PLC(シーケンサ)とは?仕組みやメリット・デメリット、おすすめメーカー3選を解説

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PLC

PLCとは、機器を自動で制御するために用いられるコンピューターのことです。プログラミングで設定を行うため、従来用いられていたリレー制御と比較して、簡単に設定変更や拡張ができます。また、設置する場所の省スペース化も可能です。

本記事では、PLCの概要や活用するメリット・デメリット、おすすめのメーカー3選と選ぶ際の着眼点について詳しく解説します。PLCについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

PLC(シーケンサ)とは

PLC(シーケンサ)とは

PLC(Programmable Logic Controller)とは、プログラミングにより機器や装置を自動コントロールする制御装置のことです。PLCが開発される前は、リレー回路やリレー制御を制御盤に設置して、機器などのコントロールを行っていました。
ただ、リレー回路・リレー制御の場合、設定の変更には複雑な作業が必要で、実行させる動作分の電磁リレー・電子タイマーが必要です。機能変更などに多くの手間がかかり、物理的に場所を取る問題を解決するために、PLCが開発されました。なお、リレー制御方式との違いは後ほど詳しく解説します。

PLCはシーケンサと呼ばれることもありますが「シーケンサ」はもともと三菱電機の商品名です。シェアが非常に高いため「PLC=シーケンサ」と認識している人が存在します。

ここからは、以下について解説します。

  • PLCの仕組み
  • PLCの活用例
  • PLC制御方式とリレー制御方式の比較

PLCの仕組み

PLCには、ステートマシン方式で処理を行う仕組みが採用されています。ステートマシンとは、ある条件を満たした場合事前に指定した状態に変化することです。基本的な構造はコンピューターに似ていますが、よりシンプルな仕組みになっています。

PLCの活用例

PLCは例えば以下で活用されています。

種類 具体的な用途
設備の監視や制御 プラント、ビル監視システム、受変電設備監視システム
ライン制御 自動車組み立て・塗装ライン、鉄鋼圧延・連続鋳造ライン
搬送設備や運搬機械 クレーン、コンベア、エレベーター
製紙・印刷機械 スリッタ、製本機械、印刷機械
繊維機械 織機、編組機、染色仕上機
食品・包装機械 製菓機、製麺機、ミキサー、外装機、ラップ包装機
半導体・液晶製造装置 ステッパ、洗浄装置、ラッピング装置、シール塗布装置
生活関連機器 エアコン、電子レンジ、洗車機、保安・防災機器

例えば、エアコンの場合は以下の制御をPLCが行っています。

  • ドアの開閉
  • 指定階での停止
  • 人やモノが挟まりそうな場合のドア停止
  • 制限を超えた場合のブザー

PLC制御方式とリレー制御方式の比較

PLC制御方式とリレー制御方式の主な違いは、以下の通りです。

  PLC制御方式 リレー制御方式
拡大・変更における柔軟性 高い 低い
信頼性 高い 低い
寿命 長い 短い
メンテナンス 簡単 困難

リレー制御方式とは、電磁リレーを使用して機器の制御を行う方法のことです。コイルに電流を流すことで磁力を発生させる電磁リレーを用いて、電源のオン・オフや動作順序を制御します。PLCと比較すると、柔軟性や信頼性が低く寿命も長くありません。

PLCを構成する4つの要素

PLCを構成する4つの要素

PLCは以下4つの要素で構成されています。

  • 電源ユニット
  • CPUユニット
  • 入力ユニット
  • 出力ユニット

順に解説します。

電源ユニット

電源ユニットは、PLCを構成する他のユニットに対して電力を供給する役割を担います。電源の仕様に合わせて、直流電源(DC)と交流電源(AC)の2種類があります。

CPUユニット

CPUユニットは、PLCの制御プログラムを実行する役割を担います。CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)とは、計算や情報処理、他部品の管理などを行うコンピューターにおける司令塔のことです。搭載されているCPUの性能により、演算スピードや実行可能なプログラムの容量、入出力点数が異なります。

入力ユニット

入力ユニットは、外部デバイスからの信号をCPUユニットに伝達する役割を担います。具体的には、ボタンやセンサーからの信号を指示として受信し、制御プログラムに伝えます。

出力ユニット

出力ユニットは、外部デバイスを動かすために、CPUユニットが演算処理などを行った結果を出力する役割を担います。具体的には、表示灯やモーターなどのデバイスに制御する信号を送ります。出力ユニットには、デジタル出力とアナログ出力の2種類が存在し、制御する対象に合わせて最適なものを選択可能です。

PLCの種類

PLCの種類

PLCには大きく分けると以下の2種類が存在します。

  • 小型ブロック式
  • ビルディングブロック式

ここからは、上記の各種類について順に解説します。

小型ブロック式

小型ブロック式(パッケージタイプ)は、PLCに必要なユニットが一まとめにパッケージされたものです。小型かつ価格も比較的安価なため、導入しやすい特徴があります。ただ、自由にカスタマイズできず柔軟性は高くありません。シンプルな制御で十分な場合には、小型ブロック式が合うでしょう。

ビルディングブロック式

ビルディングブロック式(ビルディングブロックタイプ)は、各企業の目的やニーズに応じて自由に設計するものです。必要なユニットを組み合わせるため、カスタマイズ性が高く既存の機械やシステムに適した制御を行えます。また、拡張性も高いため長期間利用できるでしょう。

