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コード生成AIとは、入力した指示に基づきコードの生成や作成したコードの修正などを行う人工知能のことです。利用すれば、開発業務の生産性や品質の向上、ミスの防止などが期待できます。ただ、著作権を侵害する可能性があり、利用する際には注意が必要です。
本記事では、コード生成AIの概要や活用するメリット・デメリット、おすすめ12選について解説します。コード生成AIについて知りたい方、開発業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
コード生成AIとは、自然言語処理技術の利用により人が入力した要件に基づくコードを生成する人工知能のことです。DXなどの推進によりシステム開発需要が高まっていますが、エンジニアが不足しています。コード生成AIの活用で、開発業務の効率化や人材不足の解決などが期待できるでしょう。ここからは、コード生成AIの主な機能と仕組みについて解説します。
利用するAIによりできることは異なりますが、主な機能は以下の通りです。
リファクタリングサポートとは、無駄が無いかを分析し、有った場合には整理したコード案を提示する機能のことです。
コード生成AIでは、主に以下の2つを活用してコード生成などを行う仕組みになっています。
自然言語処理技術により、ユーザーが入力したプロンプトを理解し、大量のコードデータを学習したLLMが、文脈に応じた適切なコードを生成します。
LLMの詳細については以下をご覧ください。
⇒LLM(大規模言語モデル)とは?仕組みや活用事例、今後の展望を徹底解説
続いて、コード生成AIを利用するメリットについて解説します。
コード生成AIは、開発業務の生産性向上に役立ちます。定型的なコード入力や繰り返し行われる作業を自動化でき、エンジニアが行う必要がありません。アイディアをAIが形にしてくれます。単純業務の比率を減らし、クリエイティブなアイディアを考えることに時間を割けるでしょう。
また、システムだけでなくAPIドキュメントやユーザーマニュアルの作成に役立つAIも存在します。作成の手間をなくすだけでなく、チームメンバーやユーザーが理解しやすいドキュメント作成に有効です。
コード生成AIの活用は、開発品質の向上にも有効です。コード生成AIは、高度なアルゴリズムや最適なコードを学習しています。事前に学習した最適なコードデータを基にアウトプットするため、効率的でメンテナンスしやすいコード生成が期待できます。
開発スピードの向上も、コード生成AIを活用するメリットの一つです。自分で大量のコードをタイピングする必要はありません。スピーディーに開発できれば、顧客の要望に応じた納品を実現できます。
コード生成AIの活用は、ヒューマンエラーの防止にも効果的です。AIがバグのパターンをインプットしており、構文エラーやタイプミスなどを自動修正してくれます。また、エラーやセキュリティにおける脆弱性の発見にも役立ちます。
業務効率化や開発スピードのアップは人件費の抑制につながり、その結果コスト削減につながります。近年はDX需要の高まりに起因して、エンジニアが不足し人件費が高まっています。コスト削減で開発単価を抑えられれば、他のメーカーと差別化でき企業競争力が向上するでしょう。
プログラミングスキルの向上にも、コード生成AIは有効です。適切なコードの生成や修正を行ってくれるため、利用者は最適なコーディンプラクティスを学習できます。中には、コメントや説明文が付与されるツールもあり、エンジニアの育成につながるでしょう。上手く活用すれば、エンジニア不足の解決も期待できます。
メリットがある一方で、デメリットも存在します。ここからは、コード生成AIを活用するデメリットについて解説します。
AIが生成したコードの質は、事前にインプットした内容とプロンプトに比例するため、常に最適であるとは限りません。とくに、複雑なロジックのコードを生成する場合、不適正なコードが生成されるケースがあります。また、学習データの偏りや曖昧なプロンプトも、生成されるコード品質が下がる原因です。
性能の限界もコード生成AI利用のデメリットです。学習していなければ、最新テクノロジーやトレンドに対応できません。また、複雑な問題や微妙なニュアンス、特定の要求に対して適切な対応ができない可能性も存在します。
