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感情認識AIとは表情や音声、テキスト情報から人の気持ちを認識するAIのことです。コールセンターやマーケティング、ヘルスケア分野など多彩なシーンで活用されており、顧客満足度向上・ストレス軽減といった効果を発揮しています。
本記事では、感情認識AIの概要や活用するメリット・デメリット、おすすめの感情認識AI6選と活用例について詳しく解説します。感情認識AIについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
感情認識AIとは表情や声、文章などを基に人の感情・気持ちを読み取る人工知能のことです。従来のAIでは感情認識(感情分析)は難しいとされていました。ただ、ディープラーニング技術の進歩により人間の表情筋や目線の動き、声色の変化を細かく分析して、学習済みのデータと照らし合わせることで、感情を識別できるようになりました。感情認識技術の活用で、AIが人間同様感情や気持ちを汲み取った上でタスク処理できるようになっています。
ここからは以下について解説します。
感情認識AIが注目されている理由には、以下の要素があります。
感情認識技術でAIが人への共感が可能になれば、チャットボットなどの性能が向上します。また、顧客の感情を把握できれば、ビジネスにおける判断材料が増加して製品やサービスの改善に役立つでしょう。さらに、医療や教育分野で感情認識AIを活用すれば、メンタルの状況を正しく把握できるため、適切な対処ができます。
感情認識AIは、事前に学習したデータを基に人の感情を分類する仕組みが取られています。具体的な開発・処理の流れは以下の通りです。
感情認識AIには以下複数のテクノロジーが活用されています。
なお、ディープラーニングの詳細は以下をご覧ください。
⇒ディープラーニング(深層学習)とは?機械学習との違いや活用・導入方法と事例を解説
感情認識AIには主に以下の4種類が存在します。
順に解説します。
文章(テキスト)の単語や文脈から感情を認識するAIです。例えば、「楽しい」「嬉しい」などのポジティブな言葉や「悲しい」といったネガティブな言葉が使われた頻度などを基に感情を読み取ります。感情をネガティブ・ニュートラル・ポジティブの3種類に分類するものから、喜怒哀楽・好き嫌いを詳細に判定するもの、感情レベルを数値化できるAIなど多数存在します。
声の強弱・高低や抑揚、話し方などを基に感情を認識するAIです。声色などから感情を読み取るため、日本語や英語といった特定の言語には依存しません。例えば、以下の基準を設けて感情を認識しています。
顔の筋肉や目の動き、口の形などを基に感情を認識するAIです。細かな変化を捉えられる高性能なカメラを用いて、表情や視線、瞳孔の大きさにおける変化を読み取り、どのような感情かを判定しています。
表情の感情認識AIは、単純な喜怒哀楽の読み取りだけでなく本心の推察にも利用可能です。例えば、ある商品やサービスを見たときに心から興味を示しているか、実際は興味がないかなどを判定できます。
体温・血圧・脈拍などのバイタルや脳波、発汗といった生体情報を基に感情を認識するAIです。サーモカメラが用いられるケースもありますが、近年はスマートウォッチにも搭載されています。
スマートウォッチやパッチなどのウェアラブルデバイスには、センサーの役割を果たすものが搭載されており、簡単に情報を収集可能です。ただ、生体情報はプライバシー保護や倫理的な側面から、慎重な取り扱いが求められます。
続いて、以下のおすすめ感情認識AIツール6選を紹介します。
Amazon Comprehendは、テキストを分析して以下の4つに分類する感情認識AIです。
また、感情認識だけでなくテキストにおける有害な内容の検出やキーフレーズ抽出、イベント・言語検出など多くの機能が実装されており、多彩なシーンで活用できます。
エモリーダーは、人の表情から93%の精度で感情を推定するAIです。約10万のデータをAIに学習させており、人の表情から以下を判定します。
また、感情の時系列データにおける変化から、信頼形成度や自己開示度、ストレス度を予測する「印象予測AI」の開発も可能です。
Owl Visionは、VRとAIを活用して利用者の視線・体の動きを計測・記録するソリューションです。視線や動作から感情を分析して、ユーザーのリアルなインサイトを導き出します。製品・サービスの開発テストや改良時の情報収集などに役立ちます。
接客オンデマンドAIは、モニター上のアバターが利用者の感情を認識しながら接客を行うAIです。接客だけでなく、トレーニングやマーケティング活動にも役立ちます。多彩なAIサービスと提携しているため、VRやARと感情認識AIの組み合わせも可能です。
Empathは、世界50ヵ国4,300以上のチームで活用されている感情解析AIです。数万人の音声データベースを活用した学習が施されており、喜怒哀楽や気分の浮き沈みを判定します。Web API化されており、WebサービスやIoT、ゲームなどさまざまな分野で簡単に活用可能です。
Affdexは、世界90ヵ国以上から収集された990万人を超える顔画像データベースと、FACS理論を用いて感情を可視化するAIです。企業だけでなく研究機関や教育機関、学術研究でも利用されています。また、リアルタイム分析や録画した動画データの分析など、幅広いシーンで活用ができます。
感情認識AIを導入すれば以下のメリットを得られます。
順に解説します。
感情認識AIの活用により顧客満足度の向上が期待できます。感情認識AIを活用すれば各個人の感情やニーズを理解可能で、それに合わせた対応ができるでしょう。例えば、カスタマーサポートで活用すれば、顧客がどの程度のストレスを感じているか正確に把握できます。
感情認識AIは、市場の動向やトレンド把握にも役立ちます。例えば、SNSや掲示板などに記載されている大量のテキストデータを分析して、自社・競合他社における評判の把握が可能です。ネガティブな意見に対して迅速な対処も可能となり、クレームや炎上対策も期待できます。
