ITSMとは?おすすめツール5選や導入メリットと成功のポイントを解説

コラム
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ITSM

ITSMとは、ITサービスを管理するフレームワークのことです。顧客や従業員などに対して、安定的にサービスを提供するとともに、継続的な改善による使いやすい環境の構築などを目的としています。ITSMツールを活用すれば、サービス品質の向上や業務効率化などのメリットを得られるでしょう。

本記事では、ITSMの概要やツールの機能と導入メリット、おすすめツール5選について詳しく解説します。
ITSMについて知りたい方、ツール導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ITSM(ITサービスマネジメント)とは

ITSM(ITサービスマネジメント)とは

ITSM(ITサービスマネジメント)とは、ユーザーに対するITサービスの安定的提供と継続的改善を目的に、ITサービスを管理する仕組みやフレームワークのことです。ユーザーとは、従業員や顧客、パートナー企業のことを指します。

ここからは、以下について解説します。

  • ITSMが必要な理由
  • ITSMの市場動向

ITSMが必要な理由

ITSMが必要なのは、ITサービスの多様化や複雑化が進んでいるためです。業務改善や顧客満足度の向上、企業競争力の強化を目的に、多くのITサービスが開発・提供されています。便利なITサービスは数多くありますが、それが必ずしもユーザーにとって良いとは限りません。

例えば、ITサービスを導入したとしても使いこなせなければ、コストや時間が無駄になるでしょう。また、ニーズや企業がおかれている環境は常に変化しており、必要なITサービスも変わるケースがあります。ITSMの導入により、適切なITサービスの提供が可能になります。

ITSMの市場動向

ITSMの市場規模は年々拡大を続けています。市場調査やコンサルティングを手掛けるFortune Business Insights社によれば、2024年の全世界におけるITSMの市場規模は1,191億米ドルでした。2025年には1,358億米ドル、2032年には3,678億米ドルまで拡大すると予測されています。

参照:ITSM 市場規模、シェア、業界分析、展開別 (オンプレミスとクラウド)、企業タイプ別 (大企業と中小企業)、アプリケーション別 (構成と変更管理、運用とパフォーマンス管理、インシデント管理、問題管理、その他)、業界別 (BFSI、IT と通信、政府と公共部門、小売と消費財、ヘルスケア、製造、メディアとエンターテイメント、その他)、および地域予測、2025~2032 年|Fortune Business Insights

ITSMにおけるフレームワークの種類

ITSMにおけるフレームワークの種類

ITSMでは多くのフレームワークが利用されています。ここからは、ITSMにおける以下のフレームワークについて解説します。

  • ITIL
  • DevOps
  • COBIT
  • ISO/IEC 20000
  • MOF

ITIL

ITIL (アイティル)は、以下の要素で成り立っているITSMの国際的なフレームワークです。

  • サービス戦略
    企業や組織の目標とITサービスの整合性を図るための戦略を策定する
  • サービスデザイン
    ニーズに適したサービスを設計して、そのニーズを実現する価値を明確にする
  • サービス移行
    新たなサービスの導入もしくは既存環境の改善を行うプロセスを管理する
  • サービス運用
    安定したサービス提供の実現を管理して、品質を保証する
  • 継続的サービス改善
    提供しているサービスを継続的に評価・改善して、サービスの質を向上し続ける

上記要素をお互いに連携しており継続的な提供することで、サービス品質と満足度の向上を図れます。

DevOps

DevOps(デブオプス)とは、開発と運用を行うチームがお互いに協力して開発を行う手法のことです。「開発」を意味する「Development」と「運用」を示す「Operations」の造語で、迅速かつ柔軟なサービス提供が可能になります。また、高い利便性を実現したい開発者と、安定的な運用をしたい運用者の対立を防止する効果もあります。

COBIT

COBIT(Control Objectives for Information and Related Technology:情報および関連技術のための統制目標)は、以下に関する専門団体であるISACAが考案した国際的なフレームワークです。

