セキュリティインシデントとは?発生する3つの原因や事例、対策方法を解説
セキュリティインシデントとは、情報セキュリティを脅かす事件や事故などのことで、発生すれば情報漏洩やデータの改ざん・削除、身代金の要求など、多くの被害を受けます。本記事では、セキュリティインシデントの概要や対策方法、発生した際の対応ステップについて解説します。
目次
セキュリティインシデントとは、情報セキュリティを脅かす事件や事故、好ましくない事象のことです。具体的には、不正アクセスやマルウェア感染、ヒューマンエラーなどが挙げられます。セキュリティインシデントが発生すれば、情報漏洩やデータの改ざん・削除、身代金の要求など、多くの被害を受けるでしょう。
本記事では、セキュリティインシデントの概要や対策方法、発生した際の対応ステップについて詳しく解説します。セキュリティインシデントについて知りたい方、発生を抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
セキュリティインシデントとは

セキュリティインシデント(security incident)とは、コンピューターの利用や情報管理、情報システム運用において、セキュリティ上脅威となる事象のことです。ITの普及が進み利便性が高まる一方で、セキュリティインシデントが発生するリスクが高まっているため、企業や組織は適切な対策が必要です。
セキュリティインシデントが発生した場合の被害やリスク
セキュリティインシデントの発生には、以下の被害やリスクがあります。
- 情報漏洩による企業信用の低下や賠償金の支払い
- サービス停止による利益や顧客の減少
- データの改ざん、削除による業務の停止
- 身代金要求やインシデントへの対応・普及などに関わる金銭的被害
セキュリティインシデントの発生による被害やリスクは、小さくありません。場合によっては、企業の存続が危ぶまれる可能性もあります。
セキュリティインシデントが発生する3つの原因

続いて、セキュリティインシデントが発生する3つの原因について解説します。
サイバー攻撃などの外的要因
外部要因とは、サイバー攻撃など悪意ある第三者から受ける攻撃のことです。主なインシデントとしては、以下が挙げられます。
- アカウントの乗っ取り
- 情報漏洩
- マルウェア感染
- データの改ざんや削除
- 迷惑メール
- システムダウン
- ランサムウェア
ヒューマンエラーなどの内的要因
内部要因とは、社内の人間によるミスや悪意ある行動のことです。主なインシデントとしては、以下が挙げられます。
- 不正な操作
- メールやファックスなどの誤送信
- 私物デバイス活用が原因のウイルス感染
- デバイスや記録媒体の紛失・破損
- 認識違いによるデータの変更や消去
地震などの災害・外部環境要因
地震や台風、大雨などの災害・外部環境要因も、セキュリティインシデントが発生する原因になります。具体的なインシデントは、以下の通りです。
- 火災によるシステムダウンやデータ消滅
- 地震や落雷によるハードウェアの破損
- 外部サービスのシステム障害に起因するシステムダウン
セキュリティインシデントの種類や発生パターン

セキュリティインシデントには、数多くの種類や発生パターンが存在します。ここからは、セキュリティインシデントの一例を紹介します。
不正アクセス
不正アクセスとは、通常システムへのアクセス権限を持たない第三者が、不正な方法で内部に侵入することです。不正アクセスされれば、情報漏洩やデータの改ざん・削除、マルウェア感染などの被害を受けます。
マルウェア感染
マルウェアとは、コンピューターに悪影響を及ぼすソフトウェア全般のことです。Emotetやトロイの木馬など、さまざまなマルウェアが存在し、感染すればコンピューターを勝手に操作され、情報の窃盗・不特定多数へのメール送付などが行われます。
Emotetやトロイの木馬の詳細は以下をご覧ください。
⇒Emotet(エモテット)とは?被害事例や感染した場合の対処法と予防方法を解説
⇒【徹底解説】トロイの木馬とは?ウイルスなの?種類・危険性・対策を完全網羅!
DoS・DDoS攻撃
DoS・DDoS攻撃とは、サーバーに対して過剰なアクセスやデータ送付で負荷をかけ、正常な運営を妨害するサイバー攻撃のことです。DoS攻撃の場合は1台のデバイスを活用し、DDoS攻撃の場合は複数のデバイスで、攻撃対象のサーバーに負担をかけ、サーバーダウンに追い込みます。
なお、DDoS攻撃の詳細やDoS攻撃との違いは以下をご覧ください。
⇒DDoS攻撃とは?受けた場合の被害や4つの対策をわかりやすく解説
フィッシングメール
フィッシングメールとは、個人情報の入手と不正利用を目的に、正規のサービス事業者を装ったメールを送り、偽サイトへ誘導するメールのことです。これまでは、不特定多数に大量のメールを送信することが一般的でしたが、近年は特定の企業や組織を対象としたスピアフィッシングも多く実施されています。
なお、フィッシングメールの詳細は以下をご覧ください。
⇒フィッシング詐欺とは?5つの対策や被害にあった場合の対処法を解説
脆弱性利用
脆弱性とは、コンピューターやソフトウェア、ネットワークに存在するセキュリティ上の弱点・欠陥のことです。攻撃者に脆弱性を利用されれば、情報漏洩やマルウェア感染、不正アクセスなどが行われます。
なお、脆弱性の詳細は以下をご覧ください。
⇒脆弱性とは?発生原因から被害事例、対処法までわかりやすく解説
ヒューマンエラー
ヒューマンエラーからセキュリティインシデントが発生するケースもあります。例えば、USBメモリーなどの記憶媒体やパソコン・スマホの紛失から、情報漏洩につながるケースが存在します。また、機密情報を添付したメールの送付先を間違えてしまうこともあるでしょう。
セキュリティインシデントの発生事例

