パスワードレス認証とは?種類や活用するメリット・デメリットを解説

パスワードレス認証とは、ユーザーがパスワードを入力せず代替認証でログインする仕組みのことで、パスワード漏洩・使い回しによる不正アクセス対策として注目されています。本記事では、パスワードレス認証の概要や活用するメリット・デメリット、導入方法について解説します。
目次
パスワード漏洩や使い回しによる不正アクセスが課題となる中、その対策の一つとして「パスワードレス認証」が注目されています。パスワードレス認証とは、ユーザーがパスワードを入力せず“代替認証”でログインする仕組みのことです。セキュリティの強化だけでなく、ログイン体験の向上にもつながります。
本記事では、パスワードレス認証の概要や活用するメリット・デメリット、導入方法について詳しく解説します。パスワードレス認証について知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
パスワードレス認証とは
パスワードレス認証とは、パスワード入力の代わりに生体情報やPIN(Personal Identification Number)を利用して認証を行う仕組みのことです。パスワード依存をなくし、セキュリティと利便性を両立可能で、スマートフォンのロック解除でも用いられています。
ここからは以下の事項について詳しく解説します。
- パスワードレス認証の仕組み
- パスワードの課題とパスワードレス認証の安全性
パスワードレス認証の仕組み
パスワードレス認証は、プライベートキーとパブリックキーで構成される暗号キーのペアを比較することで認証の正当性を確認する仕組みになっています。プライベートキーはローカルデバイスに保存されており、パブリックキーはサービスを提供するサーバーに登録されています。プライベートキーとパブリックキーが別々に保持されているため、サーバーから情報が漏洩しても不正ログインされません。
パスワードの課題とパスワードレス認証の安全性
パスワードレス認証が注目されているのは、従来のパスワードに以下の課題があるためです。
- 推測されやすい
- 使い回しにより被害が拡大している
- パスワードを狙うサイバー攻撃が増加している
文字数が少なく単純な文字列で構成されたパスワードは、ユーザーが覚えやすい一方で容易に突破されてしまいます。また、複数のサービスやシステムで同じパスワードを用いていた場合、一度流出すると複数のサービスに不正アクセスされるため、被害が拡大するでしょう。パスワードを狙うサイバー攻撃も増加・高度化しており、従来のパスワード認証では被害を防ぐことができないケースも増えています。
パスワードレス認証は、従来のパスワードと比較して安全性が高い特徴があります。例えば、指紋や顔などを活用した生体要素は容易にコピーできません。
パスワードレス認証の種類
代表的なパスワードレス認証の種類は以下の通りです。
- FIDO認証
- 生体認証
- 所持認証
- マジックリンク
ここからは、上記それぞれの種類について詳しく解説します。
FIDO認証
FIDO(Fast Identity Online)認証は、パスワードレスに関する標準規格団体の「FIDO Alliance」が定めた国際規格です。公開鍵暗号方式が採用された認証方法で、ユーザーのデバイス内で認証が完了します。2012年に登場して、その後「FIDO UAF」「FIDO U2F」などの規格も発表されました。また、2018年にはFIDO UAFとFIDO U2Fを統合・拡張した「FIDO2」が新たに発表され、さまざまなケースで利用されています。
生体認証
生体認証は、ユーザーの以下生体情報をパスワード代わりに用いて認証する方法です。
- 指紋
- 顔
- 虹彩
- 静脈
また、タイピングやタッチスクリーンの動きなど行動的な特徴を用いるケースもあります。昨今は、パソコンやスマートフォンでも用いられており、生体要素や行動的な特徴はコピーが困難とされており、方式や運用次第では高いセキュリティが求められる分野でも活用されています。
所持認証
所持認証は、本人のみが保有するデバイスを用いて認証を行う方法です。例えば、スマートフォンに送信されるワンタイムパスワード・プッシュ通知や認証アプリで生成されるコードが該当します。また、USBポートに差し込むセキュリティキーや専門機器で発行するハードウェアトークンを利用する方法も存在します。
マジックリンク
マジックリンクは、ユーザーが入力したアドレス宛にリンク付きのメールを送り、リンクをクリックすることでアクセス権を付与する方法です。入力内容はメールアドレスのみで、パスワードは不要です。リンククリックに対して「1回限り利用可能」「一定時間のみ有効」などの条件付けもでき、セキュリティを強化できます。
パスワードレス認証を活用する4つのメリット
パスワードレス認証を活用することで、以下4つのメリットを得られます。
- パスワード漏洩リスクを大幅低減
- フィッシング耐性が高い
- ログイン体験の向上(入力不要)
- パスワード管理の手間軽減
ここからは、上記それぞれのメリットについて解説します。
パスワード漏洩リスクを大幅低減
パスワードレス認証を活用する最大のメリットは、パスワード漏洩や突破リスクをほぼゼロにできセキュリティの強化が可能なことです。テクノロジーが向上したことで、パスワードの漏洩・突破リスクが高まっています。
以下は、セキュリティに関するサービスを展開するSecurity Hero社が、AIでのパスワード解析にどの程度の時間がかかるかを調査した結果です。

出典:AN AI JUST CRACKED YOUR PASSWORD|Security Hero
