【DX】DX本格化。今、情シス部門が取り組む課題①「仮想化」

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【DX】DX本格化。今、情シス部門が取り組む課題①「仮想化」

DXは日本国中、世界中の企業にとっての重要な課題となっています。しかし、経済産業省が2020年12月に発表したDXレポート2によると、2020年10月時点で実に全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていないレベルか、散発的な実施に留まっている状況という調査結果となりました。
2025年の崖が迫りくる中、企業のITシステムに関わる情報システム部門(以下、情シス)は既存業務に加えて、DXの実現のためのキーパーソンとしての働きも求められてきています。情シスがDXの実現に向けて活躍するには、従来の業務であるシステム運用のコストを減らすことが必要となります。そのための課題の一つが「仮想化」です。
本コラムでは、仮想化のおさらいと現状、導入へのハードルとメリットについて記載します。

そもそも仮想化って

ITシステムを稼働させるための環境構築において、仮想化は当然でてくる選択肢の一つとなっています。仮想化には「システム稼働環境の集約が行える」、「簡単に環境を増やせる」、「リソースの調整も可能」といったメリットがあり、システム運用においても非常に有益なことは、多くの情シスの意見の一致するところといえるでしょう。
そもそも、「仮想化」とはサーバー等のコンピュータリソースを抽象化すること、およびその技術を示します。
従来、ITシステムを動かす環境となるサーバーは、サーバーセンター、サーバールームなどに置かれていました。物理サーバーを企業が管理する、オンプレミスといわれる運用形態です。この物理サーバーに対しリソースを抽象化する運用方式が仮想化です。
仮想化された環境ではサーバーはネットワーク上のどこかに存在しています。ネットワーク上に接続されたどこかのサーバーでメインとなるOSが稼働しており、そのOS上で仮想化ソフトウェアを稼働させます。仮想化ソフトウェア上には仮想化環境としてOS、コンテナ等を起動することが出来ます。仮想化された環境にはネットワークの外部から接続し、オンプレミスのサーバーと同様に利用することができます。この仮想化されたOSやコンテナは、メインOS上に複数作成できることも特徴の一つです。

仮想化の現状

仮想化ソフトウェアの発展、普及は目覚ましく、技術的、性能的には多くのオンプレミスの環境は仮想化した環境で稼働させることが可能となっています。企業やシステムの特性などにより仮想環境への移行状況は様々ではありますが、複数のサーバーを利用してIT環境を構築している規模の企業であれば、仮想化によるメリットも大きく、仮想化環境およびサーバーの集約の積極的な導入、検討が実施されています。
仮想化の一つの形として利用が進んでいるのが、クラウドサービス上へのシステムの移行です。総務省による令和2年版情報通信白書では、クラウドサービスの利用は全企業の60%を超えているというデータが示されています。PaaSやIaaSといったサービスとして、スケール変更が行いやすく、すぐに利用できる仮想化環境が提供されている状況です。
また、仮想化の新たな形と目されているのがDockerです。Dockerは仮想化ソフトウェアの一種ですが、OS上にコンテナという環境を複数提供してくれます。OS上で仮想化されたOSを稼働させる必要がないため、リソースの無駄遣いを避けることができる技術です。環境の複製、復元も仮想OSを使った場合よりも簡単になります。
仮想化技術を利用して実現するシステム環境の更に進んだ姿として、クラウドネイティブと呼ばれる考え方があります。クラウドネイティブはクラウドサービスの利用を前提としたシステム、サービスの構築を指す言葉です。クラウドサービスの利用を前提とすることで、利用者はサーバーのリソースやメンテナンスという問題から解放されることがそのメリットとなっています。

サーバーだけでなくPCにおいても、仮想化技術の波は押し寄せてきています。コロナ禍の状況によりテレワークが推進され、シンクライアントや仮想化デスクトップ(VDI)、DaaS(Desktop As A Service)などの普及が進んでいます。
情シスは、これらの仮想化技術を自社の業務に適用し、業務効率化を図ることで、システム運用の負荷を軽減させることが一つのミッションとなっています。システム運用のコストを減らすことで、DX推進へのリソースを確保するわけです。

