業務改善の成功事例5選!成功させるポイントや実現するアイディアも紹介

コラム

業務改善とは、業務の流れや処理方法を見直してボトルネックの発見と解消を行う取り組みのことです。多くの企業が取り組んでおり、結果を出している事例も少なくありません。改善方法には、無駄な業務の排除やツール導入、アウトソーシング・BPOの利用など、さまざまなものがあります。

この記事では、業務改善の概要や実現するアイディア、成功事例について詳しく解説します。業務改善の方法や他社事例を知りたい方、ぜひ参考にしてください。

業務改善とは

業務改善とは、企業や組織における業務フロー・プロセスを効率化・最適化することです。具体的には、業務に潜むムリ・ムダ・ムラの発見と解消を行います。人口減少に起因する働き手不足や企業間競争の激化など複数の問題がある現代において、業務改善は欠かせません。

ここからは以下の事項について解説します。

  • 業務改善の必要性や目的
  • 業務改善と業務効率化の違い

業務改善の必要性や目的

業務改善を実施する主な目的は、業務効率や品質の向上、コスト削減です。また、長時間労働の是正や働きやすい環境の整備による従業員満足の向上を目的に実施されるケースもあります。
業務フロー・プロセスが最適化されていない場合、属人化や情報連携不足の原因にもなり経営のボトルネックになるでしょう。現代の経営環境は変化が激しく厳しいため、業務改善やDX推進を継続的に行わなければ事業の継続が困難です。

業務改善と業務効率化の違い

業務改善と業務効率化はどちらも業務フローやプロセスを見直す取り組みですが、主な目的が異なります。業務改善は、業務の質を高め成果を最大化することを主な目的としています。一方、業務効率化の主な目的は無駄の削除です。業務改善はより良くするための方法を模索するのに対して、業務改善ではより少ないリソースで業務を処理する方法を検討します。

業務改善のよくある失敗パターン

多くの企業が業務改善に取り組んでいますが、全てが成功しているわけではありません。ここからは、業務改善における以下のよくある失敗パターンについて解説します。

  • 表面的な効率化で終わる
  • 部分最適にとどまる

表面的な効率化で終わる

業務改善に取り組んだにも関わらず、表面的な効率化で終わるケースは少なくありません。例えば、特定の業務をツール導入により自動化・効率化で改善する事例が多く存在します。ただ、本来その業務自体が無駄で辞めることが本質的な業務改善手法の場合があります。
業務改善を行う際には、表面的な事象に囚われるのではなく本質的な課題を見極めてから取り組むことが重要です。

部分最適にとどまる

業務改善が部分最適にとどまるケースもあるでしょう。部分最適とは、全体ではなく一部分だけに焦点をあて、改善活動を行い最適化することです。
例えば、ある部署の業務を改善するために独自のツールを導入したとします。ただ、そのツール導入によりデータのサイロ化が発生する可能性があります。データのサイロ化とは、組織構造や複数システムの活用で情報が分断され、データを連携・活用できない状態のことです。

業務改善を成功させる3つのポイント

業務改善を成功させる3つのポイントは以下の通りです。

  • 全体の見直しと効率化を図る
  • 定量的な目標を設定する
  • 小さく始める

順に解説します。

全体の見直しと効率化を図る

業務改善を実施する際には、全体の見直しと効率化を図りましょう。「業務改善のよくある失敗パターン」の章で解説した通り、部分最適で業務を改善すると企業全体で考えた際に悪影響を及ぼす恐れがあります。
まずは、業務フローやプロセスを可視化して問題点を特定し、全体として良くなる施策を検討すると良いでしょう。企業全体として考え業務改善を図れば、部門間の連携もスムーズになります。

定量的な目標を設定する

業務改善の成功には定量的な目標設定も重要です。目標が明確でない場合、なにをどの程度改善すれば良いのかが定まりません。また、定性的であれば目標を達成したか否かの判断が困難です。改善活動自体が目的となり、成果を得られずに終わってしまうケースもあるでしょう。

小さく始める

小さく始めることも、業務改善を成功させるポイントの一つです。大規模な改善に取り組もうと考える企業は少なくありません。ただ、大規模な改善を行うには、コストや人手など多くのリソースが必要です。リソース不足が原因で挫折してしまう可能性があるでしょう。また、失敗した際のリスクも大きくなります。

スモールスタートして、対象範囲を徐々に拡大すれば失敗した際のリスクを抑えられます。また、成功体験を重ねることで従業員の理解も得やすくなるでしょう。業務改善には全社の理解・協力が欠かせません。

