中小企業のDX事例20選!失敗しやすい中小企業の共通点や成果を出すポイントを解説

中小企業でDXの成功事例を知りたい方は多いでしょう。
企業競争力の向上や人材不足の解決などを目的に、DXを推進する中小企業も増えてきています。ただ、具体的になにをすれば良いか、どうすれば成功するかなどの悩みを抱える中小企業も多く見られます。

本記事では、中小企業にDXが求められる理由や事例20選、成果を出す中小企業DXのポイントについて詳しく解説します。中小企業のDX事例を参考にしたい方、成功のポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

中小企業にDXが求められる理由

中小企業にDXが求められるのは、企業競争力を向上させ持続的成長を実現するためです。多くの中小企業は、以下の課題に直面しています。

  • 人材不足
  • 原材料費の高騰
  • 後継者問題
  • グローバル化などに起因した企業間競争の激化
  • 顧客ニーズの多様化と高度化

従来通りの業務処理だけでは、将来的な競争力低下につながる可能性があります。DXを推進して、業務の自動化・効率化に取り組み、企業文化や業務プロセス、ビジネスモデルを変革して高付加価値を生み出すことが求められています。

DXが失敗しやすい中小企業の共通点

比較的安価なツールが多数開発・提供されており、中小企業もDXに取り組みやすい環境になっています。ただ、DXに取り組む企業の全てが成功しているわけではありません。ここからは、DXが失敗しやすい中小企業における以下の共通点について解説します。

  • 経営層が重要性を理解していない
  • 現場従業員の意見を取り入れない
  • レガシーシステムが残っている
  • 大きな変革を求める
  • IT人材が足りない
  • 効果検証しない

経営層が重要性を理解していない

経営層がDXの重要性を理解していない場合、失敗する可能性が高まります。DXの推進には経営層の強烈なリーダーシップが欠かせません。DXは全社を巻き込んだ取り組みで、IT部門など特定の部署に丸投げすると、一部のみの取り組みになったり、企業戦略との連動が取れなくなったりする恐れがあります。経営層が重要性を理解していなければ、予算の確保も困難でしょう。
また、経営者や役員が「ツール導入=DX」と捉え理解が不十分な場合も、失敗するリスクが高まる原因になります。ツール導入はあくまで手段で、そのツールをどのように用いるかが重要です。

現場従業員の意見を取り入れない

現場従業員の意見を取り入れない場合も、DXに失敗する恐れがあります。従業員の意見を聞かなければ、課題や業務フローを正確に把握できません。また、利用ツールの選定時に従業員への確認を行わなければ、使いこなせないものを導入して、無駄になる恐れもあるでしょう。

レガシーシステムが残っている

レガシーシステムの存在も、DXの失敗につながる要因です。レガシーシステムとは、過去の技術で構築された古いシステムのことです。現代のビジネス環境に適応できず、最新のテクノロジーも活用できません。レガシーシステムが存在すれば、他のシステムとの連携が困難で業務効率が低下したり、データ活用が阻害されたりする原因になります。

大きな変革を求める

いきなり大きな変革を求めることも、DXが失敗しやすい中小企業の共通点です。DXは短期的に成果を求めるものではありません。まずは、特定の業務に絞り改革を行い、成功体験を積みながら組織全体に波及させることが重要です。
最初から大きな変革を求めれば、使いこなせないシステムの導入につながるリスクがあります。また、従業員に多くの負担がかかり、反発を招く恐れもあるでしょう。

IT人材が足りない

DXにはIT人材が必要です。近年は、ノーコードツールなど専門知識やスキルがなくても利用可能なツールが開発・提供されています。ただ、自社の業務プロセスやフローを理解して、どのようなツールで変革するかを戦略的に考えられる人材がいなければ、DXは進みません。
しかし、IT人材の需要が高まる一方で供給が追いついておらず、人材を確保できない中小企業は多く存在します。外部パートナーを上手く活用することも重要です。

効果検証しない

効果検証しない中小企業もDXが失敗しやすい特徴があります。DXに限らず、施策で成果を上げるにはPDCAを回して改善を繰り返すことが重要です。効果検証しなければ、期待通りの成果が得られているかや改善が必要かを判断できません。
また、苦労してDXを推進しても効果を得られている実感がなければ、取り組みに疑問や不満を持つ従業員が発生するでしょう。

