サプライチェーンとは?主な課題や重要な理由、改善する方法を解説
サプライチェーンとは原料調達から顧客提供までのプロセスです。改善により利益向上と社会的信用の向上が見込めます。DXやSCM導入などの改善方法を解説します。
目次
サプライチェーンとは、原料の調達から製造・流通、顧客への提供までのプロセスのことです。サプライチェーンを改善することにより、利益や社会的な信用の向上が見込めます。ただ、さまざまなリスク・課題が潜んでいるため、注意する必要があります。
本記事では、サプライチェーンの概要や重要な理由と改善するメリット、改善方法について詳しく解説します。サプライチェーンについて知りたい方、改善に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてください。
サプライチェーンとは
サプライチェーン(Supply Chain)とは、製品が生産されてから顧客の元に届くまでのプロセスのことです。具体的には以下一連のプロセスが該当します。
- 原料の調達
- 加工・生産
- 流通
- 販売
「サプライチェーン」という言葉はもともと経営用語として活用されていましたが、近年はビジネス用語として広く用いられています。
ここからは、以下の事項について解説します。
- サプライチェーンの歴史
- 代表的なサプライチェーンの種類
- バリューチェーンとの違い
- デマンドチェーンとの違い
サプライチェーンの歴史
諸説ありますが、サプライチェーンの考え方が生まれたのは、1950年代にアメリカのフォード自動車が大量生産システムを構築したことだといわれています。1970年代にはトヨタ自動車が「かんばん方式」を開発して、ジャストインタイム生産による在庫削減を実現しました。また、1990年以降はインターネットが普及しAmazonやウォルマートなどの企業が登場して、リアルタイムで在庫を管理するシステムの構築や物流の効率化を図っています。
代表的なサプライチェーンの種類
サプライチェーンにおける代表的な種類は以下の5つです。
- リーン・サプライチェーン
無駄を省きコストと生産時間を削減することで効率性を高めるサプライチェーン - アジャイル・サプライ チェーン
企業の内外問わず予期せぬ出来事に迅速かつ効率的に対応できるようにするサプライチェーン - リライアブル・サプライチェーン
在庫量の増加や調達経路の複数確保により製品を遵守できるようにするサプライチェーン - 顧客志向サプライチェーン
顧客のニーズを理解して製品供給を行うサプライチェーン - 差別化サプライチェーン
製品の多様性を追求してライバル企業が保有しない製品を保持するサプライチェーン
どのサプライチェーンを利用するかは、企業の戦略や目的などにより異なります。
バリューチェーンとの違い
バリューチェーン(Value Chain)とは、原料調達から商品の製造・販売・サービス提供までの流れを「価値の連鎖」として捉え、各工程にどのような価値を加えられるかに着目した考え方のことです。企業の活動を主活動と支援活動の2つに分類して、貢献度を分析します。サプライチェーンの場合、原料の調達先や物流企業も含めて一つのチェーンと捉えますが、バリューチェーンでは企業内のみの活動に焦点が当てられます。
デマンドチェーンとの違い
デマンドチェーン(Demand Chain)とは、顧客や消費者から得られる情報を基に商品開発や生産・供給計画、流通・販売体制などを最適化する考え方のことです。例えば、口コミやPOSデータを参考に需要予測を行い、生産・在庫管理を実施します。サプライチェーンは供給から始まる考え方なのに対して、デマンドチェーンは需要を基に考えます。
具体的なサプライチェーンの例
続いて、以下の具体的なサプライチェーン例を紹介します。
- 製造業
- 小売業
- サービス業
製造業
製造業の場合、原料の調達から完成品の製造、配送までを複数の企業が分担しています。例えば、部品メーカーは1次下請けや2次下請けなど、階層構造が形成されており完成品の生産計画に基づいて部品の供給を行っています。一部でもトラブルが起きれば、製造の遅延や在庫過剰の原因になるため、各企業が連携して取り組むことが重要です。
小売業
小売業の場合、製造元から製品を受け取ってから顧客・消費者に届けるまでの流れを最適化しています。近年は、AIやPOSシステムなどのテクノロジーが進歩しており、過剰在庫や在庫切れを防止しやすくなりました。また、入荷した製品を物流センターなどに一度保管するのではなく、直接配送するクロスドッキング方式を採用する企業も増加しています。
