技術用語解説

MFA(多要素認証)とは?仕組みやメリット・デメリット、導入方法を解説

MFA(多要素認証)とは、知識や所有物、生体など複数の要素を活用して認証を行う方法のことです。従来のID・パスワードのみの認証ではセキュリティが心もとないため、必要性が高まっています。本記事では、MFAの概要やメリット・デメリット、導入方法について解説します。

目次

  1. 1MFA(多要素認証)とは
  2. 2MFA(多要素認証)で利用される方法
  3. 3MFA(多要素認証)の仕組みや流れ
  4. 4MFA(多要素認証)のメリット
  5. 5MFA(多要素認証)のデメリット
  6. 6MFA(多要素認証)が利用されているサービス例
  7. 7MFA(多要素認証)の導入方法
  8. 8MFA(多要素認証)導入時の注意や確認するポイント
  9. 9まとめ

MFA(多要素認証)とは、知識や所有物、生体など複数の要素を活用して認証を行う方法のことです。サイバー攻撃の増加・高度化や一回の認証で複数にログインできるサービスの登場により、従来のID・パスワードのみの認証ではセキュリティが心もとないため、必要性が高まっています。

本記事では、MFAの概要やメリット・デメリット、導入方法について詳しく解説します。MFAについて知りたい方、セキュリティを向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。

MFA(多要素認証)とは

MFA(多要素認証)とは

MFA(多要素認証)とは、クラウドサービスやアプリケーションを利用する際の本人認証で、性質の違う複数の要素を利用して認証を行う方式のことです。従来はユーザーIDとパスワードの組み合わせで認証を行っていましたが、加えて例えば指紋認証やSMS認証なども実施するため、セキュリティ強度が向上します。

ここからは、MFAに関する以下について解説します。

  • 必要な理由
  • 2要素認証との違い
  • 2段階認証との違い

MFAが必要な理由

MFAが必要な理由は、従来のパスワード認証だけではセキュリティが不十分だからです。

パスワードを設定する際、わかりやすいものや同じものの設定は避けた方が良いとされていますが、ユーザーの中にはこの原則を守らない人も存在します。万が一、同じパスワードを使いまわしていた場合、一つのパスワードを悪意ある第三者に盗まれれば多くのサービスにログインされてしまうでしょう。
また、近年は一回の認証で多数のサービスを利用できるものも存在します。例えば、Googleアカウントにログインすれば、GmailやGoogleドライブ、YouTubeなどのアカウントにもログイン可能です。

さらに、サイバー攻撃が増加・高度化しているため、認証情報が盗まれる可能性も少なくありません。働き方の多様化実現や業務効率化に向け、多くの企業ではクラウドサービスを利用していますが、認証情報を窃盗されれば情報漏洩につながります。MFAの活用により、万が一ID・パスワードが盗まれても、被害を抑えられる可能性が高まります。

2要素認証(2FA)との違い

2要素認証(2FA)もMFAの一種ですが、認証要素の数が異なるケースがあります。2要素認証とは、性質の異なる2種類の認証を行う方法のことです。MFAの場合、必ずしも2種類とは限りません。2種類以上の要素を組み合わせた認証が行われるため、3種類以上のケースも存在します。

2段階認証との違い

MFAと2段階認証の大きな違いは重点です。2段階認証とは、2つの段階を経て認証を行なう方法のことです。2段階認証の場合、認証で利用する要素の数には重点を置いておらず、例えばID・パスワードとPINコードなどの知識認証で、2回の認証を行うケースがあります。一方、MFAでは知識認証と生体認証など、2つ以上の要素を活用することに重点が置かれています。

