クラウドリフト&シフトとは?メリットと導入上の重要ポイントを解説

ハイブリッド&マルチクラウド
#IT基礎知識
#クラウド

現在は、クラウドが中心となっており、クラウドファーストの言葉をよく耳にするようになりました。オンプレミスからクラウドへ移行する際に、クラウドリフト&シフトを行う機会もあります。今回は、クラウドリフト&シフトとは何なのか、移行の手順やメリット、クラウドを活用する上で重要な点を解説します。

クラウドリフト&シフトとは

クラウドリフト&シフトとは、企業の情報システムをクラウドへ移行する手法の一つです。既存システムをそのままクラウドに持ち込むことをリフトと言い、リフトしたシステムを漸進的にクラウド環境に最適化していくことをシフトと言います。
つまり、既存システムをPaaSで実行できるよう直接作り替えるのではなく、最初にIaaSを使って部分的にクラウド化、その後クラウド化したシステムをPaaSで再構築するイメージです。クラウドリフト&シフトは他の移行方法と異なり、業務への影響を抑えながら移行を進めることができます。アプリケーションの構成やシステムの使い勝手を変えずに移行できるため、ユーザーは従来通りの使用感を維持できます。しかし、その反面で、オンプレミスを前提としたシステムの場合、クラウドのメリットを最大限引き出すことが困難なことも多いので注意が必要です。 

クラウドリフト&シフトの手順

クラウドリフト&シフトは、一般的に次の順で実施します。

  1. サーバやOSなどのインフラ環境の移行
  2. 移行が容易かつ業務影響が少ないシステム
  3. 2の結果や知見を元に既存システム全体を移行

クラウドリフト&シフトを成功させる上で「2.移行が容易かつ業務影響が少ないシステム」が鍵を握ります。業務影響が少ないシステムを先に移行する目的は、移行手順や運用についてのノウハウを得ることにあります。一度にすべてを移行しようとすると、エラーや不具合が発生した際に、原因の特定が困難になり頓挫する危険性が潜んでいます。仮にエラーなく移行できたとしても、安定稼働が実現するまではノウハウを蓄積し続ける必要があります。移行が容易かつ業務影響が少ないシステムでテストすることで、移行が失敗するリスクを低減し、システム全体を首尾よく移行できるようになるのです。

クラウドリフト&シフトのメリット

クラウドリフト&シフトのメリットとして、次の2点が挙げられます。

BCP対策になる

BCP対策は、地震や停電、火災などの緊急事態が発生しても中核事業の継続と早期復旧ができるよう対策を講じることです。
クラウドリフトすることで、重要データの安全性が保証できるだけでなく、災害時の対応も明確になります。クラウド上でBCP対策を行うことで、中核事業の継続・復旧が困難な場合でも自社で柔軟に対応できるようになるのです。結果として、企業価値や信頼性の向上に繋がります。

高可用性を担保できる

クラウド上で管理・運営を行うことで、トラブルや災害発生時でも他の端末から操作できます。可用性を担保できることで、サービスの提供や中核事業が停止する事態を防ぐことができます。

クラウドリフト&シフトで重要なこと

最近はクラウドファーストが主流です。クラウドは、コスト削減や安定運用などの「守り」を目的に導入することもあれば、生産性の向上や運用プロセスの改善、災害時の中核事業の継続・早期復旧などの「攻め」を目的に導入することもあります。特に「攻め」を目的とした場合、クラウドでの安定稼働が実現後、クラウドだけの独自機能の導入やクラウドサービスを利用したアプリケーションの再構築などが必要です。例えば、生産性を向上させるためには、クラウド環境を前提としたクラウドネイティブなシステムへ作り変えることも効果的な手法です。重要なのは、クラウド移行が完了しただけで取り組みをやめないことです。クラウド移行後のその先を考えることがクラウドを活かす秘訣です。

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まとめ

クラウドリフト&シフトとは何なのか、移行の手順やメリット、クラウドを活用する上で重要な点を解説しました。クラウドは、ただ闇雲に移行すればいいわけではなく、安全かつ効果的に移行することが望ましいです。そのためにも、少しずつ移行することを意識しましょう。焦らずにクラウドリフト&シフトを行うことが移行への近道です。

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