ディープラーニング(深層学習)とは?機械学習との違いや活用・導入方法と事例を解説

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ディープラーニング

ディープラーニングとは、機械が人手を介さずに入力データにおける特徴やパターン、ルールなどを発見して学習する技術のことです。従来の機械学習と比較して、ディープラーニングを活用したAIでは高い精度を実現できます。

本記事では、ディープラーニングの概要やアルゴリズムと学習方法の種類、活用・導入方法について詳しく解説します。ディープラーニングについて知りたい方、処理精度の高いAIを利用したい方は、ぜひ参考にしてください。

ディープラーニング(深層学習)とは

ディープラーニング(深層学習)とは

ディープラーニング(深層学習)とは、人間の手を介さずにコンピューターやシステムが膨大なデータを学習する技術のことです。データから特徴を見つけ出すことができ、画像認識や自然言語処理など多彩なシーンで利用されています。

ここからは、ディープラーニングに関する以下について解説します。

  • 注目される理由と特徴
  • 仕組み
  • 機械学習との違いと使い分け

ディープラーニングが注目される理由と特徴

ディープラーニングが注目されている理由は、精度の高さです。従来の機械学習では到達できなかった高レベルのパフォーマンスを、ディープラーニングであれば実現可能で、人間と同等かそれ以上の判断能力があるとされています。実際に、2015年にはディープラーニングにより開発した画像認識で、2019年には文章読解で人間を上回る精度を実現した事例もあります。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、ニューラルネットワークを活用して学習させる仕組みが採用されています。ニューラルネットワークとは、人間の脳における神経細胞(ニューロン)を模した計算モデルのことで、入力層・隠れ層・出力層の3層で構成されています。各層に存在するパラメータで結ばれた多数のニューロンで、情報伝達と処理数の増加が可能です。

機械学習との違いと使い分け

ディープラーニングも機械学習の一つですが、従来型の機械学習とは人間の手を介するか否かが違います。機械学習とは、機械が膨大なデータの学習により自らルールを学習して、そのルールに則った予測や判断を実現する技術のことです。

従来型の機械学習では、学習データにおけるどの要素が結果に影響を及ぼすかを人間が判断・調整して、タスク処理の精度を向上していました。一方、ディープラーニングでは、データ内における特徴やパターン、ルールの発見を機械が自動的に行います。
ディープラーニングの場合、人間では発見できない特徴を学習できるため従来型の機械学習より高い精度を実現できます。ただ、学習には大量のデータが必要で、時間とコストがかかります。十分なデータが用意できない場合やより早く結果を出したい場合には、機械学習が向いているでしょう。

ディープラーニングにおけるアルゴリズムの種類

ディープラーニングにおけるアルゴリズムの種類

次に、ディープラーニングにおけるアルゴリズムの種類を解説します。

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とは、ニューラルネットワークに多数の畳み込み層とプーリング層を交互に組み込んだアルゴリズムのことです。まず、畳み込み層で入力された情報の切り取りと、切り取った部分における特徴の特定・抽出を行い、プーリング層で抽出された特徴の圧縮と不要な部分の削ぎ落としを行う仕組みになっています。

再帰型ニューラルネットワーク(RNN)

再帰型ニューラルネットワーク(RNN)とは、時系列データの取り扱いに活用されるアルゴリズムのことです。再帰型ニューラルネットワークでは、各層の出力が次の層に影響を与えるだけでなく、他の層にも影響を与える仕組みとなっています。

敵対的生成ネットワーク(GAN)

敵対的生成ネットワーク(GAN)とは、2つのニューラルネットワークを競わせて精度を高めるアルゴリズムのことです。生成器と識別器とよばれる2つのネットワークで構成されており、この2つが競い合うことでデータの学習と新たな答えの発見を可能にしています。

オートエンコーダ(自己符号化器)

オートエンコーダ(自己符号化器)とは、誤差関数の最小化によりネットワークの重みとバイアスを決定するアルゴリズムのことです。入力されたデータを圧縮して特徴などだけを残して、もう一度元の次元に復元する仕組みが採用されており、入力層と出力層の差分を抽出できます。

