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5分でわかる!ITILとは?
ITILとは、ITサービスのベストプラクティスをまとめた文書です。ベストプラクティスであると同時に、現在はITサービスのフレームワークと、標準化された業務についてのガイダンスを提供しています。この文書の目的は、コスト管理や、ITサービスの品質の標準化などがあります。現在でもこうした課題に向き合うアプローチとして当初のITIL文書の考え方は継承され、アップデートされた文書はISOの国際規格の一部となりました(ISO/ITEC 20000)。この記事ではITILの内容全体をコンパクトにまとめ、どなたでも早く全体像が理解できるようになっています。仕事で聞くことがあるけどITILについてイマイチよく分かっていない方は、ぜひご覧ください。
目次
ITILの発祥・なぜITILが必要になったか
ITILは、イギリスが発祥で、1980年代に政府がまとめた文書としてスタートしています。ITILの現在の最新バージョンは、ITIL V4であり、今実務上よく使われているのは、V3です。発祥の当時、英国政府はこんな悩みを抱えていました。
そこで英国政府は、こうした悩みを改善するには、何らかの業務の標準を策定しガイドライン化することが必要であると考えたのです。また、このガイドラインに準じたサービスを政府の納入業者にもとめ、普及を図ることにしました。ITILのスタート当初は、70冊もの多くの書籍から構成されていました。バージョン2である、ITILv2において業務標準の考え方が完成し、さらにv3になると、サービスライフサイクルを中心コンセプトに据えることにより、各プロセスの効率化と標準化が実現されるようになりました。
ITILとは書籍群を指すもの
ITILは、ITサービスのベストプラクティスをまとめた文書ですが、現在実務上最もよく利用されるのが、ITIL3です。ITIL3は2007年の文書ですが、コストとビジネスのスピードについていくことを重視した内容です。現在のITサービスの標準形を、サービスライフサイクルのフレームワークに従って整理、ガイダンスを示しています。
ITILの内容
TIL3は導入と、メイン書籍5冊からなり、概略は次のような内容です。
- Introduction to ITIL 3 Service Lifecycle
ITIL V3の全体的な概要およびライフサイクル・アプローチ=ITILはサービスのライフサイクルを中心として作られているフレームワークであることについて、詳しい解説がある。 - サービスストラテジ Service Strategy
事業目標に対する関係で、ITの役割・必須の条件要件について解説している。ITIL V2の「ITサービス財務管理」プロセス(サービスデリバリ)を包含、ほぼ相当するプロセスについてのガイダンスを提供。 - サービスデザイン Service Design
サービスのデザイン=サービスのプロセスの定義と、導入手順と運用の概略について解説している。ITIL v2の「可用性管理」プロセス、「キャパシティ管理」プロセス、「ITサービス継続性管理」プロセス(サービスデリバリ)に相当、それぞれの要素を包含したものである。 - サービストランジション Service Transition
ビジネスニーズがあったときの変更管理と、リスク緩和措置について解説。変更管理はビジネスの変化に即応するスピードを確保するにはどうするか、具体策についてのガイダンスが含まれている。ITIL v2の「変更管理」プロセス、「リリース管理」プロセス、「構成管理」プロセス(サービスマネジメント)にほぼ相当する内容を持ち、包含したものである。 - 5.サービスオペレーション Service Operation
ITサービスプロセスの管理と手法について解説している。ITIL v2の「サービスデスク」機能、「インシデント管理」プロセス、「問題管理」プロセスにほぼ相当し、これらの内容を包含したガイダンスを提供。
⇒サービスデスクとは? - 継続的サービス改善 Continual Service Improvement
ITサービスのコストと品質について、効果測定の手法を主に解説。ITIL v2の「サービスレベル管理」プロセス(サービスデリバリ)にほぼ相当、包含している。
ITILのフレームワークとしての意味・5つの段階とは?
これらの書籍、特にIntroductionを除いた5冊の本は、サービスのライフサイクル順に整理されており、6でサービスのライフサイクルをいったん終えると、新しいサービスについてまた2からプロセスが始まるというフレームワークであることが特徴です。言い換えると、2~6のそれぞれの段階を順次実行し進めることにより、新しいITサービスの導入と運用の1サイクルが完了することとなります。共通フレームワークを基に、それぞれ企業・組織でのITオペレーションに関するプロセスをITILに即して標準化すると、変化するビジネスに即応でき、最も効率が良いものと考えられます。
ITILの構成要素・4つのPとは?
ITILには、構成要素があり、人・プロセス・製品ないし技術・パートナーの4つの要素です。
ITILV2までは要素に含まれていなかったアウトソーシングに関するプロセスもITILv3では包含されるようになりました。外注は、人手不足や、ビジネス上の必要性から、日常的にIT分野で見られる事象であり、このプロセスを包含したことにより、一層ビジネスニーズを反映した内容となりました。
最新のITILであるITIL4について
ITILv3は、ITサービスのベストプラクティスとしては非常に完成度が高いです。フレームワーク思考によりサービス提供者であるIT部門がこの文書に従ってサービスを提供すると、プロセスとして継続的な改善を図ることができます。しかし、ITILv3では、次のような点が要素として包含されていません。
- 経営者
- 開発
- 顧客
- 生産性ないし付加価値の向上
ITプロセスの利害関係者はサービス提供者だけではありません。また、ビジネスの実現の道具としてのITプロセスから、価値を創造することができるITプロセスはもう少し前から意識されていただけに、ITILv3の考え方は現在では少し古い考え方といっても過言ではないでしょう。
ITIL4 で変わったのはここ
そこで、最新のITILである、ITIL4(2019年2月)では、以下の要素を包含すると同時に、もう少しプロセスについてはシンプルに整理されています。
- アジャイル:客のニーズに対して迅速に対応すること
- DevOps:運用から開発までスムーズに連携すること
- リーン:無駄を減らし、生産性を継続的に向上させること
- ガバナンス:経営者が全体を統制すること
DX時代のITサービスは、ITがコアになって、事業の価値そのものを創造することが期待されており、ITILv3での「ビジネスに役に立つプロセス」から一歩進んだ対応が求められています。ITILv3のプロセスを土台に、事業の手段という色彩が強かったITIL3から、会社の事業の価値の一部であることがより強く意識されたITプロセスがITIL4であると考えられます。
まとめ
ITIL4は、会社の事業の価値の一部としてのITプロセスが意識されていますが、土台となるITIL v3に準拠するオペレーションの上に価値創造がある、と考えると適切です。言い換えると、v3のレベルのプロセス改善ができないとなかなかITIL4レベルに到達できないのです。この意味からもITILv3が現在でもITプロセス管理の実務上のお手本として意識されていますので、本記事では中心として取り上げました。一方で、DXによる価値創造をより意識するのであれば、リーンやアジャイルといった、コアとなる要素について、今後各組織でより実現しやすい取り組みを強化することが必要になるでしょう。
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