AES256とは?特徴や仕組みと暗号化の流れ、活用時の注意点を解説
AES256とは、2001年にアメリカの国立標準技術研究所(NIST)で承認された暗号化アルゴリズムのことです。セキュリティ強度が高く、2031年以降も利用できます。本記事では、AES256の概要や暗号化の流れ、活用事例と利用時の注意点について解説します。
目次
世界中で利用されている「AES256」をご存じでしょうか?AES256とは、2001年にアメリカの国立標準技術研究所(NIST)で承認された暗号化アルゴリズムのことです。セキュリティ強度が高く、2031年以降も利用できます。
本記事では、AES256の概要と特徴や暗号化の流れ、活用事例と利用時の注意点について詳しく解説します。AES256について知りたい方、セキュリティ強度の高い暗号化アルゴリズムを探している方は、ぜひ参考にしてください。
AES256とは

AES256(Advanced Encryption Standard 256-bit)とは、通信データの安全向上を目的に暗号化するアルゴリズムのことです。ISO/IEC 18033-3として国際標準化されており、ファイルの暗号化や通信の保護、データベースのセキュリティなどで活用されています。処理速度が早く大量のデータを効率的に暗号化できるため、現代では無くてはならない技術となっています。
AESが誕生した背景
AESが誕生した背景には、それまで活用されていた暗号化技術における課題があります。AESが誕生する前までは、DESが活用されていました。ただ、DESには鍵長が短くセキュリティ強度があまり高くないなどの課題がありました。そこで、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が新たな暗号化技術の募集を1997年1月に実施して、AESが2001年に承認されています。
なお、DESの詳細は後ほど解説します。
AES256の特徴

AES256の主な特徴は以下の通りです。
- セキュリティ強度が高い
- 2031年以降も使用可能
- 対称キーを使用
ここからは、上記それぞれの特徴について解説します。
セキュリティ強度が高い
AES256における最大の特徴は、セキュリティ強度が高いことです。AESの鍵長には、128bit・192bit・256bitの3パターンがあり、bit数がもっとも大きく鍵が長いAES256は高度なセキュリティを誇ります。
256bitの場合、2の256乗のパターンの鍵を持つことになります。パターン数が多いため、スーパーコンピューターを用いたブルートフォース攻撃を仕掛けられても、解読までに数百兆年かかるでしょう。
ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)とは、ログイン認証で使うパスワードを考えられる全てのパターン試して、不正アクセスを行うサイバー攻撃のことです。1つのIDに対して、パスワードを変更しながら何度もログインを試みます。実質的に、AES256が破られることはほぼありません。
なお、ブルートフォース攻撃の詳細は以下をご覧ください。
⇒ブルートフォース攻撃とは?被害例や対策をわかりやすく解説
2031年以降も使用可能
アメリカの国立標準技術研究所が発表した、各暗号の使用期限を示したガイドラインによれば、AES256は2031年以降も使用可能です。アメリカの国立標準技術研究所によれば、多くの暗号アルゴリズムが2030年までに十分な安全性を保てないような状態になるとされており、以下の使用期限が設けられています。
- 2DES:2013年まで
- 3DES:2030年まで
- RSA-2048:2030年まで
安全性の高いAES256は、2031年以降も使用できます。
対称キーを使用
暗号化には、大きく暗号化と復号に同じ鍵(対称キー)を用いる対称暗号(共通鍵暗号)方式と、別の鍵(非対称キー)を使う非対称暗号(公開鍵暗号)方式の2種類が存在します。復号とは、暗号化された文章を元のデータに復元することです。AES256は対称キーを利用する対称暗号化方式が採用されており、処理速度が早く大量のデータも効率的に暗号化できる特徴があります。
対称暗号方式と非対称暗号方式の主な違いは以下の通りです。
| 対称暗号方式 | 非対称暗号方式 | |
|---|---|---|
| 暗号化・復号に用いる鍵の数 | 1つ | 2つ |
| 特徴 |
|
|
| 主な用途 |
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|
| 主なアルゴリズム |
|
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なお、対称暗号方式と非対称暗号方式の詳細は以下をご覧ください。
⇒共通鍵暗号方式とは?種類やメリット・デメリット、他の暗号化技術も解説
⇒公開鍵暗号方式とは?仕組みやメリットなどをわかりやすく解説
AES256による暗号化の流れ

AES256による暗号化は以下の流れで行われます。
- 情報をブロックに分割する
- 複数のラウンドキーを再作成する
- 最初のラウンドキーを追加する
- バイトを置換する
- 行をシフトする
- 列を混合する
- 別のラウンドキーを追加する
ここからは、上記の各ステップについて解説します。
1.情報をブロックに分割する
暗号化が行われるにあたり、まずは情報のブロック分割が実施されます。AESではブロックサイズが128bitと定められており、データは4×4のブロックに分けられます。
2.複数のラウンドキーを再作成する
続いて、複数のラウンドキーが再作成されます。鍵スケジュールを用いて、最初のキーからAESアルゴリズムが含まれた複数のラウンドキーが作られます。
鍵スケジュールとは、暗号鍵を元に各ラウンドで使用されるラウンドキーを生成するアルゴリズムのことです。ラウンドとは、AESの暗号化処理が行われる単位のことを指します。
3.最初のラウンドキーを追加する
次に、4×4のブロックに分けられたデータに最初のラウンドキーが追加されます。ラウンドキーは、鍵スケジュールを基に生成されます。
4.バイトを置換する
続いて、データの各バイトが別のバイトデータに置き換えられます。バイト(byte)とは、複数のbitをまとめた単位のことです。一般的に、1バイトは8bitで構成されます。
5.行をシフトする
次に、4×4配列の行がシフトします。シフトは、2行目のバイトが1スペース左に、3行目のバイトは2スペース左にシフトするなど、一定の規則を基に行われます。シフト量はラウンド数で異なり、ラウンド数が大きくなるにつれてシフト量も拡大するでしょう。
6.列を混合する
あらかじめ確立されたマトリクスを用いて、データ配列の4×4列が混同されます。
7.別のラウンドキーを追加する
AESのアルゴリズムでは、バイトの置換から別のラウンドキー追加までの4ステップを1ラウンドとして、鍵長に応じた回数が繰り返されます。なお、各鍵長におけるラウンド数は以下の通りです。
- 128bit→10回
- 192bit→12回
- 256bit→14回
最後のラウンドでは、列を混合する処理が行われません。バイトの置換から別のラウンドキー追加までのステップを繰り返すことで、最終的に元のデータとは異なる暗号化されたデータができあがります。
AES256の活用事例

