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マネージドサービスとは、企業・組織におけるITインフラの運用や管理を請け負うサービスのことです。多くの企業が多数のシステムを導入しており、運用・管理の負担が増加しているため注目を集めています。ただ「マネージドサービス」という言葉を聞いたことがあっても「具体的にどこまで任せられるのか」がわかりにくいと感じている方もいるでしょう。
本記事では、マネージドサービスの概要や利用するメリット・デメリット、導入時の注意点について詳しく解説します。マネージドサービスについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次

マネージドサービスとは、ITインフラやシステムの運用・管理を専門業者が代行するサービスのことです。サーバー監視・バックアップや障害対応、セキュリティ更新などを一括して任せられます。近年は、多数のシステムを導入・利用している企業が多く、運用・管理に多くの手間・時間がかかっており、高度な知識・スキルも求められます。自社での運用・管理が困難で、マネージドサービスを利用する企業が少なくありません。
ここからは以下の事項について解説します。
マネージドサービスが注目されている主な理由は以下の4つです。
ここからは、上記それぞれの理由を紹介します。
マネージドサービスが注目されている理由の一つは、クラウドの普及です。従来は、自社でサーバーを用意して保守・運用することが一般的でした。ただ、昨今はAWSなどに代表されるクラウド環境が開発され、導入コストや拡張性の観点から多くの企業が利用しています。クラウドサーバーは利便性が高い一方で、運用に必要な知識やスキルを有する人材の確保・育成が間に合っていない企業も多数存在します。
システムの複雑化も、マネージドサービスが注目されている要因です。基幹システムやSFA・CRM、チャットツールなど、多くの企業では複数のシステムを導入しているケースがほとんどです。利用するシステムが増えるほど、システム担当者の負担は増加します。また、各システムに関する知識も求められるでしょう。全システムの運用・管理に関する知識やスキルを網羅的に習得することは、簡単ではありません。
IT人材の不足もマネージドサービスが注目されている理由の一つです。DX推進によりIT人材の需要が高まる一方で、供給が追いついていません。総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社が調査・発表した「IT人材の将来需要ギャップ試算」によれば、2040年に最大73.3万人のIT人材が不足すると予測されています。
IT人材を自社で確保することは簡単ではありません。
なお、日本のIT人材不足について詳しく知りたい方は以下もご覧ください。
⇒日本のIT人材不足の実態とは?原因や対処法、エンジニアに求められるスキルを解説
参照:~IT人材の2040年の人材需給ギャップを独自試算~ IT人材は2040年に最大73.3万人不足と推計|ヒューマンリソシア
マネージドサービスが注目されている背景には、セキュリティの必要性向上もあります。データやシステムの重要性が高まるのに比例して、サイバー攻撃が増加・高度化しています。情報漏洩やサービス停止が起これば、企業の信用やブランドイメージが低下するでしょう。
サイバー攻撃を未然に防ぎ、万が一被害が発生した場合には最小限に抑える体制の構築が求められています。ただ、セキュリティ対策やインシデント対処には専門的な知識・スキルが必要です。
マネージドサービスで委託可能な業務例は以下の通りです。
順に解説します。
マネージドサービスで最も一般的な委託可能業務は、ITインフラの運用・保守・管理です。具体的には、サーバーやネットワークを24時間365日監視して、問題が発生した際に対処します。また、アップデートで脆弱性をなくしセキュリティ強化を図ります。
アプリケーションの運用・保守・管理も委託可能です。例えば、経費精算や在庫管理、顧客情報管理といった業務アプリの運用を任せられます。安定的な稼働やパフォーマンスの維持に役立つでしょう。
IT資産マネジメントも委託できます。IT資産マネジメント(IT Asset Management)とは、企業が保有・利用するIT資産を一元的に把握・管理する仕組みのことです。IT資産を適切に管理すれば、サイバー攻撃を迅速に把握して対処できます。
なお、IT資産マネジメント(IT Asset Management)の詳細は以下をご覧ください。
⇒IT Asset Managementとは?目的やメリットやおすすめツールを解説
データの管理やバックアップにも対応してくれるケースがあります。定期的なデータのバックアップは重要な業務ですが、量が多ければ負担も大きいでしょう。マネージドサービスでは、データのバックアップ自体を行うだけでなく、自動バックアップの設定や適切な保存先の選定なども行ってくれるケースがあります。

代表的なマネージドサービスは以下の4つです。
順に解説します。
サーバーやネットワークの保守・管理を中心に委託できるサービスです。自社で必要な部分のみを利用できます。委託範囲が少なければ、その分コストも下がります。
企業や組織におけるITの運用・管理を全般的に委託できるサービスです。システム部門の業務効率化を目的に利用する企業もあれば、そもそもシステム部門がなく全てを任せる企業も存在します。
クラウドストレージやクラウドサービスの運用・管理を委託できるものです。クラウドベンダーやMSPがサービス提供を行っています。MSP(マネージドサービスプロバイダー)とは、企業におけるITシステムの監視や運用、保守を請け負う事業者のことです。
ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどモバイルデバイスの運用・管理を委託可能なサービスです。他のサービスと異なり、基本的にサーバーやネットワークの運用・管理は行いません。

