
この度、情報システム部門(情シス)を支援するために開催される「情シス応援パビリオン」に出展することが決定いたしました! 情報システム担...
IoTとは、モノがインターネットにつながる技術のことです。遠隔操作やモニタリング、データ通信などが可能となり、導入すれば利便性や生産性・品質の向上、リアルタイムでの情報取得など多くのメリットを得られるでしょう。農業や製造業、物流などすでに多くのシーンで活用されています。
本記事では、IoTの概要やメリット・デメリット、活用事例について詳しく解説します。IoTについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
IoT(Internet of Things)とは、モノとインターネットがつながり相互に情報のやり取りを行う仕組みのことです。家電やロボット、農業用機械などのモノがインターネットに接続されて、データの送受信を行います。モノ同士の情報交換や人のスマートフォン操作により、モノの遠隔操作が可能になります。
近年注目を集めているIoTですが、言葉自体は1999年にケビン・アシュトン氏により提唱されました。また、概念自体は1980年代後半から1990年代にかけて登場したユビキタスコンピューティングやM2M(Machine to Machine)などが起源といわれています。
ここからは、IoTに関する以下について解説します。
IT調査会社のIDC Japanが調査した結果によれば、国内IoTの2022年における支出実績は5兆8177億円です。また、2022年~2027年の年間平均成長率(CAGR)が8.5%で、2027年には支出が8兆7461億円に達すると予測されています。今後もIoTの需要は増加して、さまざまなシーンで活用されるでしょう。
参照:日本のIoT市場規模、2027年に8.7兆円に–IDC予想|ZDNET Japan
IoTは以下の4つが相互に作用する仕組みが取られています。
IoTではモノに搭載されたセンサーがデータを収集して、クラウドなどに送信します。クラウドでは集約されたデータの分析が行われ、その結果を基にさまざまな作業が実施されます。
IoTとAIは密接な関係性にあります。IoTテクノロジーの進歩と普及により、これまでとは比較にならない量のデータ集計が可能となりました。また、IoTが収集したデータをAIが解析することで、効果的なデータ活用とそのデータを基にした新たなAIが誕生しています。さらに、IoTにAIモデルが実装され、これまで以上に価値を発揮するIoTが生み出される相乗効果が起きています。
IoTが発展するにあたり、以下の最新テクノロジーが重要とされています。
順に解説します。
5Gとは、高速大容量かつ低遅延で同時多数接続の特性を有した通信規格のことです。既存の4GやLTEなどでは、複数のモノと同時接続して遅延のないデータ処理を行うことが困難でした。ただ、5Gであれば従来のものと比べて桁違いに通信速度が速く、命令やデータをスピーディーに送受信できます。5Gの提供開始がIoTの普及を後押ししています。
LPWA(Low Power Wide Area)とは、低消費電力かつ広域・長距離通信を特徴とする無線通信技術のことです。Wi-Fiと比較すると通信データ量は少なく低速ですが、10kmを超える無線通信が可能です。IoTでは小さいサイズのデータを長距離通信することが求められるため、相性の良い通信技術として期待されています。
続いて、IoTでできることについて解説します。
IoTを活用することにより、モノの遠隔操作が可能です。これまでは、遠隔地にあるモノのON/OFF程度の操作しかできませんでしたが、AIなどを組み合わせた活用により異常の検知や遠隔地の監視、トラブルへの対処などさまざまな活用が可能になりました。
モニタリングもIoT活用でできることの一つです。IoT機器に搭載されたセンサーを用いれば、以下の情報をリアルタイムで把握できます。
遠隔地にありながら常時監視する必要がある場合には、現地に赴かなくてもIoTデバイスでの現状確認が簡単に可能です。
IoTにより収集したデータの送信が可能です。収集したデータを分析すれば、リアルタイムな状況把握や適切な判断がしやすくなるでしょう。新たなビジネスの創出や業務改善、顧客満足度の向上などさまざまな効果が期待できます。
予防や予知保全もIoTの主な利用方法です。とくに、近年は橋やトンネルなどインフラへの利用が期待されています。IoTの活用により、低コストで安全に老朽化の確認やメンテナンスを実施可能です。
続いて、IoT導入のメリットについて解説します。
IoTの導入によりユーザーの利便性が向上します。これまで手動だったことが自動になったり、現地に行かなければならなかったのが遠隔地から操作できたりするようになります。また、機械の故障やトラブルの発生を事前に検知して迅速な対応や、未然の防止ができるようになるでしょう。IoTテクノロジーの進歩と普及により、私たちの生活がより豊かになることが期待されています。
生産性や品質の向上もIoT導入のメリットです。例えば、製造ラインで人が行っていた検品作業を機械で自動化できるようになります。人件費の削減や人間がコア業務に集中するための体制整備に役立つでしょう。また、ヒューマンエラーの防止にもつながります。AIを組み合わせたIoTを活用すれば、人間以上に高い精度が期待できます。
IoTの導入でリアルタイムな情報取得も可能になります。人間が行った場合、一日1回しか収集できなかったデータであっても、設定次第で毎時間・毎分・毎秒など多くの情報を得られるようになるでしょう。また、取得データは自動で分析や可視化されるため、一目で状況を把握可能です。
続いて、IoT導入のデメリットについて解説します。
IoTの導入・活用には専門人材が必要です。IoTを上手く使いこなすには、専門人材の確保や従業員の教育が求められます。ただ、IoT市場が拡大する一方で人材供給が追い付いておらず、専門の知識やスキルを備えた人材の確保が簡単ではありません。自社での雇用が難しい場合には、外部パートナーの協力を仰ぐと良いでしょう。