  • 情報システム
  • 情報セキュリティ
  • ITガバナンス
  • リスク管理
  • 情報システム監査

ITサービスにおけるリスク管理やルールの遵守、IT投資の価値最大化に役立ちます。

ISO/IEC 20000

ISO/IEC 20000は、2005年に策定されたITサービスマネジメントシステム(ITSMS)に関する国際規格です。ITSMSの確立や実施と維持、継続的な改善を目的としており、世界中の企業で用いられています。ITサービスにおけるリスクの明確化やサービスの管理、継続的な改善に役立ちます。

MOF

MOF(Microsoft Operations Framework)は、Microsoft社のツールやそのツールを利用したITサービスの実装・最適化を行う目的で開発された管理システムのことです。以下4つの領域で構成されています。

  • 運用作業領域
    データのバックアップやサービスの監視、セキュリティの管理など、システムを適正に稼働させるためのタスクに関する領域
  • サポート作業領域
    サーバー・サービスの復旧や問題の分析・解決など、システム障害の管理と復元に関する領域
  • 最適化作業領域
    キャパシティ計画や可用性、継続性管理など機能の紹介や強化手法に関する領域
  • 変更作業領域
    変更やリリース、構成管理など、使用環境における変更計画と実装に関する領域

ITSMツールにおける2つの種類

ITSMツールにおける2つの種類

ITSMの実施にあたり、ツールが提供されています。ここからは、ITSMツールにおける以下2つの種類について解説します。

  • オールインワン型
  • 機能特化型

オールインワン型

ITSMに必要な機能が網羅的に実装されているタイプです。多くの機能が実装されており、ITサービスの運用や管理の効率化、企業・組織全体での情報共有が可能です。
カスタマイズしなくても利用可能なため、比較的容易かつ迅速に導入できます。ただ、機能が多い分導入・運用コストが高額になりやすい傾向があります。

機能特化型

特定の問題解決を目的としたタイプです。オールインワン型では不十分な場合や、特定の問題のみを解決したい場合に最適です。特化している分 高機能ですが、複数の機能特化型タイプを導入すれば、総コストが高額になります。

ITSMツールの機能

ITSMツールの機能

続いて、ITSMツールにおける以下の主な機能を紹介します。

  • サービスのリクエスト管理
  • ナレッジマネジメント
  • アセット管理
  • 構成管理
  • リリース管理
  • インシデント管理
  • 問題管理
  • 変更管理

サービスのリクエスト管理

顧客や従業員からのITサービスに関するリクエストを管理する機能です。リクエストを分析することで、先回りした対応が可能になります。

ナレッジマネジメント

企業のノウハウを作成・共有・管理する機能です。ナレッジを整理して管理することで、企業の目的達成に役立ちます。

アセット管理

企業や組織が保有するIT資産を管理する機能です。ITサービスが適切に使用されているかの管理や維持、アップデートに役立ちます。

構成管理

利用しているITサービスを把握して、品質を向上させる機能です。以下に分類して、企業や組織が利用しているITサービスの構成を管理します。

  • サービス
  • ハードウェア
  • ネットワーク
  • ソフトウェア
  • ドキュメント

リリース管理

ソフトウェアやハードウェアなどの変更を安全に行うための機能です。リリース作業を自動化できます。また、後述する変更管理と連携して、リリース後の問題なども管理します。

インシデント管理

システムやサービス稼働が停止するインシデントに対応して、早期復旧を実現する機能です。インシデント情報の登録や、対応における優先順位付けを行います。

問題管理

インシデントの原因を調査・特定して解決する機能です。再発防止や問題の根本的な解決に役立ちます。

変更管理

新たなツールの導入や既存システムの設定変更などにおける影響を最小限に抑える機能です。変更により発生した障害などの情報管理により、リスクの最小化と発生した際の迅速な対処を可能にします。