業務改善を実現するアイディア9選

続いて、業務改善を実施する以下のアイディアを紹介します。

  • 無駄な業務を辞める
  • ツールを導入する
  • ナレッジマネジメントを導入する
  • ペーパーレス化を推進する
  • タレントマネジメントを導入する
  • タイムマネジメントを実施する
  • 人材育成を強化する
  • アウトソーシングやBPOを活用する
  • 業務改善コンサルティングを利用する

無駄な業務を辞める

最も効果的な業務改善方法は、無駄な業務を辞めることです。無駄な業務の廃止は、コストがかからず高い成果が期待できます。価値を生んでいない業務は廃止しましょう。具体的には、不必要な資料の作成や重複した作業が該当します。

ツールを導入する

ツール導入による業務改善も可能です。RPAやAI、IoTなど、近年は便利なツールが多数開発・提供されています。有効活用すれば、業務効率化や自動化、品質の向上に役立ちます。例えば、RPAを用いればデータの収集や転記業務を自動化可能です。工場で画像認識技術を用いて製品検査を行うことで、不良品の流通を抑えられるでしょう。

ナレッジマネジメントを導入する

ナレッジマネジメントの導入も業務改善に役立ちます。ナレッジマネジメントとは、各個人が保有する知識やスキルを企業・組織で共有して活用する経営手法のことです。生産性の高い従業員や成果を出している従業員の持つノウハウを、マニュアルなどで可視化して他の人にも共有しましょう。

なお、ナレッジマネジメントの詳細は以下をご覧ください。
⇒ナレッジマネジメントとは?実施するメリットや導入フロー、成功させるポイントを解説

ペーパーレス化を推進する

ペーパーレス化を推進するのも良いでしょう。ペーパーレス化とは、デジタル化により使用していた紙をなくす取り組みのことです。業務効率化が期待でき、企業内に蓄積されるデータも増加するため、データを利活用しやすくなります。

ペーパーレス化の概要や推進に役立つおすすめツールの詳細は、以下をご覧ください。
⇒ペーパーレス化とは?推進するメリット・デメリットやポイントを解説
⇒ペーパーレス化に有効なおすすめツール・システム11選!メリットや成功させるポイントも解説

タレントマネジメントを導入する

タレントマネジメントの導入により、従業員が能力を最大限発揮できる環境を整えるのもおすすめです。タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりが持つ才能(タレント)やスキル、経験を最大限に引き出して、経営目標の実現につなげる取り組みのことです。適材適所で人員を配置すれば、従業員は能力を発揮しやすくなります。

タイムマネジメントを実施する

タイムマネジメントの実施も業務改善に効果的です。タイムマネジメントとは、限られた時間で成果を最大化する目的で行動管理を行う取り組みのことです。従業員に、自分の時間の使い方を見直してもらうことで、業務処理方法の最適化や生産性の向上を図ります。時間を計測するタイムトラッキングツールを用いて、作業時間の可視化や管理を行う企業も存在します。

人材育成を強化する

人材育成の強化も業務改善に有効です。従業員が知識・スキルを身に付け成長すれば、業務効率や品質が高まるでしょう。集合型研修の実施やeラーニングの導入を行っている企業は多く存在します。企業経営において従業員の質は競争力に直結する重要な要素です。

アウトソーシングやBPOを活用する

アウトソーシングやBPOを活用するのも良いでしょう。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業における業務プロセスの一部を代行するサービスのことです。定期的に発生するノンコア業務を外部に委託すれば、従業員が重要な業務に集中できる体制の整備が可能です。

なお、アウトソーシングやBPOの詳細は以下をご覧ください。
⇒おすすめのアウトソーシング企業7選!概要やメリット・デメリットも解説
⇒BPO事業とは?おすすめ事業者8選や活用するメリット・デメリットを解説

業務改善コンサルティングを利用する

業務改善コンサルティングを利用するのも有効です。外部の専門家に依頼すれば、客観的な意見を得られます。自社では発見できない問題に気付いたり、思いつかないアイディアを提供されたりするケースがあるでしょう。業務改善のスピードや成果の向上が期待できます。

なお、業務改善コンサルティングの概要やメリット・デメリットの詳細は以下をご覧ください。
⇒業務改善コンサルティングとは?利用するメリット・デメリットや成功させるポイントを解説