従業員のストレス軽減も、感情認識AIを導入するメリットです。感情認識AIを活用すれば、従業員の心理状態やストレスの把握が可能です。落ち込んでいたり、ストレスを抱えていたりする従業員に対して早期のフォロワーが可能となり、離職率の軽減なども期待できます。
便利な感情認識AIですが、以下のデメリットが存在します。
ここからは、上記それぞれのデメリットについて解説します。
感情認識AIの導入にはコストがかかります。具体的には、初期段階で導入費や開発費がかかり、毎月のランニングコストも発生します。感情認識AIの活用を検討している場合には、導入により得られるメリットがコストに対して適正かの判断が重要です。
感情認識AIに限らず、AIは定期的なメンテナンスにより精度の向上が必要です。学習データが古くなれば、AIのアウトプットに誤りが含まれるリスクが存在しますが、保守・メンテナンスには手間やコストがかかります。
活用範囲が限定されている点も、感情認識AIにおけるデメリットの一つです。感情認識AIは、近年登場したもので発展途上のテクノロジーです。特定のシチュエーションに限定した活用は十分な精度を担保できますが、汎用的な活用の場合精度がブレる可能性があります。
感情認識AIは誤認識が発生する可能性があります。ディープラーニングによりテクノロジーが進歩していますが、非言語的コミュニケーションなどを完全に理解することはまだ困難です。さらに、特定のジョークや文化的なニュアンスの理解は簡単ではありません。
情報漏洩のリスクがあることも、感情認識AIのデメリットです。感情認識AIの学習には、個人の感情や振る舞いに関する膨大なデータが必要です。中には、個人情報を含むデータも存在します。
近年はプライバシー保護に関する注目度が高まっており、万が一個人情報が漏洩すれば企業の信用やブランドイメージが低下する恐れがあるでしょう。ただ、サイバー攻撃も高度化・複雑化しているため100%防ぐことは困難です。情報漏洩を未然に防ぐ対策を行うとともに、発生した際早期に発見して迅速に対処できる体制作りが求められます。
情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
感情認識AIはすでに多くのシーンで活用されています。ここからは、感情認識AIにおける以下の活用例について解説します。
コールセンターは感情認識AIの代表的な活用例です。顧客の声をAIが分析して、オペレーターが迅速かつ正確な対応ができる体制の整備が進められています。
また、感情認識AIが実装されたチャットボットも登場しています。テキストデータから顧客の感情を読み取ることで、パーソナライズされたサポートの提供が可能となるでしょう。
マーケティングでは、消費者の反応分析で感情認識AIが活用されています。例えば、商品や広告、プロモーションにおいてどこでポジティブ・ネガティブな反応を示したかの把握に用いられており、効果的なマーケティング活動に役立てられています。
感情認識AIは教育やトレーニングにも活用されています。講師や生徒の反応を感情認識AIで分析すれば、授業の品質や学習者のモチベーションを把握可能です。職場でのストレスやモチベーションの把握にも役立つでしょう。
感情認識AIはヘルスケア分野での活用も期待されています。患者の脈拍・呼吸などの変化をリアルタイムで分析すれば、ストレスや病状の変化を早期に発見可能です。迅速に対処でき、手遅れになる可能性を下げたり、メンタル面で不安定になることを防止できたりするでしょう。
感情認識AIはゲームにも活用されています。例えば、プレーヤーの感情を認識してストーリーの展開が変化するゲームが登場しました。感情認識AIの活用により、プレーヤーごとに個別で最適なストーリーが展開されるRPGゲームの開発が期待されています。
続いて、以下の企業における感情認識AIの導入事例を紹介します。
あいおいニッセイ同和損保は、感情認識AIを活用してコンタクトセンターへの電話の声を分析しています。AI導入前は、音声をテキストデータに変換して分析することで、コンタクトセンターの業務品質向上を図っていました。
日々かかってくる膨大な電話のテキストデータを人間が目視で分析するには多くの時間がかかっていましたが、感情認識AIの導入で効率よくチェックできるようになり、業務効率化が実現しました。
ベネッセコーポレーションは、英語のオンラインレッスンに感情認識AIを導入しました。具体的には、レッスン中の講師の表情やジェスチャーをAIが分析して、講師へフィードバックしています。その結果、レッスン品質の客観的な把握ができ品質向上につながっています。
現在の感情認識AIはまだ改善の余地があり、今後テクノロジーの進歩が期待されています。現在は表情・音声・テキストから感情を読み取るものが主流ですが、今後は脳波や生体センサーを用いて、より高度な感情認識が可能となるでしょう。
また、複数の要素を組み合わせたマルチモーダルアプローチで、正確性が向上すると考えられています。活用範囲もさらに広がり、私たちの生活が豊かになることが期待されています。
ただ、倫理的な側面やプライバシー保護に関する懸念点も見逃せません。デメリットの章で解説した通り、感情認識AIは個人情報が含まれたデータを大量に必要とするケースもあり、利便性の向上だけでなく規制・ルールの整備も重要です。
感情認識AIとは、表情や声、文章などを基に人の感情・気持ちを読み取る人工知能のことです。これまでのAIでは人間の感情認識が難しいとされていましたが、テクノロジーの進歩で実現しました。コールセンターやマーケティング、ヘルスケア分野などすでに多くのシーンで活用されています。
近年は、AIをはじめ多くのテクノロジーが生まれています。上手な活用は、企業競争力に影響を与える品質向上や業務効率化に有効です。AIなどのツールを上手く活用して、業務効率化を実現しましょう。