技術用語解説

PWAとは?活用するメリット・デメリットや事例、導入ステップを解説

PWAとは、Webサイトをネイティブアプリのように活用できる仕組みです。ホーム画面追加やプッシュ通知、オフライン対応により、利便性向上やユーザー獲得、コンバージョン率向上を実現します。メリット・デメリット・事例を解説。

目次

  1. 1PWA(Progressive Web Apps)とは
  2. 2PWAにおける主な4つの機能
  3. 3PWAを活用する7つのメリット
  4. 4PWAを活用する2つのデメリット
  5. 5PWAの事例
  6. 6PWAの導入ステップ
  7. 7まとめ

PWAとは、Webサイトでネイティブアプリのような体験を実現するための仕組みや手法のことです。Webサイトでありながら、ホーム画面へのアイコン追加やプッシュ通知の送信が可能です。利用すれば、利便性の向上やユーザーの獲得、コンバージョン率の向上など多くのメリットを得られます。

本記事では、PWAの概要や利用するメリット・デメリット、事例について詳しく解説します。PWAについて知りたい方、利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

PWA(Progressive Web Apps)とは

PWA(Progressive Web Apps)とは、Webサイトをネイティブアプリのように活用可能にする仕組みやテクノロジーのことです。ネイティブアプリとは、特定のデバイスやOS向けに設計・開発されたアプリケーションのことです。例えば、iPhoneやAndroid用のアプリが該当します。

ここからは以下の事項について解説します。

  • PWAが注目されている背景
  • PWAとネイティブアプリの違い
  • PWAとハイブリッドアプリの違い
  • PWAを構成する主な要素

PWAが注目されている背景

PWAが注目されている背景には、高い利便性が存在します。後ほど詳しく解説しますが、PWAはオフラインで利用でき、プッシュ通知の送信も可能です。

また、アプリストアに登録する必要がないため、審査・承認の手間や時間を削減できます。ネイティブアプリと比較して開発も容易で、コストや手間の軽減につながります。複数のOSやデバイスで動作するクロスプラットフォームにも対応しており、デバイスごとにアプリを開発する必要がありません。

PWAとネイティブアプリの違い

PWAとネイティブアプリの主な違いは以下の通りです。

  PWA ネイティブアプリ
アプリストアへの申請 不要 必要
OSバージョンアップへの追従 不要 必要
デバイス機能の活用における制約 一部あり なし

機能面ではネイティブアプリの方が優れている一方で、PWAの方が開発や提供のしやすさにおいて優れた特性をもっています。

PWAとハイブリッドアプリの違い

ハイブリッドアプリとは、Webアプリとネイティブアプリの要素を組み合わせたアプリケーションのことです。PWAとハイブリッドアプリの主な違いは以下の通りです。

  PWA ハイブリッドアプリ
アプリのインストール経路 Webサイト経由 アプリストア経由
クロスプラットフォーム対応 容易 複雑
デバイス機能の活用における制約 一部あり なし

PWAを構成する主な要素

PWAを構成する主な要素は以下の4つです。

  • Service Worker
    オフライン環境でアプリを動作させたり、プッシュ通知を送ったりするためのスクリプト
  • HTTPSサーバー
    安全性の高い通信を行うためのサーバー
  • SPA(Single Page Application)
    アプリ使用時に必要なデータを非同期で取得して、コンテンツを書き換える仕組み
  • App Manifest
    アプリに関する情報を記載したファイル

上記の要素を組み合わせることにより、PWAでは利便性の向上とネイティブアプリのような機能性を実現しています。

PWAにおける主な4つの機能

ネイティブアプリのように活用できるPWAの主な機能は以下の4つです。

  • ホーム画面への追加
  • UIの設計
  • プッシュ通知の配信
  • キャッシュの活用による高速化とオフライン対応

順に解説します。

ホーム画面への追加

ホーム画面にアイコンを追加する機能です。ユーザーの目に触れる機会が増えるため、アクセスの増加が期待できます。

UIの設計

Webサイトをネイティブアプリのようなユーザーインターフェース(UI)にする機能です。アドレスバーやメニューを非表示にでき、使いやすさを向上させられます。

プッシュ通知の配信

デバイスに直接メッセージや情報を送る機能です。以前は、iOSでのプッシュ通知配信はできませんでしたが、2023年3月末からiOS16.4で可能になりました。集客や認知度の向上が期待できます。

キャッシュの活用による高速化とオフライン対応

キャッシュの活用で表示速度を向上させたり、オフライン環境でもWebサイトを閲覧できるようにしたりする機能です。キャッシュとは、デバイスによく使うデータを一時保存して次回以降の読み込みを高速化させる仕組みのことです。ページの読み込みが早くなるため、ユーザーのストレス軽減につながります。また、ネット環境が不安定であってもコンテンツの閲覧が可能です。

PWAを活用する7つのメリット

続いて、PWAを活用する以下7つのメリットについて解説します。

  • 利便性の向上
  • ユーザーの獲得
  • コンバージョン率の向上や直帰率の低減
  • 通信量・データ容量の軽減
  • iOSとAndroidで活用可能
  • 開発コストの抑制
  • ストアへの申請不要

利便性の向上

PWAの活用により、ユーザーの利便性を向上できます。例えば、スマートフォンでWebサイトを閲覧する場合、通常以下の工程が必要です。

  1. ブラウザアプリの起動
  2. ブックマークの表示もしくは検索窓へのキーボード入力
  3. 目的とするWebサイトへのアクセス

一方、PWAであればホーム画面にあるアイコンをタップするだけでコンテンツの閲覧が可能です。また、ユーザーインターフェースのカスタマイズも可能で、操作しやすくできるでしょう。