LSTM

LSTMとは、再帰型ニューラルネットワークを進化させたもので、時系列データを処理するアルゴリズムのことです。学習データを保存するメモリセルと、入力ゲート層と出力ゲート層の間に加えた忘却ゲート層により、再帰型ニューラルネットワークでは困難だった長期的な時系列データの学習を可能にしました。

Transformer

Transformerとは、再帰型ニューラルネットワーク同様、時系列データを学習するアルゴリズムのことです。Transformerの場合、時系列データの逐次処理を行う必要がないため、学習時間を短縮できる特徴があります。

ディープラーニングにおける学習の方法

ディープラーニングにおける学習の方法

次に、ディープラーニングにおける学習の方法を紹介します。

転移学習

転移学習とは、ある分野で学習した内容を別の分野で役立てる手法のことです。新たなタスクに対してゼロから学習させるよりも、時間とリソースを節約して学習を行えます。また、少ないデータでも高精度のモデルを構築できるため、学習データが少ない場合に効果的です。

特徴抽出

特徴抽出とは、データから重要な情報のみを抽出して、その抽出した内容を学習の基礎に利用する手法のことです。画像や音声などの複雑なデータから、識別で重要となる特徴を自動抽出することが可能で、パフォーマンスの向上と計算コストの削減を実現できます。

ゼロからネットワークでの学習

ゼロからネットワークでの学習とは、なにもない状態から特定のタスクに必要なデータを学習させる手法のことです。ラベル付けされたデータ・ネットワークの構築が必要ですが、特殊なものや非常に高い精度が求められるモデルを構築する際に有効です。

マルチモーダル学習

マルチモーダル学習とは、テキストや画像・動画、音声など異なる複数のデータを用いて学習させる手法のことです。まず、データの種類ごとに学習させ、その後全ての学習結果を統合的に学ばせます。

Pre-train&Fine-tune

Pre-train&Fine-tuneとは、まずある特定分野の一般的な内容を学習させ、その後その分野における専門的な内容を学ばせる手法のことです。専門分野のデータが十分に確保できないケースにおいて有効で、より高度なタスク処理が可能になります。

ディープラーニングの活用・導入方法

ディープラーニングの活用・導入方法

ディープラーニングの活用・導入方法は以下の通りです。

  1. ディープラーニングを実施する目的の明確化
  2. データの収集と整理
  3. アルゴリズムと学習方法の選定・実施
  4. 構築モデルの評価と調整
  5. システムの構築
  6. 運用と評価・改善

まずは、ディープラーニングを構築する目的を明確にしましょう。前述の通り、ディープラーニングにはさまざまなアルゴリズムや学習方法があり、それぞれ特徴が異なります。
また、学習に必要なデータを収集してもそのまま活用できるわけではありません。間違った情報を省いたり、学習で使える形にしたりすることが必要です。モデル完成後も調整や新たなデータを学習させて改善し続けると、より有効なAIを構築できます。

ディープラーニングの活用に必要な事項

ディープラーニングの活用に必要な事項

続いて、ディープラーニングの活用に必要な事項を紹介します。

大量のデータ

ディープラーニングでは、ラベル付けされた大量のデータが必要です。ラベル付けとは、モデルが適切な動作をする目的でデータに対して分類情報を付与することです。例えば、自動運転の開発には多彩な画像数百万枚と運転中の動画数千時間分が必要といわれています。

高い処理能力を有するコンピューター

高い処理能力を有するコンピューターも必要です。ディープラーニングでは、対象のデータを比較しながら学習を行うため、並列解析が可能な高性能GPUがなければ、実施が困難です。

ディープラーニングでできること・活用事例

ディープラーニングでできること・活用事例

続いて、ディープラーニングでできること・活用事例を紹介します。

画像・動画認識

画像・動画認識とは、画像・動画に映る人やモノを認識する技術のことです。例えば以下に活用されます。

  • 自動運転における物体認識
  • 不良品検出
  • セキュリティにおける顔認証
  • データ入力や自動翻訳における文字認識
  • 画像内容の自動読み上げ

