コスト削減に成功した5つの事例を解説!コスト削減のアイディアや実施メリットも紹介

コラム

コスト削減の事例を知りたい方は多いでしょう。多くの企業がコスト削減に取り組んでおり、成功させている事例も少なくありません。コスト削減を行えば、利益の増加や対外評価の向上、業務効率化などさまざまなメリットを得られます。

本記事では、コスト削減を行うメリットやアイディア、成功した事例と実施手順について詳しく解説します。他社のコスト削減事例やアイディアを知りたい方、自社に活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。

企業が直面するコスト増の要因

近年はコスト増加が企業を苦しめています。まず、企業のコストが増加している主な以下の要因について解説します。

  • 人件費
  • システム維持
  • 二重業務

人件費

政府の賃上げ施策や労働力不足などの原因で、日本における人件費は向上を続けています。帝国データバンクが調査・発表した結果によれば、2025年度に賃上げを行う見込みの企業割合は、61.9%で初めて6割を超えました。また、ベースアップを実施する企業割合は56.1%で、総人件費の増加率は平均4.50%となっています。
参照:2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査|帝国データバンク

システム維持

システムの維持費もコスト増加の原因になっています。特に、レガシーシステムを活用している場合、維持・管理・メンテナンスの手間がかかり、対応できるエンジニアも減少しているため多くのコストがかかります。
経済産業省が2018年に発表したDXレポートの中で、老朽化したシステムなどを継続的に活用することで、2025年以降年間最大12兆円の経済損失が生じると発表して話題になりました。

二重業務

二重に業務を行っていることで、コストが増えているケースもあります。無駄な作業を行えば、その分時間と手間がかかり人件費が高まります。業務フローやプロセスを見直して、最適化しなければコストが増加するでしょう。

企業における主なコストの種類

続いて、企業における主なコストの以下種類について解説します。

  • オペレーションコスト
  • オフィスコスト
  • エネルギーコスト

オペレーションコスト

企業を運営するために必ず発生するコストです。具体的には以下が挙げられます。

  • 人件費
  • 交通費
  • 出張費
  • 材料費
  • 物流費

オペレーションコストが、経費の大部分を占めている企業も少なくありません。

オフィスコスト

オフィスを借りたり維持したりするのに必要なコストです。具体的には以下が挙げられます。

  • 賃貸借料
  • レンタル・リース料
  • 設備費
  • 通信費
  • 消耗品費

テレワークの普及により、オフィスコストの削減に取り組む企業が多く存在します。

エネルギーコスト

電気や水道などの利用にかかるコストです。また、社用車のガソリン代なども含まれます。昨今は、エネルギーコストが増加し続けています。ただ、電力小売の自由化なども行われており、コスト削減に取り組みやすいでしょう。

コスト削減を行うメリット

コスト削減を行うことで以下のメリットを得られます。

  • 利益の増加
  • 対外評価の向上
  • 業務効率化の実現

順に解説します。

利益の増加

コスト削減は利益の増加につながります。企業利益は、基本的に「売上−コスト」で算出されます。コストが下がれば、その分利益が向上するでしょう。

対外評価の向上

対外評価の向上もコスト削減によるメリットです。利益の向上により、金融機関や株主からの評価が高まります。融資や投資を受けやすくなるでしょう。
また、削減した分のコストを商品開発・改良やカスタマーサポートに活用すれば、顧客からの評価向上も期待できます。

業務効率化の実現

コスト削減に取り組むことで業務効率化も可能です。コスト削減を行う過程で、業務フローやプロセスを可視化して無駄な作業を辞めれば、業務を効率化できるでしょう。また、業務のマニュアル化や自動化は生産性の向上と人件費削減に有効です。

コスト削減を実現するアイディア

続いて、具体的にコストを削減する以下の事項を紹介します。

  • オペレーションコストの削減アイディア
  • オフィスコストの削減アイディア
  • エネルギーコストの削減アイディア

オペレーションコストの削減アイディア

まず、オペレーションコストを削減する以下のアイディアを紹介します。

  • 人事制度の見直し
  • 長時間労働の是正、働き方改革の推進
  • 業務の見直し・効率化
  • マニュアルの作成
  • ツールの導入
  • アウトソーシングの利用
  • 従業員の定着率を高める施策の実施
  • 出張や接待交際費の見直し

人事制度の見直し

人件費はオペレーションコストの大部分を占めるため、人事制度を見直すことで高いコスト削減効果を得られます。ただ、後ほど詳しく解説しますが従業員のモチベーションを下げる制度の見直しは避けましょう。例えば、成果・時間外労働の削減を評価する制度にすると、生産性の向上や残業代の削減が期待できます。

