AIトレンドのネクストステップ、AI活用を加速するAIエンジニアリングとは

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AI活用を加速するAIエンジニアリングとは

実用化が進むAI技術。Webやその他のIT技術と組み合わせて、企業や組織のデジタルな仕組みへの導入が進められています。
現状、AIを活用したシステムは専門的な分野として構築・利用されています。そのため、多方面での活用をすすめるにあたって、スピード感や柔軟性などの点が課題となっています。この課題を解決すべく、高速な改善のサイクルを実現するDevOpsの手法を取り入れたAIの開発が必要とされています。

本記事では、AI技術の活用法や、ガートナーのテクノロジートップトレンドにも選出されたAIエンジニアリングについて紹介します。

AI活用の普及

2021年はAIの実用化事例についてよく耳にする年でした。その要因の一つとしてあげられるのがパンデミックの影響です。AI活用について、パンデミックでの普及促進と現在のフェーズについて記載します。

パンデミック下の企業を支える技術として

突如世界中を襲った新型コロナウイルスの蔓延は社会状況に大きな影響を与えました。企業においても、外出の自粛により従業員が出社できない状況が生まれました。
これにより大いに普及が進んだリモートワークとともに、AIを活用した打開策も生まれており、AIの普及の一助となっています。

チャットボット

コールセンターやヘルプデスク業務では電話やメール、チャットを利用した問い合わせの受付を行います。この業務において大きな活躍を見せたのがチャットボットです。

チャットボットは顧客のチャットによる問い合わせを、AI技術の活用によりボットが自動的に回答する仕組みです。業務によって問い合わせの内容は違いますが、繰り返し行われる問い合わせとその回答をAIは学習し、最適な受け答えを作り上げます。チャットボットが導入されることでコールセンターやヘルプデスクに人が出社して問い合わせへの回答を行う必要を減らしています。
※チャットボットで最適化できる内容には限りがあります。

省力化

チャットボットは一つの例で、AIは業務における定型化できるあらゆるタスクを自動化するのに活用できます。機械学習では、繰り返し行われる業務のデータを学習対象とし、業務の最適化を行います。AIを活用することで幅広く各種分野での業務省力化、最適化が図られているのです。
例えば、営業分野では顧客の属性、購買履歴などから成約の確率が高くなる顧客を見つけ効率的なアプローチを支援します。顧客にあわせた商品のリコメンドもAIで実行することができます。

人事業務においては、HRTechとして利用されています。エントリーシートの定型的で判断可能な範囲においてはAIにチェックを任せ、担当者は人間がみなければ判断できない箇所のチェックに注力できるようになります。

生産においては、スマートファクトリーがAI活用の一つの筋道です。AIが熟練工が行っていた業務をデータとして読み込んで学習することで、熟練工でしかできなかった業務を実現します。

AIの民主化(普及)

AIの民主化とは、単純に言えば技術革新によりAIが専門的すぎる技術ではなくなり、利用がしやすくなって各分野での活用フェーズに転じている状況を意味しています。

総務省による令和元年版情報通信白書でもこのAIの民主化について触れています。AIの民主化の前提となっているのは、機械学習に適したプロセッサー、AIのためのフレームワーク、プラットフォームといった関連技術の拡充によるものです。開発者たちがGitHubにソースコードを公開し、オープンソースとしていることも、AI活用のハードルが下がることに貢献しています。

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AI活用の推進に必要となるAIエンジニアリングとは

AI技術の活用がしやすくなったとはいえ、いざ活用しようと考えた場合にはまだ不明な点が残っており、活用に踏み切りづらいかもしれません。

以下では、AIを活用するためのAIエンジニアリングに関する情報について記載します。AIエンジニアリングへの情報を補足することで、より現実的にAIの活用が感じられるでしょう。

AIプラットフォームの普及

AIエンジニアリングにおいて重要な要素は、利用しやすく、展開しやすいことでしょう。これまでAIを活用したプログラムは専門性の高い技術により構築されており、一般的に手が出しにくく、再利用も難しい部分がありました。これを解決するために利用が広がっているのがAIプラットフォームやフレームワークです。

AIプラットフォームはAIの技術を簡単に利用できるように部品として提供しており、他の部品と組み合わせることでAIを利用した仕組みを提供します。他の部品と同様のレベルで扱えるようにしてあるため、従来のITエンジニアリングに近い扱いができ、再利用性やスケーラビリティ、安全性が高められています。

AI技術者の育成

AIエンジニアリングの実現に必要な要素として、AIを扱える技術者の存在があります。
プラットフォームやフレームワークによって利用のハードルが下がり、AIを活用したシステムを作り上げた後には、そのシステムを運用し、改善していくフェーズが存在します。企業におけるAIシステムの構築は専門的なノウハウを持つ外部へ委託されることが多く、構築後も委託先に運用、改善を依頼していくのであれば多大なコストがかかります。また、せっかく構築したAIシステムのノウハウも所有者の企業には溜まっていきません。

AIの活用を行う場合、専門性の高いAIシステムを構築できなくとも、AIに関する知見を持ち、AIシステムの運用と改善サイクル、最適化を考えられるAI技術者を育てていく必要があります。

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AI分野活用におけるDevOps

他のITシステム運用、改善と同様にAIを活用したシステム、サービスでもDevOpsによる高速なプログラムの改修サイクルが望まれます。
構築したAIシステムを積極的に活用しながら最適な仕組みにすることで、より業務へ貢献することができます。

DevOps

DevOpsは、運用と開発を同一のチームで行い、サービスを稼働させながら高速に改善を進めていくことを意味します。DevOpsではアジャイルやスクラムといった開発技法を使い、短いサイクルでアプリケーションのリリースを繰り返します。これには前提として、クラウド、コンテナ、Ansibleといった素早く環境構築を行える技術が関連します。

DevOpsと関連深いコンテナやAnsibleを利用した環境構築については、下記のページも参考にご覧ください。
コンテナはシステム運用を変えてくれるのか?
Ansibleとは?構成管理の自動化でシステム提供のスピードを向上

AIにおけるコンプライアンスとガバナンス

AIのビジネスでの活用において、気を付けておきたいのがコンプライアンスとガバナンスの問題です。

今後、AIが利用される領域は幅広く、銀行・金融業、保険、人事・採用などでも利用が検討されています。これらの業界で保持する重要な情報に対してAIを使ってデータ活用をすることはとても有効的ですが、そこには法律や業界の規制、さらにはプライバシー保護の観点や倫理的な問題も存在します。法令や基準、倫理的な問題については、AIによる仕組み作り・モデリングの段階で調査を行うことが重要です。
また、AIを使ったシステムを作った後には稼働における監視、パフォーマンスのモニタリングが必須となります。特に機械学習ではある時点のデータセットを対象として学習を行い、その結果に対して動作を行うため、データが変わったタイミングで期待しない動作をしてしまうこともあります。このような事態を防ぐために、AIシステムの構築とあわせてガバナンス体制も整える必要があります。

AIを活用した自動化の検討

AIは特定の条件下において、学習データなどをもとにAI自身が考えて判断を下すことができます。この判断ができることにより、多くの業務の自動化に貢献するでしょう。しかし、自社の業務自動化にどのようにAIを生かしたらよいのか、うまくつながらない場合もあります。
弊社では、自動化においてどのようにAIを活用するのかという検討フェーズからご相談を受け付けています。
AIを活用した事例から、最適な自動化をご提案いたします。

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