ユーザーの獲得

PWAを利用すればユーザー獲得が期待できます。ネイティブアプリの場合、コンテンツはブラウザの検索結果に表示できません。一方、PWAであればコンテンツを検索結果に表示可能です。また、ホーム画面へアイコンを追加することで、ユーザーの目に留まる機会も増加します。
検索結果への表示やホーム画面へのアイコン追加などの特徴により、ユーザーの獲得につながるでしょう。

コンバージョン率の向上や直帰率の低減

コンバージョン率の向上や直帰率の低減にも、PWAは効果的です。PWAにはプッシュ通知機能が実装されているため、ユーザーへのアプローチが可能です。また、ページ読み込み速度が早く、ユーザーにストレスを与えません。ページの表示が遅い場合、ユーザーが離脱する原因になります。

通信量・データ容量の軽減

通信量・データ容量の軽減もPWAのメリットです。PWAの場合、キャッシュを使用でき一度PWAを開けば再度開く際の通信量を抑えられ、コンテンツの表示速度も早くなります。また、コードがWebページに保管されるため、ユーザーがアプリを活用する際に必要なデータ容量が少なくてすみます。

iOSとAndroidで活用可能

PWAであればOSによる制限を受けないため、さまざまなデバイスで活用可能です。ネイティブアプリの場合、iOSとAndroidでは用いるプログラム言語や開発手順が異なります。PWAでは、一つのコードでiOSとAndroidの双方に対応したアプリを作成でき、開発の効率が大幅に向上します。

開発コストの抑制

開発コストの削減にもPWAは有効です。前述の通り、PWAであればデバイスやOSごとに開発を分ける必要がありません。開発の手間を減らせるため、コストの減少が期待できます。また、社内にWebサイトを開発するスキルを有したエンジニアがいる場合には、開発の外注費も不要です。

ストアへの申請不要

アプリストアへの申請が不要な点もPWAのメリットです。ネイティブアプリをリリースするには、Google PlayかApp Storeもしくはその両方への申請が必要です。厳格な審査を通過して承認されなければ、ユーザーに届けることはできません。ただ、審査基準は明確にされておらず申請には手間もかかります。承認が下りない場合、リリースの延期や修正が必要です。

PWAであれば煩わしい申請が不要です。素早くリリースでき、ユーザーもアプリを入手するにあたりストアからインストールする必要がありません。

PWAを活用する2つのデメリット

メリットがある一方で、PWAには以下2つのデメリットが存在します。

  • OSやブラウザごとに動作環境が異なる
  • 通常のWebサイトよりコストがかかる

順に解説します。

OSやブラウザごとに動作環境が異なる

PWAでは、一つのコードでiOSとAndroidの両方に対応可能ですが、OSやブラウザごとに動作環境が若干異なります。例えば、現在は改善されていますが以前はiOSでプッシュ通知が利用できませんでした。また、Androidではホーム画面への追加を促すバナーをユーザーに表示できますが、iOSではできません。

通常のWebサイトよりコストがかかる

PWAはネイティブアプリと比べ開発コストを抑えられますが、通常のWebサイトよりは高くなります。具体的には、Webサイト制作の価格に5万円から10万円程度費用がプラスされます。PWAの開発によりどの程度の成果を得られるか検討して、作成するか決めると良いでしょう。

PWAの事例

PWAはすでに多くの企業で用いられています。ここからはPWAを構築している以下の事例を紹介します。

  • X(旧Twitter)
  • YouTube
  • SUUMO
  • 日経新聞社
  • Spotify

X(旧Twitter)

X(旧Twitter)は、ネイティブアプリだけでなくPWAも作成しています。PWAを利用することにより、セッション毎のページ数が65%、ポスト(ツイート)が75%向上しました。特に、通信環境が悪い地域で真価を発揮しています。

YouTube

YouTubeは2021年からPWAを利用しています。PWAの以下機能を利用することで、パソコンでの利便性を高めています。

  • タスクバーへの設定
  • オフライン利用
  • フルスクリーン表示

SUUMO

不動産・住宅に関する情報を発信するSUUMOも、早い段階からPWAに対応している事例の一つです。PWAの利用により、ユーザーが検索してから結果が表示されるまでの時間が大幅に短縮されました。また、プッシュ通知のオープン率31%を達成しています。

日経新聞社

日経新聞社も、PWAの利用により日経電子版の高速表示に取り組んでいます。また、速報はプッシュ通知でユーザーにお知らせするなどさまざまな取り組みを行った結果、アクティブユーザー数が49%、コンバージョンも58%増加しました。

Spotify

音楽ストリーミングサービスを展開するSpotifyも、ネイティブアプリだけでなくPWAを利用しています。その結果、60日以内におけるユーザーのリテンション率が14%増加しました。

PWAの導入ステップ

PWAの導入ステップは以下の通りです。

  1. PWA化するWebサイトの準備
  2. HTTPS対応
  3. Web App Manifestの作成と読み込み
  4. Service Workerの作成・読み込み

PWAを構成する主要な要素の一つであるService Workerは、HTTPSサイトのみで作用するため、対応が欠かせません。
Web App Manifestとは、アプリがユーザーにインストールされた際の動作や表示方法を適宜するJSON形式で構成されたファイルのことです。

まとめ

PWAとは、Webサイトをネイティブアプリのように活用可能にする仕組みやテクノロジーのことです。ホーム画面へのアイコン追加やプッシュ通知の送信が可能で、利便性が高く注目を集めています。また、キャッシュを活用でき、表示の高速化やオフライン表示も可能です。利用すれば、ユーザーの獲得やコンバージョン率の向上などに役立つでしょう。

近年はデータ活用が重要になっており、PWAの利用で増加したユーザーデータを上手く用いれば、最適なマーケティングなどが可能になります。ただ、データを盗む目的としたサイバー攻撃も増加しています。
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