BYODとは?メリット・デメリットや導入時のポイント、導入事例を解説

BYODとは、個人が所有するパソコンやスマートフォンなどのデバイスを、業務・学習で活用することです。コスト削減や生産性の向上、多様な働き方への対応などのメリットがあります。本記事では、BYODの概要やメリット・デメリット、導入時のポイントについて解説します。
目次
BYODとは、個人が所有するデバイスを業務や学習で活用することです。コスト削減や生産性の向上、多様な働き方への対応など複数のメリットがあり、導入する企業が増えています。ただし、BYODを導入すればセキュリティリスクが高まるため、対策が欠かせません。
本記事では、BYODの概要やメリット・デメリット、導入時のポイントについて解説します。BYODについて知りたい方、導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
BYODとは

BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員や生徒が個人所有するパソコン・タブレット・スマートフォンなどのデバイスを、許可を得た上で業務や学習で活用することです。ここからは、以下について解説します。
- 企業におけるBYODの概要
- 学校や教育現場におけるBYODの概要
- BYODの導入状況
- BYODとBYADの違い
企業におけるBYODとは
企業におけるBYODとは、従業員が個人で所有するデバイスを職場に持ち込み、業務で活用することです。また、テレワークにおいて自宅などで、個人所有のデバイスを活用して仕事をすることもBYODに含まれます。クラウドサービスなどの普及により、最近はどこに居ても業務ができる環境が整いつつあります。実際に、テレワークを推進する企業も多いでしょう。BYODの導入は、テレワークの推進にも効果的です。
学校や教育現場におけるBYODとは
学校や教育現場におけるBYODとは、教員や生徒が個人で所有するデバイスを学習で活用することです。新型コロナウイルス感染症の流行時に休校を防止するために、オンラインで授業を行う学校が増加しました。また、資格取得や英語学習などを目的とした大人のスキルアップを目指す講座の多くが、オンラインにて実施されています。BYODの推進は場所を問わずに学習できる体制の整備につながり、学習機会の平等化にも役立ちます。
BYODの導入状況
BYODの導入が進む背景には、スマートフォンとクラウドサービスの普及があります。業務で活用できるほど、多彩な利用方法があるスマートフォンを、個人所有することが当たり前になりました。また、クラウドサービスはインストール型ではないため、インターネット環境さえあればデバイスを問わず利用可能です。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2022年に発表したBYODの導入状況に関するデータは以下の通りです。

出典:2021年度中小企業における情報セキュリティ対策に関する実態調査 ― 調査報告書 -|IPA
全体で36.5%の企業がBYODを導入しています。また、企業規模が小さくなるほど導入している企業の割合は高くなっており、小規模事業者では4割を超える結果になっています。
BYODとBYADの違い
BYODと混同されがちなBYAD(Bring Your Assigned Device)とは、指定されたデバイスを活用することです。学校が指定したパソコンやタブレットを購入して、学習に活用するケースもあるでしょう。
BYODとBYADでは自由度が異なります。BYADでは、デバイスを指定することで端末のスペックを均一化できる一方、従業員や生徒の中には使いにくいと感じる者が存在する可能性があります。
BYODのメリット