一方で、小型ブロック式と比較して多くの費用がかかります。また、適切な構成やユニットの選択には専門的な知識・スキルが必要です。

PLCを活用するメリット

PLCを活用するメリット

続いて、PLCを活用する以下のメリットについて解説します。

  • 省スペース化
  • 回路の設計や動作の変更が簡単
  • 生産性の向上
  • コスト削減

省スペース化

PLCを導入・活用すれば、省スペース化の実現が可能です。PLCの場合、物理的な配線を使用せずプログラムを利用するため、制御盤が小型です。本体の設置スペースのみを確保すれば良く、省スペース化につながります。

回路の設計や動作の変更が簡単

回路の設計や動作の変更が簡単な点も、PLC活用のメリットです。PLCで回路や操作を変更する場合、プログラムを書き換えるだけです。配線のつなぎ直しや他の機器設置などは必要ありません。

生産性の向上

PLCの活用は生産性の向上にもつながります。処理内容をプログラミングすれば、複雑な操作も簡単に実現できるでしょう。プログラムの変更時に機械を止める必要がないため、ロスも発生しません。生産効率の向上が見込めます。

コスト削減

コスト削減できる点も、PLC活用のメリットです。物理的な部品が他の機器と比べて少ないため、導入などの費用も安く抑えられます。また、専門的な知識があれば設定の変更・拡張が比較的簡単にでき、追加コストの削減も可能です。

PLCを活用するデメリット

PLCを活用するデメリット

メリットがある一方で、PLCの活用には以下のデメリットも存在します。

  • コストの発生
  • 専門知識の必要性

順に解説します。

コストの発生

PLCを活用する場合、当然ですがコストが発生します。具体的には、メーカーからのプログラミングソフトウェア購入が必要です。また、メーカーによってはライセンスの購入費用が発生するケースもあります。

専門知識の必要性

PLCを利用する場合、基本的にメーカーから購入するプログラミングソフトウェアを活用して、プログラムを書き込むことが必要です。プログラミングに関する専門的な知識やスキルがなければ利用できません。

どのメーカーのPLCを利用するかにもよりますが、PLCはIEC(国際電気標準会議)の「IEC61131-3」で定義された以下5種類のいずれかが使われています。

  • LD(ラダー・ダイアグラム)
  • FBD(ファンクション・ブロック・ダイアグラム)
  • ST(ストラクチャード・テキスト)
  • SFC(シーケンシャル・ファンクション・チャート)
  • IL(インストラクション・リスト)

PLCのおすすめメーカー3選

PLCのおすすめメーカー3選

続いて、以下のPLCおすすめメーカー3選を紹介します。

  • 三菱電機
  • キーエンス
  • オムロン

三菱電機

三菱電機は、高いリアルタイム性を特徴に持つ高い産業用ネットワーク「CC-Link」を開発・提供しているメーカーです。CC-Linkはネットワークの構築が比較的容易で、安定した動作性能を誇ります。自動車や半導体、食品などさまざまな業界で活用されています。

キーエンス

キーエンスは、シンプルな設定と直感的な操作性を実現したPLCを開発・提供しているメーカーです。プログラミングの手間を減らす自動補完機能や、わかりやすいGUIを備えており、エンジニアが使いやすい設計になっています。PLCの導入や設定をスムーズに行えるでしょう。

オムロン

オムロンは、さまざまな産業用ネットワークに対応したPLCを開発・提供しているメーカーです。マルチベンダー環境に対応しているため、既存環境にも導入可能です。また、互換性が高く異なるメーカーの機器を使用していても対応できる可能性があります。

PLCを選ぶ際の着眼点

PLCを選ぶ際の着眼点

最後に、PLCを選ぶ際の以下着眼点を紹介します。

  • 種類
  • 処理能力
  • メンテナンス・保守の手間

種類

「PLCの種類」の章で解説した通り、PLCには大きく小型ブロック式とビルディングブロック式があります。それぞれ特徴が異なるため、自社に合うものを選びましょう。

例えば、比較的シンプルな処理を想定しており予算や設置スペースが限られている場合には、小型ブロック式がおすすめです。一方、拡張性やカスタマイズ性が高いPLCが必要な企業には、ビルディングブロック式が合うでしょう。

処理能力

活用予定の作業に対して、十分な処理能力があるかの確認も欠かせません。処理能力を確認する際の主な指標は以下の2つです。

  • プログラム容量(ステップ数)
  • スキャンタイム(サイクルタイム・演算周期)

プログラム容量が多ければより複雑な処理が、スキャンタイムが短ければ迅速な処理が可能です。

メンテナンス・保守の手間

メンテナンスや保守の手間に関する確認も重要です。メンテナンスや保守がしやすければ、トラブルを最小限に抑えられるでしょう。万が一、機器の故障や停止が起これば多大な損失発生の原因になります。

海外工場での利用を想定している場合には、現地でどのようなサポートを受けられるかの確認もおすすめです。サポートを受けられれば、安心して長期間活用できます。

まとめ

まとめ

PLCとは、プログラミングにより機器や装置を自動コントロールする制御装置のことです。自動車組み立て・塗装ラインやエレベーター、エアコン・電子レンジなど、工場の機械から日常的に使う電化製品まで多くのシーンで活用されています。PLCは、物理的に配線をつなげるなどが必要なく、プログラミングで設定を行えるため、変更や拡張が簡単にできます。また、省スペース化にも役立つでしょう。

近年は、外部環境の変化が激しく事業の継続・発展が簡単ではありません。PLCなどのテクノロジー導入やDXの推進により、生産性・企業競争力の向上を図ることが重要です。弊社SMSデータテックでは、工場や製造DXのサポートを行っています。DXの推進にお悩みの方は以下もご覧ください。
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