MFA(多要素認証)で利用される方法

MFA(多要素認証)で利用される方法

続いて、MFA(多要素認証)で利用される方法について解説します。

知識認証

知覚認証とは、本人だけが知っている情報を利用した認証のことです。例えば以下を活用した認証が該当します。

  • IDとパスワード
  • PINコード
  • 秘密の質問
  • キャッシュカードなどの暗証番号

所有物認証

所有物認証とは、本人だけが持っているモノを利用した認証のことです。例えば以下を活用した認証が挙げられます。

  • スマートフォンのSMSやアプリ
  • ICチップ搭載カード
  • USBトークン
  • ワンタイムパスワード
  • ボイスコール

生体認証

生体認証とは、本人における固有の身体的特徴を用いた認証のことです。具体的には以下を活用した認証が該当します。

  • 指紋
  • 音声
  • 静脈
  • 網膜
  • 虹彩

場所認証

場所認証とは、ユーザーの位置場所やIPアドレスなどを基に行う認証のことです。あらかじめ登録した場所やIPアドレスに該当しない場合、アクセスをブロックします。

適応型認証(リスクベース認証)

適応型認証(リスクベース認証)とは、状況に応じて異なる情報を要求し、サイバー攻撃のリスクが高い場合にはセキュリティを強化する認証のことです。例えば、以下をもとにリスクレベルを設定して、ログインを許可するか追加の認証を行うかを決定します。

  • 時間
  • 場所
  • 使用デバイス
  • 接続時の利用ネットワーク

MFA(多要素認証)の仕組みや流れ

MFA(多要素認証)の仕組みや流れ

MFAは、追加の認証要素を求めることでアクセスを制御する仕組みが取られています。例えば、クラウドサービスでMFAが行われる際の流れは以下の通りです。

  1. ユーザーは、アカウント登録時にID・パスワードを設定するとともに、ワンタイムパスワードを送る電話番号を入力する
  2. ユーザーがクラウドサービスログイン時にID・パスワードを入力すると、登録した携帯番号にワンタイムパスワードが送られる
  3. ユーザーは、受信したワンタイムパスワードを活用して追証を行う

MFA(多要素認証)のメリット

MFA(多要素認証)のメリット

続いて、MFA(多要素認証)のメリットを紹介します。

セキュリティの向上

MFAを活用する最大のメリットは、セキュリティの向上です。ID・パスワードだけで行う認証と比較して、不正アクセスなどを防ぎやすくなります。IDとパスワードが流出しても、簡単にはアクセスされません。

また、サイバー攻撃者は成功確率が低いものや、手間がかかるものへの攻撃は避けがちです。複数要素の情報が必要となるMFAの活用で、サイバー攻撃を受けるリスクを抑えられます。

パスワード管理の負担軽減

パスワード管理の負担軽減も、MFA活用のメリットです。ID・パスワードだけで認証を行う場合、ユーザーは長く複雑なパスワードを、利用サービスごとに設定して、定期的に変更しなければなりません。所有物認証や生体認証を活用すれば、パスワード管理の負担を軽減できるでしょう。

コンプライアンスの遵守

MFAの活用により、コンプライアンスの遵守も可能です。近年は、プライバシー保護に対する関心が高まっており、例えば以下の法規制ができています。

  • 個人情報保護法
  • EU一般データ保護規則(GDPR)
  • カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)
  • 包括的な個人情報保護の法律(PDPA)

また、セキュリティ関連の規制やガイドラインも増加しています。MFAを活用すれば、さまざまな法規制やガイドラインへの対応がしやすくなるでしょう。

なお、個人情報保護法に違反した場合の罰則やGDPRの詳細を知りたい方は、以下をご覧ください。
⇒個人情報保護法の罰則とは?概要や罰則以外のリスク、違反を防止するための対策を解説
⇒GDPRとは?日本企業が守るべきルールと対応方法を紹介

MFA(多要素認証)のデメリット

MFA(多要素認証)のデメリット

一方でデメリットも存在します。ここからは、MFA活用のデメリットについて解説します。

ユーザー認証における負担の増加

MFAを活用すれば、ユーザー認証の回数が増えるため負担が増加します。指紋認証が上手くいかないケースもあるでしょう。急いでいる場合や活用頻度が多いサービスを利用する際には、ストレスを感じるユーザーが発生する可能性もあります。

