技術用語解説

IDプロビジョニングとは?手動管理の課題やメリット、導入ステップを解説

IDプロビジョニングとは、ユーザーのアカウント情報(ID・権限・アクセス先など)を自動で作成・変更・削除する仕組みのことです。クラウドサービスが増える中で、社員の入社・退職・異動に伴うアカウント設定作業が増加していますが、これを効率化する仕組みが ITプロビジョニングです。
本記事では、ITプロビジョニングに関する概要や導入するメリット、実施ステップとポイントについて詳しく解説します。本記事では、多要素認証の概要やツールの選び方、おすすめの多要素認証ツール15選について詳しく解説します。
本記事では、シングルサインオンの概要や導入するメリット・デメリット、おすすめのシステム18選について詳しく解説します。

目次

  1. 1IDプロビジョニングとは
  2. 2IDを手動管理する際の課題
  3. 3IDプロビジョニングを導入する3つのメリット
  4. 4IDプロビジョニングを導入するステップ
  5. 5IDプロビジョニングのポイント
  6. 6まとめ

IDプロビジョニングとは、ユーザーのアカウント情報(ID・権限・アクセス先など)を自動で作成・変更・削除する仕組みのことです。クラウドサービスが増える中で、社員の入社・退職・異動に伴うアカウント設定作業が増加していますが、これを効率化する仕組みが ITプロビジョニングです。
本記事では、ITプロビジョニングに関する概要や導入するメリット、実施ステップとポイントについて詳しく解説します。IDプロビジョニングについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

IDプロビジョニングとは

IDプロビジョニングとは、システムやアプリケーションのアカウント作成・権限の割り当てと変更・削除などを自動化する仕組みやテクノロジーのことです。「ユーザープロビジョニング」や「アカウントプロビジョニング」と呼ばれるケースもあります。
近年は、便利なクラウドサービス・システムが多数開発・提供されており、企業の課題解決や競争力の向上には利用が欠かせません。ただ、活用するツール数に比例して、設定の手間やセキュリティリスクが向上します。IDプロビジョニングを導入することで、システム管理者の手作業を減らしてセキュリティ事故や設定ミスを防止可能です。
ここからは以下の事項について解説します。

  • プロビジョニングの概要
  • プロビジョニングの種類

プロビジョニングの概要

そもそもプロビジョニングは「準備する」「設定する」「供給する」を意味する英語単語「provision」に由来する言葉です。従来は、通信事業・通信サービスの分野において、顧客から申し込みがあった際に素早くインターネット回線を提供するために準備することを意味していました。
ただ、クラウドの利用拡大にともない言葉の使われ方や意味が変化しており、IDプロビジョニングなどの表現が登場しました。昨今は、モバイル業界でも「プロビジョニング」という言葉が使われるようになっています。

プロビジョニングの種類

ID以外にも、複数のプロビジョニングが存在します。ここからは、以下ID以外のプロビジョニングを紹介します。

  • サービスプロビジョニング
  • サーバープロビジョニング

サービスプロビジョニング

サービスプロビジョニングとは、利用に必要なITリソースを準備して使用可能な状態にすることです。例えば、以下ITリソースの準備や設定を行います。

  • サーバー
  • ネットワーク
  • ストレージ
  • ソフトウェア

サービスプロビジョニングは、クラウドサービスやインターネットの利用を開始するにあたり欠かせない作業です。

サーバープロビジョニング

サーバープロビジョニングとは、目的に応じてサーバーの設定を変更して要件を満たした状態にすることです。具体的には以下の作業が含まれます。

  • OSやアプリケーションのインストール
  • ネットワークの設定
  • システムの設定
  • ストレージの割り当て
  • ハードウェア・ソフトウェアの設定
  • サーバーの設定変更