仮想化のハードル

仮想化技術は多くのソフトメーカーの参入もあり、技術的には安定してきているといわれています。ミリ秒を争うようなレスポンスの必要な場合や24時間365日連続稼働が必要な場合など過酷な状況を除けば、多くの現行のオンプレミスサーバー環境に置き換えることが可能と考えられます。
メリットもあり、技術的にも問題が減ってきた仮想化ですが、検討課題にはなるものの中々切り替えられないという声もあります。何が仮想化環境導入へのハードルとなってしまっているのでしょうか。
一つは仮想化環境の導入への心理的な障壁があるようです。仮想化環境のメンテナンスは大変なのではないか?トラブル発生時の対処手順は?といった点が気になり、仮想化環境の導入に踏み切れないという場合もあるのではないでしょうか。特に重要度の高いシステムを扱っている場合は、その傾向は顕著です。今、オンプレミスで動いて問題なく稼働しているから触りたくない、という声は業務部門の担当者だけでなく、情シスからも聞こえてきます。
確かに、変化には踏み切りづらいものです。しかし、昨今では仮想化技術に関する情報も普及してきており、仮想化環境だから特別に難しいスキル、知識が必要ということはありません。いずれ発生するサーバーの更新と大きくは変わらないのです。
仮想化環境導入に動けない別の理由の一つとして、メリットが見せづらいということもあります。
確かに利用者の側からはメリットは見えづらいです。しかし、情シスはサーバー、システム環境の運用、メンテナンスに多くのコストを払っています。仮想化を行うことで、サーバーの集約などによりどれだけコスト削減が行えるかを試算することで、経営部門へのメリットを示せます。IT人材不足が社会的な問題となっている中、DXを推進するためには情シスは運用、メンテナンスに割く時間を減らし、業務とIT技術を繋ぐ重要な役割を果たすことに注力したいものです。

また、仮想化環境の導入のハードルとして技術的な問題もあります。
仮想化ソフトウェアを通すことによる性能劣化、ネットワークを経由することによる可用性の低下、特にクラウドサービスではセキュリティ問題等も気になるところです。いざ仮想化を行う場合は、要件の調査と環境の設定が作業として伴ってきます。

仮想化を進めるメリット

仮想化の導入は情シスのシステム運用業務において多大なメリットがあります。
まず大きいのはサーバー管理の簡易化が行えることです。これまで様々な形で差異の出ていたサーバー環境を合わせることで運用監視、メンテナンスの統一化を図ることが出来ます。オーケストレーションツールの導入による自動化にもつながります。これは、サーバー運用に関する属人化の排除にもなります。
また、サーバーの管理上で必須となるバックアップ、レストアについても、仮想化した環境を丸ごとバックアップすることができるため簡易化することが可能です。
もう一つの大きなメリットは、ハードウェアなどのリソースの集約が可能なことが挙げられます。一つのサーバーに複数の仮想化環境を構築することで物理的なサーバー数を抑えることが出来ます。サーバーをはじめとしたハードウェアは高額で、企業にとって大きな投資となっていました。サーバーの集約を行うことで、サーバーリソースを最大限有効活用し、ハードウェア投資を抑えることが出来ます。クラウドの利用もこの一環であり、利用料はかかるものの必要な分のリソースだけを用意することができるため、無駄がでません。
また、サーバー環境構築のスピードが上がることもメリットの一つです。従来はハードウェアの手配が必要だった環境の用意が、ホストサーバーのリソースに余裕があればすぐにでも仮想化環境を準備することが出来ます。業務のスピードアップ、サーバー環境を利用したトライアルなど、情シスの課題解決に有用です。

まとめ

仮想化技術はサーバー等のコンピュータを仮想環境上に作る技術です。その考え方の延長線上にはクラウドサービスの利用があり、情シスにとって運用コストを抑えることのできるメリットがあります。しかしながら、導入には心理的、物理的なハードルがあり、中々進まないこともあるようです。
仮想化技術の利用による情シスの課題解決を行い、運用コストを削減することにより手の空いた情シスはDXの推進に注力することが出来ます。まずは仮想化やシステム運用の自動化を行うことから始めてみましょう。
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