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AGV(無人搬送車)とは、工場・倉庫において自動でものを運ぶ産業用ロボットのことです。人手不足の解消や業務効率化、安全性の向上に役立つため、注目を集めており市場規模も拡大しています。原料や仕掛品、完成品などの運搬に役立つでしょう。
本記事では、AGVの概要と種類や活用メリット・デメリット、おすすめのメーカー5選について詳しく解説します。AGVについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
AGV(無人搬送車:Automatic Guided Vehicle)とは、工場や倉庫などにおいて物品の運搬を行う産業用ロボットのことです。1980年代に開発され、事前に磁気テープや光反射テープなどの誘導体を設置しておけば、自動で走行します。シンプルな構造が採用されており、比較的コストが安く簡単に導入可能です。
ここからは、以下について解説します。
テクノロジーの進歩や自動化・ロボット需要の高まりなどの要因により、AGVの市場規模は拡大を続けています。さまざまな業界の市場調査レポートを提供するMordor Intelligenceによれば、AGVの市場規模は2024年で55.6億ドル、2029年までに82.7億ドルに達すると予測されています。
参照:無人搬送車市場規模・シェア分析 – 成長動向と予測(2024年〜2029年)|Mordor Intelligence
また、以下は矢野経済研究所が調査・発表したAGV・AMR世界市場規模の推移と予測は以下の通りです。
出典:AGV/AMR世界市場に関する調査を実施(2023年)|株式会社矢野経済研究所
上記によれば、AGVとAMRの市場規模は毎年拡大する見込みで、2026年には9,087億円に達するとされています。
基本的に、AGVは床や天井に貼られた磁気テープなどの誘導体に基づき走行する仕組みが取られています。また、近年はテクノロジーが進歩しており、QRコードやARメーカーを認識して走行するAGVも登場しています。
AGVと混同されがちな産業用ロボットとして、AMR(自律走行搬送ロボット)が挙げられます。AMR(Autonomous Mobile Robot)とは、周囲の状況を把握しながら物品の搬送などを自律的に行う産業用ロボットのことです。AGVとAMRの主な違いは以下の通りです。
AGV | AMR | |
---|---|---|
走行方式 | 誘導走行 | 自立走行 |
移動ルート | 事前に決められたルート | 自動で算出したルート |
障害物への対応 | 停止 | 回避 |
費用の比較 | 安い | 高い |
導入ハードルの比較 | 高い | 低い |
AGVには複数の種類が存在します。ここからは、以下に分けてAGVの種類を解説します。
AGVにおける主な走行方式の種類は以下の通りです。
順に解説します。
事前に設置した磁気テープや光反射テープ、電磁誘導ケーブルなどの経路に沿って走行するタイプです。もっとも利用されているタイプで、大量運送がしやすく比較的低コストでの導入が可能です。
一方で、事前に決めたルートしか走行できないデメリットが存在します。また、磁気テープを活用する場合には、床材が磁化することで車両の誤作動が起こる可能性もあります。
センサーやシステムを搭載することで、誘導体や人の操作がなくても自動で走行するタイプです。自己位置推定機能や走行制御機能を用いて、AGV自体が誘導経路を判断し走行します。事前に磁気テープを設置するなどの手間がかからず、短期間で導入可能です。ただ、車両自体のコストが高い特徴があります。
先行する人や車両に追従する形で走行するタイプです。搭載した追従センサーを利用して、追従する対象の検知や区別を行う仕組みが取られています。
判別精度が高く人の行動に応じた運搬が可能です。また、経路誘導方式との併用もできます。ただ、完璧な判別精度を備えているわけではありません。場合によっては、追従対象を誤ったり車両が停止したりする恐れがあります。
他にもアクティブ式やパッシブ式などのタイプが存在します。アクティブ式とは、誘導体が発信する信号を基に走行するタイプのことです。パッシブ式とは、車両にセンサーなどを搭載してルートを検出するタイプのことを指します。
続いて、AGVにおける主な搬送方式の以下種類について解説します。
手押し台車状で取っ手が付いており、直接荷物を載せるタイプです。シンプルな構造で小型荷物の運搬に適しており、工場の組立ラインや小規模な倉庫で活用されています。導入コストが比較的安く、レイアウト変更があまりない環境で真価を発揮します。ただし、多くの荷物や重い荷物の搬送にはあまり向きません。
カゴ台車やパレット台車に連結して牽引するタイプです。運搬能力が高く、一度に大量の荷物を運べます。また、長距離の搬送や複数拠点の運搬にも活用可能です。工場内の資材搬送や物流拠点で多く利用されています。
車体の上部に台やスペースがあり、荷物をそこに載せるタイプです。安定性が高く多数の荷物を一度に運べます。また、運搬する荷物に合わせて、積載部分のカスタマイズが簡単にできるため、さまざまな荷物に対応可能です。多様な製品を取り扱う現場で利用されています。
車体が低くなっており、パレットや棚の下に潜り込んで荷物を持ち上げるタイプです。荷物を直接持ち上げられるため、AGVに積み荷を載せる必要がありません。重い荷物や大型パレットの運搬が発生する現場で利用すれば、業務効率化につながるでしょう。フォークリフトの代わりに導入されるケースもあります。
AGVは以下のさまざまなシーンで活用されています。
順に解説します。
