GOOD DRIVEアプリ」を開発しました。専用デバイスを自動車に設置すれば、安全度合いを示す運転スコアや運転アドバイスが表示されます。

東海東京フィナンシャル・ホールディングス

東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、DX銘柄2024に選出された企業です。DX推進に関するさまざまな取り組みを行っており、例えばAIを用いたデータベースマーケティングを行っています。データベースマーケティングでは、AIが顧客属性や保有銘柄と残高、コンタクト履歴などの顧客データとアンケート結果を連携させ、商品別購買確率予測リストを作成します。営業担当者がリストを活用することで、営業品質の均一化と生産性の向上に成功しました。

土木・建設・不動産業のDX推進事例

続いて、土木・建設・不動産業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • 八千代エンジニヤリング
  • 大東建託
  • 野村不動産ソリューションズ

八千代エンジニヤリング

八千代エンジニヤリングは、DX推進によりコンクリート護岸の点検・改修に成功しています。具体的には、画像を基にコンクリート護岸の劣化を検知するアプリケーションを開発しました。その結果、現場での工数を5分の1に削減でき、人が行うのと同程度の精度を実現しました。

大東建託

大東建託は、AIを用いた自動分類システムを開発して不動産賃貸物件に関する写真の分類・登録を効率化しました。従来、手作業で写真のカテゴリー分けを行い、1物件あたり5分から10分程度時間がかかっていました。開発したシステムの利用で1物件あたり70%作業時間効率化を効率化でき、1ヵ月あたり約3,000時間の工数削減に成功しています。

野村不動産ソリューションズ

野村不動産ソリューションズでは、DX推進の一環でBtoC向けマーケティングオートメーションツールを導入しました。また、AIを活用して、各ユーザーに応じた情報提供を可能にしています。

化学のDX推進事例

次に、化学の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • 三菱ケミカルグループ
  • 旭化成

三菱ケミカルグループ

三菱ケミカルグループでは、現場従業員の自主性を尊重した化学プラントDXを行っています。具体的には、自主参加可能なDX推進会議とデジタルツールの活用による情報共有プラットフォームを整備して、DX推進に関するモチベーションを高めています。

旭化成

旭化成は、DX推進を経営基盤強化における重要テーマの一つと捉え取り組みを行っています。特に、データ活用に重点を置いており、素材開発の期間短縮と高度化に成功しました。また、デジタル人材の育成や採用も強化しており、人材交流を促進する体制も整備しています。

物流・交通・運輸業のDX推進事例

続いて、物流・交通・運輸業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • 日本通運
  • 湯浅運輸
  • 日本交通

日本通運

日本通運は、自動フォークリフトとオートレーターの連携により、夜間における出荷準備作業の自動化を実現した。また、繁忙時の入・出庫作業の補助にも活用しています。その結果、残業を年間3,000時間、人件費約1,000万円の削減に成功しました。

湯浅運輸

湯浅運輸は、ツール導入によるデジタル化で事務員の負担軽減に成功しています。ツールを活用した結果、ペーパーレス化を実現して書類整理業務がなくなり効率化を実現しました。また、改善基準告示に準拠した運行指示書を作成しやすくなり、コンプライアンス違反の防止にもつながっています。

日本交通

日本交通は、日本初のタクシー配車アプリを開発した企業です。日本交通のDX推進により同社の売上向上だけでなく、ユーザーの利便性が高まりタクシー業界の発展に貢献しています。また、余剰タクシーの抑制により、二酸化炭素の排出量軽減にも役立っています。

医療・製薬業のDX推進事例

最後に、医療・製薬業の以下企業におけるDX推進事例を紹介します。

  • 児玉経堂病院
  • ほなみ薬局

児玉経堂病院

児玉経堂病院は、2021年から電子カルテを導入してDXを推進しています。電子カルテを導入した結果、情報を確認しやすくなりカルテ作成の負担軽減を実現して、従業員の帰宅時間が30分早まりました。働きやすさが向上して、従業員の定着率も高まっています。

ほなみ薬局

ほなみ薬局は、2014年から電子薬歴を導入してDX推進を行っています。電子薬歴の導入により、薬剤師の薬歴入力軽減に成功しました。また、過去処方した薬剤もわかりやすくなり、患者の安全確保も可能になっています。

DX推進が失敗する要因や課題

DX推進を行っている企業が少なくありません。ただ、DXの目的が曖昧なまま「システム導入だけ」で終わり、現場の業務が変わらないままになっている企業が多く存在します。
DX推進が失敗する要因や課題はさまざまですが、目的が不明確だったり理解しきれていなかったりすることが最大の要因です。「DX推進=ITツールの導入」と捉えている企業や経営者は少なくありません。ツール導入はあくまで手段で、導入した上でなにをしたいかが重要です。