AIを過度に利用すれば、スキルの低下を招くリスクもあります。とくに、初心者や開発経験が少ないエンジニアがAIに頼り過ぎれば、自分で調べたり考えたりする機会が減少し、プログラミングスキルが向上しません。
AIが生成したコードに、脆弱性やサイバー攻撃への対策が不十分なものが含まれる可能性があります。必ずしも業界のセキュリティ対策基準を満たしたコードが生成されるとは限りません。セキュリティリスクが高まる可能性があります。
次に、おすすめのコード生成AI12選を紹介します。
AlphaCodiumは、無料で利用できるオープンソースのAIコード生成ツールです。前処理と反復処理をわけて実行する設計となっており、性能の高さが特徴です。また、競技プログラミング用に開発されたツールであるため、高い処理能力も有しています。
Alphacode 2は、プログラミングに特化した生成AIで、Googleのグループ会社であるDeepMindが発表したGemini Proが活用されています。高い柔軟性と適応能力を備えており、競技プログラミングで上位15%に入る好成績を納めました。
Amazon CodeWhispererは、プログラミングの効率化と品質向上をサポートするコード生成AIです。機械学習を活用した汎用的なコードジェネレーターで、Amazon内部とオープンソースのコードを事前学習しています。エンジニアが入力したコメントや既存コードに基づき、適切なコード提案を行ってくれます。
Codeiumは、開発者の生産性向上を目的に開発されたコーディンサポートAIです。コードの自動補完や提案を行ってくれるため、スピーディーかつ正確なプログラミングを実現できます。また、数多くのプログラミング言語に対応しており、利用しやすいでしょう。
Code Llamaは、Metaが開発・提供しているコード専用の生成AIです。プログラミングやプログラムの補完、プログラムに関する質疑応答が可能です。以下3種類のモデルが用意されており、状況に応じて利用するものを選択できます。
なお、Llamaの詳細については以下をご覧ください。
⇒Llamaとは?特徴や使い方、ChatGPT・Geminiとの違いを解説
ChatGPTはOpenAIが開発した生成AIです。リリースからわずか3ヵ月でユーザー数1億人を突破し、大きな話題となりました。コード以外にも、文章の生成や翻訳、要約など多彩なシーンで利用できます。
SMSデータテックでは、ChatGPTの使い方や効果的なプロンプトを作成する方法、注意点などを解説する講座を開催しています。ChatGPTを上手に使いたい方は、ぜひご参加ください。
ChatGPT canvasは、ライティングとプログラミングに特化したAIアシスタントツールです。ChatGPTの機能が拡張され、AIとコミュニケーションを取りながら別ウィンドウでテキスト編集・コーディングができ、上手く活用すれば業務効率化を実現します。
ChatGPT canvasの詳細は、以下をご覧ください。
⇒ChatGPT-4o with canvasとは?特徴や活用方法、活用例を解説
GitHub Copilotは、GitHubとMicrosoftが共同で開発・提供しているコーディングアシスタントAIです。リアルタイムでコードの補完や提案を行ってくれるため、プログラミング業務を大幅に改善できます。多彩な機能が実装され、数多くのプログラミング言語に対応している点も魅力です。
Google Colabは、クラウドベースのPython開発環境です。高度な機能が実装されており利便性が高いため、機械学習や研究、データ分析で利用されています。無料版も提供されており、Googleアカウントさえ保有していれば活用可能です。
JITERAは、Webアプリケーションのコードを自動生成するAIツールです。プログラミングやテストなど、本来エンジニアが実施する作業を自動化してくれます。数十件のプロジェクトに対して行った実証実験では、平均60%~70%、最大90%の開発自動化に成功しました。
TabNineは、初心者から経験豊富な開発者まで幅広い層が利用できるコード補完ツールです。多彩なプログラミング言語やフレームワークに対応しており、AIが文脈を理解した上で、次に入力するコードを予測・提案してくれます。無料版も提供されているため、まずはお試しで利用すると良いでしょう。