セキュリティ強度が強く信用性の高いAES256は、多くのシーンで活用されています。ここからは、AES256の以下活用事例について解説します。
- 通信の暗号化
- ストレージサービス
- モバイルセキュリティ
通信の暗号化
AES256は、インターネットのデータ通信を暗号化する際に活用されています。具体的には、TLS暗号化やVPNのリモートアクセス時に用いられています。
TLS(Transport Layer Security)とは、インターネット上での通信を暗号化する技術(プロトコル)のことです。VPN(Virtual Private Network)とは、外部からの通信が侵入できない仮想空間を作り、物理専用線を用いずとも社外から社内に接続する仮想専用線のことを指します。
なお、TLSの詳細は以下をご覧ください。
⇒TLSとは?SSLとの違いやメリット・導入方法などを解説
AES256を活用することで、通信データの窃盗や改ざんリスクを低減できます。
ストレージサービス
OneDriveやGoogle Driveなどのストレージサービスやハードディスクの暗号化にも、AES256が活用されています。AES256を用いることで、デバイスの盗難・紛失時における情報漏洩や、クラウド上での情報漏洩を防止可能です。
モバイルセキュリティ
モバイルセキュリティもAES256が活用されている事例の一つです。具体的には、iOSやAndroidデバイスの内部データを暗号化する目的で、AES256が使われています。スマートフォンやタブレットの紛失・窃盗に遭っても、データが漏洩するリスクを抑えられるでしょう。
AES256利用時の注意点

AES256利用時の注意点は以下の通りです。
- 鍵を慎重に管理する
- バランスを考慮する
順に解説します。
鍵を慎重に管理する
AES256では鍵を慎重に管理する必要があります。ブルートフォース攻撃などで、実質破られる心配がないほど強固なセキュリティを保持するAES256ですが、鍵が漏洩すれば簡単に暗号を解かれてしまいます。
鍵の受け渡しや管理時には、暗号化したデータと鍵を別管理すると良いでしょう。また、暗号化データと鍵を遠隔操作で削除可能な機能が実装されていれば、どちらか一方が漏洩した際も対応しやすくなります。
バランスを考慮する
どのbit数のAESを用いるか検討する際には、バランスの考慮が重要です。bitが大きくなる(鍵が長くなる)ほど、セキュリティ強度は向上しますが、暗号化・復号に時間がかかりパフォーマンスの低下を招きます。リソースが限られている場合は、セキュリティ強度とパフォーマンスのバランスを検討した上で、どのbit数のAESを用いるか決定しましょう。
AES256以外の暗号化方式

AES256以外にも暗号化方式は複数あります。例えば、AESと良く比較されるDESとRC4の違いは以下の通りです。
| AES256 | DES | RC4 | |
|---|---|---|---|
| 暗号化方式の種類 | 対称暗号方式 | 対称暗号方式 | 対称暗号方式 |
| 鍵長 | 256bit | 56bit | 40~2,048bit |
| ブロック長 | 128bit | 64bit | ー |
| セキュリティ強度 | 極めて高い | 低い | 低い |
最後に、以下の暗号化方式を紹介します。
- DES
- RC4
DES
DES(Data Encryption Standard)とは、アメリカ連邦政府標準が公募によって暗号化方式を募集した結果、1977年に採用された暗号化方式のことです。一定のデータをまとめて暗号化するブロック暗号が採用されているDESは、データを64bit単位に区切り、その一区切りごとに暗号化を行います。鍵の長さは56bitですが、そこにパリティチェック用の8bitを加えて64bitとして扱います。
以前は多くのシーンで活用されていましたが、コンピューターの進歩により簡単に解読される問題が発生しました。その後、DESを2回繰り返して鍵長を合計112bitにする2DES方式や、3回繰り返して168bitにする3DES方式も登場しました。ただ、2DESは中間一致攻撃で簡単に破られ、3DESは処理に時間がかかる問題があります。
RC4
RC4(Rivest’s Cipher 4)とは、可変長のキーを使用して疑似乱数を生成し、平文とXOR演算を用いて暗号化するストリーム暗号のことです。1987年にRon Rivest氏によって開発されました。40~2,048bitの間で自由に鍵長を設定できる点が特徴です。1987年に登場後、多くのシーンで活用されていましたが、わずか数時間程度で破られることが判明して、多くの企業が利用を辞めています。
まとめ

AES256とは、通信データの安全向上を目的に暗号化するアルゴリズムのことです。ISO/IEC 18033-3として国際標準化されており、世界中で活用されています。AES256は、セキュリティ強度が高くスーパーコンピューターを活用したサイバー攻撃であっても、暗号の解読に数百兆年かかるといわれています。
ただし、悪意のある第三者に鍵を窃盗されれば、簡単に暗号を突破されてしまうでしょう。鍵の厳重な管理を行うとともに、情報漏洩が起きた際にすぐ気付き、迅速に対処できる環境の整備が重要です。情情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
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