AGVは、金属やプラスチックなど原材料の運搬で活用されています。コンベヤと異なり、受け入れ場所から保管エリアもしくは生産ラインまでシームレスな移動が可能です。負担なく迅速に原材料を運搬でき、効率が高まるでしょう。
仕掛品の輸送にもAGVが活用されています。製造現場では、仕掛品を別の場所に運んで完成させるケースも多いでしょう。AGVの活用により、物品の流れをスムーズにできます。
完成品の運搬にもAGVは有効です。生産ラインで完成させた製品を、倉庫や出荷場所まで運ぶ際に利用されています。AGVを利用すれば、完成品を傷付けるリスクを減らし負担を抑えた運搬が可能です。
AGVは、入庫・出庫作業にも活用されています。コンベヤよりもレイアウト変更がしやすく柔軟性が高いため、多くの企業で活用されています。
続いて、AGV活用における以下のメリットについて解説します。
AGVを活用すれば、運搬作業を人が行う必要がなくなるため業務効率化と生産性の向上につながります。作業員が工場や倉庫内を歩き回り製品・部品の運搬を行っていた時間を、別の作業時間に充てられるでしょう。
また、AGVであれば体調やモチベーションにより、作業効率が左右されることはありません。24時間稼働も可能です。
省人化とコスト削減もAGV導入のメリットです。AGVを導入すれば人が行っていた運搬作業を代替できるため、少ない人数でも業務に対応可能です。近年は、労働人口の減少による人手不足や人件費の高騰など多くの問題が発生しており、その解決策として注目を集めています。
事前の設定に基づき業務を処理するため、設定に問題がなければ間違いも発生しません。ヒューマンエラーへの対応や新人の育成なども不要で、作業効率が高まりコスト削減につながります。
AGVの導入は作業員の安全性向上にも寄与します。重い物を人が運べば、事故が起こる恐れがあります。AGVにはセンサーが搭載されているものもあり、障害物を避けた走行も可能です。また、AGVに運搬を任せればものを運ぶ際の負担を軽減できるでしょう。
一方で、AGV活用には以下のデメリットが存在します。
順に解説します。
当然ですが、AGVの導入にはコストがかかります。具体的に想定される費用は以下の通りです。
初期費用 | ランニングコスト |
---|---|
|
|
トラブルが発生する恐れがあることも、AGVのデメリットです。例えば、センサーにほこりが付けば、正しく経路や障害物を認識できなくなる可能性があります。定期的な清掃とメンテナンスをしない場合、トラブル発生の原因となるため注意が必要です。
AGVは柔軟性が高くありません。基本的には事前に決められた設定に基づき、走行や作業が行われます。別の使い方をする場合には、プログラムやシステムの調整が必要となり、コスト・手間が発生します。
導入するAGVの大きさにもよりますが、導入にはロボットが動き回るためのスペースが必要です。広い通路がなければAGVは走行できません。また、走行ルート上に障害物があればAGVは停止します。場合によっては、工場や倉庫のレイアウト変更が求められるケースもあるでしょう。
次に、おすすめの以下AGVメーカー5選を紹介します。
村田機械では積載型やフォークリフト型、倉庫型など全6製品のAGVを開発・提供しています。取り扱う製品により使い分けが可能で、大型運搬物や重量物の運送もできます。とくに「Premex」は、飲食物や精密機器など温度・衛生面での調整が必要な搬送物にも対応可能です。
DAIFUKUでは多彩なAGVを開発・提供しているため、用途や導入環境に合わせて利用するロボットを選択可能です。ただ単にAGVを提供するだけでなく、物流プロセスに関する包括的な提案や現場の課題に応じたソリューション提供も行っています。
オムロンは、自動モバイルロボットを開発・提供している企業です。人や障害物を避けながら走行が可能で安全性が向上します。また、業務改善効果も高くオムロンの草津工場で導入した結果、搬送リードタイムの削減に成功しました。
リコーでは、牽引型や低床型のAGVを提供しています。停止時間にワイヤレス充電が行われる仕組みが採用されており、安定稼働が見込めます。コンパクトな仕様となっており、狭い場所で使える点も魅力です。
日本車輌製造は、積載重量10t以上の大型AGVで国内トップクラスの導入実績を持つメーカーです。磁気テープを用いた経路誘導式を採用しており、カーブなどでも安定した走行を実現しています。生産ラインから倉庫などの構内物流で、トラックやフォークリフトの代わりに活用されています。
最後に、AGV導入前に確認すべき以下のポイントを紹介します。
AGVの導入前には、活用予定の環境に問題がないか確認しましょう。AGVが走行できるスペースの確保が可能かだけでなく、傾斜や凹凸がないかのチェックも重要です。また、床が濡れていると滑って走行できないケースもあるため、注意しましょう。
導入予定のAGVにおける稼働時間とバッテリーの確認も欠かせません。AGVの稼働時間はメーカーや機種により異なります。5時間から8時間程度が一般的ですが、短いものだと2時間程度です。
また、バッテリーの充電方法には手動充電と自動充電の2種類があります。自社に合う機種がどのようなものかを検討しましょう。
使用方法やスペックの確認も重要です。具体的には、AGVの以下をチェックすると良いでしょう。
使用方法により求められるスペックが異なります。
AGVとは、工場や倉庫などにおいて物品の運搬を行う産業用ロボットのことです。原料や仕掛品、完成品などの運搬シーンで活用されており、利用すれば業務効率化・コスト削減・安全性の向上といったメリットを得られます。AGVにもさまざまなタイプがあるため、自社の活用シーンや運搬物に合わせたロボットの選択が重要です。
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