ITSMツールの導入メリット

ITSMツールの導入メリット

続いて、ITSMツール導入における以下のメリットについて解説します。

  • サービス品質の向上
  • 業務効率化とコスト削減
  • 属人化の解消
  • 早期の問題発見と解決
  • 情報の一元管理

サービス品質の向上

ITSMツールを導入すれば、サービス品質の向上が可能です。ITSMにはフレームワークが活用されているため、業務品質の標準化や品質の向上につながります。また、インシデント管理や問題管理機能により、トラブルへの迅速な対処が可能となるでしょう。

業務効率化とコスト削減

業務効率化とコスト削減にも、ITSMツールは効果的です。ITSMツールを活用すれば、システム担当者が日常的に行っている業務の一部を自動化できます。
また、業界標準のプロセス変更で、既存業務の無駄を解消できるでしょう。人件費やシステムの運用コスト削減につながります。

属人化の解消

ITSMツールの導入により、属人化の解消も期待できます。フレームワークに基づく業務プロセスの変更で、担当者により業務処理方法が異なるなどの問題を解決可能です。また、インシデントやその解決策の蓄積・管理は、運用担当者個人の経験やスキルに依存しない体制の整備に役立ちます。

早期の問題発見と解決

ITSMツールの活用は、問題の早期発見と解決にも有効です。トラブル情報を蓄積しておけば、同様のトラブルが発生した際に迅速な原因の特定と対処に役立つでしょう。業務やサービス提供の停止を最小化可能です。

情報の一元管理

情報の一元管理を実現できる点も、ITSMツールの活用メリットです。情報を一つのツールで確認できれば、負担の軽減につながります。また、データを活用する際に多数のツールから情報を集約する手間がなくなり、業務の効率化やデータの効果的な利用を実現できるでしょう。

おすすめのITSMツール5選

おすすめのITSMツール5選

続いて、おすすめの以下ITSMツール5選を紹介します。

  • ServiceNow
  • LMIS
  • ServiceDesk Plus
  • Freshservice
  • Zendesk

ServiceNow

ServiceNow

出典:ServiceNow公式Webサイト

ServiceNowは、タスクや業務プロセスを自動化して、効率化と最適化を実現するツールです。ローコード・ノーコードでカスタマイズ可能なため、誰でも使いやすいツールとなっています。

弊社SMSデータテックでは、ServiceNowの導入開発・保守運用をサポートしています。ご興味がある方は、以下をご覧ください。
⇒ServiceNow導入・開発・保守運用

なお、ServiceNowの詳細は以下をご覧ください。
⇒ServiceNowとは?特徴や導入効果とメリット、機能を解説

LMIS

LMIS

出典:LMIS公式Webサイト

LMISは、ITILに準拠したサービスマネジメントプラットフォームです。顧客に対するサービスのマネジメントが可能で、課題解決と継続的な改善に役立ちます。サポートが充実しており、業務プロセスの見直し・改善や活用・定着に向けた支援を受けられます。

ServiceDesk Plus

ServiceDesk Plus

出典:ServiceDesk Plus公式Webサイト

ServiceDesk Plusは、世界で10万社の導入実績を持つツールです。直感的に理解可能なインターフェースを採用しており、専門知識やスキルがなくても利用できます。また、ISO/IEC 27001やISO/IEC 27701、Cyber Essentials Plusなど数多くの認証を取得しているため、安心して利用できるでしょう。

Freshservice

Freshservice

出典:Freshservice公式Webサイト

Freshserviceは、1時間で設定が完了するツールです。迅速に利用を開始でき、スピーディーに効果を得られます。また、AIによるFAQ自動提案機能が実装されているため、問い合わせ対応の工数を減らせます。

Zendesk

Zendesk

出典:Zendesk公式Webサイト

Zendeskは、AIが問い合わせに対応して、問題を解決するツールです。問い合わせ対応の80%以上を自動化できるため、業務効率に役立ちます。また、顧客の情報を管理するCRMなど、他のツールと連携しやすい点も特徴です。