サービス業
サービス業の場合、無形商材を提供しているためサプライチェーンにおいて情報システムが重要な役割を占めています。例えば、医療機関では医薬品の管理や患者の予約システムに重点を置いたサプライチェーンを構築しています。
サプライチェーンにおける主な課題
重要なサプライチェーンですが、以下の課題を抱えるケースが少なくありません。
- 原料の獲得に関するリスク
- 取引先選定時のリスク
- グローバル化
- 環境対策に関する必要性の向上
- サイバー攻撃
- 適切なリソース配分
- 消費者のニーズ把握
順に解説します。
原料の獲得に関するリスク
原料の獲得ができなければサプライチェーンは途切れてしまいます。例えば、自然災害や政治的な要因による輸出規制が発生することも少なくありません。2011年に東日本大震災が起こった際には、自動車部品メーカーが被災して世界の自動車メーカーで生産に支障が出る事態が発生しました。
取引先選定時のリスク
サプライチェーンには取引選定時のリスクも存在します。問題を抱える会社をパートナー企業としてサプライチェーンを構築した場合、自社の信用が低下するリスクがあるでしょう。例えば、従業員に対して過酷な労働を強制している企業と取引すれば、自社もそれに加担していると捉えられ、風評被害を受ける可能性があります。
グローバル化
グローバル化が進んでいることも、サプライチェーンにおける課題の一つです。急速なグローバル化により、サプライチェーンの複雑さが増しています。複数の国から原料や部品を調達する場合には、各国の法律や商習慣に対応しなければなりません。
環境対策に関する必要性の向上
環境対策に関する必要性の向上も、サプライチェーンにおける課題の一つです。近年は、環境問題に対する注目が高まっており、温室効果ガスの排出量削減に関する目標などが掲げられています。企業は、環境負荷の少ない輸送手段や生産体制を模索する必要があるでしょう。
サイバー攻撃
サプライチェーンを悪用したサイバー攻撃である、サプライチェーン攻撃への注意も必要です。サプライチェーン攻撃とは、関連会社や取引企業を経由して最終ターゲットとなる大企業に不正アクセスするサイバー攻撃のことです。セキュリティ強度が低い企業や組織の脆弱性を利用してサイバー攻撃を仕掛け、簡単には攻撃できない企業にも侵入します。
なお、サプライチェーン攻撃の詳細は以下をご覧ください。
⇒サプライチェーン攻撃とは?攻撃された場合のリスクや被害事例、防止策を解説
適切なリソース配分
サプライチェーンが複雑化した結果、最適なリソース配分ができていないケースが多くあります。ただ、一度作り上げたサプライチェーンを再構築するのは簡単ではありません。多数の企業では、コスト削減などを目的に新たな仕入れ先の検討などを行っていますが、結果的にサプライチェーンを複雑化させているケースも存在します。
消費者のニーズ把握
長期間同じ企業とサプライチェーンを構築している場合、消費者のニーズを把握できなくなるリスクも存在します。顧客や消費者のニーズを正確に捉えなければ、顧客離れにつながりビジネスの継続に支障をきたします。
サプライチェーンが重要な理由と改善する2つのメリット
続いて、サプライチェーンが重要な理由と改善する以下2つのメリットについて解説します。
- 利益の向上
- 社会的信用の高まり
利益の向上
サプライチェーンを改善すれば利益の向上が見込めます。サプライチェーンを最適化することにより、過剰な在庫を抱えるリスクを抑えられます。在庫を抱えれば保管料が高額になり、廃棄となる可能性もあるでしょう。
また、他に有効利用できるはずだった現金が滞留します。逆に、在庫が少なければ機会損失につながる恐れがあります。柔軟かつ迅速に対応できるサプライチェーンを構築すれば、適正在庫を保てるでしょう。コスト削減や売上向上が見込め、結果として利益の増加につながります。
社会的信用の高まり
社会的な信用の高まりも、サプライチェーンを改善するメリットです。「サプライチェーンにおける主な課題」の章で解説した通り、近年は環境問題に対する注目が高まっています。消費者の中には、商品・サービスの良し悪しだけでなく社会的責任や環境への取り組みも含めて、購入先を検討する人が少なくありません。
また、以下3つの要素を考慮したESG投資も行われています。
- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- ガバナンス(Governance)
サプライチェーンを改善して、環境問題や適切な企業と取引することにより、社会的な信用が高まるでしょう。新たな顧客や投資の獲得につながる可能性もあります。
サプライチェーンを改善する7つの方法
最後に、サプライチェーンを改善する以下7つの方法について解説します。
- DXの推進
- リスク分散の実施
- 慎重な取引先選定と管理
- パートナー企業との関係強化
- 消費者ニーズや社会動向の収集と分析
- ESG経営の導入
- サプライチェーンマネジメント(SCM)の実施
DXの推進
サプライチェーンの改善には、DXの推進が効果的です。近年は、リアルタイムな在庫管理や需要予測、リードタイム短縮に役立つシステムが多数開発・提供されています。上手く活用すれば、サプライチェーンを最適化できるでしょう。また、セキュリティ対策ツールを活用することで、サプライチェーン攻撃の防止が可能です。
リスク分散の実施
リスク分散の実施も、サプライチェーンの改善に重要です。さまざまな仕入れ先や流通業者と取引することで、一部でトラブルが起きても企業活動を継続できます。サプライチェーンの安定につながるでしょう。
慎重な取引先選定と管理
慎重な取引先選定と管理も欠かせません。以下の問題がある企業をサプライチェーンに組み込めば、自社も風評被害を受けます。
- セキュリティ強度が低い
- コンプライアンスに違反している
- ハラスメントが行われている
- 製品に不備がある
リスク分散もしていない場合、問題が露呈すれば原料・部品を調達できず、ビジネスがストップするリスクもあるでしょう。
パートナー企業との関係強化
サプライチェーンはパートナー企業と構築するものであるため、関係強化が欠かせません。情報共有や密なコミュニケーションにより、信頼関係を深めることが重要です。例えば、トヨタ自動車では部品メーカーとの協力会を作り、在庫の適正化やリードタイムの短縮、品質向上を図っています。
消費者ニーズや社会動向の収集と分析
消費者ニーズや社会動向の収集と分析も、サプライチェーンの改善に有効です。近年は、消費者ニーズの変化が早く柔軟にサプライチェーンを変更しなければ、顧客ニーズを満たせなくなるリスクがあります。ただ、やみくもに変更すると複雑化したりコストが増加したり、逆効果になる可能性があるでしょう。サプライチェーンを改善する際には、消費者ニーズや社会動向に関する情報を集め、最適な形に変更しましょう。
ESG経営の導入
ESG経営の導入も重要です。「サプライチェーンが重要な理由と改善する2つのメリット」の章で解説した通り、ESGとは環境・社会・ガバナンスの頭文字を取った言葉です。環境や人権問題、社会課題の解決も視野に入れることにより、社会的な信用の向上が見込めます。
サプライチェーンマネジメント(SCM)の実施
サプライチェーンマネジメント(SCM)の実施も重要です。SCMとは、サプライチェーン全体を最適化する管理手法のことです。SCMを実施すれば、以下のメリットを得られるでしょう。
- コスト削減
- 在庫の適正化
- リードタイムの短縮
- 経営判断の迅速化
まとめ
サプライチェーンとは、原料の調達から製造・流通、顧客へ提供するまでのプロセスのことです。サプライチェーンは、収益性や会社の信用に影響を与えるため企業経営における重要な要素です。不適切なサプライチェーンを構築した場合、原料獲得や適切なリソース配分ができなくなるなどの恐れがあります。DXの推進やSCMの実施、慎重な取引先の選定と管理などにより、サプライチェーンの最適化を図りましょう。
また、近年はサプライチェーンを悪用したサイバー攻撃が行われています。パートナー企業が原因であっても、自社の保有する個人情報が漏洩すれば、信用やブランドイメージが低下します。パートナー企業に対してセキュリティ強化を呼びかけサプライチェーン攻撃を未然に防ぐ対策を行うとともに、情報が漏洩したことに素早く気付き対処する体制の構築が重要です。情報漏洩監視ツール「ダークウェブアイ」は、会社のドメイン情報を入れるだけで「いつ」「どこから」「どんな情報が」漏れてしまったのか、一瞬で分かります。
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