システム障害が発生した際の復旧作業も、サーバープロビジョニングに含まれます。

IDを手動管理する際の課題

ツールでIDプロビジョニングを実施する企業がある一方で、手動管理しているところもあるでしょう。ただ、手動管理の場合以下の課題が発生するケースがあります。

  • 退職者アカウントの削除漏れ
  • 権限の誤設定による情報漏洩リスク
  • 各クラウドでの設定作業に時間がかかる

退職者アカウントを放置すれば、退職後も企業の情報にアクセスできてしまいます。中には、情報を不正に取得してライバル企業にデータを渡したり、販売したりする人がいる恐れがあるでしょう。
また、権限の設定を誤れば情報漏洩リスクが高まります。例えば、高度な権限を有するアカウントの場合アクセスや編集可能なデータが多く、乗っ取られた場合被害が拡大するでしょう。
各クラウドでの設定作業負担も少なくありません。導入・利用しているクラウドサービスが少なければあまり負担になりませんが、近年は多数のサービスを利用している企業が多く存在します。入退社や人事異動に合わせた各従業員のアカウント作成・削除や権限変更には多くの時間がかかるでしょう。

IDプロビジョニングを導入する3つのメリット

IDプロビジョニングを導入することで得られる主なメリットは以下の3つです。

  • セキュリティの強化
  • ID管理に関する効率の向上
  • 更新漏れの防止

続いて、上記の各メリットについて順に解説します。

セキュリティの強化

ツールを活用したIDプロビジョニングを導入することで、セキュリティの強化が可能です。社内や各個人のアカウントID・パスワードをExcelや手書きメモで管理した場合、漏洩リスクが高まります。ウイルス感染すれば、情報を盗まれてしまうでしょう。
近年は、プライバシー保護に関する注目が高まっており、企業が保有する個人情報が漏洩すれば信用やブランドイメージが低下します。また、漏洩したユーザーに対する賠償金や個人情報保護法などに基づく罰金が科せられる恐れもあります。IDプロビジョニングの導入で、情報管理の安全性を高めることが可能です。
なお、個人への賠償金支払い事例や個人情報保護法における罰金詳細については以下をご覧ください。
⇒情報漏洩による損害賠償とは?事例5選や企業に与える影響、対策まで徹底解説
⇒個人情報保護法の罰則とは?概要や罰則以外のリスク、違反を防止するための対策を解説

ID管理に関する効率の向上

ID管理に関する効率の向上にも、IDプロビジョニングは役立ちます。利用するシステムやクラウドサービスが増加しており、Excelなどを利用した手動管理では適切な管理が困難です。アカウントや権限が最適になっているかの確認にも多くの時間がかかり、杜撰になる恐れがあります。また、従業員からパスワード忘れやアカウントがあった際の問い合わせ対応にも、多くの時間がかかるでしょう。
IDプロビジョニングを導入することで、アカウントや権限を一元管理でき負担の軽減につながります。

更新漏れの防止

更新漏れの防止にもIDプロビジョニングは効果的です。「IDを手動管理する際の課題」の章で解説した通り、手動管理ではアカウントや権限の変更漏れが発生するリスクがあります。退職者のアカウントが残ったままになっていれば、退職した社員が機密情報やデータにアクセスできてしまいます。
また、権限の変更が漏れた結果、本来は一部の人のみが知りえる情報に関係ない人がアクセスできる状態になってしまうでしょう。サイバー攻撃や内部不正の誘発にもつながります。IDプロビジョニングの導入で、アカウントや権限の設定もれを防止可能です。

IDプロビジョニングを導入するステップ

IDプロビジョニングを導入するステップは以下の通りです。

  • ポリシーの検討
  • 権限管理や監視体制の検討・設計
  • システム・サービスの導入

ここからは、上記の各ステップについて詳しく解説します。

1.ポリシーの検討

まずは、どのようなセキュリティ体制やルールを構築するかなどを含めたポリシーを検討しましょう。ポリシーによって実施するセキュリティ対策や必要な機能などが異なります。企業が保有する情報や各業界で求められる基準・ルールなどと、業務効率を踏まえたポリシーを検討することが重要です。実態と合わないポリシーを設計すると、業務効率が低下する恐れがあります。