インシデントが発生する企業は後を絶ちません。ここからは、セキュリティインシデントの発生事例について解説します。
朝日生命
朝日生命は、代理店に出向していた従業員の誤りで、約62,000件の個人情報が漏洩したと発表しました。本来は、個人情報を削除してメール送信するはずでしたが、削除確認が不十分で情報漏洩につながりました。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒朝日生命 代理店出向職員が6万2000件の個人情報を漏洩
サイゼリヤ
サイゼリヤは、2024年10月16日に社内サーバーがランサムウェア攻撃を受け、以下の個人情報や秘密情報の一部が漏洩した可能性が高いと発表しました。
- 従業員の個人情報
- 取引先の個人情報
- 過去に採用面接を受けた一部の方の個人情報
- 相談窓口に問い合わせを行った顧客の情報
詳しい調査をするために、一部サービスの停止と復旧を行ったため、業務遅延などの影響も発生しています。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒サイゼリヤ、ランサムウェア被害により情報漏洩の可能性。取引先の情報も…
カシオ計算機
カシオ計算機は、2024年10月11日に同社のサーバーがランサムウェア攻撃を受けたことを発表しました。このランサムウェア攻撃により、個人情報の流出と受発注システムや出荷業務に障害が発生しました。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒カシオ計算機がランサムウェアの被害で情報漏洩?一部製品が供給停止に…
シャープ
シャープでは、2024年7月に公式オンラインストア「COCORO STORE」と食材宅配サービス「ヘルシオデリ」への不正アクセスによる、個人情報流出が発生しました。2024年10月30日の発表によれば、個人情報が流出したのは、特定の条件を満たす5,836人で、そのうち4,257人はクレジットカード情報も含まれていたことが判明しました。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒シャープ 5,836人の個人情報漏洩を公表|7月に不正アクセス
パーソルキャリア
パーソルキャリアは、2024年9月17日に運営する転職サービス「DODA」で、約55万人に及ぶ採用担当者の個人情報が、不正に閲覧できる状態であったと発表しました。漏洩した可能性がある情報は、採用担当者の氏名、会社名、会社住所、役職、メールアドレスです。原因は代理店向けシステムの不備でした。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒パーソルキャリア、DODAから採用担当者情報55万人分漏洩?2018年から公開されていた!?
横浜国立大学
横浜国立大学は、2024年9月17日にサーバーへの不正アクセスが発生したことを公表しました。原因は、研究室のサーバーシステムに脆弱性が存在し、外部からの不正アクセスの踏み台になったことです。
なお、詳細は以下をご覧ください。
⇒2024年9月横浜国立大学、サーバーへの不正アクセスを報告
セキュリティインシデントの対策方法

