セキュリティ対策

権限管理とは?不適切な場合のリスクや設定手法・ポイントを解説

権限管理とは、システムやデータへのアクセス権を適切にコントロールすることです。不適切な管理は情報漏洩や不正利用につながります。本記事では権限管理の概要、リスク、設定手法とリスク軽減のポイントを解説します。

目次

  1. 1権限管理とは
  2. 2適切な権限管理を行わない場合のリスク
  3. 3権限管理を設定する3つの手法
  4. 4リスクを軽減する権限管理のポイント
  5. 5まとめ

権限管理とは、システム・データ・ファイルの閲覧や編集する権利などを管理することです。権限管理が不適切な場合、アカウントの不正利用や情報漏洩、内部不正の誘発につながる恐れがあります。特に、企業が把握していない資産やアカウントがある場合、サイバー攻撃で狙われやすくなるでしょう。

本記事では、権限管理の概要や適切な管理を行わない場合のリスク、設定手法とリスクを軽減するポイントについて詳しく解説します。権限管理について知りたい方、リスクを減らす権限管理を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。

権限管理とは

権限管理とは、企業・組織が保有するシステムやデータへのアクセス・閲覧・編集などの権利を適切にコントロールすることです。「ID管理」とも呼ばれるケースがあり、特定の場所への入出制限なども含まれます。権限管理には以下の要素が含まれており、セキュリティの強化に欠かせません。

  • ユーザー認証:システムやデータへアクセスする本人認証
  • アクセス制御:ユーザーの権限に応じて閲覧や編集可能な範囲の制限
  • 監査ログ:どのユーザーがいつどんな操作を行ったかの記録

ここからは以下の事項について詳しく解説します。

  • 権限管理の必要性
  • 権限の種類

権限管理の必要性

権限管理はリスクを抑制するために必要です。権限が適切に設定されていない場合、従業員や外部委託先が必要以上のアクセス権を持つことになり、情報漏洩や不正利用のリスクが高まります。また、同じ企業に属する従業員であっても、各個人のプライベートな情報は保護する必要があります。

適切な権限管理は、サイバー攻撃や内部不正、従業員間のトラブル防止に欠かせません。近年は、個人情報保護に関する関心が高まっており、万が一情報が漏洩すれば企業の信用やブランドイメージの低下につながります。顧客離れによる売上・利益の低下を招く恐れもあるでしょう。

権限の種類

一般的なシステムやサービスにおける権限の種類は以下の通りです。

  • フルコントロール:データに対するアクセスや変更に加え、権限設定の変更が可能
  • 変更:データの読み取りや変更、削除とファルダの作成・削除が可能
  • 読み取り:データやフォルダの読み取りが可能

ワークフローシステムの場合には、以下の権限も存在します。

  • システム管理:権限設定やワークフロー内容の変更が可能
  • 運用変更:ワークフローのフォームや申請経路の作成・変更が可能
  • 承認:申請内容の承認もしくは却下(差し戻し)が可能
  • 申請:設定されたフォームに基づく申請が可能

企業・組織におけるユーザーの役割などを参考に、適切な権限を設定することが重要です。

適切な権限管理を行わない場合のリスク

適切な権限管理を行わない場合、以下5つのリスクがあります。

  • アカウントの不正利用
  • 情報漏洩
  • 操作ミスによるデータの更新・消失
  • 内部不正の誘発
  • 責任の所在があいまい

特に、把握していない資産やアカウントがある場合、攻撃者に狙われやすくサイバー攻撃を仕掛けられるリスクが高まるでしょう。ここからは、適切な権限管理を行わない場合のリスクについて詳しく解説します。

アカウントの不正利用

適切な権限管理を行わない場合、アカウントを不正利用されるリスクがあります。特に、退職者や休職者のアカウントを放置した場合、不正利用の可能性が高まります。元従業員が不正アクセスして、転職先などにデータを横流しする恐れがあるでしょう。
また、使われていないアカウントは、乗っ取られても気付くのが遅れやすく被害が拡大しやすい特徴があります。