Hugging Faceは、AIの研究や開発で利用できるオープンソースプラットフォームです。多くの注目を集め、AI開発者・研究者がモデルを共有・利用する場所になっています。また、機械学習モデルを実装するライブラリのTransformersを提供しています。
コード生成AIはさまざまなシーンで活用できます。ここからは、コード生成AIの活用事例について解説します。
生成AIを活用すれば、Webサイトのフロントエンド・バックエンド開発を効率化できます。例えば、プロンプトで指示を出すだけで問い合わせフォームのコード生成が可能です。また、イメージを入力すればデザインのHTML・CSSコードを生成してくれるツールもあります。
モバイルアプリの開発にも、コード生成AIは活用できます。具体的には、画面レイアウトやボタンの配置、APIとの連携に関するコード生成が可能です。中には、ユーザーの利用状況や好みを分析し、最適なユーザーインターフェースデザインを提案してくれるAIもあります。
ゲーム開発では以下のコード生成にAIを利用できます。
コード生成作業を自動化できるため、開発者はクリエイティブ業務に集中できるでしょう。
多くのWebサービスがAPIを公開しており、積極的な連携を進めています。生成AIではAPI連携もでき、独自のアプリケーション開発が可能です。具体的には、HTTPリクエスト送信やレスポンスデータの受信コードを生成してくれます。
近年注目度が高まっているデータ分析の、以下コード生成にもAIが活躍します。
AIを利用すれば、専門知識がなくても手軽にデータ分析を始められるでしょう。
また、AI開発で必要になる機械学習のコード生成にも役立ちます。簡単なAIであれば、専門家でなくても開発できます。
コード生成AIだけではありませんが、生成AIが作り出したものが他者の著作権を侵害する恐れがあるため、利用の際には注意が必要です。生成AIがアウトプットするデータは、事前のインプットデータを基に作られます。学習データによっては、他者の権利を侵害する可能性があります。生成AIを活用する際には、著作権や商用利用などの権利がどのようになっているか、規約で必ず確認しましょう。
紹介した通りコード生成AIは複数あります。ここからは、利用するツールの選び方について解説します。
プログラミング言語は、開発するものに応じて以下の通り複数あります。
ツールにより得意とする言語が異なるため、自分が活用する言語に対応しているかを確認しましょう。
コードを生成する機能は基本的にどのツールにも実装されていますが、それ以外の搭載機能が多少異なります。自分の業務が改善される機能が実装されたツールの選択が重要です。
開発プロジェクトの規模や内容に合うツールかの確認も重要です。小規模開発の場合は、シンプルでコーディングがスピーディーにできるツールが良いでしょう。一方、大規模開発で利用する場合には、カスタマイズ性やセキュリティ性が高いツールがおすすめです。
コストパフォーマンスの確認も欠かせません。無料のものと有料のツールがありますが、コストがかかったとしても、その分多くのリターンが得られれば、利用価値があるでしょう。有料ツールの方が、機能やサポートが充実している傾向があり、定期的なアップデートも実施されます。
サポートが充実していれば、安心してツールを利用可能です。自社のリテラシーレベルに応じて、どの程度のサポートが必要かを見極めましょう。また、コミュニティが充実しているツールであれば多くの情報を得られるため、コミュニティの有無や充実度の確認もおすすめです。
現状課題もあるコード生成AIですが、今後益々性能が向上して、便利になるでしょう。高度で革新的なコードの生成が期待されます。また、できることが増えれば改善できる業務の幅も拡大するでしょう。
コード生成AIとは、コード生成や補完、バグの検出と修正案の提示などを行う人工知能のことです。利用すれば、開発業務の生産性や品質の向上、ミスの防止などが期待できます。一方で、スキルの低下やセキュリティリスクの高まりなど、デメリットも存在します。
また、本記事でも12ツール紹介しましたが生成AIは複数あり、自分に合うものを利用しなければ、期待する成果は得られません。対応するコードや機能、プロジェクトとの親和性などを確認し、活用するツールを選びましょう。