コストの発生も、IoT導入におけるデメリットです。規模により異なりますが、IoTの導入には多くのコストがかかります。とくに、製造や運送業界の企業がIoTを導入する場合、大規模になるケースが多くあります。IoTの導入コストと活用により削減できる経費などをシミュレーションして、リターンが得られるかを見極めましょう。まずは、スモールスタートするのもおすすめです。
IoTの活用にはインターネット接続が不可欠であり、セキュリティリスクが発生します。不正アクセスや通信データの窃盗など、サイバー攻撃を仕掛けられるリスクがあるでしょう。とくに、個人情報や機密データを扱う場合には細心の注意が必要です。重要な情報が漏洩すれば、企業の信用やブランドイメージ低下を招く恐れがあります。
通信障害や機器の故障などトラブル発生も予想されます。具体的には、アクセスの集中による通信制限や契約している通信キャリア回線の障害、機器・ソフトウェアの障害発生が挙げられます。トラブルの完全な防止は困難ですが、定期的なメンテナンスによるリスクの低減やトラブルが発生した際の対策を事前に決定することで、被害を最小化できるでしょう。
IoTデバイスの活用には電力が必要です。万が一、電力供給がストップすればデータ通信や業務処理が止まってしまいます。例えば、看護や介護に活用している場合、デバイスの停止は人命に関わる可能性もあるため注意が必要です。
IoTはすでに多くのシーンで活用されています。続いて、IoTの活用事例を紹介します。
製造業において、IoTは生産ラインの省人化や効率化に利用されています。具体的には、稼働する設備にIoTを実装してパソコンによる一元管理や制御が行われています。また、設備の稼働状況から生産におけるボトルネックを把握して改善したり、異常を検知して故障する前にメンテナンス・修理したりするなど、多くのシーンで有効活用が可能です。
物流業では、荷物の適切な管理にIoTが活用されています。IoTで倉庫管理を行えば、荷物の紛失が起きた場合にどの工程で問題が起きたかを簡単に確認可能です。また、RFIDタグとともに用いれば位置情報の一時的な管理にも役立ちます。また、温度などで品質が左右されるような荷物を管理する際に、異常を感知する目的でも利用されています。
農業では、IoTを活用したスマート農業(スマートアグリ)に注目が集まっています。
従来、品質の良い農作物を育てるには土の管理や気候への配慮、農業機械の扱いなど多くの知識や経験が必要で、初心者が農業に取り組むハードルを高めていました。しかし、IoTの収集データが利用できるようになり、素人でも農業に取り組みやすくなりました。また、畑やハウスの状況を監視して最適なタイミングでの水やり・肥料散布ができ、省略化や高品質生産などの実現につながっています。
飲食業では、顧客がタブレットでオーダーを行うシステムにIoTが導入されています。また、POSや予約システムとの連携で、売上・客層・商品情報の把握が可能となり、効果的なマーケティング活動に役立っています。
医療分野では、疾患の早期発見や効果的な治療の実施を目的に、患者の生体データ管理・収集でIoTが利用されています。また、近年はAIを医療分野でも活用する動きがあり、IoTとの組み合わせで過疎地などに対する遠隔医療の提供も期待されています。
なお、医療AIに関する詳細は以下をご覧ください。
⇒医療AIとは?活躍が期待される分野と活用事例、メリット・デメリットを解説
交通業界でも多くのシーンでIoTが活用されています。例えば、バス停のQRコード読み込みにより、バスのリアルタイムな運行状況を確認可能です。また、自分の居場所にタクシーを配車するアプリにも、IoTが役立っています。さらに、道路の交通状況収集や分析でもIoTが活用されており、最適なルート選択ができます。
最後に、IoT導入を成功させるポイントを解説します。
IoTの導入は短期ではなく、長期的なプロジェクトと位置付け計画を立てる必要があります。IoTの導入・活用には、初期費用やランニングコストなど多くの費用がかかります。短期的な計画を進めた場合、キャッシュフローの悪化を招く恐れがあるでしょう。また、導入が必ず成功するとは限りません。長期的かつステップの細分化を行い、慎重に導入を進めると良いでしょう。
設計の工夫もIoT導入の成功を左右するポイントです。デメリットの章で解説した通り、IoTは電力消費が発生します。また、ネットワークの負荷が大きくなれば、通信ができなくなる恐れもあります。電力消費の低下や大量データ通信に耐えられる設計が重要です。
IoTの活用時には、セキュリティ対策の徹底も重要です。強固なセキュリティ対策が施された通信回線の利用や、従業員に対してデータの活用に関する研修の実施などを行いましょう。IoTデバイスは処理能力が限られているため、デバイス自体にセキュリティ対策を行うことが困難なケースがあります。他でどのような対策を行うかの慎重な検討が求められます。
IoTの導入・活用には、そのノウハウを有した人材が必要です。専門人材の確保や従業員の育成に力を入れれば、より効果的にIoTを活用できるようになるでしょう。IT人材を育成する研修やサービスも多く提供されているため、有効利用がおすすめです。
IoTとは、モノとインターネットがつながり相互に情報のやり取りを行う仕組みのことです。具体的には、家電やロボット、農業用機械などのモノがインターネットに接続されて、データの送受信を行うことで、遠隔操作や状況のモニタリングが可能となります。IoTを導入すれば利便性や生産性・品質の向上、リアルタイムでの情報取得など多くのメリットを得られるでしょう。
近年は、IoTをはじめ多くのテクノロジーが生まれています。上手な活用は、人手不足の解消や企業競争力に役立つ業務効率化に有効です。IoTなどのツールも上手く活用して、業務効率化を実現しましょう。