業務改善の成功事例5選

続いて、業務改善の以下成功事例5選を紹介します。

  • アイカ工業
  • 三洋化成工業
  • 小田急電鉄
  • トヨタ自動車
  • レノボ・ジャパン

アイカ工業

樹脂技術を活かした多軸的な製品を提供しているアイカ工業は、ツール導入によりマニュアル作成業務における9割の工数削減に成功しました。もともと、ExcelやPowerPointなどのMicrosoft office製品を用いてマニュアル作成に取り組んでいましたが、多くの時間がかかっていました。ツール導入でマニュアル作成業務の改善に成功しただけでなく、作成した動画マニュアルを協力会社に提供することで、協力会社との打ち合わせ時間短縮にも成功しています。

引用元:手順を伝える意思疎通を円滑に!90%以上の工数削減の手ごたえ|Dojo

三洋化成工業

化学メーカーである三洋化成工業も、ツール導入によりマニュアル作成業務の改善に成功しています。従来、手作業でマニュアルを作成していました。ただ、基幹システムのリプレースで100以上のマニュアル作成が必要になったことをきっかけに、マニュアル作成ツールを導入して7割の工数を削減しました。

引用元:SAP S/4HANAM®へのリプレースにともなうマニュアル作成のためにDojoを導入。|Dojo

小田急電鉄

神奈川県を中心に鉄道事業・不動産業などを営む小田急電鉄では、備品購入業務の改善に向け購買管理プラットフォームの導入を行いました。その結果、備品発注の業務時間を3分の1に短縮して、年間約171時間もの削減に成功しました。

引用元:備品消耗品の購買業務 1件の発注にかかる時間を1/3以下に!購買業務時間を2年間で約654時間削減|Biznet SOLUTION

トヨタ自動車

日本最大手の自動車メーカーであるトヨタ自動車では「リーン生産方式」と呼ばれる生産管理手法の導入で、業務改善を行っています。リーン生産方式とは、価値を生み出さない全てのプロセスを廃止して生産性を最大化させる取り組みのことです。業務の効率化だけでなく、在庫の縮小やリードタイム短縮にも成功しました。

引用元:リーン生産方式とは?トヨタ生産方式との違い・メリットをわかりやすく解説|Koto online

レノボ・ジャパン

コンピューターメーカーであるレノボ・ジャパンは、名刺情報のデジタル管理を行うことで業務改善を成功させました。名刺管理ツールを導入した結果、顧客情報の一元管理を実現して営業活動を効率的に行えるようになりました。また、新たなアプローチ手法の創出や営業活動の可視化にも成功しています。

引用元:顧客情報の一元化、業務効率の改善によって ワークスタイル変革のさらなる加速を目指す|Sansan株式会社

業務改善の実施ステップ

最後に、業務改善の以下実施ステップを紹介します。

  1. 現状の把握
  2. 課題の整理
  3. 改善策の検討と実施
  4. 効果の検証

1.現状の把握

まずは、既存の業務フローやプロセスを分析して現状を把握します。どのような業務があるか、誰がいつ行っているかなどを正確に把握しなければ、改善すべき業務を明確にできません。

2.課題の整理

続いて、業務における課題を整理しましょう。可視化した業務プロセス・フローデータの分析や現場担当者へのヒアリングを通じて、具体的な課題を明確にします。

3.改善策の検討と実施

課題が明確になったら改善策の検討と実施ステップに移ります。複数の課題がある場合には、改善にかかる手間・コスト・時間と改善で得られる効果を比較して、優先順位を付けて取り組むと良いでしょう。
改善策を検討する際は「誰が」「いつまでに」「なにをするか」などを具体化すると効果的です。実施時の管理がしやすくなります。

4.効果の検証

改善後は、定期的に効果の検証を行います。想定通りの効果が得られなかった場合には、問題点がないかを検証して解決策を実行します。PDCAを回すことで、より多くの効果を得られるようになるでしょう。また、改善に関するノウハウの蓄積が可能となり、他の業務を対象にする際にも役立ちます。
検証時には、現場担当者へのヒアリングも行うと良いでしょう。数字からはわからない問題点を発見できます。

まとめ

業務改善とは、業務の流れや処理方法を見直してボトルネックの発見と解消を行う取り組みのことです。業務効率や品質の向上、コスト削減を目的として、業務改善に取り組む企業は少なくありません。また、業務改善に成功して実際に成果を得ている事例が多く存在します。

業務改善には、ツール導入やペーパーレス化の推進、人材育成などが効果的です。また、専門家の力を上手く利用すると良いでしょう。自社では気付けない問題の発見やノウハウ提供が期待できます。
弊社SMSデータテックでは、長年蓄積したITノウハウを活かして企業の課題解決を支援する「業務改善コンサルティング」を行っています。ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。

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