技術用語解説

ワームとは?ウイルスとの違いや代表的な感染経路、感染時の対処法と感染防止策を解説

ワームとは自己増殖機能を持つマルウェアで、宿主ファイルなしに感染・拡大します。本記事ではワームの特徴、感染経路、被害事例、対処法と9つの予防対策を詳しく解説します。

目次

  1. 1ワームとは
  2. 2代表的なワームの種類
  3. 3ワームに感染した際に発生する5つの被害
  4. 4ワームの代表的な6つの感染経路
  5. 5ワーム感染時における3つの対処法
  6. 6ワーム感染を防止する9つの対策
  7. 7まとめ

ワームとは、情報を盗んだりデバイスを乗っ取ったりするマルウェアの一種です。宿主となるファイルを必要とせず、自己増殖機能も有しているため高い繫殖力を持ちます。デバイスが感染すれば、ネットワークを通じて他のデバイスやサーバーに被害が拡大する恐れがあるでしょう。

本記事では、ワームの概要や感染時の対処法と、感染を防ぐ対策について詳しく解説します。ワークについて知りたい方、被害を防ぎたい方は、ぜひ参考にしてください。

ワームとは

ワーム(worm)とは、インターネットを通じてデバイスに感染し情報を盗んだり、デバイスを乗っ取ったりするマルウェアのことです。そもそもは「虫」を意味する言葉ですが、虫と同様に這いまわる特性があり、命名されました。

ここからは、以下の事項について解説します。

  • ワームの主な特徴
  • ウイルス・トロイの木馬との違い

ワームの主な特徴

ワームの主な特徴は以下の2つです。

  • 感染対象となる宿主(ファイル)が不要
  • 自己増殖が可能

多くのマルウェアは、なにかに寄生しなければ存在できません。一方、ワームは宿主を必要とせず、ネットワークで結ばれたコンピューター間を単独で移動可能です。また、自己増殖機能が実装されており、自身のコピーを作成できます。宿主が必要なく増殖できるワームは繁殖力が強く、一度感染すれば多くの被害を及ぼすでしょう。

ウイルス・トロイの木馬との違い

ワームと混合されやすいウイルス・トロイの木馬の特徴における違いは、以下の通りです。

  ワーム ウイルス トロイの木馬
単体での存在可否 可能 不可能 可能
自己増殖可否 可能 可能 不可能

コンピュータウイルスとは、デバイスに侵入して悪影響を及ぼすプログラムのことです。トロイの木馬とは、害のないプログラムなどを装いシステム内に侵入して、標的が気づかない内に攻撃を行うもののことを指します。ウイルスはワームと異なり宿主が必要で、トロイの木馬は自己増殖できません。

なお、ウイルスの概要・対策やトロイの木馬に関する詳細を知りたい方は、以下をご覧ください。
⇒コンピュータウイルスの恐ろしさとは?ウイルスの種類やセキュリティ対策を解説
⇒パソコンがウイルス感染したらどうする?原因や症状、4つの対策方法について解説
⇒【徹底解説】トロイの木馬とは?ウイルスなの?種類・危険性・対策を完全網羅!

代表的なワームの種類

続いて、以下の代表的なワームの種類を紹介します。

  • LOVELETTER
  • SQL Slammer
  • Sobig
  • MyDoom
  • Conficker
  • Emotet
  • WannaCry

LOVELETTER

LOVELETTER(ラブレター)は、2000年に発見されたものです。件名が「I Love You」であるメールを活用してワームに感染させることから「LOVELETTER」と名付けられました。メールに付与されているファイル開封によりデバイスを感染させ、アドレス帳を用いて被害を拡げるとともに、画像やオーディオファイルを破壊します。

SQL Slammer

SQL Slammer(エスキューエル スラマー)は、2003年に発見されたものです。OracleやMySQL、PostgreSQLなどのデータベースを操作する言語であるSQLの脆弱性を悪用したタイプで、数分間で7万台以上のコンピューターが被害を受けました。アメリカでは、携帯やインターネットの接続に悪影響を及ぼし、インターネットバンキングが利用できなくなりました。

Sobig

Sobig(ソービッグ)も、2003年に見つかったものです。メールに付与されたファイルの開封により感染し、デバイス内に保存されているメールアドレスを収集します。また、集めたアドレスを活用して自身のコピーファイルを付与したメールを送るため、感染が広がりました。

MyDoom

MyDoom(マイドゥーム)は、2004年に確認されたものです。メールを通じて感染するタイプで、感染したデバイスにバックドアを仕掛けます。セキュリティ分野におけるバックドアとは、コンピューターへの不正侵入する入り口のことです。

バックドアの詳細を知りたい方は以下もご覧ください。
⇒バックドアとは?設置される手口や主な被害事例、対策方法を解説

Conficker

Conficker(コンフィッカー)は、2008年に確認されたものです。Windows OSにおける脆弱性を悪用して侵入して、推測しやすいパスワードが設定されたファイルに不正アクセスします。世界で1,500万台以上のコンピューターが感染したといわれており、多くの被害を発生させました。