なお、CRMの詳細は以下をご覧ください。
⇒CRMとは?基本機能や導入・活用するポイント、ツールを比較する際の着眼点を解説

ITSMツール導入を成功させるポイント

ITSMツール導入を成功させるポイント

ITSMツール導入を成功させるポイントは以下の通りです。

  • 目標やゴールを明確にする
  • 自社に合うツールの選定
  • 利用範囲の明確化とカスタマイズの検討
  • 従業員の教育
  • PDCAサイクルの実施

順に解説します。

目標やゴールを明確にする

ITSMツールの導入を成功させるには、目標やゴールの明確化が必要です。ツール導入や選定までに、なぜ導入するかを確認しましょう。目標などの明確化は、どのような機能が必要かを判断する材料にもなります。また、目標の検討は既存業務を見直すきっかけにもなります。

自社に合うツールの選定

自社に合うツールの選定も重要です。本記事で紹介した通り、ITSMツールは多数存在しており、それぞれ特徴や機能が異なります。自社に合うツールを活用しなければ、期待する成果は得られません。

利用範囲の明確化とカスタマイズの検討

どの業務範囲でツールを活用するかも検討すると良いでしょう。ITSMツールには多彩な機能が実装されていますが、全てが企業にとって効果的な機能とは限りません。既存の業務プロセスを踏襲した方が良いケースもあるでしょう。

また、カスタマイズの必要性も確認します。カスタマイズすれば、より各社に合うツールとなります。ただ、手間やコストが発生するため、コストパフォーマンスが適正かを踏まえた検討が重要です。

従業員の教育

従業員の教育も欠かせません。新たなツールや業務プロセスの定着には、従業員の納得感を得て、それを使いこなすスキルの取得が必要とされます。ツール導入の目的や基本的な使い方、機能などを従業員に伝えましょう。

PDCAサイクルの実施

PDCAサイクルを実施すれば、成功する確率が高まります。定期的に活用状況や成果が出ているかを確認して、問題の分析と改善策の立案を行いましょう。PDCAサイクルを高速で回すことで、迅速に導入効果を得られます。

ITSMツールを比較する際の着眼点

ITSMツールを比較する際の着眼点

最後に、ITSMツールを比較する際の以下着眼点を紹介します。

  • 種類
  • 機能
  • 操作性
  • カスタマイズ性
  • サポートの充実度

種類

まず、オールインワン型か機能特化型かを確認しましょう。さまざまな課題を解決したい場合にはオールインワン型、特定の課題解決を目的としている場合には機能特化型が合うでしょう。導入目的や課題を踏まえた選択が重要です。

機能

実装されている機能の比較も重要です。基本的な機能は多くのツールに実装されています。ただ、ツールにより搭載されている機能は多少異なります。自社が求める機能を明確にした上で、比較する際に実装されているか確認すると良いでしょう。

操作性

操作性の確認も重要です。高機能なツールであっても、使いこなせなければ効果は得られません。また、操作に手間がかかると業務効率が低下する恐れがあります。実際に現場で活用する従業員の意見もヒアリングして、ストレスなく活用できるものを選びましょう。

カスタマイズ性

カスタマイズ性や拡張性の有無も確認すると良いでしょう。ビジネス環境は変化し続けているため、ツールの活用方法や求める機能が変わる可能性があります。カスタマイズ性や拡張性が高ければ、長期的に活用可能です。

サポートの充実度

サポートが手厚ければ、迅速に効果を得られる可能性が高まります。ベンダーからどのようなサポートを受けられるかの確認も重要です。また、マニュアルやFAQなどが日本語かもチェックすると良いでしょう。

まとめ

まとめ

ITSMとは、顧客や従業員などのユーザーに対するITサービスの安定的提供と継続的改善を目的に、ITサービスを管理する仕組みやフレームワークのことです。ITサービスの多様化や複雑化などの要因により注目を集めており、市場規模も拡大しています。ITSMツールを導入すれば、サービス品質の向上や業務効率化、早期の問題発見と解決などのメリットを得られます。

ただ、ITSMツールは複数存在しており、特徴や機能が異なるため、自社に合うツールの選択が重要です。導入前に目標やゴール、課題を明確にして、機能・操作性・サポート内容などを確認しましょう。

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