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製造業DXとはAIやIoT、ビッグデータなどの活用により、製造プロセスや企業風土を変革して、競争力の向上を目指す取り組みのことです。トヨタ自動車や三菱電機をはじめ、すでに多くの企業が取り組んでいます。製造業DXを実施すれば、人手不足の解消や業務効率化、顧客満足度の向上など多くのメリットを得られるでしょう。
本記事では、製造業DXの概要やメリット・デメリット、成功事例について詳しく解説します。製造業DXについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を活用して製造業の業務やビジネスモデルを変革することです。具体的には、AI・IoT・産業用ロボットの活用などにより、業務改善や競争力向上を図ることです。
ここからは、以下について解説します。
製造業において、多くの企業がDXを推進しています。以下は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が調査・発表した、業種別DXの取り組み状況に関するデータです。
上記によれば、全社的にDXに取り組んでいる企業の割合が40.5%、一部の部門においてDXに取り組んでいる企業の割合が23.5%となっています。製造業は、金融業・保険業に次いで2番目にDXへの積極的な取り組みを行っている業種です。
製造業でDXが求められる主な理由や必要性は以下の通りです。
順に解説します。
日本では総人口・労働人口が減少し続けています。とくに、製造業は慢性的な人手不足が課題となっており、現場作業員の高齢化も進行しています。製造量や品質の安定・向上には、人手不足を補う仕組みが不可欠です。製造業DXを推進すれば、自動化や省人化が可能です。
競争環境の激化も製造業DXが求められる理由です。現代は、外部環境の変化が早く消費者の価値観も多様化しており、不確実性(VUCA)の時代といわれています。VUCAとは、もともと軍事用語で以下の頭文字を取った言葉のことです。
原材料・エネルギーの高騰や気候変動に基づく異常気象なども起こっており、事業の発展・継続が簡単ではありません。製造業DXにより、企業競争力を高める必要があります。
2025年の壁を解決するためにも、製造業DXが必要です。2025年の壁とは、DXの推進を怠ることで業務効率・競争力が低下して、最大12兆円の経済損失が生じる可能性があることです。
DXを推進せずレガシーシステムを使い続ければ、企業の衰退につながる恐れがあるでしょう。製造業DXで最新のテクノロジーを導入・活用して、業務効率を高めることが重要です。
製造業におけるDXは主に以下の3種類に分けられます。
順に解説します。
バリューチェーンDXとは、事業に関する人やモノ、プロセス全体をデジタル技術で変革して、製品・サービスの価値を最大化するとともに顧客体験を向上することです。例えば、ビッグデータを活用した市場調査が該当します。高付加価値な製品・サービスの提供を実現可能です。
サプライチェーンDXとは、デジタル技術の活用により生産から流通までの流れを最適化して、供給プロセスを効率良くすることです。例えば、需要予測AIを用いて適切な生産計画や在庫管理を行うことなどが該当します。無駄を減らし安定した供給を実現可能です。
エンジニアリングチェーンDXとは、製品開発プロセスを効率化してリードタイムの短縮や開発力向上を実現することです。具体的には、設計からテストまでのプロセスをデジタル化するなどの取り組みが該当します。期間の短縮だけでなく、開発に関わるコスト削減も実現可能です。
次に、製造業DXを推進した際に得られる以下のメリットを紹介します。
製造業DXを推進すれば、人手不足の解消が可能です。テクノロジーを導入・活用することで、人が行っていた業務の一部を自動化できるでしょう。また、機械であれば人とは違い、モチベーションや体調に業務量・品質が左右されることはありません。
業務効率化と生産性の向上も、製造業DXを推進するメリットです。人が行っていた業務をIT技術で自動化・半自動化すれば、人はその分の時間を利益の増加やコスト削減を目的としたコア業務に使えます。事前の設定を間違えなければミスする心配もありません。
製造業DXの推進により、コスト削減も期待できます。IT技術を活用して省人化を図れば、人件費の削減につながるでしょう。残業代や外部委託費用などを減らせます。
属人化からの脱却にも製造業DXは有効です。多くの製造現場では、長年の経験や勘に基づく技術の承継が課題となっています。ノウハウを有する人材が退職・離職した場合、企業競争力低下の恐れがあるでしょう。IT技術を活用してノウハウをデータ化すれば、従業員のスキルアップや平準化が可能です。
データの利活用を実現できる点も、製造業DXを推進するメリットの一つです。製造工程をデータ化して客観的に分析することで、ボトルネックの発見と解消ができ生産量の増加が見込めます。また、最適な経営判断の実現にも役立ちます。
製造業DXの推進により、製品・サービスの質が高まれば顧客満足度も向上します。顧客に対してより便利かつ高品質なサービス・製品の提供が可能になるでしょう。
すでに多くの企業が製造業DXに取り組んでいます。ここからは、製造業DXにおける以下の成功事例を紹介します。
トヨタ自動車では、IoTを導入して生産現場のデジタル化を進めています。IoT(Internet of Things)とは、センサーや通信機器を搭載したモノがインターネットを通じて、データのやり取りをする仕組みのことです。