長時間労働の是正、働き方改革の推進

長時間労働の是正や働き方改革の推進も、オペレーションコストの削減に効果的です。また、働きやすい環境を整備することで従業員満足度の向上も図れます。具体的には、テレワークやフレックスタイム制度の導入が挙げられます。

業務の見直し・効率化

業務の見直しや効率化も良いでしょう。無駄な作業を辞めたり、改めたりすることで生産性が向上します。リソース活用の最適化を図れるでしょう。

マニュアルの作成

マニュアルの作成もオペレーションコスト削減に有効です。優秀な従業員の業務処理方法を参考にマニュアルを作成すれば、企業全体の生産性が向上します。また、従業員の育成コスト削減やヒューマンエラーの防止にもつながります。

ツールの導入

オペレーションコストの削減にはツール導入も効果的です。AIやRPAなどのツールを活用すれば業務の自動化を実現でき、人が行う作業を減らせます。また、設定を間違えなければミスが発生せず、やり直しの手間も発生しません。

アウトソーシングの利用

アウトソーシングを利用するのも良いでしょう。繁忙期に合わせて従業員を雇用した場合、閑散期には無駄なコストが発生する恐れがあります。アウトソーシングであれば必要なときのみ利用でき、経費の変動費化が可能です。

従業員の定着率を高める施策の実施

従業員の定着率を高める施策の実施も欠かせません。従業員の採用や教育には多額のコストがかかります。離職率が高ければ、採用費や教育費が無駄になる可能性が高まるでしょう。

出張や接待交際費の見直し

出張や接待交際費の見直しも重要です。例えば、Web会議を活用することで交通費・宿泊費・日当を削減可能です。また、規定の見直しで不要な接待を削減しましょう。

オフィスコストの削減アイディア

次に、オフィスコストを削減する以下のアイディアを紹介します。

  • テレワークの導入
  • 賃料の値下げ交渉、引っ越し
  • 通信費の見直し
  • ペーパーレス化の推進
  • 社用車の廃止
  • リースやレンタルの見直し

テレワークの導入

オフィスコストの削減には、テレワークの導入が有効です。テレワークを導入することで、通勤費や水道光熱費の削減が期待できます。また、働きやすい環境の整備で離職率の低下も図れるでしょう。

賃料の値下げ交渉、引っ越し

賃料の値下げ交渉や引っ越しも良いでしょう。固定費である賃借料を削減できれば、大きなコスト削減効果を得られます。周囲の相場を調べて、高い場合には賃料の値下げ交渉をしましょう。また、不要なスペースがある場合、規模の小さなオフィスに移転することでコスト削減できます。

通信費の見直し

通信費の完全な削除は困難ですが、プランの見直しなどで支出を抑えることが可能です。具体的には、法人プランの契約台数に基づく割引適用や固定電話からIP電話への切り替えが該当します。

ペーパーレス化の推進

ペーパーレス化の推進も良いでしょう。以下のコスト削減が期待できます。

  • コピー用紙やインク代
  • 文書保管スペース代
  • 郵送料
  • 印紙税

コピー機や複合機の台数を減らせる可能性もあるでしょう。

なお、ペーパーレス化に役立つおすすめツールを知りたい方は、以下もご覧ください。
⇒ペーパーレス化に有効なおすすめツール・システム11選!メリットや成功させるポイントも解説

社用車の廃止

維持に多くのコストがかかる社用車の廃止も有効です。利用頻度が低い場合は、公共交通機関やタクシー、レンタカーの利用に切り替えることでコストを削減できるケースがあります。

リースやレンタルの見直し

リースやレンタルを利用すれば、パソコンなどの初期導入費やメンテナンスコストを抑えられます。ただ、利用期間や台数によってはリース・レンタルの方が高額になるケースがあるため、注意しましょう。改めて、リースやレンタルの方が良いか購入した方が良いか試算するのがおすすめです。

エネルギーコストの削減アイディア

最後に、エネルギーコストを削減する以下のアイディアを紹介します。

  • 電力会社の見直し
  • 省エネ設備の導入
  • 太陽光発電の導入

電力会社の見直し

電力はエネルギーコストの大部分を占める要素で、見直せば大きな効果を期待できます。契約先や料金プランが最適かの見直しを行いましょう。電力の小売り自由化により、電力ビジネスに参入する企業が増加して、選択肢が増えています。

省エネ設備の導入

省エネ設備の導入もエネルギーコストの削減に有効です。例えば、省エネ家電に切り替えれば初期導入費はかかるものの、ランニングコストを抑えられます。

太陽光発電の導入

太陽光発電を導入するのも良いでしょう。会社や工場の屋根などにソーラーパネルを設置している企業も多く存在します。太陽光発電の導入は、電気料金の削減だけでなく脱炭素経営の促進にも有効です。

