DX本格化。今、情シス部門が取り組む課題③「アウトソース」

コラム
#システム開発
#DX


近年、DX実現の必要性が高まってきたことにより、システム運用へのアウトソース適用の需要が高まっています。情シスには、DXに関連してITを利用した企画、立案が求められるようになってきているのです。本コラムでは、システム運用のアウトソースの現状、需要の高まり、課題、メリットについて記載します。

情シスにおけるアウトソースの現在

企業向けのITシステムの導入において、その開発はシステムベンダーへのアウトソースを利用する形が一般的でした(現在は内製化の方針をとる企業も見られます)。その歴史は長く、総務省の令和元年版情報通信白書でも「情報システム構築・運用の外部委託」として、アウトソースが行われてきたことについて触れられています。システム開発のアウトソースは、一般の企業はIT技術の専門家であるエンジニアを多く雇用するより外部のリソースを利用したほうが効率的であるという理由によるところが大きいでしょう。システム開発をアウトソーシングすることには、最新技術への対応、システム開発により発生するリスクの分散などのメリットに繋がっていたこともその理由になっています。

しかし、システム運用においては、アウトソースの利用はシステム開発ほど積極的には行われていませんでした。かわりに情シスやシステムを利用する業務部門の担当者がシステム運用にはあたっているケースが多くみられました。システム運用は業務と直結しており、業務上の判断、業務部門との交渉など外部には任せづらい仕事が存在しています。ビジネスの一環でもあり、重要性、機密性の高い情報を扱う場合も同様です。また、企業にとってはシステムに関するノウハウを情シスに蓄積しておく必要があったこともその理由の一つです。

時代は移り変わり、DXの実現の必要性が声高に叫ばれるようになりました。情シスにはシステム運用で培った知見を活かし、DXに向けたIT戦略、企画、立案といった仕事が求められる状況に変わってきています。情シスなどのIT組織に求められるミッション(使命)が、システムの安定稼働から、事業創出やビジネス面の変革へと大きく変化しているのです。

 ただし、システムの安定稼働が不要になったわけではありません。システムを安定稼働させつつ、DXの実現にも活躍する、情シス部門にかかる期待が大きくなったといえます。しかしながら、この期待に応えるには、情シス部門がシステム運用を行いながら新たな業務に注力できる体制づくりが必要となっています。そこで、需要の高まりを見せているのがシステム運用のアウトソースです。

情シスのアウトソース需要の高まり

DX実現に向けてのキーマンとして情シスには活躍が期待されています。しかし、システム運用において情シスが支えていた分のリソース、コストの削減は簡単ではありません。
IT化、デジタル化は企業にとっては以前からの課題であり、ITシステムの導入が盛んに行われてきました。当然のことながら、最新技術を利用して利便性の高いシステムが求められてきました。これはシステム運用の対象範囲が広がり、新たな技術への対応はさらなるコストの増大へも繋がりえます。
他にも、DXレポートで起こり得る未来として語られた2025の崖問題でも、その原因として大きく取り上げられたのがITシステムのレガシー化、ブラックボックス化です。その結果として想定されることの一つとしても、運用コストの増大が挙げられます。
一方でIT人材の不足は危機的な状況です。経済産業省の「- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書」では、2030年には最大で79万人のIT人材が不足する可能性を指摘しています。企業の立場からすれば自前のエンジニアを育てるという選択肢もありますが、IT技術の進展により教育にも多くのコストと時間がかかってしまいます。
システム運用を情シス以外のリソースで行いたい、と考える企業が増えることによりシステム運用のアウトソースの必要性が高まっている状況です。

情シスアウトソースの課題

情シスが、システム運用をアウトソースする提案を経営陣に行えばスムーズに体制を変えていくことが出来るかというと、そうはならないのかも知れません。
システム運用はベネフィット(利益)が直接でる業務ではありません。経営層から見れば、システム運用に外部リソースを利用することによりコストが増大するようにみえてしまいます。これでは理解と協力が得づらくなってしまいます。経営層の説得には、情シスによるシステム運用よりも、アウトソースしたほうがコストメリットがでることをしっかり説明できなければなりません。

システム運用は業務部門のビジネスに大きな影響があります。システム運用にトラブルが起きると、システム停止によりラインが止まる、人の動きが止まってしまう、営業機会の損失が発生するといった事態を巻き起こしてしまいます。システムの稼働に対し、高信頼性を確保することがアウトソース時の一つの課題となります。

システム運用のアウトソースでコスト面での説得力と、信頼性を得るために取れる方策は、システム運用の「自動化」推進です。少なくとも、自動化の前提となる業務の手順化が必須でしょう。明確なシステム運用手順の確立、トラブルシューティングのルートの確立といったところまでを自動化への準備として用意しなければなりません。

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コスト管理だけじゃない、アウトソースの有益性

改めてシステム運用のアウトソースの有益性を確認しておきましょう。
まずはコスト面での改善があります。プロパーの情シス担当者によるシステム運用よりも、外部に委託したほうが安くなることを目安としてアウトソース先を選定するのも手段の一つです。

次に本来の目的であった情シスの担当者を企業貢献度の高い仕事にあてられることがメリットです。システム運用業務で社内の情シス部門の優秀なエンジニアの時間を使いつぶしてしまっているケースでは、特に有益です。DX推進や新たな技術を導入する企画など、生産性のある業務に優秀な情シス担当者の時間を向けることで企業はより大きな利益に繋げることができます。情シス担当者には戦略の策定、企画、提案、システム構築といったコア業務に注力してもらいましょう。

また、システム運用のアウトソースをするためには業務の整理、可視化、手順の確立が必須となります。現在、情シス担当者しかできないシステム運用手順をドキュメント、手順に置き換えることで属人化排除にもつながります。情シスがシステム運用に充てられていた理由として社内システムの知見、ノウハウを残すことが一つの目的でしたが、これは既存システムに関する知見をナレッジとして蓄積する仕組みを取ることで、企業に残すことができます。

他にもアウトソースを行うことにより、継続したシステム運用体制を築けることもメリットです。情シス担当者が一人で24時間トラブル対応を行うことは非常に大きなストレスで、優秀な情シス担当者を失うことにも繋がり得ます。アウトソースを行うことで、システムベンダーによって組織的な体制をとり、安定したシステム稼働をサポートします。

さらにはアウトソース先のシステムベンダーの持つシステム運用のノウハウを得る機会があることもメリットの一つです。今後も企業の発展のため、ITシステムの導入を図り続けることが情シスには求められるため、システム運用における手法などを他社事例をもつシステムベンダーから学ぶことができます。

まとめ

しかしながら、システム運用をいざアウトソースしようとするどこから手を付けたらいいのか悩ましい場合もあります。既存のシステム運用が整理されていない、アウトソースを適用すべきところとそうでないところの境目がわからない、アナログすぎる運用をしているため効率化、自動化も同時に行う必要がある、と障壁は様々です。そんなときにはSMSデータテックの、自動化コンサルティングを利用することをおすすめします。システム運用上の課題を分析・可視化し、アウトソーシングまでを含めた最適な自動化をご提案します。資料請求はこちらから。

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