具体的には、3DCADデータなど既存のデジタルデータを一元管理して、工場と現場の部署間にまたがる情報共有基盤を構築しました。また、各社員が小規模のプロジェクトを行い、デジタル化の推進と人材育成を実施しています。
なお、IoTの詳細は以下をご覧ください。
⇒IoTとは?できることや導入のメリット・デメリット、活用事例を解説
三菱電機では、生産情報とITを連携させることでリアルタイムなデータの分析・活用を行う仕組みの構築を実現しました。その結果、得られた生産情報を活用した生産性の向上とコスト削減に成功しています。
ヤマハ発電機では、デジタル技術を用いたビジネス変革に力を入れています。具体的には、スマートファクトリーの導入やデジタルマーケティングの推進、データ分析による業務効率化を実施しました。また、デジタル改革を推進するリーダーの育成にも力を入れています。
山本金属製作所では、市場開拓を目的に以下の3つを掛け合わせた製造業DXに取り組んでいます。
具体的には、機械加工のプロセスデータをリアルタイムで測定する仕組みを導入して、現場の見える化を行いました。
樋口製作所では、ブリッジエンジニアのチームを組成してDXを推進しています。ブリッジエンジニアとは、異なるバックグラウンドなどを持つメンバーで構成されたプロジェクトで、橋渡し役となるITエンジニアのことです。
チームメンバーが生産現場とIT技術を結びつけ、現場の課題を解決しています。また、社内でデータを共有・活用するためのプラットフォーム導入や、Eラーニングを利用した従業員のスキルアップも図っています。
西機電装では、過去に生産管理システムで導入した失敗を糧に、ノーコードツールを活用してDX推進を行っています。ノーコードツールとは、プログラミングやシステム開発に関する専門的な知識・スキルがなくてもアプリなどの開発が可能なツールのことです。また、現場で簡単に操作できるIoTデバイスも自社で開発しました。
なお、ノーコードツールに関する詳細やおすすめツールについて知りたい方は、以下もご覧ください。
⇒ノーコード開発とは?おすすめツール12選やメリット・デメリットを解説
続いて、製造業DXを推進する際の以下ステップについて解説します。
まずは、DXを行う目的やゴールを明確にしましょう。製造業におけるDXにはさまざまな種類が存在して、目的やゴールに応じて最適な手段が異なります。
自社の目的を明確にするとともに、どの手段がもっとも適切かを見極めると良いでしょう。また、製造業DXの推進は手段と捉え、ゴールと勘違いしないように注意が必要です。
続いて、目標とのギャップ分析を行います。自社が目指すゴールに対して、なにが足りていないかや、課題がどこにあるかを見極めましょう。
ギャップが明確になったら、埋めるための戦略や計画を策定します。DXの推進にはコストもかかるため、一度に全てを進めることはできません。現場の定着度合いにも気を配りながら、慎重に進める必要があります。以下を整理して計画をまとめると良いでしょう。
計画に基づきDXに取り組みます。また、取り組んだ後は評価と改善も重要です。組織やプロジェクトが達成すべき目標を定量的に定めたKGIや、KGIを達成するためのプロセスを定量的に表したKPIに対して、どの程度の成果・取り組みができたかを検証しましょう。PDCAサイクルを回すことで、スピーディーかつ効果的なDX推進が可能です。
最後に、製造業DXにおける以下の課題と解決策について解説します。
製造業DXは、単に最新のテクノロジーを導入すれば達成できるわけではありません。各部署が独自にDXを行うと、データのサイロ化などが起こり効率が悪くなる恐れがあります。データのサイロ化とは、縦割り組織や複数システムの利用によりデータが分断され、共有や利活用ができない状態のことです。
製造業DXを推進する際には、全社で計画を立て各部署ではなく企業全体でもっとも効果が高まる方法を検討しましょう。経営層がリーダーシップを発揮するとともに、プロジェクトなどを発足して取り組むことが重要です。
製造業DXの推進にはコストが発生します。具体的には、初期導入費や毎月のランニングコスト、サポートを受ける場合のオプション費用などが該当します。
ただ、DXに成功すればコスト削減が可能です。短期・中期・長期で計画を立て、コストパフォーマンスを計算しながら投資判断を行うと良いでしょう。
製造業DXの推進には、専門的な知識やスキルを有した人材が必要です。最新のテクノロジーを導入しても、使いこなせる人間がいなければ期待する成果は得られません。
ただ、近年はデジタル人材の需要が高まっている一方で、供給が追いついていません。自社での専門ノウハウを有した人材採用は、簡単ではないでしょう。研修なども多く提供されていますが、一から人材を育てるのは時間がかかります。
自社で専門人材の確保が難しければ、DX推進をサポートする企業の力を借りると良いでしょう。上手く利用すれば、迅速にDXを推進可能です。
製造業DXとは、データとデジタル技術を活用して製造業の業務やビジネスモデルを変革することです。人材不足や競争環境の激化などの理由により注目を集めており、すでに多くの企業が取り組んでいます。製造業DXを推進すれば、人手不足の解消や業務効率化、顧客満足度向上などのメリットを得られるでしょう。
ただ、製造業DXの推進にはコストが発生するため、目的やゴールを明確にするとともに全社視点で計画を立てて取り組むことが重要です。また、専門知識やスキルを有した人材が必要ですが、需要が高まっているデジタル人材の採用は簡単ではありません。
外部パートナーを活用すれば、効率良く製造業DXを推進できます。SMSデータテックでは、工場や製造DXのサポートを行っています。DXの推進にお悩みの方は以下もご覧ください。
⇒自動化ソリューション 工場DX/製造DX