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APS(生産スケジューラー)とは、あらかじめ定めた条件や入力したデータに基づき最適な生産計画の作成を効率化・自動化するツールのことです。生産計画の自動立案だけでなく、計画・稼働状況の可視化や分析と改善機能が実装されており、利用すればリソースの適切な配置・トラブルへの柔軟な対応の実現、コスト削減などに役立ちます。
本記事では、APSの概要や利用するメリットと注意点、おすすめのAPS6選について詳しく解説します。APSについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
APS(生産スケジューラー)とは、人員や設備、材料などのリソースを踏まえて最適な生産計画を作成してくれるツールのことです。非効率な生産計画を立案した場合、労働力などに無駄が出てしまいます。
ただ、近年は多品種少量生産が増加しており、急なオーダー変更などもあるため適切な生産計画を立案する難易度が向上しています。Excelなどの表計算ソフトを活用している企業もありますが、調整に多くの時間がかかりヒューマンエラーが発生するケースもあるでしょう。APSを活用すれば、経験が浅い人であっても容易に最適な生産計画の立案を実現可能です。
ここからは以下の項目について解説します。
APSと生産管理システムは混同されがちですが、役割が異なります。生産管理システムとは、原料の調達から製品出荷までのプロセスを効率的に管理するツールのことです。以下の業務を一元化することで、企業の生産性や競争力の強化を目的にしています。
一方、APSの代表的な役割は生産計画の立案です。機能が特化しているため、誰がどの設備をいつ使いなにをするのかまで、細かな計画を作成できます。
APSは大きく分けると以下の2種類に分けられます。
順に解説します。
生産計画の作成に特化しており、生産スケジュールの立案業務を効率化したい企業におすすめのタイプです。機能が特化している分、柔軟かつ高度なスケジュールを設定できます。
工程管理も可能で、生産時の状況も管理したい企業におすすめのタイプです。進捗や各工程の負荷状況を把握できるため、計画通りに進まない場合に迅速な対応が可能です。
APSの代表的な機能は以下の4つです。
順に解説します。
ユーザーが入力した情報や事前に登録したマスターデータを基に、最適な生産計画を自動で作る機能です。中には、販売管理システムや生産管理システムとの連携ができ、ユーザーが情報入力しなくても自動で情報を入手するツールも存在します。
人員や設備、材料などの制約条件を踏まえ、最適な計画の立案を行う機能です。生産現場の状況などは企業ごとに異なるため、独自の計画を作成する必要があります。メーカーが保有するスケジューリングメソッドやアルゴリズムを用いることで、各企業にとって最適な計画の立案を実現します。
設備や製品ごとに、いつどのような工程を行うかをガントチャートなどの活用で可視化する機能です。また、実際に現場の状況を収集して一目でわかるように表示させます。誰でも理解しやすい形で表示できるため、計画や状況を他の従業員と容易に共有可能です。計画通りに生産できていない現場の特定や対処にも役立つでしょう。
作成したスケジュールと実際の実績を分析して、スケジューリング精度を改善する機能です。実際の生産結果を収集して、より最適で実態に合う計画の作成を可能にします。また、収集したデータを基にボトルネックの特定と生産現場の改善もできます。
APSを利用すれば以下のメリットを得られます。
ここからは、上記それぞれのメリットについて解説します。
APSを用いることで、生産計画立案業務の自動化・効率化が可能です。生産計画の作成には、複数の要素を検討する必要があるため多くの時間がかかります。特に、多数の製品を製造している企業では、数日かかるケースもあるでしょう。APSを利用した場合、数分で生産計画の作成が可能です。
リソースの適切な配置実現もAPSを利用するメリットです。最適な生産計画を作成しなければ、無駄が発生して生産性が低下する原因になります。また、一部の従業員に負担がかかるケースもあるでしょう。APSを活用すれば、条件や全体のバランスを勘案して最適な計画を立案できます。多くの案件を受注できるようになり、売上向上も見込めるでしょう。