音声認識

音声認識とは、音声をテキストに変換する技術のことです。例えば以下に活用されています。

  • 議事録の自動作成や録音の文字起こし
  • 通訳や翻訳
  • 音声のみでの文字入力
  • 音声による機械の操作
  • SiriやGoogleアシスタントなどとの会話

自然言語処理(NLP)

自然言語処理(NLP)とは、人が日常的に使う言語(自然言語)をコンピューターで処理・分析する技術のことです。例えば以下に活用されています。

  • 通訳や翻訳
  • 問い合わせ対応を行うチャットボット
  • スマートスピーカー
  • 手書き文字のデータ変換
  • 予測変換

需要予測

需要予測とは、商品やサービスがどの程度売れるかや需要があるかを予測する技術のことです。適切な在庫管理や生産計画・人員配置の作成に役立ち、スーパー・コンビニの発注や飲食店の来客予測などで活用されています。

異常検知

異常検知とは、正常なデータやパターンから外れたものを自動検出する技術のことです。クレジットカードの不正利用・詐欺行為の検知や生産ラインの異常検知などで活用されています。

レコメンデーション

レコメンデーションとは、ユーザーの好みや行動を分析して、その人にとって価値ある情報・商品を提示する技術のことです。ECサイトや動画配信サービスなどで利用されています。

ディープラーニングを勉強する方法

ディープラーニングを勉強する方法

次に、ディープラーニングを勉強する方法と学ぶ上で必要な知識を紹介します。

独学で学ぶ

ディープラーニングは、独学で学ぶことも可能です。ディープラーニングに関する書籍がたくさん発売されており、WebコンテンツやYouTubeからも情報を得られます。あまりコストをかけずに取り組めますが、自分が欲しい情報が見つからなかったり、不明点を解決しにくかったりするデメリットがあります。

講座を利用する

近年は、AIやディープラーニングを学べる通信講座・オンライン学習サービスが数多く提供されています。コストはかかりますが、不明点などを質問できるため効率的に学習を進められるでしょう。

資格を取得する

資格取得の過程で、ディープラーニングを学ぶ方法も有効です。独学でやみくもに勉強することと比較して、体系的に学習できます。また、資格を取得すれば自分の知識やスキルを証明しやすくなるため、転職や就職時に有効活用できるでしょう。

ディープラーニングを学ぶ上で必要な知識

ディープラーニングを学ぶにあたり、以下の知識が必要です。

  • Pythonを活用したプログラミングの基礎
  • 微分や線形代数、統計などの数学知識
  • 機械学習に関する基礎知識

上記の知識がない初心者の方は、まず上記を身に付けましょう。

ディープラーニングにおける課題と将来

ディープラーニングにおける課題と将来

ディープラーニングの活用により、従来の機械学習では困難だった複雑なデータ処理などが可能になります。より高度なAIを開発できるようになるため、業務効率化や売上・企業競争力の向上などに役立ち、私たちの生活を快適かつ豊かにするでしょう。

ただ。ディープラーニングにおけるアルゴリズムや学習方法は複数あり、最適なものを選択しなければ期待する成果は得られません。また、AIがデータ処理を行う過程はブラックボックス化するため、間違った学習で構築したAIの利用に気付かずトラブルなどが発生する恐れもあります。

まとめ

まとめ

ディープラーニングとは、人間の手を介さずにコンピューターやシステムが膨大なデータから、特徴やパターンなどを学習する技術のことです。従来の機械学習では到達できなかった高レベルのパフォーマンスを実現できるため、近年多くの注目を集めています。ディープラーニングの活用により、高精度のAI開発が可能となり、私たちの生活がより便利になると予想されます。

ディープラーニングに限らず、最新の技術を活用すれば業務の効率化も可能です。業務改善による生産性の向上は、企業競争力アップにもつながるため、上手く活用することが重要です。

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