セキュリティ対策

テイクダウンとは?フィッシング詐欺被害の防止に向け企業に求められる対策も解説

テイクダウンとは、フィッシングサイトを閉鎖する取り組みのことです。本記事では、テイクダウンの概要や実施方法と課題、フィッシング詐欺の被害防止に向け企業に求められる対策について解説します。この記事を読めばテイクダウンに関する理解が深まります。

目次

  1. 1テイクダウンとは
  2. 2フィッシング詐欺に悪用された場合のリスク
  3. 3フィッシングサイトをテイクダウンする3つの方法
  4. 4テイクダウンにおける2つの課題
  5. 5フィッシング詐欺の被害防止に向け企業に求められる対策
  6. 6自社のフィッシングサイトを発見した際の対処法
  7. 7まとめ

テイクダウンとは、フィッシングサイトを閉鎖する取り組みのことです。自社の名を悪用された場合、関係がなくても信用・ブランドイメージの低下や顧客・売上の減少につながる恐れがあります。フィッシングサイトが存在する時間が長くなればなるほど被害が拡大するため、早急な対応が重要です。

本記事では、テイクダウンの概要や実施方法と課題、フィッシング詐欺の被害防止に向け企業に求められる対策について詳しく解説します。テイクダウンについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

テイクダウンとは

テイクダウンとは、フィッシングサイトを閉鎖することです。自社の名前を語るフィッシングサイトがあれば、自社の信用が低下する恐れがあるため、顧客や関係者に注意を呼びかけるだけでなくサイトの閉鎖も重要です。

ここからは、以下の事項に関して詳しく解説します。

  • フィッシング詐欺の概要
  • フィッシング詐欺の発生状況
  • フィッシング詐欺でなりすましされやすい企業例

フィッシング詐欺の概要

フィッシング詐欺とは、正規のサービス事業者を装ったメールを送り、偽サイトから個人情報を入手して不正利用する犯罪のことです。例えば、カード番号や暗証番号などのクレジットカード情報を盗み不正利用します。また、ID・パスワードなどの認証情報を盗むことで不正アクセスを試みるケースもあります。

フィッシング詐欺の概要や対策を知りたい方は、以下もご覧ください。
⇒フィッシング詐欺とは?5つの対策や被害にあった場合の対処法を解説

フィッシング詐欺の発生状況

フィッシング詐欺の被害は年々増加しています。以下は、フィッシング対策協議会が発表した「フィッシング報告件数」のグラフです。

フィッシング報告件数

出典:フィッシングレポート2025 |フィッシング対策協議会

フィッシングレポート2025によれば、2024年12月のフィッシング報告件数は232,290件でした。また、2024年の一年間におけるフィッシング報告件数は過去最多の1,718,036件で、2023年と比較して約1.44倍となりました。

フィッシング詐欺でなりすましされやすい企業例

フィッシング詐欺でなりすましされやすい企業は以下の通りです。

  • ECサイト運営企業
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード会社
  • 配達業者
  • 電気やガス、水道業者
  • フィッシング詐欺対策を十分に行っていない企業

多数の利用者が存在する企業や、ユーザーが返信などのアクションを取る必要性が高い企業が悪用されるケースが多いでしょう。

フィッシング詐欺に悪用された場合のリスク

フィッシング詐欺に悪用された場合、被害者でもありますが以下のリスクが存在します。

  • 信用やブランドイメージが低下する
  • 売上や顧客の減少につながる
  • 対応に手間や時間がかかる

ここからは、上記それぞれのリスクについて詳しく解説します。

信用やブランドイメージが低下する

自社がフィッシング詐欺に悪用されれば、信用やブランドイメージの低下につながります。利用者から、フィッシングサイトが作られるセキュリティ対策が不十分な企業だと思われるリスクがあるでしょう。
また、詐欺に加担していると間違った認識を持たれる可能性もあります。SNSで拡散されれば、多くの人に誤った認識を持たれてしまいます。一度、信用やブランドイメージが低下すると、回復するのは簡単ではありません。

売上や顧客の減少につながる

売上や顧客の減少につながることも、フィッシング詐欺に自社の名前が悪用されるリスクです。信用やブランドイメージの低下は、顧客の減少につながるでしょう。また、フィッシング詐欺に騙されることを恐れて利用を辞めるユーザーも存在します。

対応に手間や時間がかかる

フィッシング詐欺で自社の名前が悪用されれば、対応に時間や手間がかかります。利用者が騙されないために、呼びかけや連絡が必要になるでしょう。ユーザーからの問い合わせに対する返信も発生します。また、テイクダウンの実施も求められます。最悪の場合、一時的にサイトを閉鎖して再度作り直すなどが必要になるケースも存在するでしょう。

フィッシングサイトをテイクダウンする3つの方法

フィッシングサイトをテイクダウンする方法には、以下の3つが存在します。

  • 自社での実施
  • インシデント対応機関への依頼
  • フィッシング詐欺被害対応事業者への依頼

順に解説します。

自社での実施

自社でISP(インターネットサービスプロバイダー)に連絡して、テイクダウンを依頼する方法です。IPアドレスのブロックを管理しているISPに、電話やメールなどで連絡して依頼します。
フィッシングサイトを運営している管理者に直接連絡しようと考える企業も存在しますが、おすすめできません。サイト管理者に連絡すると、言いがかりをつけられトラブルに発展するケースがあります。また、連絡したところでサイトが閉鎖されることはほとんどありません。

インシデント対応機関への依頼

JPCERT/CCなどのインシデント対応機関に連絡して、削除対応をしてもらう方法です。JPCERT/CC(JPCERTコーディネーションセンター)とは、インターネットを活用した不正アクセス・サービス提供妨害などへの対応支援や手口の分析、再発防止策の検討・助言などを行う組織のことです。