2.権限管理や監視体制の検討・設計

続いて、権限管理や監視体制の検討・設計を行います。サイバー攻撃を受けた場合、通常とは異なるアクセスやトラフィック量の増加、ログインの失敗などが発生します。監視体制を構築することにより、サイバー攻撃の予兆に素早く気付き、迅速な対処で被害発生の防止や最小化が可能です。
ただ、監視対象を増やせばその分手間がかかります。最適な権限管理や監視体制を検討しましょう。なお、権限管理については後述します。

3.システム・サービスの導入

権限管理や監視体制の検討・設計後、具体的にシステムやサービスを選定します。選定時には以下を比較すると良いでしょう。

  • 連携可能なシステム
  • 実装されている機能
  • 使いやすさ
  • サポートやマニュアル、FAQの有無・充実度
  • コストパフォーマンス

クラウドサービスの多くは、1ヵ月程度のトライアル期間を設けています。検討時には、使い勝手に問題がないか実際に活用する担当者にも使用してもらい確認すると良いでしょう。高機能なツールであっても、使いこなせなければ価値を発揮できません。また、業務効率が低下する恐れもあります。

IDプロビジョニングのポイント

IDプロビジョニングのポイントは以下の2つです。

  • 最適な権限管理
  • 情報連携の自動化

最後に、上記ポイントについて詳しく解説します。

最適な権限管理

最適な権限管理を心掛けましょう。権限管理の方法は複数ありますが、以下のポイントを踏まえ実施することが重要です。

  • 最小権限を心掛ける
  • 権限を見える化する
  • 最新の状態を保つ
  • 定期的に見直す

権限管理の基本は必要最小限を心掛けることです。不要な権限は、内部不正やサイバー攻撃を誘発する原因になります。また、権限を可視化することも重要です。誰にどの権限を付与しているか把握できなければ、最新の状態か適切に付与されているかを確認することが困難です。
定期的な見直しも行うと良いでしょう。必要な権限が付与されなければ、データにアクセスする際に毎回上司やシステム担当者などの許可を得なければなりません。ただ、必要以上に権限を付与した場合セキュリティリスクが高まります。業務などは常に変化するため、定期的に権限の見直しを行い必要性を確認することが重要です。
なお、権限管理の具体的な設定方法やポイントの詳細は以下をご覧ください。
⇒権限管理とは?不適切な場合のリスクや設定手法・ポイントを解説

情報連携の自動化

情報連携の自動化も欠かせません。手動で行えば、抜け漏れが発生したり手間がかかったりします。人事システムと連携させて、アカウントの追加・削除や権限設定が全てのシステムに自動反映される体制を築くと良いでしょう。運用効率の向上やセキュリティリスクの抑制につながります。

まとめ

IDプロビジョニングとは、システムやアプリケーションのアカウント作成・権限の割り当てと変更・削除などを自動化する仕組みやテクノロジーのことです。クラウドサービスの利用が増加し、設定作業の負担軽減や抜け漏れ防止などの理由で注目を集めています。
さまざまなクラウドサービスとの連携によるアカウントの追加・削除や権限設定の自動化を行いたい場合には「ID Entrance」の利用がおすすめです。「ID Entrance」は、クラウド型の統合ID管理サービスで、オプションのIDプロビジョニング機能により、アカウントの追加・削除・同期を自動化できます。
Active Directory連携に対応しており、クラウドサービス間のアカウント操作を自動反映可能です。また、シングルサイン(SSO)や多要素認証(MFA)機能も実装されているため、アカウント運用の手間だけでなくセキュリティリスク軽減とユーザビリティの向上にも役立ちます。
⇒ID Entrance


なお、SSOやMFAに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
⇒シングルサインオン(SSO)とは?認証方式の種類やメリット・デメリット、導入の流れを解説
⇒MFA(多要素認証)とは?仕組みやメリット・デメリット、導入方法を解説