Emotet

Emotet(エモテット)は、2014年にドイツとオーストリアの銀行で発見されたものです。電子メールが主な感染経路となっており、感染デバイスに保存された情報を盗みます。また、なりすましメールを送るための踏み台として活用されるリスクもあります。

なお、Emotetの詳細は以下をご覧ください。
⇒Emotet(エモテット)とは?被害事例や感染した場合の対処法と予防方法を解説

WannaCry

WannaCry(ワナクライ)は、2017年に確認されたワームとランサムウェアで成り立っているものです。ランサムウェアとは、感染したデバイスにおけるデータやソフトウェアを盾に金銭の要求を行うサイバー攻撃のことです。感染した場合、データを暗号化され解除する代わりに金銭を要求されます。

ランサムウェアの詳細や感染時の対処法は以下をご覧ください。
⇒ランサムウェアとは?手口や対策まで詳しく解説
⇒ランサムウェアに感染したらどうなる?感染時の対応ステップや感染対策を解説

ワームに感染した際に発生する5つの被害

ワームに感染した際に発生する主な被害は以下の5つです。

  • 情報漏洩
  • デバイスの乗っ取りや動作不良
  • 別マルウェアのインストール
  • 勝手なメール送信やSNS投稿
  • ボットネットへの追加

順に解説します。

情報漏洩

ワームに感染した場合、デバイスに保存されていた情報を盗まれる可能性があります。近年は、プライバシー保護に関する注目度が高まっており、個人情報が漏洩すれば企業の信用やブランドイメージが低下するでしょう。
また、個人情報保護法などの法律で罰せられたり、情報が漏洩した本人への賠償金支払いが発生したりするリスクもあります。

なお、個人情報保護法における罰則や情報漏洩による損害賠償事例の詳細は、以下をご覧ください。
⇒個人情報保護法の罰則とは?概要や罰則以外のリスク、違反を防止するための対策を解説
⇒情報漏洩による損害賠償とは?事例5選や企業に与える影響、対策まで徹底解説

デバイスの乗っ取りや動作不良

ワーム感染が原因で、デバイスの乗っ取りや動作不良が起きるケースもあります。デバイスを乗っ取られれば、ユーザーによる操作ができなくなり、身代金を要求される恐れも存在します。また、デバイスにおける大量のリソースが使用されるため、動作が遅くなったり動かなくなったりすることもあるでしょう。

別マルウェアのインストール

ワームがバックドアを設置することにより、別のマルウェアをインストールされる被害も発生しています。別のマルウェアに感染すれば、より多くの被害が発生する原因になります。

勝手なメール送信やSNS投稿

勝手なメール送信やSNS投稿も、感染した場合の被害です。自社アカウントからのメールで被害が拡大すれば、他社に迷惑をかけるでしょう。また、不適切な内容をSNS投稿された場合、企業の信用が低下するリスクがあります。

ボットネットへの追加

ボットネットへの追加も感染による被害の一つです。ボットネットとは、コマンドによりサイバー攻撃や犯罪に利用される複数のボットで構成されたネットワークのことです。ボットとして活用されれば、被害者であると同時に加害者になる恐れがあります。

ワームの代表的な6つの感染経路

続いて、ワームの代表的な以下の感染経路について解説します。

  • メール
  • Webサイト
  • ネットワーク
  • 共有フォルダ
  • 外部記録メディア
  • OSの脆弱性

メール

もっとも一般的な感染経路はメールです。ワームを仕込んだ添付ファイルをメールで送り、開封により感染させます。

Webサイト

Webサイトの閲覧から感染することもあります。サイバー攻撃者が、ワームに感染させたWebサイトに、ユーザーを巧みに誘導することで感染を企んでいます。

ネットワーク

ワームはネットワークを通じて、他のデバイスやサーバーに感染する機能を有しています。社内デバイスが感染したら、同じネットワークを活用しているデバイスなどに感染が拡がる恐れが存在します。

共有フォルダ

共有フォルダも感染の原因になります。ワームが共有フォルダ上にコピーを作った場合、その共有フォルダを用いたデバイスが感染します。

外部記録メディア

サイバー攻撃者が、USBメモリやSSD、HDDなどにワームを仕込むこともあります。ワームに感染した外部記録メディアをパソコンに接続すれば、パソコンにも感染が広がります。

OSの脆弱性

OSの脆弱性が原因で感染するリスクもあります。脆弱性とはセキュリティにおける欠陥のことです。ワームに限らず、脆弱性を悪用したサイバー攻撃は複数存在します。

なお、脆弱性の詳細は以下をご覧ください。
⇒脆弱性とは?発生原因から被害事例、対処法までわかりやすく解説

ワーム感染時における3つの対処法

次に、ワーム感染時における以下3つの対処法を紹介します。

  • ネットワークの切断
  • セキュリティソフトによる隔離と駆除
  • 他コンピューターのチェック

ネットワークの切断

ワームに感染した場合には、すぐに感染デバイスをネットワークから切り離しましょう。ネットワークから切断すれば、他のデバイスへの感染を防止できます。また、サイバー攻撃者へ情報を送られるリスクも抑えられるでしょう。