JPCERT/CCにテイクダウンを依頼する際には、メールの件名を「インシデント報告の届出」として以下の情報を記載しましょう。

  • 連絡先(担当者の氏名と組織名・部署名、メールアドレス など)
  • 報告の目的(フィッシングサイトの閉鎖 など)
  • フィッシングサイトに関する情報
  • フィッシングサイトのURL
  • フィッシングサイトのIPアドレス
  • フィッシングサイトの確認日時
  • 対象となった正規サイトの情報
  • その他関連情報

ISPや警察などにも連絡を行っている場合には、その情報も記載します。

フィッシング詐欺被害対応事業者への依頼

フィッシング詐欺やその他のセキュリティインシデントに対応している事業者へ依頼する方法です。自社に専門的な知識やスキルを有する人材がいない場合に利用すると効果的です。
フィッシング詐欺被害対応事業者は複数存在しますが、24時間365日体制でテイクダウンを実施してくれる業者への依頼がおすすめです。フィッシングサイトは存在する時間が長いほど被害者が増えるため、迅速な対応が求められます。発見時にすぐ対応してもらえなければ、被害が拡大する恐れがあるでしょう。

テイクダウンにおける2つの課題

フィッシングサイトの閉鎖に有効なテイクダウンですが、以下2つの課題も存在します。

  • 法的強制力が低い
  • 被害発生・ドメイン使い捨てのスピードが早い

ここからは、上記それぞれの課題について解説します。

法的強制力が低い

法的強制力が低く、ISPがテイクダウンに応じるかは事業者次第です。ISPの中には、依頼にすぐ対応してくれるところもあれば、全く対応してくれない事業者も存在します。インシデント対応機関やフィッシング詐欺被害対応事業者も、ISPに連絡してテイクダウンを実施するため、必ず実行できるわけではありません。

被害発生・ドメイン使い捨てのスピードが早い

被害発生・ドメイン使い捨てのスピードが早い点も、テイクダウンにおける課題です。テイクダウンを依頼したときには、すでに被害が発生している可能性があります。また、ドメインがすぐに使い捨てられ、テイクダウンを実施するころにはサイバー攻撃者がすでに逃げているケースも存在します。

フィッシング詐欺の被害防止に向け企業に求められる対策

自社の名を語ったフィッシング詐欺が発生すれば信用低下などにつながるため、以下2つの対策実施が重要です。

  • 自社の偽サイトがないか監視する
  • 送信ドメイン認証を利用する

ここからは、上記それぞれの対策について解説します。

自社の偽サイトがないか監視する

フィッシング詐欺の被害防止には、自社の偽サイトがないか監視することが有効です。フィッシングサイトが作られた際、迅速に対応すれば被害を最小化できます。ただ、インターネットには無数にサイトが存在するため、人が監視して偽サイトを発見することは簡単ではありません。

フィッシングサイトを検出する機能が実装されたツールなどを活用すると良いでしょう。また、ユーザーからの問い合わせ窓口を設けて、発見した場合に連絡してもらう体制の構築も有効です。

送信ドメイン認証を利用する

送信ドメイン認証の利用も、フィッシング詐欺の被害防止に効果的です。送信ドメイン認証技術とは、メールの誤送信やなりすましを防止するテクノロジーのことで、以下の3種類が存在します。

  • SPF:IPアドレスを用いてメールの送信元ドメインを認証する技術
  • DKIM:メールにデジタル署名を付与して送信元メールアドレスが偽られていないかを確認する技術
  • DMARC:SPFとDKIMを組み合わせ、送信元ドメインの認証と不正な送信元からのメールをブロックする技術

なお、SPF・DKIM・DMARCの詳細は以下をご覧ください。
⇒SPFとは?設定・確認方法やレコードの記述例、よくある間違いと対処法を解説
⇒DKIMとは?仕組みやメリットと注意点、設定・確認方法を解説
⇒DMARCとは?仕組みや導入のメリット・デメリット、設定・確認方法を解説

自社のフィッシングサイトを発見した際の対処法

最後に、自社のフィッシングサイトを発見した際における以下の対処法を解説します。

  1. テイクダウンの実施
  2. 警察や関連機関への報告と相談
  3. 顧客や取引先への注意喚起

1.テイクダウンの実施

自社のフィッシングサイトを発見したら、早急にテイクダウンを実施してサイトを削除しましょう。顧客対応なども重要ですが、テイクダウンの手続きには多少の時間がかかり、後回しにすると被害が拡大する恐れがあります。

2.警察や関連機関への報告と相談

続いて、警察や関連機関への報告と相談を行いましょう。例えば、フィッシング詐欺の集計やデータの発表を行っているフィッシング対策協議会への報告が求められます。また、ユーザーに対しても、フィッシングサイトを発見した場合には、自社やフィッシング110番へ連絡してもらえるように依頼しましょう。

3.顧客や取引先への注意喚起

最後に、顧客や取引先への注意喚起を行います。自社のWebサイトやSNS、メールなどを活用して、呼びかけを実施すると良いでしょう。

まとめ

テイクダウンとは、フィッシングサイトを閉鎖する取り組みのことです。自社が関係がなくても名を悪用された場合、信用・ブランドイメージの低下や顧客・売上の減少につながる恐れがあります。被害の最小化に向け、自社の偽サイトがないか監視するツールなどを活用した迅速なテイクダウンの実施が重要です。

また、自社がフィッシング詐欺に遭わないための取り組みも欠かせません。近年は特定の企業や組織を対象としたスピアフィッシングも実施されています。万が一、認証情報を盗まれれば信用やブランドイメージの低下につながるでしょう。

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