中小企業のDX事例20選

続いて、以下中小企業のDX事例20選を紹介します。

※以下の事例は各社の公表情報を基に紹介しています。成果は業種・規模・取り組み内容により異なり、同様の結果を保証するものではありません。

  • トヨタレンタリース兵庫
  • 髙梨製作所
  • 木幡計器製作所
  • 日進工業
  • グッデイ
  • 大津屋
  • 山本金属製作所
  • 米屋
  • ヒサノ
  • もりやま園
  • 丸秀
  • 樋口製作所 
  • 陣屋
  • モリエン
  • 後藤組
  • 近藤商会
  • ヒバラコーポレーション
  • 池田組
  • メコム
  • トーシンパートナーズホールディングス

トヨタレンタリース兵庫

トヨタレンタリース兵庫は、神戸市を中心にレンタカー・カーリース事業を営む企業です。RPAツールの導入により、以下の定型作業を効率化して顧客対応に集中できる環境を整備しました。

  • 予約受付
  • 日報作成
  • 売上集計

また、新型コロナウイルスの感染症拡大時には、オンライン商談ツールを導入して柔軟な顧客対応を可能としました。さまざまな取り組みを行った結果、業務品質の向上やヒューマンエラーの軽減、働き方改革の実現など多くの成果を得ています。

参照:株式会社トヨタレンタリース兵庫が「バクラク」を導入。月900枚の書類発行がほぼミスゼロ、社内連携もスムーズに|PR TIMES
   トヨタレンタリース兵庫が、DX推進による顧客満足の向上及び働き方改革を目的にクラウド型オンライン商談/会議サービス『VCRM(ブイシーアールエム)を採用』|PR TIMES

髙梨製作所

髙梨製作所は、プラスチックの精密成形・射出成形や熱硬化性・熱可塑性射出成形などを得意とする企業です。以前は、紙で生産計画や在庫管理・出荷管理を行っており、リアルタイムで情報を更新できず正確な状況の把握が困難でした。
そこで、DXの推進施策として以下を実施しました。

  • 生産管理システムの導入
  • 設備のIoT化
  • 在庫管理アプリの開発
  • RPAを用いて一部の生産計画の自動化
  • ロボット・ウェブカメラ・自動梱包機システムの導入

その結果、24時間無人で生産可能なスマートファクトリーを実現して、歩留まりおよび設備稼働率が100%に近い高効率な生産活動を行っています。

参照:「TOHOKU DX 大賞2024」の受賞者を決定しました|経済産業省

木幡計器製作所

木幡計器製作所は、圧力計の製造や販売を手掛ける企業です。圧力計にIoTを組み合わせて遠隔で監視可能なシステムを開発して、業務効率化に成功しています。もともと、顧客のところに訪問して点検を行っていましたが、IoTにより情報を収集でき、業務効率化を実現しました。
また、以前は売り切り型のビジネスモデルでしたが、サブスクリプション型のサービスにすることで、安定的な売上・利益の確保にもつながっています。

参照:異業種の連携で既存製品をIoT化し、新たな付加価値をプラス。スタートアップ企業のモノづくり支援も|公益社団法人 関西経済連合会

日進工業

日信工業は精密樹脂の成形や加工を行う企業です。2015年から、IoTを活用して稼働率や設備における停止理由状況の見える化を推進しています。導入当初は稼働率が55%程度でしたが、収集したデータを分析・改善することで90%まで向上させました。

参照:「設備稼働100%で現場と経営を同期させたスマート工場」|八戸商工会議所

グッデイ

グッデイは、九州北部を中心にホームセンターを店舗展開する企業です。2015年にGoogleワークスペースを導入して、ペーパーレス化を推進しました。また、BIツールの導入によりデータドリブンな経営を実現しています。その結果、5年で売上26%アップに成功しました。

参照:【株式会社グッデイ】GooDay X 〜地方企業が挑んだ「人」のDX〜|経革広場

大津屋

大津屋は、ローカルコンビニエンスストアや米飯と惣菜ショップなどを運営する企業です。コンビニエンスストアでは、毎月投入される新商品を含めた約70種類の総菜が主力商品でしたが、価格を覚えたり特殊なオペレーションがあったりしてレジ担当者に大きな負担となっていました。
そこで、総菜の品目と値段を自動で検出するAIを開発して負担の軽減を図り、新人教育のコスト削減にも成功しています。