コストの発生

コストの発生も、MFA活用におけるデメリットの一つです。オプション料がかかったり、新たな機器の導入やシステム構築料がかかったりするケースもあります。

MFA(多要素認証)が利用されているサービス例

MFA(多要素認証)が利用されているサービス例

続いて、MFAが利用されているサービス例を紹介します。

クラウドサービス

多くのクラウドサービスでは、ID・パスワードによる認証が行われますが、中にはMFAを活用したものもあります。例えば、Micorosoft 365やAWSではMFAを設定できる仕組みが採用されています。

SNS

SNSの中にも、MFAを導入しているものが存在します。具体的には、X(旧Twitter)の場合、ログイン時にID・パスワードとSMS送信されるコードの入力が求められます。

VPN

仮想の専用回線を活用して安全な通信を実現するVPNでも、MFAを活用するサービスが増加しています。不正アクセス防止を目的とするVPNを利用されてしまえば、サイバー攻撃を防ぐことができません。

オンラインショッピングサイト

MFAは、AmazonやeBayなどのオンラインショッピングサイトでも利用されています。多くのサイトでは、ID・パスワードによる知識認証とSMSを用いた所有物認証が採用されています。

オンラインバンキング

オンラインバンキングも、MFAが導入されています。ID・パスワードによる知識認証に加え、支払い時のワンタイムパスワード入力か、SMSによる認証の実施が一般的です。

MFA(多要素認証)の導入方法

MFA(多要素認証)の導入方法

続いて、MFAの導入方法を紹介します。

各サービスの設定を確認する

サービスによっては、MFAを利用できるものも存在します。まずは設定を確認しましょう。活用できる場合には、決められた手順に則り設定を行います。

専門家に依頼する

自分たちでの設定が難しい場合には、専門家に依頼する方法も有効です。専門家が行えば、設定ミスが発生する心配がないため安全な環境の構築が可能です。また、セキュリティ状況の診断なども併せて実施してくれるベンダーも存在します。

MFA(多要素認証)導入時の注意や確認するポイント

MFA(多要素認証)導入時の注意や確認するポイント

最後に、MFA導入時の注意や確認するポイントを紹介します。

総コスト

まずは、総コストを確認しましょう。導入コストだけでなく、ランニングコストの把握も欠かせません。無料で利用できるサービスもありますが、中には有料オプションの利用が必要なケースもあります。また、指紋認証を行う場合の指紋リーダーや、顔認証するための3DWebカメラが必要になる可能性もあります。自社での設定が難しい場合には、設定を外注する費用もかかるでしょう。

利便性への影響

複数要素の認証が行われることに対して、利便性にどの程度影響が出るかの確認も重要です。利用頻度が多いサービスでMFAを活用すれば、ログインに時間がかかり効率低下の原因になる恐れがあります。例えば、認証アプリの利用やSMSで受信したパスワードの入力は、ユーザーに負担をかけるでしょう。

ただし、MFAを活用した場合必ずしも効率や利便性が低下するわけではありません。導入により利便性が向上するケースもあります。

まとめ

まとめ

MFA(多要素認証)とは、クラウドサービスやアプリケーションを利用する際の本人認証で、性質の違う複数の要素を利用して認証を行う方式のことです。従来のID・パスワードを用いた知識認証に加えて、所有物や生体情報に基づく認証が実施されます。MFAを活用すれば、セキュリティの向上やパスワード管理の負担軽減、コンプライアンスの遵守など、多くのメリットを得られます。

ただ、近年行われているサイバー攻撃は高度化・多様化しており、MFAを活用しても100%防ぐことは困難です。不正アクセスにより個人情報などが流出すれば、企業の信頼性やブランドイメージが低下してしまうため、情報が漏洩した際に素早く察知して、適切な対応を取るための体制構築も求められます。
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