BYODには複数のメリットが存在します。ここからは、BYOD導入におけるメリットについて解説します。
コストの削減
BYODの導入はコスト削減に効果的です。個人が利用するデバイスを業務で活用するため、購入費や通信費などのコストを全額会社で負担する必要がありません。従業員数が多くなればなるほど、パソコンやスマートフォンの購入費・通信費は増加するため、大規模な企業は多くのコストメリットを得られるでしょう。
生産性の向上
生産性の向上もBYOD導入におけるメリットです。従業員のパフォーマンス向上を目指す場合、各個人の要望に合わせたデバイスの購入・貸与が理想ですが、現実的ではありません。個人所有のものであれば、各個人が自分の理想に近いデバイスを購入している可能性が高いでしょう。また、普段から使い慣れたデバイスを活用すれば、デバイスに慣れるまでの時間も削減できます。ヘルプデスクへの問い合わせも減るでしょう。
多様な働き方への対応
多様な働き方に対応できるでしょう。従業員は、出産や育児、介護などのさまざまな要因で出社できなくなる可能性があり、時短やテレワークなどの制度がなければ、退職につながります。BYODの導入により、自宅やコワーキングスペースで業務ができれば出社する必要はなく、働きやすくなります。また、移動中などの隙間時間も業務が可能です。さらに、急なトラブルで急な出勤ができなくなった場合も、スムーズにテレワークが開始可能です。
シャドーIT(忍び型BYOD)の防止
シャドーIT(忍び型BYOD)の防止もBYODのメリットです。シャドーITとは、企業が使用を許可していない、もしくは従業員の利用を企業側が把握していないIT機器や、それが使用されている状態のことです。企業が管理していないIT機器は、情報漏洩や不正アクセスにつながる可能性が高まります。万が一、紛失やウイルス感染などが起きても、企業の把握・対策ができません。
従業員満足度の向上
従業員満足度やモチベーションの向上も期待できます。会社支給の場合は自分の活用するデバイスを選べませんが、BYODであれば好みのデザインや機能が実装された端末を選択・利用できます。また、デバイス管理における負担・ストレスの抑制や公私ともに利用できる利便性・自由度の向上も満足度を高める要因です。従業員満足度の向上には、生産性の高まりや離職リスクの低下など、さまざまな効果があります。
所有デバイス数の減少
BYODでは、個人が所有するデバイスの数を減らすことができます。企業がスマートフォンを貸与した場合、多くの方は個人用と業務用の2台を管理しなければなりません。所有するデバイス数が多くなるほど、紛失や盗難のリスクが高まります。また、従業員の管理負担を抑えられます。
BYODのデメリット

メリットがある一方で、デメリットも存在します。ここからは、BYODのデメリットについて解説します。
情報漏洩リスクの増加
BYOD導入における最大のデメリットは、セキュリティリスクの増加です。プライベートで活用しているデバイスの場合、不正なアプリのインストールやWebサイトの訪問・閲覧により、ウイルス感染するリスクが高まります。本人だけでなく、従業員の家族がそのデバイスを活用すれば、ウイルス感染などのリスクはより向上するでしょう。万が一、個人情報や機密データが漏洩すれば企業の運営に支障をきたすほどの影響を受ける可能性もあります。
ルールの作成や浸透による負担の増加
BYODを導入する際には、運用ルールを作成する必要があります。セキュリティリスクの高いBYODにおいて、各個人が自由な行動を取れば、その分リスクが高まります。また、ルールは作成しただけでは意味がないため、従業員に対する周知や教育を行い浸透させなければなりません。ルールの作成・浸透には、コストと手間がかかります。
労務管理における難易度の向上
BYODは、労務管理における難易度を向上させます。公私で活用するデバイスが同じであれば、従業員は仕事とプライベートの線引きが曖昧になり、切り替えが難しくなります。従業員のストレスが増加するとともに、長時間労働や業務時間外労働が誘発される原因にもなるでしょう。長時間労働などが原因で問題が発生すれば、労務管理上の問題にもなりかねません。
従業員のコスト負担が増加するリスク
プライベートだけでなく業務でデバイスを活用すれば、通話料や通信費が増加します。また、使用回数が増えれば劣化を早め、故障する可能性も高まるため、BYODは従業員のコスト負担を増加させるリスクがあります。
テレワーク手当などを支給してデバイス代や通信費の補助を行いましょう。従業員にコスト負担を強いれば、反発やモチベーション低下を招く可能性があります。
プライバシー保護における難易度の向上
個人が所有するデバイスであっても、業務で活用する場合には企業が端末管理を可能にするツールの導入が基本です。ただ、ツールやアプリケーションをインストールすれば、デバイスの利用状況を企業が監視することになるため、プライバシーをどのように守るかの問題が発生します。また、場合によっては一部機能の利用を制限する必要もあります。
BYOD導入時のポイント