次に、セキュリティインシデントの対策方法について解説します。
情報資産を把握する
セキュリティインシデントへの対策における第一歩は、守らなければならない情報資産の把握です。情報資産ごとに、対策方法や優先順位が異なります。まずは、情報資産を棚卸しして機密性・完全性・可用性の観点から重要度を評価しましょう。
社内ルール・体制の整備や見直しを行う
社内体制の整備や見直しも重要です。情報資産を把握したら、管理体制に問題がないかを確認しましょう。また、以下を定めたセキュリティポリシーやルールを作成します。
- 情報資産の管理方法
- アクセス制御
- デバイスの持ち出しや保管、廃棄方法
- 私物デバイスの活用
社内状況は変化するため、セキュリティポリシーやルールは定期的に見直し、状況に合わせて改善すると良いでしょう。
こまめなアップデートでOSなどを最新バージョンに保つ
OSやソフトウェアは、こまめなアップロードを行い最新バージョンに保ちましょう。アップデートせずに、脆弱性を放置しておけば、サイバー攻撃を受けるリスクが高まります。定期的にベンダーからのお知らせを確認して、アップデート情報を見逃さないようにしましょう。
セキュリティ対策ツールを導入する
セキュリティ対策ツールの導入も、インシデント発生の防止に有効です。近年は、多くのセキュリティ対策ツールが開発・提供されており、中には総合的なサイバー対策ができるツールも多く存在します。ただし、ツールにより実装された機能や特徴、強みが異なります。導入する際は、自社に合うかを十分に検討しましょう。
従業員研修を実施する
定期的な従業員研修の実施も、インシデント発生の防止に効果的です。前述の通り、ヒューマンエラーなどの内部要因もインシデント発生の原因になります。
また、社内ルールや体制を整えても、重要性が伝わっていなかったり浸透していなかったりすれば、意味がありません。ルールが守られない場合、インシデント発生のリスクが高まります。定期的に重要性や危険な行為、リスクなどを伝えることが重要です。
インシデント発生時のルールを明確にする
さまざまな対策を行ったとしても、セキュリティインシデントの発生を完全になくすことはできません。万が一、インシデントが発生してしまった際の対応ルールも、明確にしておくと良いでしょう。ルールを明確にしておけば迅速な対応ができ、被害を最小限に抑えられます。
インシデントが発生した際の対応ステップ

最後に、セキュリティインシデントが発生した際の対応ステップを紹介します。
1.責任者への報告など情報共有の実施
セキュリティインシデントが発生、もしくは発生の兆候があった場合、セキュリティに関する責任者へ迅速に報告しましょう。知識やスキルがない人がインシデント対応を行うと、被害が拡大したりサイバー攻撃の証拠が消失したりします。自分で対処せず、まずは報告や社内共有を行いましょう。
社外など、第三者からの通報でインシデント発生が発覚した場合は、通報者の連絡先を控えておくことも重要です。
2.初動対応の実行
続いて、被害の拡大や二次被害の発生を防止する以下の初動対応を行います。
- マルウェアなどに感染したデバイスをネットワークから切り離す
- 外部ネットワークを遮断する
- Webサイトが改ざんされた場合、公開を停止する
- メールアカウントが乗っ取られた場合、取引先など社外に注意喚起を行う
3.詳細な調査の実施
初動対応を行った後に、詳細な調査に移ります。以下の5W1Hを軸に、調査の実施と結果のまとめを行います。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(なにを)
- Why(なぜ)
- How(どうしたか)
4.関係者への連絡や公表
調査結果がまとまり次第、関係者への連絡を行います。情報漏洩が発生した際には、情報が漏洩したもしくは漏洩した可能性がある本人に通知しましょう。被害範囲が広く、一人ひとりへの個別連絡が難しい場合や不特定多数への被害が予想される場合には、自社のWebサイト・プレスリリースなどによる情報発信も検討します。ただし、公表により二次被害が想定されるケースでは、公表時期や範囲の慎重な検討が重要です。
また、併せて警察やIPA(情報処理推進機構)、監督官庁などに届け出ましょう。
5.被害抑制措置と復旧策の実施
関係者への通知や公表と並行して、被害抑制措置も実施します。また、被害者からの相談を受ける窓口を設置し、情報を集めるとともに社内で共有しましょう。再発防止策が固まれば、止めていたシステムやサービスを順次普及します。
6.再発防止策の検討と実施
セキュリティインシデントに関する詳細をまとめ、経営層を含めて再発防止策を検討・実行します。問題・課題を明確にするとともに、今後起きないようにすることが重要です。また、被害者がいる場合には、補償や賠償方法なども検討します。
まとめ

セキュリティインシデントとは、コンピューターの利用や情報管理、情報システム運用において、セキュリティ上脅威となる事象のことです。ITの普及が進み利便性が高まる一方で、セキュリティインシデントが発生するリスクが高まっているため、企業や組織は適切な対策が必要です。具体的には、社内ルール・体制の整備や従業員研修の実施、セキュリティ対策ツールの導入などを行うと良いでしょう。
ただ、どんなに万全な対策を行ったとしても、セキュリティインシデントを100%防ぐことはできません。インシデント発生を防止する対策を行うとともに、発生してしまった際の対処ルールを決めておくことも重要です。また、インシデント発生を素早く察知して、適切な対応を取るための体制構築が求められます。
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