続いて、マネージドサービスを利用する以下3つのメリットを紹介します。
専門人材を自社で雇用・育成することは簡単ではありません。マネージドサービスを利用すれば、専門人材のノウハウを活用可能です。マネージドサービスを営む企業には、高度な専門スキルや知識を有する人材が在籍しており、蓄積されたノウハウも豊富です。トラブルが発生しても、迅速に解決してくれるでしょう。
コストを抑えられる点も、マネージドサービス利用のメリットです。人材不足により、IT人材の人件費が高まっています。また、突発的なトラブルで残業が発生すれば、労務コストが膨れ上がる恐れがあるでしょう。マネージドサービスの場合、必要なときのみ利用できコストを最適化可能です。
コア業務に集中可能な体制の整備にも、マネージドサービスは有効です。運用・保守・管理などのルーティンワークを委託することで、システム担当者はDXの推進やIT戦略の策定などに時間を割けるでしょう。ノンコア業務を減らして、企業の成長に多大な影響を与えるコア業務に集中できます。

メリットがある一方で、マネージドサービスの利用には以下3つのデメリットがあります。
順に解説します。
マネージドサービスを利用すると、社内にノウハウが溜まらなくなるリスクがあります。専門的な知識やスキルを有する外部の専門家がシステムの運用・管理をしてくれるため、自社で人材が育ちません。将来的に委託を辞めて自社で運用を行いたいと考えていても、難しくなる可能性があるでしょう。
また、完全に委託して自社で専門人材を雇用しない場合には、緊急事態が発生した際に対応できなくなる恐れがあります。対応が遅れ、被害が拡大するリスクもあるでしょう。
サービス範囲が決まっていることも、マネージドサービス利用におけるデメリットの一つです。自社が委託した業務も、委託先が請け負っていなければ自社で対応しなければなりません。どこまでを委託できるかは、業者ごとに異なります。
マネージドサービスを利用しても業務改善にはなりません。多くの場合、社内で行っている業務を外部委託するだけです。社員がコア業務に集中できる環境の構築にはつながりますが、委託した分のコストは変わらず発生します。
委託先を検討する際には、ただ単に運用を代行してくれるだけでなく、改善提案や自動化による効率化支援まで含めたアウトソーシング先を選定すると良いでしょう。

最後に、マネージドサービス導入時の以下注意点について解説します。
マネージドサービス導入時には、委託先に丸投げしないことが重要です。丸投げした場合、どのような運用をなされているか把握できなくなり、ブラックボックス化してしまう恐れがあります。委託業者と定期的にコミュニケーションを取る場を設けて、状況の確認などを行う場を設けると良いでしょう。契約時に、面談頻度などの確認も行うことが重要です。
役割分担の明確化もマネージドサービス導入時に欠かせません。具体的には、システム部門と委託業者のどちらがなにを行うか、どこまでの業務に責任を持つかを定めます。責任の所在があいまいな場合、トラブル発生時に対応が遅れ被害が拡大するリスクがあります。また、原因の究明も遅れて、サイバー攻撃者に証拠を消されてしまう可能性があるでしょう。
役割分担を明確にしたら契約書などで明文化します。口頭だと、後々トラブル発生の原因になります。
最適な委託先の検討も、マネージドサービス導入時におけるポイントの一つです。マネージドサービスを提供している企業は複数あり、企業ごとに提供しているサービス内容やコストが異なります。委託先を比較するポイントは以下の通りです。
順に解説します。
自社が求めるサービス内容や範囲、レベルを満たしているか確認しましょう。サービス提供企業によっては、サービス内容を利用者側で設計できるところも存在します。委託先にサービス内容を丸投げせず、相談しながら決めると良いでしょう。
また、拡張性があるかの確認も欠かせません。拡張性が高ければ、企業や事業の成長に応じて委託するサービス範囲を拡大できます。
セキュリティ体制の確認も欠かせません。セキュリティ強度が低い場合、委託先が原因で情報漏洩などのセキュリティインシデントが発生する恐れがあります。例えば、データ保護やアクセス管理の仕組み、暗号化のレベルを確認すると良いでしょう。
また、法令対応しているかのチェックも必要です。近年は、データの保護に関する法規制がさまざまな国や地域で施行されています。法律に違反すれば、罰金の発生だけでなく信用の低下につながります。
コストパフォーマンスも比較すると良いでしょう。マネージドサービスの利用には、初期費用や月々のランニングコストが発生します。サービス内容・期待する成果とコストが適正かをチェックしましょう。
コストが安くても、成果が期待できなければ意味がありません。一方、高い成果が望めてもコストが高すぎれば、委託せずに社内で人員を確保して処理した方が良いでしょう。

マネージドサービスとは、ITインフラやシステムの運用・管理を専門業者が代行するサービスのことです。クラウドの普及やシステムの複雑化、IT人材不足などの要因で注目が集まっています。マネージドサービスを利用すれば、ITインフラ・アプリケーションの運用・保守・管理やIT資産マネジメント、データの管理・バックアップを一括して任せられます。コア業務に集中可能な体制の整備やコストの抑制に役立つでしょう。
ただ、社内にノウハウが蓄積されない、業務改善につながらないなどのデメリットも存在します。マネージドサービス業者を選定する際には、業務改善提案なども行ってくれるか確認すると、より多くの成果を期待できるでしょう。
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