情報漏洩

情報漏洩も、権限管理が不適切な場合のリスクです。上位権限を有するアカウントを乗っ取られれば、より重要性の高いデータを攻撃者に盗まれるでしょう。必要最小限の権限設定を心掛け、サイバー攻撃者の攻撃対象を減らすことがセキュリティの強化に重要です。

操作ミスによるデータの更新・消失

権限管理が適正に行われない場合、操作ミスでデータの更新や消失につながる可能性が高まります。例えば、本来コピーして変更するはずだったデータを、間違えて複製せず更新してしまう可能性があるでしょう。
重要なデータが失われ、業務に支障をきたしたり復元するのに手間と時間がかかったりする恐れがあります。ファイルの削除がシステム障害の原因になるケースも存在します。

内部不正の誘発

不適切な権限管理は内部不正を誘発します。従業員の中に、機密データをライバル企業に売り渡そうと考える者がいないとは限りません。また、従業員が在籍していた企業もしくは上司に恨みを持ち、退職直前にデータを改ざん・削除する可能性もあるでしょう。

責任の所在があいまい

権限管理が適切に行われていない場合、トラブル発生時における責任の所在があいまいになるリスクもあります。「誰が」「いつ」「どのファイル・データにアクセスもしくは操作したか」を把握しにくくなるでしょう。情報漏洩が起こった際に調査するアカウントが増え、原因の特定に手間や時間もかかります。

権限管理を設定する3つの手法

権限管理を設定する主な手法は以下の3つです。

  • ロールベースアクセス制御
  • 属性ベースアクセス制御
  • ルールベースアクセス制御

ここからは、上記それぞれの手法について詳しく解説します。

ロールベースアクセス制御

ロールベースアクセス制御(RBAC)は、ユーザーの役割(ロール)に応じて権限を設定する方法です。ユーザー個人ごとに権限を付与するのではなく、部長職・課長職など各ロールに権限を割り当てて、ユーザーにロールを設定することで権限を管理します。
異動や昇格・降格などに応じた権限変更の手間を軽減できるため、特に規模の大きい組織に適している手法です。また、個人ごとに権限を付与するわけではなく、権限設定のミスを抑制できるでしょう。

属性ベースアクセス制御

属性ベースアクセス制御(ABAC)は、ユーザーの属性に応じて権限を設定する方法です。具体的には、所属する部署・部門や勤務地、職位を基に権限を付与します。
ユーザーの状況に応じて柔軟な権限管理を行える点が特徴で、ロールベースアクセス制御よりも詳細かつ流動的な権限管理が可能です。特に、クラウド環境やゼロトラストセキュリティなど、動的な環境の権限管理に適しています。

ルールベースアクセス制御

ルールベースアクセス制御(RUBAC)は、あらかじめ定めた条件に応じて権限を設定する方法です。さまざまな条件付けが可能なため、より柔軟性の高い権限管理を実現できます。特に、オフィス以外の場所からのアクセスや業務時間外のアクセスを制限したい場合に最適です。
ただし、複雑なルールの設定には手間がかかり、ミスがあれば業務効率やセキュリティ強度の低下を招く恐れがあります。

リスクを軽減する権限管理のポイント

リスクを軽減するには、以下7つのポイントを意識して権限管理を行うことが重要です。

  • 最小権限を心掛ける
  • 定期的に見直す
  • 権限を見える化する
  • 権限変更手順・フローを一元管理する
  • フォルダ構造を最適に保つ
  • 操作ログを監視する
  • ASMを行う

最後に、上記それぞれのポイントについて詳しく解説します。

最小権限を心掛ける

権限管理の基本は、必要最小限の権限付与を心掛けることです。「適切な権限管理を行わない場合のリスク」の章で解説した通り、むやみに上位権限を付与した場合、トラブル発生の原因になるでしょう。例えば、サイバー攻撃では閲覧権限のアカウントと、全ての権限を有するアカウントを乗っ取られた場合の被害が大きく異なります。サイバー攻撃の被害最小化や権限乱用の抑制には、適切な範囲の権限を付与することが重要です。