セキュリティソフトによる隔離と駆除

アンチウイルスソフトなどを用いて、ワームの隔離と駆除も実施します。まずは、感染したと思われるデバイスをチェックして、感染していないかを確認しましょう。感染していた場合には削除も実施します。

他コンピューターのチェック

他のコンピューターチェックも欠かせません。ワームは、ネットワークを通じて他のデバイスやサーバーに感染が拡大する特性を有しています。感染しているデバイスを見落とせば、そのデバイスから感染が拡がる恐れがあるでしょう。

ワーム感染を防止する9つの対策

最後に、ワーム感染を防止する以下9つの対策について解説します。

  • OSをこまめなにアップデートする
  • 身に覚えのないメールは開かない
  • 不審なサイトは閲覧しない
  • アンチウイルスソフトを活用する
  • EDRを導入する
  • ネットワークセグメンテーションを強化する
  • 従業員教育を行う
  • 外部記録メディアの利用を制限する
  • インシデントに対処する体制を整備する

OSをこまめにアップデートする

OSのこまめなアップデートを行うことにより、ワームに感染する原因である脆弱性をなくせます。また、新たなセキュリティ対策機能が追加されたり、デバイスの不具合が解消されたりするケースもあるため、常に最新のバージョンを保つようにしましょう。

OSのアップデート手順を知りたい方は、以下をご覧ください。
⇒OSのアップデート手順をデバイス別に紹介!メリットや実施前にすべきことも解説

身に覚えのないメールは開かない

身に覚えのないメールを開かないことも重要です。ワームなどの主な感染経路の一つはメールです。身に覚えのないメールを受信した場合は、即時削除しましょう。残しておくと、後日間違えて開封するリスクがあります。

迷惑メールを放置する危険性に関する詳細は以下をご覧ください。
⇒迷惑メールの放置は危険!理由や受信時の対処・予防法について解説

不審なサイトは閲覧しない

不審なサイトを閲覧しないことも、感染を防止するために重要です。Webサイトが原因で感染するリスクがあります。特に、身に覚えのないメールに記載されたリンクやSNSに掲載されているリンクは、クリックしないようにしましょう。

アンチウイルスソフトを活用する

アンチウイルスソフトの活用もワーム感染防止に有効です。アンチウイルスソフトには、不正なプログラムの検知とブロック機能が実装されており、感染を未然に防止できます。

EDRを導入する

EDRを導入するのも良いでしょう。EDRとは、デバイスやサーバーなどに不審な通信がないかを監視して、あった場合にはセキュリティ担当者への通知や対処を行うエンドポイントセキュリティのことです。ワーム感染の迅速な検知や対処で被害を最小化できます。

なお、EDRの概要や具体的な製品を知りたい方は以下をご覧ください。
⇒EDRとは?EPPとの違いや概要、製品比較まで徹底解説

ネットワークセグメンテーションを強化する

ネットワークセグメンテーションの強化も、被害最小化に有効です。ネットワークセグメンテーションとは、ネットワークを複数のセグメントに分割して、トラフィックの流れを制御する考え方や手法のことです。例えば、重要なシステムを別セグメントとして隔離しておけば、企業における機密情報の漏洩を防止できます。

従業員教育を行う

従業員教育の実施も感染防止に役立ちます。セキュリティ対策ツールなどを活用しても、従業員の不用意な行動が原因で感染する恐れがあります。感染した場合のリスクや、してはいけない行動などを定期的に伝えると良いでしょう。

外部記録メディアの利用を制限する

外部記録メディアの利用制限も、感染対策として有効です。「ワームの代表的な6つの感染経路」で解説した通り、USBメモリなどの外部記録メディアから感染するケースがあります。

インシデントに対処する体制を整備する

ワーム感染などのインシデントに対処する体制の整備を行えば、被害を最小化できます。感染した場合、即時ネットワークから切り離さなければ感染が拡大するでしょう。事前にインシデント発生時の手順を決めておけば、万が一の事態にも迅速に対処可能です。

まとめ

ワームとは、インターネットを通じてデバイスに感染し情報を盗んだり、デバイスを乗っ取ったりするマルウェアのことです。感染対象となる宿主が不要で、自己増殖が可能な点が特徴です。高い繫殖力を有しており、感染すればネットワークを通じて被害が拡大する恐れがあります。
ワームに感染した場合、情報漏洩やデバイスの乗っ取りなどの被害に遭うでしょう。アンチウイルスソフトやEDRを用いた被害の防止が重要です。

ただ、ワームなどのマルウェアは日々新たなものが生み出されているといわれています。セキュリティ対策ツールを活用しても、100%情報漏洩などを防止することは困難です。情報漏洩が起きれば、企業の信用やブランドイメージが低下するため、未然に防ぐ対策を行うとともに、発生した際早期に発見して対策を打てる体制の整備も求められます。情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。

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