APSは属人化の解消にも役立ちます。従来、生産計画は担当者の経験や勘を頼りに作成されていました。作成した本人しかなにを判断基準として作成したのかがわからず、他の人が修正することも困難でした。ただ、APSを利用すれば作成手順も標準化されるため、誰でも計画の立案が可能になります。
APSの活用は、トラブルへの柔軟な対応実現にも役立ちます。生産現場では、以下のトラブルが日常的に発生しています。
トラブルに対応する場合、問題が発生した製品の生産だけでなく同時に製造している製品のスケジュール変更も必要になります。人が行えば多くの時間がかかり、ミスや抜け漏れが発生する恐れがあるでしょう。APSを用いれば、条件を変えるだけで漏れなく全てのスケジュール変更が可能です。
コスト削減の実現もAPS利用のメリットです。適切な生産計画を立てなければロスが発生します。一方、最適なスケジュールを作成すれば稼働率を最適化でき、無駄をなくせるためコストを削減可能です。また、生産計画作成業務の自動化・効率化により、残業代など人件費の削減も期待できます。
便利なAPSですが、適切に活用しなければ効果を発揮できません。例えば、最新の情報を入力しなければ実態との乖離が発生し、最適な生産計画を作成できません。
また、APSはあくまで生産計画の作成をスコープとしたツールです。製品の製造には受注や仕入れなど多くの要素が関係しており、管理対象の要素が複数あります。企業全体の生産効率を最適化したい場合には、生産管理システムを用いるかAPSを他のツールと連携させると良いでしょう。
続いて、おすすめのAPS以下6選を紹介します。
最適ワークスは、累計導入社数150社以上で特に中小・中堅工場で多数の実績を持つAPSです。AIが搭載されており、製造条件や独自ルールを踏まえ最適な生産計画を自動で作成してくれます。また、シンプルな機能で直感的なインターフェースが採用されているため、専門知識がなくても使いやすいでしょう。DXの知見を有する専門スタッフが、導入をサポートしてくれる点も嬉しいポイントです。
APSrovaは、生産計画の自動作成だけでなく、材料や製品在庫の最適化や需要の変化への迅速な対応を実現するためのツールです。金型交換や洗浄などの段取りパターンも設定でき、生産性の高い計画案を秒単位の粒度で立案可能です。また、オプション機能も豊富に用意されているため、各社に合う機能を利用できるでしょう。
Seiryuは、特急品による急な計画変更にも対応できる多品種少量生産を行う中小企業向けのツールです。単位時間は以下から選択できるため、各企業の実態に合わせた運用が可能です。
また、販売管理システムや生産管理システムなどとも連携でき、情報登録の手間を抑えられます。
サクっと工程SPは、自動で作成された生産計画を手動で調整できるツールです。また、以下の入力により作業指示書(移動表)を発行できます。
機械の空き状況をグラフ化する機能も実装されており、生産状況やマシーンの稼働状況を一目で把握する際にも役立ちます。
Dr.工程PROは、金型製造分野でトップシェアを誇り海外も含め500以上の導入実績を有するツールです。高機能・高精度の自動スケジューリング機能だけでなく、熟練者の知見を見える化・再利用化できるデータベース機能も実装されています。また、負荷や進捗状況を可視化できるため、問題発見と対策をリアルタイムに実現可能です。
DIRECTOR6は、APSと工程管理システムの機能が実装されたツールです。個別受注や多品種少量生産向けに特化して30年以上サービスを提供しており、ノウハウがつまったツールになっています。カスタマイズなしで利用できるため、低コストかつ短期間で利用開始できる点も特徴です。
APS(生産スケジューラー)とは、人員や設備、材料などのリソースを踏まえて最適な生産計画を作成してくれるツールのことです。ロスをなくし生産効率の高い計画を立案できるため、リソースの最適配置実現やコスト削減に役立ちます。また、多品種少量生産や急なトラブルにも柔軟な対応が可能です。
近年は、業務効率化や生産性の向上に寄与するツールが数多く提供されており、多くの製造業を営む企業でDXが推進されています。外部環境の変化が厳しく競争が激化している昨今において、成長や生き残りには業務効率化による生産性の向上が不可欠です。APSなどのツールを駆使して、業務効率化を図りましょう。
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