BYOD導入はメリットばかりではないため、慎重に進めることが重要です。ここからは、BYOD導入時のポイントについて解説します。
ルールや制度の整備
BYOD導入時には、ルールや制度を整備して従業員の理解を得ましょう。具体的には、以下のルールや制度を策定します。
- 私用デバイスでできる作業の範囲に関するルール
- 私用デバイス上の情報保管や取り扱いに関するルール
- 費用負担や会社から支給する手当
- プライバシー保護に関するルール
上記は従業員の意見をヒアリングしながら作成し、企業と従業員の間で合意します。明確なルールや制度は、セキュリティ対策だけでなく、従業員とのトラブル防止にもつながります。
セキュリティ対策の実施
BYODの導入には、セキュリティ対策も欠かせません。例えば、アンチウイルスソフトやVPNの導入が挙げられます。また、従業員に対するセキュリティ対策研修の実施も効果的です。従業員がウイルス感染や情報漏洩の原因とリスク、万が一の対策を理解すれば、セキュリティに対するリテラシーが向上します。
デバイスの管理
個人所有のデバイスであっても、業務で活用するのであれば企業が管理した方が良いでしょう。一般的には、MDMツールを活用して管理を行います。MDMツールとは、デバイスの一括設定や操作状況の確認、機能の利用制限が可能なツールのことです。また、デバイスの盗難や紛失時に、端末ロック・データ消去を行えるものもあります。
BYODの導入事例

BYODを導入している自治体や企業は多く存在します。ここからは、BYODを導入している事例について解説します。
NTTデータ
NTTデータでは、2013年4月からBYODを導入しています。私用のスマートフォンに仕事の連絡があると社員満足度の低下につながるため、導入にあたり私用・業務モードを自動で切り替えるテクノロジーも開発しました。
コニカミノルタ
コニカミノルタでは、8年の準備期間を経て2011年からスマートフォンのBYODを導入しました。導入した理由は、世界に多くの拠点があり従業員の出張が多く、さまざまな場所でのメールやスケジュール確認が必要だったからです。また、MDMツール導入などのセキュリティ対策も併せて実施しています。業務が効率化されるとともに、社内で掲げていた「いつでも・どこでも・どんなデバイスでもコミュニケーションをとろう!」を実現しました。
インテル
インテルでは、従業員の生産性向上を目的に2010年からスマートフォンやタブレット、パソコンのBYODを実践しています。「自分が扱いやすい最高のデバイスを利用する」という方針を掲げ、各従業員が自分好みのデバイスを選択可能な体制を整えました。その結果、業務効率化に成功して社内アンケートでも従業員の9割から、取り組みが指示されています。また、隙間時間でも業務を行えるようになり、1日当たり57分の業務時間拡大に成功しました。
大分県庁
自治体である大分県庁でも、BYODが導入されています。もともと、従業員からのリモートワークに関する要望が多く、コスト削減も実現可能なBYODが導入されました。MDMツールを利用したセキュリティ対策も実施しています。また、BYODの導入は働き方の多様化や業務効率化を後押ししています。
まとめ

BYODとは、個人所有するパソコン・タブレット・スマートフォンなどのデバイスを、許可を得た上で職場での業務や学習で活用することです。BYODの導入には以下のメリットがあり、近年注目されています。
- コストの削減
- 生産性の向上
- 多様な働き方への対応
- シャドーITの防止
- 従業員満足度の向上
- 所有デバイス数の減少
ただ、ルールの作成・浸透による負担の増加や労務管理における難易度の向上などのデメリットも存在します。また、情報漏洩などのセキュリティリスクも増加するため、導入する際は入念な対策を行いましょう。