定期的に見直す

定期的な権限の見直しもリスク軽減に欠かせません。企業や組織では、異動や退職、昇格・降格などが定期的に発生します。人事異動や従業員の入れ替わりなどに応じて権限の見直しを行わなければ、過剰な権限を有するユーザーが発生してしまいます。
また、当初見込んでいた権限が不要な役職が存在する可能性もあるでしょう。操作やアクセスログもチェックして、想定と実態が合っているかの確認も重要です。2~3ヵ月に一度、ログの確認や権限の見直しを行うことで、リスクの大幅な軽減が可能です。

権限を見える化する

権限の見える化も、権限管理におけるリスク軽減のポイントです。そもそも、誰にどのような権限が付与されているかを把握していなければ、適切か否かを判断できません。また、異動時などに権限の再設定をする際、どのような権限が付与されているかの確認から行う必要があるため、手間と時間がかかります。
誰にどの権限が付与されているかを視覚化して、一目で把握できるようにすると良いでしょう。手作業での見える化に時間がかかる場合には、ツールを活用すると負担を軽減可能です。

権限変更手順・フローを一元管理する

権限変更手順・フローの一元管理もリスク軽減に効果的です。各担当者がバラバラに権限変更などを行うと、抜け漏れが発生する可能性があります。また、権限管理・変更業務が属人化した場合、担当者以外管理できなくなりリスクが高まります。フローを一元管理して、変更などを把握できるようにしましょう。
サーバーやサービスごとに権限管理が必要になるため、変更の抜け漏れ発生やミスの抑制にファイルサーバーを一本化することもおすすめです。

フォルダ構造を最適に保つ

セキュリティリスクなどの軽減には、フォルダ構造を最適に保つことも重要です。重要なデータやフォルダが下位に位置付けられていれば、上位権限を有していなくても閲覧や削除ができてしまいます。アクセスなどの権限だけでなく、各権限に付随するデータ・フォルダが適切かも確認しましょう。

操作ログを監視する

操作ログの監視もリスクの軽減に効果的です。ログを監視することで、素早くセキュリティインシデントに気付き対処可能です。被害を未然に防いだり、最小化したりできるでしょう。ログ監視ツールには、通常とは異なるアクセスや操作などがあった場合に、セキュリティ担当者にアラートを送付する機能も実装されています。

なお、ログ監視の詳細は以下をご覧ください。
⇒ログ監視とは?必要性やツールを活用するメリット・デメリットを解説

ASMを行う

ASMを行うことで権限管理におけるリスク軽減が可能です。ASM(Attack Surface Management)とは、企業や組織におけるIT資産がサイバー攻撃に対してどの程度脆弱であるかを把握して、リスクの可視化と管理を行うセキュリティ手法のことです。

弊社SMSデータテックでは「ダークウェブアイ/ASM」サービスを提供しています。ダークウェブアイ/ASMでは、外部から攻撃可能な資産を可視化するため、権限やアクセス状況の過不足を把握可能です。過剰な権限や危険な設定を早期に見つけて改善可能で、リスクを低減できるでしょう。

なお、ASMの詳細は以下をご覧ください。
⇒ASM(Attack Surface Management)とは?実施ステップやおすすめツール7選を解説

まとめ

権限管理とは、企業・組織が保有するシステムやデータへのアクセス・閲覧・編集などの権利を適切にコントロールすることです。セキュリティリスクの抑制には、適切な権限管理が欠かせません。不適切な場合、アカウントの不正利用や情報漏洩、内部不正の誘発につながるでしょう。

権限管理のリスク軽減には、最小権限の付与や定期的な見直し、権限の見える化が重要です。また、ASMの実施も役立ちます。ASMで外部視点を取り入れることで、より安全な権限運用が可能になります。
ダークウェブアイ/ASMを利用してセキュリティを強化しましょう。