参照:IoT examples IoT・AI等活用事例集~生産性向上・付加価値創出に向けて~|公益社団法人関西経済連合会

山本金属製作所

山本金属製作所は、切削加工や分析・評価機器、評価試験サービスなどを手掛ける企業です。山本金属製作所では、データの収集や活用に力を入れています。具体的には、機械加工を行う刃先にデータを計測するセンサーを設置して、加工データをリアルタイムで計測し、そのデータを活用した加工ソリューション事業を展開しました。
また、岡山研究開発センターを作り、設備を自動制御させながら稼働データを自動フィードバックして予知・予兆保全まで行う工場「Learning Factory」の実現にも取り組んでいます。 

参照:工場の「見える化」が第一歩 DXへの挑戦が生んだ新たなビジネス【山本金属製作所(大阪市平野区)】|J-Net21

米屋

米屋は、参詣客向けの羊羹や最中などを販売する企業です。DXの推進により、どら焼きの不良品をなくす取り組みを実施しました。具体的には、レーザー装置を活用してどら焼きの皮を焼く銅板表面のデータを収集・解析し、製品を安定的に製造できる条件を導き出しました。その結果、歩留まりが大幅に改善しています。

参照:「できて当たり前」の不良品、メカニズム解明で発生ゼロに【米屋株式会社(千葉県成田市)】|J-Net21

ヒサノ

ヒサノは、運送・機械機器設置業などを営む企業です。以前は、日別の受注内容を記録した紙の帳票を見ながら、担当者が頭の中で配車手配を行っていたため、配車ミスの発生や業務効率低下の原因になっていました。作業の効率化やスムーズな情報共有を実現する目的で独自システムを構築した結果、人と車の最適な配置・資源配分が素早くできるようになりました。

参照:DXによる一貫物流システムの提供|くまもとDX推進コンソーシアム運営事務局

もりやま園

もりやま園は、りんご園を営む企業でりんご栽培のDXに取り組んでいます。具体的には、りんご産業では初となるICTシステムの開発や、ロボット草刈機・光センサー付き自動選別機などの導入を実施しました。その結果、労働生産性が大幅に上昇し2022年には240%に達しています。

参照:もりやま園 ICTとスマート農業で、りんご産業に産業革命を起こす|月刊事業構想

丸秀

丸秀は、輸送用機器の部品や乗用車におけるトランスミッション部品の製造を手掛ける金属部品加工メーカーです。丸秀では、2018年4月から「DX5か年計画」を策定して以下4つの領域でデジタルシフトを進め、スマートファクトリー化を推進しています。

  • ITインフラの整備
  • 電子管理化(ペーパーレス化)
  • 稼働状態の見える化・分析
  • 自動化

参照:デジタル活用・DX事例集 vol.35 株式会社丸秀~EVシフトによる危機感をDX・AI活用で乗り越え、スマートファクトリー化を実現~|東京商工会議所

樋口製作所 

樋口製作所は、金属プレスの専門メーカーです。データの全社共有が可能なプラットフォームを構築しました。また、技術伝承システムの開発により属人化しているノウハウの社内共有が可能な仕組みも整備しています。
さらに、過去データなどを基に生産やメンテナンスの注意点を担当者に伝える管理者AIを開発しました。さまざまな取り組みの結果、生産性の向上や客先流出不具合件数・客先クレーム対応時間の減少に成功しています。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

陣屋

陣屋は、老舗旅館を営む企業です。情報の共有や透明化を行う目的で、業務システムを開発しました。その結果、顧客の好みや利用履歴などを迅速に把握できるようになり、サービスの品質向上につながっています。また、報告書などの事務作業を自動化することで、コア業務である接客に多くの時間を割ける体制を構築しました。

参照:自社開発DXで経営回復!陣屋コネクトはここからはじまった。|Jinya Group

モリエン

モリエンは、塗料や塗装用具機器などの販売を行っている企業です。2000年からデジタル化している販売データなどを活用して、従業員向けWebアプリ「モリエンナビ」と顧客向けWebアプリ「Morienペイントアシスト」を開発しました。
従業員向けのモリエンナビを利用すれば、社外での販売実績・商品情報の確認や受注処理が可能です。顧客向けのMorienペイントアシストでは、購入履歴の確認や材料の発注、塗装現場の情報管理を行えます。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

後藤組

後藤組は、土木や建築、リフォームなどを手掛ける総合建設会社です。デジタル化による業務効率化と標準化を推進するDXに取り組んでおり、経営層から現場従業員までが参加する「全員DX」を進めています。ノーコードツールの導入やデータ活用などの取り組みを行った結果、労働時間の短縮に成功しました。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

