共通鍵暗号方式とは?種類やメリット・デメリット、他の暗号化技術も解説
共通化暗号方式とは、データ通信を安全に行う目的で、同じ鍵を使い情報の暗号化と復号を行う仕組みやテクノロジーのことです。本記事では、共通鍵暗号方式の概要やメリット・デメリット、共通鍵暗号方式以外の暗号化に関する種類について詳しく解説します。
目次
共通化暗号方式とは、データ通信を安全に行う目的で、同じ鍵を使い情報の暗号化と復号を行う仕組みやテクノロジーのことです。効率が良く、大量データを迅速に処理できる点が特徴で、オンラインバンキングやクレジットカード、テレビ会議など多くのシーンで利用されています。
本記事では、共通鍵暗号方式の概要やメリット・デメリット、共通鍵暗号方式以外の暗号化に関する種類について詳しく解説します。共通鍵暗号方式について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
共通鍵暗号方式とは

共通鍵暗号方式とは、暗号化と復号に同じ鍵を使う暗号方法のことです。同一の鍵を使うため、同一鍵暗号方式もしくは対称鍵暗号方式と呼ばれることもあります。暗号化とは第三者に情報を見られたり情報漏洩したりすることを防ぐため、データを解読できない形式に加工することで、復号とは暗号化されたデータを解読できる元の形式に戻すことです。
共通鍵暗号方式の特徴や強み
共通鍵暗号方式における最大の特徴は、暗号化と復号に同じ鍵を用いる点です。同一の鍵を利用するため効率が良く、大量データを暗号化する際のスピーディーな計算速度が強みです。
共通鍵暗号方式は、重要で大量なデータを通信する多くのシーンで活用されています。具体的な用途としては以下が挙げられます。
- メッセージアプリ
- 電子メール
- ファイル暗号化
- オンラインバンキング
- クレジットカード
- ICカード
- 音声通話
- ビデオ会議
- データベース
- 無線LAN
ただ、鍵の管理や共有におけるリスクが存在します。万が一、鍵を盗まれれば情報漏洩につながるでしょう。鍵共有の際には、デジタル署名や鍵交換プロトコルなどを活用した強固な鍵管理プロトコルと鍵交換メカニズムが欠かせません。
共通鍵暗号方式の仕組み

共通鍵暗号方式では、通信を行うデバイス同士が共有した鍵を用いて暗号化・復号を行う仕組みが採用されています。具体的な流れは以下の通りです。
- データ通信を行うデバイス同士で鍵を共有・用意する
- 送信者が共通鍵を使い、通信データを暗号文にして送信する
- 受信者は事前に共有された鍵を活用して、暗号文を平文(原文)に変換する
共通鍵暗号方式では、データ通信を行う対象数に比例して鍵を増やす必要があります。鍵が増えれば共有・管理方法が複雑になるとともに、漏洩するリスクが向上するため、データ通信を行う対象が少ないケースで有効な方法です。
共通鍵暗号方式の種類

共通鍵暗号方式には複数の種類が存在します。ここからは、共通鍵暗号方式における以下の種類について詳しく解説します。
- DES
- AES
- RC4
DES
DES(Data Encryption Standard)とは、1977年にアメリカ政府の公募で選ばれたデータ暗号化アルゴリズムのことです。64bit単位にデータを区切り、それをまとめて暗号化するブロック暗号となっています。鍵長自体は56bitですが、データの誤りを検出するパリティチェック用の8bitを加えて64bitとして扱います。
鍵長とは、暗号化で利用する鍵におけるデータ量のことで、 一般的には鍵データをビット列として表記したときの桁数で表します。鍵長が増えるほど暗号化や復号に必要な計算量が増えるため、セキュリティ性が高くなります。例えば、56bitの場合鍵の組み合わせは約7,200兆通りあり、総当たり攻撃に対する高い耐性があるでしょう。総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)とは、暗号の解読やパスワードの割り出しなどを目的に、考えられるパターンをリストアップして、片っ端から検証する方式のことです。
なお、ブルートフォース攻撃の詳細は以下をご覧ください。
⇒ブルートフォース攻撃とは?被害例や対策をわかりやすく解説
AES
AES(Advanced Encryption Standard)とは、米国政府標準技術研究所(NIST)が2001年に公募・採用したデータ暗号化アルゴリズムのことです。鍵長が短いなどDESに難点があり、強度が高いものが求められたためAESが登場しました。
AESでは、鍵長を128・192・256bitから選択して利用できます。安全性が高く処理速度が早いため、現在でも無線LANやSSL通信、ファイル暗号化などさまざまなシーンで活用されています。
なお、AESの詳細は以下をご覧ください。
⇒AESとは?他の暗号化方式との違いや使用方法を解説
RC4
RC4(Rivest’s Cipher 4)とは、RSAデータセキュリティ社に在籍していたロナルド・リベスト氏が1987年に考案したデータ暗号化アルゴリズムのことです。一定量のデータをまとめて暗号化するブロック暗号ではなく、データを1bitずつ暗号化していくストリーム暗号となっています。
もともとRC4の詳細は公開されておりませんでしたが、1994年にインターネット上で何者かによって仕様が公開され、多くのシステムで利用されるようになりました。RC4自体はRSAデータセキュリティ社の登録商標であるため、公開された情報を基にした暗号はARC4(ARCFOUR)と呼ばれています。
共通鍵暗号方式のメリット・デメリット