コスト削減に成功した5つの事例

続いて、コスト削減に成功した以下5つの事例を紹介します。

  • ソフトバンクグループ
  • セブンイレブンジャパン
  • NTT東日本
  • マイナビ
  • 三井住友海上

ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループは、ペーパーレス化の推進などにより約241億円のコスト削減に成功しました。具体的には、用紙代や印紙代の削減を行っています。また、新卒採用においてAI動画面接を導入するなど、ツールの有効利用もコスト削減に寄与しています。

セブンイレブンジャパン

セブンイレブンジャパンは、会計システムの再構築と伝票・帳簿の電子化でコスト削減を行っています。もともと、約2億2,000万枚用紙を保管するために多くのコストがかかっていましたが、ペーパーレス化で年間約14億円の経費削減に成功しました。また、店舗の照明をLEDに変更し空調温度を高めることで、電気料金を27%削減しています。

NTT東日本

NTT東日本は、Web会議システムの導入で業務効率化とコスト削減に成功しています。具体的には、対面会議を行うための移動時間を820時間削減しました。また、会議資料のペーパーレス化で年間約278万円のコスト削減を行っています。

マイナビ

マイナビは、RPAの活用によるデータベースの一元化で業務効率化とコスト削減に成功しています。部門間でのナレッジ共有が可能になり、年間約3万5,356時間、約1億607万円のコスト削減効果を生んでいます。

三井住友海上

三井住友海上は、保険金の支払い業務にRPAを導入してデータ入力作業を自動化しました。その結果、年間約14,400時間の削減に成功してヒューマンエラーの防止にもつながっています。

業務改善や自動化によるコスト削減の特徴

本記事でも紹介した通り、コスト削減方法はさまざまですが業務改善や自動化がおすすめです。業務改善や自動化によるコスト削減は、即効性と持続性が高い特徴があります。早期に結果を出すことができ、かつ長期間コスト削減効果を得られるでしょう。

コスト削減を実施する手順

コスト削減を実施する手順は以下の通りです。

  1. 現状の把握
  2. 目標の設定
  3. 削減コストの検討と優先順位付け
  4. 施策の検討と実施
  5. 効果の検証と改善

順に解説します。

1.現状の把握

まずは、なににいくらのコストがかかっているのか現状を把握します。コストを見える化すれば、割合の高いコストの種類や削減できるコストを判断しやすくなります。

2.目標の設定

続いて、どの程度のコスト削減を目指すか目標を設定します。ただ、無謀な目標を設定しないように注意しましょう。無駄なコストであれば削る必要があります。ただ、従業員のモチベーションに関するものや将来への投資を無理に削ると企業競争力の低下につながります。

3.削減コストの検討と優先順位付け

次に、具体的にどのコストを削るかを優先順位を付けて決定します。まずは、すぐに削減できるコストから取り組むと良いでしょう。削減施策の実施に手間がかかるものであれば、効果を得るまでに時間がかかります。

4.施策の検討と実施

削減対象コストと優先順位が決定したら、どのように削るかの施策を検討・実施します。施策を検討する前には、従業員に協力を呼びかけましょう。従業員の理解を得ることも、施策を実行するにあたって重要な要素です。

5.効果の検証と改善

施策実施後、一定期間たった後に効果の検証と改善も行いましょう。最初から期待する成果が得られるとは限りません。PDCAを回すことで効果が高まります。

削減してはいけないコストの特徴

最後に、削減してはいけない以下コストの特徴について解説します。

  • 従業員のモチベーションに関わるもの
  • 商品やサービスの品質に関わるもの
  • 業務効率に関わるのも

従業員のモチベーションに関わるもの

従業員のモチベーションに関わるコストの削減は避けましょう。具体的には、福利厚生に関するものが挙げられます。従業員のモチベーションが下がると、生産性の低下や離職の原因になります。

商品やサービスの品質に関わるもの

商品やサービス品質に関わるコストの削減も、辞めた方が良いでしょう。例えば、原材料の品質やサービス提供の人を削ることが該当します。商品・サービスの品質が下がれば、顧客の信用低下や顧客離れの原因になります。

業務効率に関わるもの

業務効率に関わるコスト削減も避けた方が良いでしょう。例えば、教育コストの削減やツールの活用を辞めることが該当します。業務効率が下がると、売上や利益の減少につながります。コスト削減の本来の目的に反するでしょう。

まとめ

多くの企業がコスト削減に取り組んでおり、成功事例も少なくありません。具体的には、ソフトバンクグループは年間約241億円、セブンイレブンジャパンは年間約14億円、マイナビは年間約1億607万円のコスト削減に成功しています。コスト削減を行えば、利益の増加や対外評価の向上、業務効率化などさまざまなメリットを得られるでしょう。コスト削減は投資効果が高く企業競争力の強化に欠かせません。

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