近藤商会

近藤商会は、事務用品や事務機器を法人向けに販売する企業です。従来は、御用聞き営業や人海戦術販売を中心としたビジネスモデルでしたが、DX推進によりインサイドセールス主体のビジネスモデルに転換しました。その結果、2024年7月から11月における新規顧客獲得件数は8,786件で20%増加して、稼働顧客数も1,729件で15%増加しました。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

ヒバラコーポレーション

ヒバラコーポレーションは、溶剤塗装や粉体塗装、カチオン電着などの工業塗装サービスを展開する企業です。生産管理や設備監視システムなどを独自開発して、工場の生産性向上・品質の安定化に取り組んでいます。また、開発したシステムを他社へ販売することで、新たな事業展開に成功しました。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

池田組

池田組は、北陸地域を中心に日本全国の土木工事を請け負っている企業です。DXの推進により、職人の技術に依存しない施工体制を確立するとともに、大幅な業務効率化に成功しました。具体的には、測量工程にドローン、現場施工にICT建機を導入することで、ドローンが測量したデータを建機に流し込み施工を行っています。
また、ペーパーレス化を推進してバックオフィス業務の改善にも成功しました。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

メコム

メコムは、ITソリューションの提供やITインフラ整備を手掛ける企業です。営業DXに力を入れており、CRMやSFAを活用して顧客データを一元管理しています。その結果、データの分析・活用が可能となり、各顧客に合わせた効率的かつ最適な営業活動を実現しました。
また、地域企業に向けたDXに関するセミナーやワークショップも開催して、他社のDX推進もサポートしています。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

トーシンパートナーズホールディングス

トーシンパートナーズホールディングスは、不動産の企画や開発、販売・管理などを行う企業です。DX推進の一環で、関連子会社において過去の賃貸契約データを学習させたAIモデルを開発しました。その結果、最適な募集条件を提案できるようになり、効率的な賃貸付けを実現しています。

参照:中堅・中小企業等向けDX推進の手引き2025(DXセレクション2025選定企業レポート)|経済産業省

成果を出す中小企業DXの3つのポイント

最後に、成果を出す中小企業DXにおける以下3つのポイントを紹介します。

  • 目的やビジョンを明確化・共有している
  • 身近な業務からスモールスタートする
  • 外部パートナーを上手く活用する

目的やビジョンを明確化・共有している

DXに取り組む際は、まず目的やビジョンを明確にしましょう。目的などが明確でない場合、ツールの導入で満足してしまい、手段が目的になる恐れがあります。
目的やビジョンは「生産性の30%向上」「利益の15%アップ」など、定量的なものも定めましょう。定量的な目標であれば効果検証しやすく、成功しているか改善が必要かを容易に把握できます。
目的やビジョンを明確にしたら、従業員に共有しましょう。DXの推進には、全社員の協力が欠かせません。目的や従業員にとってのメリットを伝え、全社で取り組む雰囲気を醸成することが重要です。

身近な業務からスモールスタートする

身近な業務からスモールスタートしてDXを推進しましょう。成功事例の多くが、いきなり大規模な改革に取り組むのではなく、特定の部署や業務から問題解決を図っています。具体的には、ペーパーレス化やデータ収集の自動化といった特定の業務に絞って取り組むと良いでしょう。
成功事例を積み重ねることで、従業員の協力も得やすくなります。また、スモールスタートすればリスクも軽減可能です。ノウハウも蓄積でき成功確率が高まるでしょう。

なお、ペーパーレス化の詳細も知りたい方は以下をご覧ください。
⇒ペーパーレス化とは?推進するメリット・デメリットやポイントを解説

外部パートナーを上手く活用する

外部パートナーの知見やノウハウを上手く活用することも重要です。ゼロからDXを推進すると、成果が出るまでに多くの時間がかかります。失敗が続けば、従業員のモチベーションが低下して、計画が頓挫する恐れもあるでしょう。
専門性の高い外部パートナーの知見を活用すれば、迅速に成果を出せる可能性が高まります。客観的なアドバイスにより、自社では気付かない問題を発見できるケースもあるでしょう。

まとめ

本記事で紹介した中小企業のDX事例から分かるように、成果を上げている企業の多くは
「ツール導入」ではなく「DXをどう経営・業務に組み込むか」に注力しています。

一方で実際の現場では、

  • 部分最適にとどまり全社最適につながらない
  • 業務改善止まりでDXになっていない
  • 推進できる人材が育たない

といった壁に直面するケースも少なくありません。

こうした課題を踏まえ、
中小製造業が投資負担を抑えつつ、成果につなげやすいDX推進の考え方や進め方を、
実際の支援・推進経験をもとに解説するセミナーを開催します。

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