DXの推進に成功している企業の共通点とポイント

最後に、DXの推進に成功している企業の以下共通点とポイントについて解説します。

  • DXの本質的な理解
  • 目的や長期ビジョンの明確化
  • 経営層の理解と社内協力
  • スモールスタートとPDCAの徹底
  • 外部パートナーの利用

DXの本質的な理解

DX推進に成功している企業はDXの本質を理解しています。DXの本質は「デジタル化」ではなく「業務変革」です。ITツールを導入して、業務を効率化することではありません。例えば、RPAによるバックオフィス業務の削減やデータ分析に基づく営業活動の最適化、AIを活用したセキュリティ監視の自動化など、業務プロセスの抜本的な見直しがDXの本質です。

目的や長期ビジョンの明確化

目的や長期ビジョンの明確化も、DX推進に成功している企業に共通する事項です。DXの推進は一朝一夕でできることではありません。時間をかけながら段階的に取り組む必要があります。ただ、時間がかかるほどモチベーションは低下して、目的を見失いがちになります。
DXを推進する際には、まず目的や長期ビジョンを明確にしましょう。明確な目的は取り組みを行う際の指針になり、手段の目的化を防ぎやすくなります。

経営層の理解と社内協力

DX推進の成功には、経営層の理解と社内協力も欠かせません。前述の通り、DX推進は時間がかかる取り組みです。また、長期的にみればコスト削減につながりますが、ツールの開発・導入や専門人材の採用・育成など先行投資が必要です。経営層が正しく理解するとともに、重要な経営課題と捉えて取り組みを行わなけば推進できません。また、最初は経営層の強烈なリーダーシップで推進する必要があります。
社内の協力も重要です。導入したツールを活用するのは現場の従業員です。どんなに有用性の高いツールを導入しても、活用されなけば意味がありません。目標を立てる際には、従業員にとってどのようなメリットがあるかも明確にして伝えると良いでしょう。

スモールスタートとPDCAの徹底

スモールスタートとPDCAの徹底も、DX推進に成功している企業の共通点です。DXの推進には初期費用や専門人材が必要となるため、いきなり大規模な取り組みをすることは困難です。また、一度にさまざまなことを変えると現場が混乱する恐れがあります。まずは「現場課題の可視化」から始め、段階的に自動化・効率化を実行していくと良いでしょう。スモールスタートすることで、失敗リスクも軽減できます。
またPDCAの徹底も重要です。DX推進が最初から上手くいくとは限りません。問題点を分析して改善を繰り返すことで、より多くの成果を得られます。

外部パートナーの利用

DX推進に成功した企業は外部パートナーを上手く活用しています。自社のみでDX推進を行う場合、ノウハウを蓄積するのに時間がかかりDX推進が遅れるでしょう。外部パートナーを活用すれば、専門的な知識やスキルを利用できるため、スムーズにDXを推進できます。また、失敗するリスクも軽減できるでしょう。まずは、外部パートナーの利用でノウハウを蓄積して、自走できるようになったら自社のみでDXを推進することがおすすめです。

DX推進の成功には、ツール導入ではなくプロセス設計+自動化の戦略的支援が必要です。弊社SMSデータテックの「自動化コンサルティング」では、業務の可視化から自動化戦略の策定、ツール選定・導入支援までを一貫してサポートしています。「DXを進めたいけど何から始めればいいかわからない」とお考えの企業を伴走支援しているため、ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

DX推進とは、デジタル・トランスフォーメーションを実現するために、積極的な取り組みを行うことです。実施すれば、業務効率・生産性の向上やさまざまな働き方の実現、新たなビジネスの創出など多くのメリットを得られるでしょう。
ただ、DX推進を行う企業が多いものの、失敗している企業が少なくありません。DX推進で失敗する主な理由は、DXに関する本質的な理解ができていないことです。DX推進の成功には、目的・長期ビジョンの明確化や経営層の理解と社内協力、スモールスタートとPDCAの徹底が重要です。

また、外部パートナーを上手く活用すると良いでしょう。外部パートナーの活用は、DX推進のスピード向上や失敗リスクの軽減、ノウハウ蓄積に効果的です。弊社SMSデータテックではDX推進をサポートする「自動化コンサルティング」を行っています。ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

まずはお気軽にご相談ください
お問い合わせフォーム

おすすめイベント・セミナー 一覧へ

SamuraiDX 2025 冬に登壇いたします!
イベント・セミナー

弊社事業開発室の社員が 2025年12月11日(木)~12日(金)開催のSamuraiDX 2025 冬に登壇します!どなたでも参加・...