続いて、共通鍵暗号方式のメリット・デメリットについて詳しく解説します。
共通鍵暗号方式のメリット
共通鍵暗号方式の大きなメリットは、高いセキュリティ性です。共通鍵暗号は基本的にハッキングされることがありません。例えば、鍵長が256ビットのAESであれば、大規模な問題を高速かつ効率的に解決できるスーパーコンピューターで総当たり暗号解読を試みても、数百万年かかるとされています。共通鍵暗号方式のセキュリティ性に関する評価は高く、アメリカ政府も機密データの暗号化に利用しています。
また、効率の良いデータの暗号化と復号ができる点も共通鍵暗号方式のメリットです。鍵を一つだけ用意するシンプルな仕組みが採用されており、サーバーに大きな負担をかけずに膨大なデータを処理できます。
共通鍵暗号方式のデメリット
共通鍵暗号方式における大きなデメリットは、安全な鍵の共有と管理が必要になる点です。万が一、鍵が流出すれば簡単に通信内容を傍受されてしまいます。直接会い鍵を共有すれば高い安全性が期待できますが、現実的ではなくインターネット経由で鍵の共有が行われます。鍵の配布や管理の際に、不正アクセスされる恐れがあります。
また、共通鍵暗号方式を採用している多くのツールでは、安全性を高める目的で鍵を使用できる期限を設けています。過去のメッセージやデータを見返そうと思っても、鍵の期限が切れていれば不可能です。
さらに、共通鍵暗号方式で必要な鍵は、やり取りするデータや相手ごとに個別のものを用意することが前提とされています。1対1の通信であれば問題ありませんが、通信相手が増えればその分の鍵が必要です。例えば、Aさん・Bさん・Cさんが通信する際には、以下のパターンで3つの鍵が必要になります。
- Aさん・Bさん用の鍵
- Aさん・Cさん用の鍵
- Bさん・Cさん用の鍵
N人とのデータ通信を行う場合には「N(N-1)/2」個の鍵を用意しなければなりません。例えば、50人との通信をする場合1,225個の鍵が必要となります。
共通鍵暗号方式以外の暗号化に関する種類

暗号化を行う技術は、共通鍵暗号方式だけではありません。最後に、共通鍵暗号方式以外の暗号化に関する以下の種類について詳しく解説します。
- 公開鍵暗号方式
- ハイブリッド暗号方式
- ハッシュ化
公開鍵暗号方式
公開鍵暗号方式とは、ペアになっている2つの鍵を使用して、データの暗号化と復号を行う暗号通信方法のことです。公開鍵暗号方式の仕組みは以下の通りです。
- データの受信者がセットの鍵を用意する
- 送信者に対して、暗号化する鍵(公開鍵)を公開する
- 送信者は公開鍵を利用してデータを暗号化し、送信する
- 受信者はもともと用意していた鍵(秘密鍵)を利用して、データを復号する
公開鍵暗号方式では2つの鍵を用いますが、暗号化で利用する公開鍵のみが共有されます。
共通鍵・公開鍵暗号方式の主な違いは以下の通りです。
| 共通鍵暗号化方式 | 公開鍵暗号方式 | |
|---|---|---|
| 鍵の作成者 | データの送信者 | データの受信者 |
| 鍵の数 | 最低1つ | 2つ |
| 鍵の管理における手間 | 煩雑 | 比較的楽 |
| 処理速度(両者の比較) | 早い | 遅い |
| 安全性(両者の比較) | 低い | 高い |
なお、公開鍵暗号方式の詳細は以下をご覧ください。
⇒公開鍵暗号方式とは?仕組みやメリットなどをわかりやすく解説
ハイブリッド暗号方式
ハイブリッド暗号方式とは、共通鍵暗号化方式と公開鍵暗号方式を組み合わせて活用する暗号方式のことです。共通鍵暗号方式の鍵共有における安全性の欠点と、公開鍵暗号方式の処理に時間がかかる欠点を補った暗号方式となっています。ハイブリッド暗号方式の仕組みは以下の通りです。
- データ送信者が暗号化する共通鍵(暗号鍵)を生成する
- 送信者が共通鍵を使いデータを暗号化する
- 受信者が公開鍵と秘密鍵を生成して、送信者に公開鍵を共有する
- 送信者は受信者から受け取った公開鍵を使い、共有鍵を暗号化する
- 送信者が暗号化されたデータと共有鍵を送信する
- 受信者は秘密鍵を使い共有鍵を復号する
- 受信者が復号した共有鍵で、データ自体を復号する
ハッシュ化
ハッシュ化とは、ハッシュ関数と呼ばれる特殊な計算方法を活用して、一見ランダムに見える別の値(ハッシュ値)にデータを変換する方法のことです。厳密には暗号化とハッシュ化は違うもので、不可逆性(元に戻せない性質)の有無が異なります。
暗号化の場合、鍵さえあればデータを復号できますが、ハッシュ化ではデータを復号できません。また、同じデータから得られるハッシュ値は常に一定で、ハッシュ値の比較によりデータの同一性を判断可能です。例えば、ログイン認証では登録時とログイン時のハッシュ値を比較して、ユーザーが同一であるかを判断しています。
まとめ

共通鍵暗号方式とは、データの傍受や漏洩を防ぐために、暗号化と復号に同じ鍵を使い暗号する方法のことです。データの暗号化と復号に関する効率が良く、膨大なデータであっても迅速に処理でき、オンラインバンキングやクレジットカードなどに利用されています。ただ、万が一共通鍵が漏洩すれば簡単にデータの内容を見られてしまうため、鍵の共有や管理に細心の注意が必要です。
また、近年のサイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、情報の傍受や漏洩を完全に防止できるわけではありません。万が一、情報漏洩が発生すれば、企業の信用性やブランドイメージが低下してしまうでしょう。漏洩を早く察知し、適切な対応を取れる体制の整備が重要です。情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
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