上記の結果によれば、AIの活用により71%のパスワードが1日以内に突破されます。
パスワードレス認証は、偽造や複製が困難なため容易には突破されません。
フィッシング耐性が高い
フィッシング詐欺への耐性が高い点も、パスワードレス認証を活用するメリットです。フィッシング詐欺とは、クレジットカードや大手ECショップを偽ったメールを利用して、偽サイトから個人情報などを騙し取る手口のことです。前述の通り、パスワードレス認証であれば複製が困難なためフィッシング詐欺でログイン情報を盗まれても、悪用されるリスクを軽減できます。
また、パスワードレス認証が使えるか否かで正規サイトか偽サイトかの判断もできるでしょう。
なお、フィッシング詐欺の詳細は以下をご覧ください。
⇒フィッシング詐欺とは?5つの対策や被害にあった場合の対処法を解説
ログイン体験の向上(入力不要)
IDやパスワードの入力が不要で、ログイン体験の向上が図れる点もパスワードレス認証におけるメリットの一つです。近年は、複数のクラウドサービスやツールを導入・利用している企業が少なくありません。サービスごとに認証情報を入力すれば、多くの手間がかかるでしょう。
パスワードレス認証の場合、ID・パスワードを入力する必要がなく迅速にアクセス可能です。ユーザーの手間も軽減できるでしょう。
パスワード管理の手間軽減
パスワードレス認証の活用は、パスワード管理の手間軽減にも有効です。従来のパスワードにおけるリスクの抑制には、パスワードの使い回しを避けることが重要です。ただ、近年は一人10個以上のパスワード管理が必要とされており、煩雑でパスワードを使い回すユーザーも少なくありません。
また、Excel・テキストデータや手書きメモなどでパスワードを管理すれば漏洩リスクが高まります。生体要素や所有要素などを用いるパスワードレス認証であれば、負担のかかる管理から解放されます。
パスワードレス認証を活用する3つのデメリット・課題
メリットがある一方で、パスワードレス認証には以下3つのデメリットも存在します。
- デバイスの紛失などによりトラブルが発生する
- ストレスを感じるユーザーもいる
- 完全にサイバー攻撃を防止できるわけではない
続いて、上記各デメリットを順に解説します。
デバイス紛失などによりトラブルが発生する
パスワードレス認証の利用には、指紋・顔を読み取るためのスマートフォンやワンタイムパスワード・トークンを取得するキーデバイスなどが必要です。デバイスの紛失や不具合により、正常な認証ができなくなるトラブル発生のリスクがあります。トラブルによりクラウドサービスやツールにアクセスできなければ、業務に支障をきたすでしょう。
ストレスを感じるユーザーもいる
パスワードレス認証の利用にストレスを感じるユーザーがいることも、デメリットの一つです。例えば、精度が低い生体認証の場合、手荒れやマスク・眼鏡などが原因で上手く認証できないケースがあります。また、認証にあたり複数のデバイスが必要になるケースもあるでしょう。
完全にサイバー攻撃を防止できるわけではない
パスワードレス認証を用いたとしても、不正アクセスや情報漏洩などのサイバー攻撃を完全に防止できるわけではありません。セキュリティ技術だけでなく、サイバー攻撃の手法も日々進化しています。既存アカウントのID情報は依然として流出し得る可能性があります。バックアップコード・メール認証が突破されるケースも存在するでしょう。
万が一、企業が保有する個人情報が漏洩すれば信用やブランドイメージの低下につながります。また、漏洩したIDがダークウェブで取引され、さまざまなサイバー攻撃の足掛かりに使用されることもあります。
ダークウェブ監視の重要性
パスワードレス認証の安全性を高めるには、ダークウェブの監視が有効です。ダークウェブを監視すれば、情報漏洩の迅速な発見と対処が可能です。
具体的には、弊社SMSデータテックが提供している情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」で、アカウントIDや関連情報がダークウェブに流出していないか継続的に監視すると良いでしょう。ダークウェブアイであれば、パスワードレス環境においても残り得る“アカウント攻撃の入口”への対策強化に役立ちます。また、多層防御(ゼロトラスト)に組み込みやすい点も特徴です。
パスワードレス認証の導入方法
パスワードレス認証の導入にはツールが必要です。機能や使い勝手、認証方法の種類などを比較しながら、自社に合うツールを選定しましょう。本記事で解説した通り、パスワードレス認証でログイン体験の向上が図れる一方、ストレスを感じるユーザーも存在します。現場の従業員にも使い勝手を試してもらい、利便性が低下しないか確認すると良いでしょう。
使用ツールが決まったら、導入してプロビジョニング作業を実施します。プロビジョニングとは、システムなどを活用できるように準備することです。具体的には指紋や顔の登録などを行います。
まとめ
パスワードレス認証とは、パスワード入力の代わりに生体情報やPINを利用して認証を行う仕組みのことです。従来のパスワードを用いた認証のリスクが高まっているため、多くの注目を集めています。パスワードレス認証を活用すれば、セキュリティの強化やログイン体験の向上、パスワード管理の手間軽減など、多彩なメリットを得られるでしょう。
ただ、パスワードレス認証を活用したとしても、不正アクセスや情報漏洩を完全に防止できるわけではありません。安全性を高めるには、パスワードレス認証を用いた認証の強化と情報漏洩を検知する体制の整備が重要です。「ダークウェブアイ」を併用することで、安全なアカウント管理を実現できるでしょう。
